イタリアン・コルソ・ドッグってどんな犬?
イタリアン・コルソ・ドッグは、古代ローマ帝国の軍用犬モロシア系の犬種です。英名では「カネコルソ・イタリアーノ」といい、イタリアでは「カネコルソ」という名前が一般的ですが、「イタリアンマスティフ」「ドゴ・ディ・プーリア」とも呼ばれ親しまれています。
日本ではジャパンケネルクラブが「イタリアン・コルソ・ドッグ」で公認しています。「コルソ」は、頑丈・護衛という意味があり、その意味にふさわしく、イタリアン・コルソ・ドッグは農家での家畜の手伝いや番犬、またイノシシ・クマ・オオカミなど大型の猛獣の狩りをしていたという歴史も。
闘犬として使われていたこともありますが、イタリアン・コルソ・ドッグは常に人間が頼りにする存在だったようです。一時は絶滅の危機に見舞われながらも、熱心な愛好家の努力によって救われました。現在では、ヨーロッパやアメリカを中心に、イタリアン・コルソ・ドッグは家族の一員として多く愛されている犬種です。
イタリアン・コルソ・ドッグの性格
- 陽気で社交的
- 忠実
- 独立心が旺盛
- 頑固
- 警戒心が強い
イタリアン・コルソ・ドッグは、番犬や狩りなどに向いている気質から、とても勇敢で人間への忠実心が強いです。家族に向ける愛情と優しさはとても深く、容姿の印象よりも陽気で社交的な面がありますので、仲間と走り回ったりして遊ぶことも楽しみます。
また、イタリアン・コルソ・ドッグは家族と一緒に過ごすことがとても好きなので、信頼できる家族といれば穏やかで静かに過ごすでしょう。お互いに良い関係を作ることができれば、子供がいる家庭でも十分なじむことができる犬種です。
その反面、イタリアン・コルソ・ドッグは知能が非常に高くて頑固さが目立ち、環境の変化を嫌う神経質さもあります。あまり吠えませんが、独立心が旺盛で警戒心が強いところもありますので、家族以外の人には猜疑心を持ってあまり心を開かず、強い防衛心から時に攻撃的なところも見えるために注意が必要です。
イタリアン・コルソ・ドッグの特徴
大きさ(体重/体高)
イタリアン・コルソ・ドッグは体が大きく、大型犬の分類になります。体重はオスが45~50kg・メスが40~45kgですが、大きさには幅があって、オスでは60kg超の大きさに成長している例もあるようです。体高はオスが64~68cm・メスが60~64cm。イタリアン・コルソ・ドッグは普通に立っているだけでも、ダイニングテーブルに余裕で届く高さだから注意!と飼い主さんには言われたりしています。
被毛(毛色/毛質)
イタリアン・コルソ・ドッグは、全身がきめ細かいつややかな被毛に覆われています。短毛でアンダーコートもしっかりあります。毛色は種類が多くて濃淡もありますが、カラーはブラック、グレー、フォーン、レッド、ブリンドルなど。中でもブラックはとても人気があり、イタリアン・コルソ・ドッグではよく目にするカラーです。
体の特徴
イタリアン・コルソ・ドッグは堂々とした風格があり、ずっしりがっちりした筋肉質の体型です。モロシア系(マスティフ種)の犬種ですが皮膚のたるみは少なめで、比較的スッキリした容姿が印象的。太く長い足なので、大きな体のわりには動きがとても機敏です。
イタリアン・コルソ・ドッグの耳は前方にたれていてシッポも細長くたれていますが、断耳・断尾することもありますのでそれにより見かけの印象もかなり変わります。大きな頭とシザースバイト(鋏状咬合)もイタリアン・コルソ・ドッグの特徴です。
力が強い
イタリアン・コルソ・ドッグは体高もありかなり力が強いので、思いっきりひっぱられると大人でも制御が大変なほど。護衛犬や闘犬として活躍していた犬種でもあるので、太くがっちりした顎の力もかなり強いです。
イタリアン・コルソ・ドッグの寿命
イタリアン・コルソ・ドッグの平均寿命は9~11年ほどです。大型犬は体が大きい分、早く成熟しますので老いも早くなります。イタリアン・コルソ・ドッグも例外ではなく大型犬なので短命な傾向はありますが、家庭犬となれば穏やかな生活をしてだいたい10歳前後の寿命のようです。
イタリアン・コルソ・ドッグの子犬の値段
イタリアン・コルソ・ドッグの子犬を日本国内で購入する場合は、250,000~350,000円程度です。ただし入手しにくいこともあり、海外からお迎えする形にすると、約500,000円ほどかかったという飼い主さんの経験談もあります。
イタリアン・コルソ・ドッグを飼うには
イタリアン・コルソ・ドッグは、ペットショップでの販売はまずありませんので、日本での購入を考えた場合は主にブリーダーから迎えることになります。イタリアン・コルソ・ドッグの日本のブリーダーはあまり多くはありません。
ドッグショー会場の見学に行ったり、実際にイタリアン・コルソ・ドッグと暮らしている方から情報を得ることが近道になるでしょう。ブリーダーを探すときは、イタリアン・コルソ・ドッグを専門に扱っており、健全な繁殖を行なっている犬舎を選ぶことが確実です。
問合せにしっかり答えてくれること、犬舎の見学をさせてくれたり子犬や親犬に実際に会わせてくれること、また迎えたあとも熱心に相談にのってくれるような信頼のおけるブリーダーから直接購入することをおすすめします。
イタリアン・コルソ・ドッグの飼い方
環境
イタリアン・コルソ・ドッグは体が大きく運動量をかなり必要とするので、マンションやアパートなどでの飼育は困難です。ある程度自由に動き回れるスペースが必要になります。自由遊びができる環境があれば、なお理想的です。
運動
イタリアン・コルソ・ドッグはとてもアクティブでかなりの運動が必要になりますので、お散歩は1日1時間以上を最低2回。お散歩以外に思いっきり走らせることもストレス解消にかなり有効ですが、激しいランニングなどのトレーニングは足腰を痛める危険性もありますので注意しましょう。また、イタリアン・コルソ・ドッグは知能が高いので、鼻や頭を使った知的な遊びを取り入れると満足度が高くなります。
しつけ
一歩間違うとイタリアン・コルソ・ドッグは攻撃的な面が出てしまうので、子犬の頃からきちんとした訓練が不可欠です。またコミュニケーションを密にし、根気強く向き合って一貫した服従訓練をおこなわないと、イタリアン・コルソ・ドッグのほうが人の上に立ってしまって言うことをきかなくなる危険性もあります。飼い主には強いリーダーシップが必要なので、初心者が飼育するのは大変難しい犬種です。
食事
活発で大きなイタリアン・コルソ・ドッグの体は十分な栄養を必要とします。高タンパクのバランスが良い食事を、1日2回与えることが基本です。成長期のイタリアン・コルソ・ドッグにとってカルシウムやミネラル摂取はとても重要ですが、過剰になりすぎないように気をつけましょう。
お手入れ
イタリアン・コルソ・ドッグは抜け毛が少なめで短毛なので、週に1回くらいしっかりとブラッシングする程度で、シャンプーはあまり必要ありません。ブラッシングはラバーブラシや獣毛ブラシがおすすめで、皮膚をマッサージするようなイメージでおこなうのが良いとされています。日常的には、被毛の汚れを残さないように濡れタオルで拭き、清潔を保ちましょう。
病気
イタリアン・コルソ・ドッグは運動量が必要ですが、股関節形成不全や関節炎などの疾患が多いので、無理な激しい運動は避けてゆっくりと長く歩くように心掛けます。体重が重い大きな体のイタリアン・コルソ・ドッグには、足への負担も大きいです。
跛行や痛みがあるようなら、早いうちから治療や対処をしてください。大型犬に多い胃捻転は、イタリアン・コルソ・ドッグでも十分に注意が必要です。胃捻転を防ぐためには、ドライフードに水分を多く含ませてから食べさせたり、食台を使って食器を胸あたりの高さに置いて食べさせると予防になります。活発な犬種なので、食後にすぐ活動することのないようにしっかりと休息をさせます。
チェリーアイや涙やけなどの眼の疾患もあります。日常のケアも重要ですが、症状を放置していると結膜炎などを引き起こすこともありますので、少しでも異常が感じられたらすぐに動物病院で診察してもらってください。
まとめ
イタリアン・コルソ・ドッグは、1994年にイタリアケネルクラブで犬種スタンダードが公認されました。2009年にユナイテッドケネルクラブ、2010年にアメリカンケネルクラブで公認され、絶滅の危機から救われたあとに確立してからの歴史は浅いです。
日本ではまだまだ頭数は少なく、ジャパンケンネルクラブにおける2018年の最新登録数は16頭。ただ一般愛好家は少しずつ増えてきていて、輪は広がっているようです。
そんな希少犬種でありながらも、大変残念なことに、様々な事情から保護されて里親募集になっているイタリアン・コルソ・ドッグもごく稀ですが目にすることがあります。飼育放棄されている例もあり、大きな体としつけが難しい犬種を安易に飼った結果となって出ているのかもしれません。
イタリアン・コルソ・ドッグは大変忠実なため、一度リーダーを決めると安易に変えることができないところがありますので、飼い主が変わるということはその後の暮らしにも大きな影響を与えかねません。だからこそイタリアン・コルソ・ドッグは、衝動的な欲求や憧れだけでは迎えてはいけない犬種なのです。
イタリアン・コルソ・ドッグを迎えようと思ったら、イタリアン・コルソ・ドッグの気質をしっかり理解し、確実な訓練とリーダーシップをとれる自信と覚悟を持って向かい合ってください。