ブービエデフランダースってどんな犬種?
ブービエデフランダースはベルギーが原産国の大きな牧畜犬です。ブービエデフランダースの起源は明確には分かっていないないのですが、16世紀ごろスペインからベルギーに持ち込まれた犬と、ベルギーに住みついていた犬から誕生したのではないかと考えられています。
ブービエデフランダースの「ブービエ」とは「牛追い犬」を意味していますので、犬名は「フランダースの牛追い犬」と言う意味になります。昔のベルギーには多くの「ブービエ」が存在し活躍していましたが、そのほとんどが絶滅してしまい、現在残っているのがブービエデフランダースのみとなっています。
見た目の特徴からアイリッシュウルフハウンドや、シュナウザー系と近い血縁関係にあるのではないかと推測されています。その当時はフランスとベルギーの国境地帯にある、フランドル地方で牧畜犬としてのみならず、運搬犬、番犬として大活躍していたのがブービエデフランダースです。
ブービエデフランダースが犬種として認められたのは、1912年になってからでした。もともと作業犬として大活躍していたブービエデフランダースですが、その頃から世界中の愛犬家に注目されるようになり、作業犬としてではなく、飼われることが増えてきました。
そんな矢先、第一次世界大戦が勃発し、戦闘中は軍用犬として働くことになるのです。ブービエデフランダースの戦闘中の主な働きは、医療物資を運ぶ医療犬としてでした。
大変優秀な働きをしたのですが、残念なことに多くのブービエデフランダースがその命を落とし、絶滅の危機にまで陥りました。しかし、数頭残った優秀なブービエデフランダースはしっかりと繁殖され、1992年にはドックショーなどにも出展されるほどになりました。
現在のブービエデフランダースの飼育のされ方ですが、優秀な作業犬、また警察犬や盲導犬としても活躍していて、ベルギー国内でその能力はとても大切にされています。ドックショーで優勝させるよりも、ブービエデフランダースの本来の力を残すための繁殖が続いています。
ちなみにブービエデフランダースは、「フランダース」とつくだけあって、ピンときた方も多いと思いますが、昔に流行したテレビアニメ「フランダースの犬」のキャラクター「パトラッシュ」のモデルであると言われる犬種です。
「フランダースの犬」は17世紀、イギリス人作家、ウィーダによって書かれた小説ですが、日本のテレビアニメで描かれていた「パトラッシュ」の見た目と、本物のブービエデフランダースの容姿があまりに違うので驚かれる方が多いです。
「パトラッシュ」のモデルは実はブービエデフランダースではなく、ベルジアンタービュレンではないかとも考えられています。
ブービエデフランダースの性格
・忠実
・穏やか
・遊び好き
・作業能力が高い
・勇敢
・外的に対しては攻撃的
ブービエデフランダースは飼い主さんにとても忠実で、穏やか、家族と遊ぶことが大好きな性格で、小さなお子様にも愛情深く接してくれます。体が大きい分、体力もとてもありますので、非常に活発に遊びます。
ブービエデフランダースは基本的には穏やかな性格なのですが、現在では農場の番犬や警察犬としても活躍しているくらいなので、判断力や作業能力がとても高く、勇敢な一面もあります。
警察犬らしく警戒心が強い一面もありますので、時に外的かもしれないと感じてしまった他人に、攻撃的な態度をとってしまうことがあります。そのためブービエデフランダースのしつけは、幼い頃からとても重要になります。
ブービエデフランダースの特徴
被毛
ブービエデフランダースの一番の個性は被毛にあります。「フランダースの犬」の「パトラッシュ」とは全く異なり、モジャモジャでボーボーとした長めの被毛、と言う表現がピッタリだと思います。
ブービエデフランダースの被毛自体は、アンダーコートとオーバーコートで構造されているダブルコートで、アンダーコートはとてもきめが細かく、オーバーコートは粗くて光沢のない硬めの被毛になっています。
カラーはブラックやグレーが一般的で、その他フォーンやグレーブリンドル、ソルトアンドペッパーなどがあります。
体の大きさ
ブービエデフランダースは体高と体長がほとんで同じ大きさで、胴がやや短めな体型をしています。体高がオスは62センチから70センチ、メスは58センチから67センチ、体重はオスが35キロから40キロ、メスが27キロから38キロと言われています。
顔の特徴
ブービエデフランダースの顔は、口ひげと眉毛がありとてもユニークな顔立ちをしています。とにかく毛がフサフサと生えているので、こちらからは目がはっきりとは確認できないほどです。マズルがやや長く先細りで尖っていて、耳は三角の垂れ耳です。
体の特徴
ブービエデフランダースはとても筋肉質で引き締まった体をしています。手足も筋肉が発達しているため逞しい印象があります。
ブービエデフランダースの子犬の値段
ブービエデフランダースは現在でも作業犬として活躍しているため、ペットとしてご家庭で飼われることがあまりなく、日本では珍しい犬種です。
ペットショップでの販売はまずありませんので、ブリーダーさんからの購入がメインとなると思います。ブービエデフランダースの子犬は平均して25万円から30万円前後と言えるでしょう。親犬がドックショーのチャンピオン犬であったり、被毛のカラーが珍しい子犬は金額が上がります。
ブービエデフランダースを飼うには
ブリーダーから迎える
ブービエデフランダースを確実に購入する方法は、ブリーダーさんのホームページを小まめにチェックすることです。上記にも書きましたが、ブービエデフランダースは日本では非常に希少な犬種なので、ブリーダーさんによる販売もとても少ないです。
日本ではブリーダーさん自体も少ないので、一箇所のブリーダーさんのもとで、ブービエデフランダースが販売されるのは、年に数回のことになると思います。
個人で海外から輸入する
ブービエデフランダースのみならず、日本で希少な犬種でブリーダーさんのもとからも、なかなか購入できない場合、個人で海外から購入してしまう方法もあります。
海外のブリーダーさんから購入する場合、迎え入れるブービエデフランダースの子犬に実際に会うことは出来ませんし、ブービエデフランダースの価格に加えて、空輸代などもかかりますので高額になります。
個人で海外のブリーダーさんを探す方法と、日本の代行会社に依頼する方法とありますが、デメリットもありますので、出来れば日本のブービエデフランダースのブリーダーさんから購入する事をおすすめします。
ブービエデフランダースの飼い方
運動量
ブービエデフランダースは体が大きく力強い犬種なため、ほかの犬種と比べてとても体力のある犬です。お散歩には毎日、十分な時間が必要になります。1日に1時間以上のお散歩を最低でも2回は行わなければいけません。
家族で協力し合い、もう少し時間がとれるのであれば、1回のお散歩に2時間かけてもかまいません。ブービエデフランダースは激しい運動よりも、単純に走ることが向いています。
走ることで運動量を満足させることが出来ますので、人気の少ない大きな公園やドッグランなどで、ブービエデフランダースを思いっきり走らせてあげください。
気をつけて欲しいのは、ブービエデフランダースはもともと牛追い犬だったため、小さな動物や他の犬を追いかけてしまう可能性があります。リードは絶対に放さず、出来れば他の動物がいない環境を選びましょう。
しつけ
ブービエデフランダースは警察犬として働くことができるほど、賢い犬種なので教えたことを理解するのが早く、覚えも良いほうです。比較的しつけは、しやすい犬種と言えるでしょう。
しかしブービエデフランダースは成長し、成犬になると頑固な一面が出てきて、自分なりのこだわりが出てくるようです。ブービエデフランダースは家族に対しては、とても穏やかな性格をしていますが、外的に対しての警戒心が高いため、知らない人に対して攻撃的にならないよう、子犬のうちからしっかりと教え込みましょう。
ブービエデフランダースはとにかく体が大きく、力も強く育ちますので、間違ったしつけをすると成犬になってから大変な思いをします。子犬のうちに甘やかすことなく、上下関係をはっきりさせ、厳しくしつけをすることも大切になります。
飼育環境
ブービエデフランダースはフサフサとした毛がたくさん生えていて、見た目どおり日本の湿度の高い夏の気候にはあまり強くありません。
また家族と時間を共に過ごすことを好みますので、室内飼育が向いているでしょう。エアコンなどで室温を調整し、体調管理に気遣ってあげて下さい。体が大きく、遊び好きなため、広めのリビングやブービエデフランダースが十分に遊べるお庭などがあると最適です。
上記にもあるように、ブービエデフランダースは運動量をとても多く必要とします。一人暮らしの方で、毎日何時間もブービエデフランダースをお散歩に連れて行くのは、なかなか難しいと思うのでファミリー向けの犬種かと思います。
家族と遊ぶ時間や、お散歩の時間が短いとストレスを感じてしまいますので、飼い主さんの時間の余裕も大切になります。
お手入れ
ブービエデフランダースのダブルコートの被毛は、きめの細かい被毛と粗い被毛で構造されていますので、とても毛玉になりやすいです。週に3~4回ほどブラッシングを行い、抜けている毛をしっかりと取ってあげましょう。
ブービエデフランダースはやや長めの被毛ですが、放置すると、どんどん伸びできます。定期的にショップでトリミングやシャンプーをお願いしましょう。
ブービエデフランダースの寿命
ブービエデフランダースの平均寿命は10歳から12歳と言われています。ブービエデフランダースは比較的、遺伝性疾患が少なく健康的な犬種ですが、かかりやすい病気もいくつかあります。
・股関節形成不全
・胃捻転
股関節形成不全と胃捻転はブービエデフランダースだけではなく、大型犬がかかりやすい病気です。股関節形成不全はブービエデフランダースが成長過程で、筋肉と骨のバランスが崩れていく病気なので、子犬の頃から注意してあげなければいけません。
症状が悪化すると、自力で立つことが出来なくなることもあるので、歩き方に不調を感じたら、すぐに獣医さんに診てもらいましょう。
胃捻転もブービエデフランダースのように、胸が深い大型犬によくみられるもので、多量のガスで胃がふくらみ、ねじれてしまう病気です。
はっきりとした原因は分かっていませんが、予防法としては、食事は早食いしないように数回にわけ、食後すぐ遊ばせたりお散歩に行ったりせず、ゆっくりと過ごさせましょう。
まとめ
個性的な大型犬がお好みの方は、好きな犬種ではないでしょうか。大きくて、まるで熊のような見た目は、1度見ると忘れることが出来ませんね。子犬の頃のしつけがしっかり出来ると、ネロとパトラッシュのような関係になれるかもしれません。
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40代 女性 まろん