薩摩犬ってどんな犬?
薩摩犬は現在の鹿児島県が原産の犬で、古くから薩摩ではイノシシ猟の猟犬として活躍していました。泳ぎが上手なため、猟犬として重宝されたそうです。
薩摩犬のルーツは鹿児島県の甑島列島原産の犬種、甑山犬が先祖と言われています。なお、薩摩犬の正式な読み方は「さつまいぬ」です。「さつまけん」ではないので注意しましょう。
西郷隆盛も愛した「薩摩犬」
薩摩の維新志士である西郷隆盛が愛した犬としても知られており、西郷隆盛を題材にしたNHKの大河ドラマ「西郷どん」では、愛犬「つん」として登場しています。
つん以外にも西郷隆盛は薩摩犬を複数頭飼っていたと言われ、上野公園にある有名な像の側にもしっかりと薩摩犬の姿が確認できます。
ちなみに西郷隆盛はなかなか立派な体型をしている西郷隆盛、健康のために(ダイエット)愛犬を連れて歩いていたんだそう。
というのも、倒幕の先頭で戦っていたころはスリムだった西郷の体型は、明治維新が達成されるとすっかり肥満体型に。お酒は飲めなかったそうですが、食欲は相当だったようで、みるみる間にでっぷり、40歳代半ばの頃には歩くだけで息切れをするほどになったそうです。
ついにはドクターストップがかかり、食生活の改善と運動を医師からアドバイスされてしまいます。そこで西郷は、山登りや兎狩りを趣味にして、薩摩犬のメス犬「ツン」を連れ歩くようになったといいます。
ただ、上野公園の銅像はつんではなく、別の薩摩犬だったそうです。そもそも、上野公園の銅像は写真嫌いだった西郷隆盛の姿を想像して作られたものらしく、西郷隆盛はあんな顔をしていなかった!なんて話もあります。歴史とは曖昧なものですね。
薩摩犬が絶滅した理由
薩摩犬を今飼いたいと思っている方も多いでしょうが、残念ながら純粋な薩摩犬は現在では絶滅したと考えられています。
理由としては野性に近い犬種であった為に気性が荒く、扱いが難しかったという点と、明治期以降、西洋から犬が輸入されるようになったことで交雑が続き、純粋な日本犬は少なくなっていったというのが理由です。
1920年ごろには絶滅したと言われていましたが、純血種の血統を濃く残した犬が生き延びていることが分かり、1989年から交配を重ねて血統の安定を図ってきました。1994年に、4代目7匹に血統書が発行されています。
しかし、あくまで血統が近い犬ということで、他の犬との交雑が進み、本来の純血の薩摩犬の復活は難しいとされています。
2000年頃には、100匹近くまで増えたとされる薩摩犬の復活劇ですが、繁殖活動は続かず、残念ながら10年ほどで再び姿を消してしまったということです。このような経緯により、純粋な薩摩犬は消えてしまったということです。
薩摩犬保存会とは?
薩摩犬の血統をなんとか守ろうと、かつては薩摩犬保存会という団体が設立され薩摩犬の血を色こく受け継いでいる個体を選別し交配させなんとか薩摩犬を復活させようとする働きがありました。
この活動により、2000年頃には数を増やして行きましたが、薩摩犬の子犬を育てるブリーダーが少なかった事もあり、保存会は途中で頓挫してしまい2010年に再び絶滅してしまったと言います。
現在でも保存会の活動は行われていない状態であるのと同時に、薩摩犬の血統を色濃く受け継いでいる個体がなかなかいない為、事実上絶滅したと考えられています。
薩摩犬の値段は当時いくらぐらいだったの?
薩摩犬保存会が繁殖していた当時は、子犬の販売は行わず譲渡のみで行っていたそうです。そのため値段や価格の相場自体が無く、金額的な価値をはかる事はできませんが、とても希少な犬種であった事は変わりないでしょう。
薩摩犬の性格
性格
- 獰猛
- 従順
- 穏和
- 利口
- 俊敏性がある
オオカミに近い血統であった薩摩犬はやはり獰猛な一面があったようです、猟犬としてイノシシやうさぎなどを追っていた為闘争心も強い野性的な犬種だったと考えられます。
しかし、とても利口で穏和な一面もあり、むやみやたらに吠えるようなことはなかったと言います。さらに日本に古くから生息している犬種であるためか、飼い主に大変従順で、主人と認めた相手にはとことん尽くす性格だったようです。
人間のために尽くしたいという思いが強いという面が、西郷隆盛が愛したポイントでもあったのかもしれませんね。俊敏性もあり、狩が大変得意な犬種で泳ぎも得意だったと言われています。
薩摩犬の特徴
大きさ(体重/体高)
- 体重:10Kg前後
- 体高:40cm前後
現在は薩摩犬が絶滅しているため、あくまでも過去の記録によるものではありますが、薩摩犬の大きさは柴犬と同じくらいだったと言われています。柴犬の平均体高は40cm前後、体重は10Kg前後であるため、想像しているよりも小ぶりな犬種だったと思われます。
場合によってはさらに小さかったと言われていますので、サイズは小型〜中型犬くらいだったのかもしれませんね。獰猛な犬種というイメージがあった方からすれば、薩摩犬のこの大きさは意外だったのではないでしょうか?
被毛(毛色/毛質)
記録によると薩摩犬の体毛は赤、または黒地に茶色が混ざった黒毛胡麻といわれる毛色だったそうです。さらに特徴としては子犬の時代から成犬になるまでの間で被毛の色が若干変化していったそうです。子犬は茶色ですが成長するにつれて少し黒い褐色になっていったのだとか。
体の特徴
薩摩犬の最大の特徴は、差し尾と呼ばれるまっすぐに伸びた尻尾です。ピンと立った耳と真っ黒で澄んだ瞳がとても魅力的だったと記録にはあります。狩猟犬であるがゆえに、大変バランスのとれた素晴らしい肉体を持ち、筋肉質な体をしていたと予想されます。
まとめ
大河ドラマの影響で再び注目を集めている薩摩犬。最近では西郷隆盛の愛犬つんのグッズやぬいぐるみ、また薩摩犬をモチーフとしたキャラクター「つんつん」も人気なようです。
現在は絶滅して血統が絶えている薩摩犬ですが、もし薩摩犬の血を色濃く受け継いだ個体が現れたら、ブームにあやかって再び薩摩犬の保存活動が始動するかもしれませんね。
その時は、前回のようなことがないようにぜひ保存活動が継続され国の天然記念物に指定されればいいですね。
ユーザーのコメント
女性 HONU
30代 女性 りん
40代 女性 サンデー
学生の頃の歴史の先生、こういうこと教えてくれれば歴史が好きになったかもしれないのに。犬が好きな西郷さん、ダイエット目的で犬と散歩を始めたら犬好きになっちゃって、戦にまで犬を連れて行ったんだって。
犬好きの歴史上の偉人、まだまだいそうですよね。犬と人間って本当に不思議な仲だなぁと思います。
40代 女性 空&花
女性 ドン
いろんなエピソードが西郷さんには残っていたんですね。大男だったとか、大食漢だったとか、そんなことしか知らなかったので、この犬とのエピソードはとても興味深かったです。
女性 あんみつ