チェコスロバキアン・ウルフドッグとは
チェコスロバキアン・ウルフドッグは、ジャーマンシェパードドッグと、カルパチアンウルフとの交配によって誕生したウルフドッグです。
ウルフドッグと呼ばれる犬は何種類か存在していますが、その多くは狼との交雑犬になります。しかしチェコスロバキアン・ウルフドッグは狼の血を引く割合が多く、FCI(国際畜犬連盟)においても正式なウルフドッグとして公認されています。ウルフドッグの愛好家の中では非常に人気のある憧れの犬種です。
チェコスロバキアン・ウルフドッグの性格
寂しがり屋
狼のような凛々しい外見とは異なり、チェコスロバキアン・ウルフドッグは大変な寂しがり屋です。家族に対する愛情が強く、信頼できる仲間たちと過ごす時間に大きな喜びを感じます。孤独を感じさせないよう、常に気にしてあげることが大切です。
警戒心が強い
チェコスロバキアン・ウルフドッグは警戒心が強く、番犬として有能な犬種です。一方で防衛本能が強いために見知らぬ人に対しては攻撃的になる可能性もあります。誤って人にケガをさせないためにも、子犬期からしっかりとしつけを行うことが重要です。
素直
外見は怖そうに見えるチェコスロバキアン・ウルフドッグですが、実はおとなしくて素直な性格をしています。飼い主の言うことをよく聞く従順な性格のため、信頼関係が築かれれば良いパートナーとなり、深い絆を持つことができるでしょう。
チェコスロバキアン・ウルフドッグの特徴
大きさ
体重:オス26kg前後、メス20kg前後
体高:オス65cm前後、メス60cm前後
チェコスロバキアン・ウルフドッグは大型犬に分類され、成犬時の体重はオスは26kg前後、メスは20kg程度が平均とされています。大きい個体の中には体重が50㎏を超えるものもいるようです。平均体高はメス60cmが前後、オスは65cm程度まで成長します。
被毛
チェコスロバキアン・ウルフドッグの被毛は長く厚いダブルコートで覆われています。冬は体温保持のため毛の密度が濃くなるためふっくらとした外見になりますが、逆に夏毛のときにはすっきりと痩せて見えるのが特徴です。
被毛の色は、明るいマスクを伴う黄色味がかったグレーからシルバーグレー、または明るいマスクを伴うダークグレーをしています。あごの下面や前胸にも明るい被毛があることが、チェコスロバキアン・ウルフドッグの理想的な被毛カラーとされています。
体の特徴
チェコスロバキアン・ウルフドッグは引き締まった筋肉と骨格を持ち、見た目は狼そのものと言われています。シュッとした細長な顔立ちや立ち耳、ふさふさした垂れ尾も狼によく似ており、野性味溢れる外観が特徴です。
チェコスロバキアン・ウルフドッグの値段
チェコスロバキアン・ウルフドッグは日本で販売されていないため、はっきりとした販売価格は分かりません。現地価格では日本円にして15万円ほどが相場と言われているようです。
購入をする場合は現地専門ブリーダーからの直接輸入となります。輸入にかかる諸費用も含めた値段になるため、現地価格よりもかなり高額になることが予想されます。しかしチェコスロバキアン・ウルフドッグは現地で大切に保護されている犬種のため制約が厳しく、現在日本への輸入は非常に困難であるようです。
チェコスロバキアン・ウルフドッグの飼い方
子犬期からしっかりしつける
チェコスロバキアン・ウルフドッグは、子犬期からしっかりとしたしつけをすることが大切です。チェコスロバキアン・ウルフドッグは攻撃性や警戒心から思わぬトラブルを引き起こす可能性があります。過剰な防衛心を持たせないためにも、早いうちから社会性を養うことが重要でしょう。
ウルフドッグは野性味が強い性質を持つ犬種であるため、初めて犬を飼う方には扱いが難しいと言われています。まだ力の弱い子犬期の頃から、さまざまな人や他の犬と触れ合う機会を作り、専門家のアドバイスを受けながらしつけていくことが理想です。
たっぷりの運動をさせる
チェコスロバキアン・ウルフドッグにはたっぷりと運動させることが必要です。狭い室内飼いではストレスを感じやすいため、外の広い場所で飼うことや、積極的に運動させることが大切になります。
チェコスロバキアン・ウルフドッグの飼育に必要な面積は、1頭当たりにつき30平米以上とされており、常に自由に動ける広い場所が不可欠です。理想的な運動量は1日2~3時間以上とされているので、散歩にも十分に時間をかけるようにしましょう。運動不足になるとそれがストレスとなり凶暴性が強くなるので継続的な運動が必要です。
多頭飼いを検討する
チェコスロバキアン・ウルフドッグを飼う場合なるべく多頭飼いが良いとされています。群れへの執着心が高い狼の血が濃いので、多頭で飼育したほうがチェコスロバキアン・ウルフドッグ自身も安心できるのです。違う犬種の犬と多頭飼いする場合は、犬の体格や性格なども考慮して飼うようにしましょう。
単独飼いをするのであれば常に家に誰かがいる状態が良いでしょう。外飼いが理想ですが、外にいるチェコスロバキアン・ウルフドッグにも家族の気配が感じられるようにすることや、頻繁に声をかけることなどを行ない、寂しくならないようにしてあげることも大切です。
チェコスロバキアン・ウルフドッグの歴史
チェコスロバキアン・ウルフドッグの歴史は1955年までさかのぼります。原産国であるチェコでは、当時軍事攻撃犬としてジャーマンシェパードよりも優れた軍用犬を求めていました。そこで、地元に生息していた身体能力の高いカルパチアウルフと、学習能力が非常に高いジャーマンシェパードを実験交配させて作出されたのがチェコスロバキアン・ウルフドッグです。
作出後もオオカミの血が濃くなりすぎないように、綿密な交配調整が繰り返されて現在のチェコスロバキアン・ウルフドッグが完成しました。その後1982年にFCIに公認され、家庭犬やショードッグ、ドッグスポーツ用の犬種としても活躍するようになり、世界に名を知られるようになり現在に至ります。
まとめ
狼の血を引くチェコスロバキアン・ウルフドッグは体力があり警戒心も強いため、家庭で飼うときには飼い主のしつけ方が重要になります。現在、日本でチェコスロバキアン・ウルフドッグを飼うことは難しいようですが、もしも飼うことができるようになった場合は、ウルフドッグの理解を深めた上で家族として迎える準備をしてあげてください。