日本犬の種類について
日本犬とは、日本原産の犬種の総称です。古くから日本にいる純粋な日本犬を「和犬(わけん)」と呼び、現在6つの犬種が存在します。その他に外来種を元に交配して作られた日本原産の犬種も日本犬として扱われます。
現存の日本犬(和犬)6種類
犬種名 | 大きさ |
---|---|
秋田犬 (あきたいぬ) | 大型犬 |
甲斐犬 (かいけん) | 中型犬 |
紀州犬 (きしゅういぬ) | 中型犬 |
柴犬 (しばいぬ) | 小型犬 |
四国犬 (しこくけん) | 中型犬 |
北海道犬 (ほっかいどういぬ) | 中型犬 |
上記が「和犬」もしくは「日本犬」と呼ばれる6犬種です。一般的に日本犬はこれらの6犬種を表していることが多いです。過去には「越の犬(こしのいぬ)」も入れて7犬種でしたが、残念ながら1971年に純血種が絶えてしまいました。
日本犬は国の天然記念物!
古くから日本で生活をしている日本犬。実は文部科学省により国の天然記念物として指定されているのをご存知でしょうか?
よく知られている「柴犬」や海外からも注目が集まっている「秋田犬」も、もちろん例外ではありません。実際に日本犬は「公益社団法人 日本犬保存会」が日本犬の保存に取り組んでいます。
日本犬は、まさに国を代表する動物と言って過言ではないのです。
日本犬(和犬)の種類一覧
日本犬の中でも国の天然記念物に指定されている和犬(日本犬)6犬種の特徴をご紹介します。
秋田犬(あきたいぬ)
カイ ちゃん / 3歳
基本情報
- 性格
- 警戒心が強く保守的、飼い主に従順
- 大きさ
- 大型犬
- 体高
- 30〜60cm
- 体重
- 60〜70kg
- 寿命
- 10~13年
6犬種の中で唯一の大型犬種です。渋谷の「忠犬ハチ公像」のモチーフとなり、映画『ハチ公物語』、『HACHI 約束の犬』などにも出演した犬種です。
過去には闘犬や狩猟犬として飼育されてきました。がっしりとした体つきに高い身体能力を持ちます。体重は30〜60kg以上、体高60〜70cm以上と全犬種の中でもかなり大きな体を持ちます。
飼い主には非常に忠実な分、見知らぬ人への警戒心が強いため、番犬として力を発揮します。警戒心と力の強い大型犬なので、しつけはかかせません。
飼い主に対してとても従順ですが、保守的で警戒心が強い一面もあります。日本での登録数が年々少なくなっている犬種でもあります。
甲斐犬(かいけん)
凪 ちゃん / 3歳
基本情報
- 性格
- 忠実で聡明、勇敢で狩猟欲が強い
- 大きさ
- 中型犬
- 体高
- 45〜50cm
- 体重
- 16〜18kg
- 寿命
- 12~16年
山梨県原産の中型犬です。山梨県の山岳地帯で猟犬として活躍してきました。狩猟本能がとても強く、今でも現役の狩猟犬として働く甲斐犬も存在しています。番犬としても優秀な働きを見せてくれます。
飼い主以外の見知らぬや人、動物には強い警戒心を表しますが、尊敬し信頼する飼い主には非常に従順で忠実です。一人の飼い主(=主人)を定め一生尽くす「一代一主の犬」と呼ばれています。
警戒心が強いため、他の犬に触れ合うようなドッグランの利用や散歩の際は注意が必要です。信頼関係を持ち、尊敬できる飼い主となるためには、メリハリのある生活としつけが必要です。
体重は16〜18kg、体高45〜50cmくらい、体型によって「鹿型犬」「猪型犬」とタイプが別れています。
紀州犬(きしゅういぬ)
ハク ちゃん / 1歳
基本情報
- 性格
- 素直で誠実、真面目でしつけもしやすい
- 大きさ
- 中型犬
- 体高
- 46〜55cm
- 体重
- 15〜23kg
- 寿命
- 約14年
和歌山県原産の中型犬です。和歌山、三重、奈良に跨る山岳地帯で猟犬として飼育されてきました。
飼育6犬種の中でも家庭犬としての適性が高いといわれていますが、しつけを怠ると危険性を持ち合わせた攻撃的な性格になってしまいます。イノシシをも倒せるほどの強靭な顎を持ち、害を及ぼす相手には強い警戒を示します。
なお、元来は賢く、理解力もあるため、信頼できる飼い主がきちんとしつけることで優秀な番犬となります。また、家族と認めた場合、子どもがいる家庭でも飼育が可能な家庭犬となってくれます。
体重は15〜23kg、体高46〜55cmと、大型に近い中型犬に分類されます。最近はやや小さいサイズの紀州犬も増えています。
柴犬(しばいぬ)
ももた ちゃん / 6歳
基本情報
- 性格
- 甘えん坊で愛嬌がある、警戒心が強く頑固
- 大きさ
- 小型犬
- 体高
- 約40cm
- 体重
- 約9kg
- 寿命
- 12~15年
6犬種の中で最も飼育頭数が多く、唯一の小型犬です。東北地方南部から関東、中部、山陰の各地方に広く分布し、産地によって美濃柴、信州柴、石州柴などと呼ばれてきました。猟犬や番犬として、古くは縄文時代から飼われてきたといわれています。
リーダーシップを持った信頼できる飼い主に対しては非常に忠実ですが、見知らぬ相手には警戒心が高く、懐きません。勇敢で賢いですが頑固で独立心が強い面があるため、素人や洋犬に慣れている人にはしつけが難しい場合があります。
体重は9kg前後、体高は40cm前後と小型犬に分類されていますが、体格は個体差があり中にはもっと大きな柴犬も存在しています。
四国犬(しこくけん)
クロ ちゃん / 5歳
基本情報
- 性格
- 飼い主に忠実、用心深く勇敢
- 大きさ
- 中型犬
- 体高
- 49〜52cm
- 体重
- 16〜25kg
- 寿命
- 10~12年
四国地方原産の中型犬です。四国山地の山村において鹿や猪の実猟犬や作業犬として飼育されてきました。山地での激しい狩りに耐えることができる体力と持久力を持つため、かなりの運動量を要します。
高知にいた土着犬(昔からその土地に住み着いている犬)のため「土佐犬」と呼ばれていた時期もありましたが、「土佐闘犬」と混同されてしまうため、四国犬へと名称変更されました。
他の和犬同様、信頼できる飼い主には非常に忠実ですが、見知らぬ相手には警戒心を表します。冷静に状況を判断する力があるため見境なく攻撃をすることはありませんが、闘争心も持っているため、他の犬には注意が必要です。
体高は49cm~52cm程度、体重は16kg~25kg程度でバランスのとれた筋肉質な体型をしています。立ち耳と巻き尻尾も特徴と言えるでしょう。
北海道犬(ほっかいどういぬ)
しろ ちゃん / 2歳
基本情報
- 性格
- 警戒心が強く飼い主に忠実、勇敢で我慢強い
- 大きさ
- 中型犬
- 体高
- 42〜53cm
- 体重
- 20〜30kg
- 寿命
- 13~15年
アイヌ民族が飼育してきた「アイヌ犬」とも呼ばれる中型犬です。アイヌ民族の言葉では「セタ」と呼ばれます。
中型犬でありながらも、その勇敢な強さとたくましさでヒグマやエゾシカなどの大きな獣を相手に猟をしてきました。北海道の厳しい気候に耐えることができる被毛を持ちます。
猟犬として獰猛に育てられてきた面もありますが、家庭犬として飼育する場合は子犬の頃から服従訓練や犬の社会性を備えさせることで、忠実な家庭犬にもなれます。他の和犬同様に、何より飼い主がリーダーシップを取って信頼関係を作ることが大切です。
体重は20〜30kg、体高は42〜53cmほどです。三角形の小さな立ち耳と巻き尾、差し尾が特徴的です。胸板が厚く筋肉質でがっちりとしているのも北海道犬のポイントといえます。
地犬(じいぬ)とは
和犬のように日本の特定地域にのみ生息する犬を「地犬(じいぬ)」と言い、かつては日本各地に地犬が存在していました。
長野県の「川上犬」、沖縄県の「琉球犬」はそれぞれの県で天然記念物に指定されています。他にも「薩摩犬(鹿児島県)」「十石犬(群馬県・長野県)」「美濃柴犬(岐阜県)」「山陰柴犬(鳥取県、島根県)」「肥後狼犬(熊本県)」などの犬種は、各土地において保存や固定化の活動が行われています。
それ以外にも絶滅寸前の「岩手犬(岩手県)」「三河犬(愛知県)」や、既に絶滅してしまったとみられる地犬が数多く存在しました。
地犬名 | 地域 |
---|---|
川上犬 (かわかみいぬ) | 長野県 |
琉球犬 (りゅうきゅういぬ) | 沖縄県 |
薩摩犬 (さつまいぬ) | 鹿児島県 |
十石犬 (じっこくい) | 群馬県 長野県 |
美濃柴犬 (みのしばいぬ) | 岐阜県 |
山陰柴犬 (さんいんしばいぬ) | 鳥取県 島根県 |
肥後狼犬 (ひごろういぬ) | 熊本県 |
岩手犬 (いわていぬ) | 岩手県 |
三河犬 (みかわいぬ) | 愛知県 |
日本原産の犬種とは
犬種名 | 大きさ |
---|---|
狆 (ちん) | 小型犬 |
土佐犬・土佐闘犬 (とさいぬ・とさとうけん) | 大型犬 |
日本テリア | 小型犬 |
日本スピッツ | 中型犬 |
アメリカンアキタ (グレートジャパニーズドッグ) | 大型犬 |
上記が和犬6犬種以外の日本原産の5つの犬種です。これらの犬種は外来の犬種を日本で交配して作られました。土佐犬の血統にはブルドックやグレートデン、マスティフなどの洋犬種が混じっています。
まとめ
和犬の共通する性格として、信頼の置けるただ一人の主人へ忠実で深い愛情を持つ姿は、まさに「一代一主の犬」ですね。
残念ながら既に絶滅してしまった犬種も数多くいます。各土地で土着犬の保存活動も行われているそうなので、興味のある方は自身の出身地の土着犬につい調べてみてはいかがでしょうか。