ランドシーアってどんな犬?
世界には数多くの犬種が存在しますが、今回はその中からランドシーアという犬種についてご紹介します。日本国内では見かけることの少ない犬種ですが、ぜひこの機会にランドシーアについて知ってください。
まずランドシーアは、ランドシーアヨーロピアンコンチネンタルタイプ(Landseer European Continetal Type)という別名を持っており、この長い名前を省略してランドシーアE・C・Tとされています。そのため、多くの人はランドシーア(Landseer)と呼んでいるのです。
またこのランドシーアという犬種は国際畜犬連盟においては独立犬種として登録されていますが、世界的に見るとニューファンドランドという犬種と同一犬種としてみられることが多いです。なぜならば、ニューファンドランドの中でも被毛のカラーがブラックとホワイトの混合色である犬がランドシーアと呼ばれているからです。
そのため、ニューファンドランドとランドシーアは、基本的な部分は同一と考えて良いでしょう。先ほど日本ではあまり見かけない犬種として紹介しましたが、実は日本人にも馴染みのあるランドシーアが存在します。それが『ピーターパン』です。児童文学作品の『ピーターパン』に登場する愛犬のナナは、ランドシーアがモデルになっていると言われています。
ランドシーアの性格
では、ここからはランドシーアについてより詳しく見ていきましょう。まずはランドシーアの性格です。ランドシーアの性格の傾向として、以下の性格が挙げられることが多いです。
- 穏やか
- 愛情深い
- 攻撃性が低い
- 社交的
- 依存心が強い
箇条書きでこれらを簡単に見てもわかるとおり、ランドシーアは家庭犬としてもとても優秀な犬種です。では、これらの性格の傾向を1つ1つ詳しく確認していきましょう。
穏やか
まず最も多く挙げられる性格の傾向として、のんびりしており穏やかであるという特徴が挙げられます。顔もとても優しげな表情をしており、その表情がよりランドシーアを穏やかに見せているのかもしれません。
実際に穏やかな部分は表情だけではなく、人間、犬分け隔てなく優しく接してくれる姿が世界中で見られています。とても穏やかですので知らない人が相手であっても吠えたりすることは滅多にありません。
愛情深い
穏やかで優しいという性格が挙げられましたが、それと共に愛情深いという性格もランドシーアを知る上で忘れてはいけません。特に家族に対する愛情はとても深く、家庭の一員として素敵な生活を与えてくれるでしょう。
ランドシーアは愛情深く、子どもが好きな犬が多いという傾向もあり、小さな子どもがいるご家庭であっても安心して一緒に過ごすことができます。子どもが少しずつ成長すると、遊び相手となり一緒に遊んでくれる頼もしいチャイルドシッターのようになるランドシーアも少なくありません。
家族に対して愛情深いのは当然ですが、家族以外の知らない人に対しても懐いてしまう傾向があるようです。家族はもちろん、多くの人に愛情を分け与える姿は見ていてこちらも穏やかな気持ちになります。
攻撃性が低い
先ほどから犬や人分け隔てなく接する、家族はもちろん知らない人であっても愛情深い一面を見せるといった性格をご紹介しましたが、この性格によって攻撃性が低いこともランドシーアの特徴です。
無意味に吠えて威嚇をしたりすることは滅多になく、とてもフレンドリーで明るい性格でもあるため多くの人や犬に自分から近寄って行くことが多いです。社交的で警戒心は他の犬種と比べると幾分か低いと言えるでしょう。
そのため、大型犬ではありますが「番犬としてはあまり役に立たない」と言われることも多く、その言葉が知らない人に対しても攻撃性が低いことを示しています。
社交的
「攻撃性が低い」でもお話ししましたが、ランドシーアはフレンドリーな犬種です。非常に社交的ですので、散歩の途中に他の犬やその飼い主さんに会うと自分から近付いていくことも珍しくありません。
また宅急便を配達する人や飼い主の友人など、知らない人が家に来ても過剰に吠えることはせず、すぐに懐いてしまうという傾向もあります。甘えんぼうで人が大好きな一面も持っている犬種ですので、来客が来ても必要以上に無駄吠えを警戒しなくてはいけない、と注意する必要はほとんどないでしょう。
しかし、中には人が大好きで甘えんぼうという性格が災いし、「遊んで~」と軽く飛びかかり相手を驚かしてしまうこともあるかもしれません。ランドシーアには悪気はありませんが、飛びかかられた方は恐怖を感じる人もいますので、その点はしっかり注意する必要があるでしょう。
依存心が強い
「甘えんぼう」という単語が出ましたが、甘えんぼうで人が大好き、特に家族に対して愛情深いランドシーアに多く見られる特徴が依存心の強さです。飼い主が見えなくなると寂しそうな仕草や表情を見せたり、1人で留守番をさせると元気が無くなってしまうという事態も考えられます。
大型犬ではありますが、中身は甘えんぼうな子どものような一面も持っているのです。そのため、普段から飼い主に対する依存心を必要以上に強くしないためにも、ランドシーアに自信を付けさせ、1人でお留守番が平気になるようしつける必要もあります。
ランドシーアの特徴
ランドシーアは穏やかで優しくフレンドリーであるということを理解していただけたかと思います。番犬としては少々頼りないところもありますが、家庭犬として素敵な家族になってくれる犬種であることに間違いはありません。続いてランドシーアの身体的特徴を見ていきましょう。大きさや被毛の特徴、さらにはランドシーアならではの部分的な特徴も詳しくご紹介していきます。
大きさ
ランドシーアは体長が約65~73cmととても大きな大型犬です。しかし体長だけでなく体高もあるため、見た目は非常に大きくがっしりしており、一見ひるんでしまう人もいるかもしれません。
しかし、先ほどご紹介したようにとても穏やかで優しい犬種ですので安心してくださいね。体重も60kgを超えることが多く、この大きさが日本国内の飼育環境と合わないため、日本ではあまり馴染みのない犬種になってしまったのでしょう。
被毛
続いて被毛です。ランドシーアはニューファンドランドという犬種の中の一種として考えられることも多く、ランドシーアとニューファンドランドの違いは被毛のカラーです。黒と白の被毛を持つ方がランドシーアで、それ以外の毛色を持つニューファンドランド犬をニューファンドランドと言います。
ランドシーアは寒さに耐えられるよう、被毛はダブルコート構造です。ふわふわとした十分過ぎるほどのアンダーコートに加え、長くさらさらとした上品なアウターコートのダブル構造になっているため、冬でも快適に過ごすことができます。
さらにこのアンダーコートには脂成分が付着しているため、水をはじき飛ばす防水効果もあります。そのため、ランドシーアは水の中で泳ぐことが得意な犬種としても知られており、冬の寒い水中であっても泳ぐことが可能です。
しかし、その一方で夏の暑さには弱く、日本の夏は気候的に見ても非常に過ごしにくい環境と言えるでしょう。日本で飼育する場合は、夏の暑さ対策を念入りに行う必要があります。
足
ランドシーアの足にはある特別な特徴があります。「足なんて、犬はだいたい似たような足では?」と思う方が多いと思いますが、なんとランドシーアの足には水かきのように発達した膜がついているのです。これは泳ぐことが得意なランドシーア(ニューファンドランド)ならではの身体的特徴で、この水かきのような膜があることによってスイスイ泳ぐことができます。
歴史を辿っていくと、ナポレオンが島流しにされてしまった際、志摩から脱出しようと使用した船から転落してしまったところを助けた犬種がニューファンドランドだったと言われています。ニューファンドランドの一種として見られることの多いランドシーアも同じような能力があるのでしょう。
よだれの量
またランドシーアは他の犬種と比べてもよだれの量が多いことで知られています。そのため、ランドシーアを飼っている飼い主の多くは、愛犬にスタイの役割としてバンダナを巻いたりしています。放っておくとよだれが口の中に溜まり、あふれ出してしまいます。
ポタポタと床に垂れてしまい、「床がよだれまみれに!」なんてことも珍しくありません。さらによだれで口の周りが汚れやすいという注意点もありますので、定期的に観察し、拭き取ってあげたり、部屋の床には拭き掃除しやすいタイルを敷くなど工夫が必要です。
ランドシーアの子犬の値段
ここまでランドシーアの性格や身体的特徴についてご紹介してきましたが、実際ランドシーアを家族として迎えるとなると、どのくらいの値段で取引されているのか気になりませんか?
ペットショップに行ってもランドシーアを見たことがあるという人は滅多にいないと思いますので、なかなかどのくらいの値段という想像がつきにくいですよね。
最近の傾向としては、ニューファンドランドの平均価格は25万とされています。しかし、ランドシーアはニューファンドランドの中でもカラーが限定されていることもあり、希少な存在です。そのため、もう少し取引価格が高くなると考えてください。
ランドシーアを飼うには
ランドシーアを家族として迎えようと決めた場合、どこから迎えることができるのでしょうか。里親になるという手段もありますが、ランドシーアを飼育している家庭がそもそも日本国内には少ない上、里親に出される犬は家庭で飼育できなくなってしまった犬がほとんどです。
その中にランドシーアがいる確率はかなり低いでしょう。では、ランドシーアを日本国内で家族として迎える場合、どのような場所から引き取ることができるのでしょうか。
ブリーダーから迎える
ランドシーアを引き取る場所として、最も多い引き取り先はブリーダーさんです。日本国内ではニューファンドランドのブリーダーさんとして犬舎を設けているところがほとんどですが、ニューファンドランドの犬舎自体も非常に少ないです。
その中で被毛のカラーが黒と白のランドシーアを見つけることは、とても難しいですし、生まれるとすぐに新しい家族が決まってしまうこともあります。ニューファンドランドのブリーダーさんが登録されているサイトを逐一チェックし、新しい子犬が生まれたという情報が掲載されたら、見学予約や問い合わせをしてみてください。
ペットショップから迎える
2つ目の手段としてペットショップから迎えるという方法があります。しかし、基本的にペットショップも引き取る元はブリーダーさんですので、前述したようになかなかランドシーアをペットショップで見かけることはありません。
ペットショップでランドシーアを見かけることがあれば、とてもラッキーだと思ってください。ランドシーアがペットショップで見つかることは、それくらい低確率なのです。またペットショップの店員さんに「ランドシーアがこちらのペットショップにやってくることはありますか?」と尋ねてみるのも良いでしょう。
ランドシーアの飼い方
ここまでランドシーアに関する様々な情報をご紹介してきましたが、ここまで読み「やっぱりランドシーアを家族として迎えたい」と強く思っている方に向けて、ランドシーアの基本的な飼い方をご紹介します。
家庭犬として飼いやすいランドシーアですが、日本の気候や住宅事情を考えると考慮しなければいけない点も出てきます。またお手入れの方法など、ランドシーアならではの注意点もありますので、しっかり理解した上で迎えるようにしてください。
環境
まず飼育環境ですが、ランドシーアはとても大きな体格を持っているため、マンションやアパートなどはあまり向いていません。穏やかで優しい犬種ではあっても、体の大きさに合わない住宅環境に閉じ込められてしまえばストレスが溜まってしまいます。
また寒さには強いランドシーアですが、日本の夏の暑さにはとても弱いです。そのため、夏はしっかり冷房を点け、室内の温度を最適な室温に保つ必要があります。さらに先ほども紹介しましたが、ランドシーアはよだれの量が他の犬種に比べて非常に多いです。
そのため、少し見ていなかったり、興奮してしまうとポタポタとよだれを垂らし床を汚してしまう恐れがあります。よだれの量を調節することはできないため、ランドシーアが行動する範囲の床に拭き掃除のしやすいタイルカーペットを敷くなど工夫が必要でしょう。
運動
ランドシーアはとても大きな犬種ですので、運動量も他の犬種に比べると多めになります。1回1時間以上の散歩を1日2回は行う必要があります。さらに休日には運動不足をしっかり解消してもらうためにドッグランに連れて行き、自由に走り回らせるという過ごし方も考えなくてはいけません。
また泳ぐことが大好きな犬種ですので、海や川、犬用のプールがある施設に連れて行き、思う存分泳がせてあげたり、水辺で遊ばせてあげるととても喜びます。運動不足解消にもなりますので、ランドシーアを飼う際にはぜひ検討してみてください。
しつけ
ランドシーアは人懐っこく賢い犬種ですので、しつけやすい犬種ではあります。しかし、チュ大型犬に分類されるため、しつけをしっかり行わなければ、後々飼い主がコントロールしきれなくなり、問題となってしまうことも考えられます。
ランドシーアのしつけ自体は他の犬種と同じように行いますが、しつけをするに当たり、ランドシーアとの信頼関係は非常に重要となります。甘えんぼうなランドシーアですから、スキンシップをなるべく多く取り絆を深めることで、信頼関係を構築することができます。
毎日の散歩はもちろん家の中でも一緒にオモチャで遊んだり、ブラッシングをしてあげるなど、様々な場面でスキンシップやコミュニケーションをとってあげましょう。
お手入れ
ランドシーアはダブルコート犬種である上、被毛が非常に多くふさふさした毛質です。そのため、こまめにブラッシングをしてあげなければ、被毛同士が絡まってしまうなどのトラブルが考えられます。
なるべく毎日ブラッシングをしてあげてください。また換毛期には被毛がたくさん抜け落ちます。抜けた被毛がそのまま皮膚に付着していると皮膚トラブルを引き起こす原因にもなりますので、換毛期は特にこまめに、念入りに行ってあげましょう。
またよだれの量が多いため、口の周りが汚れてしまうことがあります。定期的に口の周りによだれが付着していないかどうかを観察し、拭き取ってあげてください。
ランドシーアの寿命
大型犬は小型犬や中型犬に比べると平均寿命が短いと言われています。ランドシーアも平均寿命は11歳前後と短めだと言えるでしょう。大型犬の寿命は年をとる早さや怪我・病気の有無が関係していると考えられています。
ランドシーアの場合、大型犬によく見られる「胃捻転」にも注意が必要ですが、それと同時に心臓に関わる疾患にも注意が必要です。拡張型心筋症や僧帽弁閉鎖不全症などの後天的な疾患から、先天的な疾患までかかりやすいと言われています。
心臓疾患の場合、多くは1~2歳までに症状が現れることが多いとされていますが、胃捻転に関しては年齢関係なく引き起こされる危険性があります。緊急性が高く、最悪死に至る可能性も高い症状ですので、食後の運動や1度に多量のフードを食べることは避けましょう。
まとめ
いかがでしたでしょうか。ランドシーアはとても穏やかで優しく、家庭犬として素晴らしいパートナーとなってくれる犬種です。
家族と遊んだりスキンシップをとることが大好きですので、子どものいるご家庭でも安心して迎えることができます。これから先、ランドシーアを迎えたいと考えている方は、大きさや最適な環境、お手入れ方法などもしっかり理解した上で迎えてあげてくださいね!
ユーザーのコメント
女性 ゴン吉
どことなくセントバーナードに似ているなぁと思っていたら、ランドシーアはバーナードとピレニーズの血が入っているそうです。人に懐きやすい性格も頷けます。
女性 コロ
よだれが多い犬種というのはニューファンドランドも同じですね。セントバーナードもよだれが多い方です。中型犬以降のサイズの犬種ではよくあることなのだと思います。特に口元が垂れている犬種は構造上どうしてもよだれが多くなってしまいます。ある程度の量なら心配もいりませんが、いつもより多かったり臭いがある時は、病気の可能性もあります。
ランドシーアは胃捻転にも注意したい犬種です。食後に元気がなく異常な量のよだれが見られた場合はすぐに動物病院へ指示を仰ぎましょう。
女性 ぬかづけ