チベタンテリアはチベット原産の牧羊犬
チベタンテリアは2000年以上前から続く古い犬種で、「遊牧民が牧羊犬として飼育されていた犬を寺院に寄贈した」という説と、「寺院で飼われていた神聖な犬を遊牧民に寄贈した」という2つの説があるそうです。
寺院では神の使いとして大切にされ、異種交配を禁じるなど、厳重に管理されていたことから、この犬種の純血性が保たれてきたそうです。
チベタンテリアの性格
性格
- 陽気で優しい
- 忠誠心が強い
- やや頑固
- 賢い
- 甘えん坊
チベタンテリアは、名前に「テリア」と付いてはいるもののテリア種ではなく、テリアのように興奮しやすい性質や気が強いといったことはありません。陽気で忠実な性格は信頼できるパートナーとして理想的な犬種です。
陽気で優しい
チベタンテリアは寺院や遊牧民から大切に育てられてきたこともあり、大変気立てが良いと言われています。人が好きで愛嬌があり気持ちを表現することが上手です。生き生きとしていて外交的で、飼い主が心を許している人であることを判断すると、その人にもすぐになつきます。
忠誠心が強い
チベタンテリアは牧羊犬として活躍していたこともあり、飼い主に忠実な犬です。忠誠心が強く飼い主を喜ばせることが好きなので、命令をうまくこなせたときには思い切り褒めてあげるなど、幼少期から信頼関係をしっかりと築いていくことが大切です。
やや頑固
チベタンテリアは大切に育てられ保護され保護されてきた犬種のため、頑固な一面もあります。そんな部分は飼い主がうまくコントロールして生かしてあげましょう。頑固ということは、意志が強く頑張る性格とも言えます。
賢い
チベタンテリアは牧羊犬として大変有能であった犬なのでとても賢いです。周囲の状況を注意深く観察し、行動するため理解力があると言われています。警戒心が強く、番犬にも向いていますが、攻撃性は低いので人や犬に喧嘩を仕掛けていくことはないそうです。
甘えん坊
チベタンテリアは気持ちを表現するのが上手で、家族に深い愛情を持っています。その犬の性格にもよりますが、感受性の強い面があるので厳しく叱りすぎると落ち込んでしまうこともあります。失敗しても根気強くたくさん褒めてあげることでしつけもうまくいくようです。
チベタンテリアの特徴
大きさ/体重
体の大きさ
- オス:大きさ:36cm~41cm・体重:8kg~14kg
- メス:大きさ:34cm~39cm・体重:7kg~13kg
- 分類:中型犬
チベタンテリアは中型犬に分類され、大きさは大体柴犬と同じくらいです。標高5000m近いチベットの高原を、羊やヤクを追って走り回っていたので運動も得意で活発です。
体の特徴
顔周りは長い被毛に覆われており、四角くでコンパクトで丈夫な体つきと、耳と尻尾の飾り毛が優雅な雰囲気でチベタンテリアの特徴でもあります。丸くて大きい足は雪道やあれた地面でも歩きやすい「かんじき」のような形をしています。
チベタンテリアの価格
価格
- 12万円から25万円
チベタンテリアの子犬価格の相場は<b>12万円から25万円です。日本での飼育頭数は少ないので、販売価格が高くなる傾向があります。そのため、チベタンテリアのブリーダーは少ないですが、専門犬舎が数件あります。取り寄せにかかる期間や仲介業者がどれだけ入ったかで値段は変わるので時価となる事もあります。
チベタンテリアの寿命
寿命
- 12歳から15歳
チベタンテリアの平均的な寿命は、12歳から15歳と言われています。中型犬では平均的な寿命ですが、進行性網膜萎縮や膝蓋骨脱臼、股関節整形不全などの遺伝疾患の多い犬なので、親犬の遺伝子検査を事前に行うことで遺伝疾患のリスクを下げることができます。
チベタンテリアの被毛
被毛
- ホワイト
- クリーム
- ゴールデン
- スモーク
- 、グレー
- 、ブラック
- パーティーカラー
- トライカラー
被毛
画像からわかるようにチベタンテリアの被毛は、顔まで覆うふさふさとした美しい被毛が特徴です。
ダブルコートの長毛種で、直毛またはややウェーブがかかったトップコートと羊毛のように柔らかいアンダーコートはチベットの厳しい寒さにも耐えられる構造になっています。トップコートは放置すると伸び続けるので、定期的なトリミングが必要です。
毛色はホワイト、クリーム、ゴールデン、スモーク、グレー、ブラック、パーティーカラー、トライカラーなどがあり、多くの毛色のバリエーションがあります。
抜け毛は多い?少ない?
チベタンテリアは、春と秋の年2回の換毛期には抜け毛がかなり多いです。この時期には毛玉もできやすいので、普段以上にこまめに被毛の手入れをしてあげましょう。
下毛が多いため、週2回を目安に定期的なブラッシングをして、抜け毛を取り除くことが大切です。特に梅雨時は湿気による皮膚トラブルを避けるためにも、注意深くブラッシングして抜け毛を取り除いてあげましょう。
チベタンテリアのカットスタイル
スタンダードカット
チベタンテリアらしく顔回りをすっきり短くして、頭のトップを長く残したスタイルです。目にかからないように鼻横の毛を長く残し、口周りを短めにカットすると汚れ防止にもなります。スタンダードカットでも、 口周りやトップの長さで雰囲気を変えることができます。
ふんわりカット
チベタンテリアでもワイヤーコートの犬は、耳周りを少し長めに残すとウェーブな毛になります。それを生かし、顔回りも短く丸く、女の子らしくカットするスタイルです。
眉毛や鼻筋周りを短めにするととてもかわいい印象になります。また胴回りをすっきりとカットして、足の毛を長めに残すと優雅な雰囲気でさらにかわいいですね。
サマーカット
チベタンテリアのような元気な犬にぴったりのショートカットスタイルです。チベタンテリアらしさはちょっとなくなりますが、手入れもしやすく元気に走り回れそうです。耳と鼻周りを長めに残して、チベタンテリアっぽさを残します。
チベタンテリアを迎え入れる
ペットショップ
価格の項目でも述べましたが、チベタンテリアは日本での繁殖数が少ないので、ペットショップに店頭販売されていない子犬を探すサービスを依頼したり、輸入代行業者もあるので、そういった業者に委託してチベタンテリアを購入することもできます。ただし、犬を見て選べないので注意が必要です。
ブリーダー
ごく少数ですが、日本国内でも熱心なチベタンテリアのブリーダがいます。チベタンテリアの購入を決めたら早めに連絡を取り、犬舎や親犬を見せてもらい、購入後の飼育相談にも乗ってもらえるかどうかを確認しておきましょう。遺伝的疾患も多い犬種なので、親犬の情報を開示するブリーダーは良いブリーダーと言えます。
里親
チベタンテリアは希少な犬種なので里親制度に乗ってくることは難しいと思われますが、タイミングが合えば出会える可能性もあります。個人のSNSやブログなどで里親募集することもあるのでチェックするのもよいですね。ただし、応募する際には里子に出される事になった経緯や飼育状況なども確認することが大切です。
チベタンテリアの飼い方
準備する環境
チベタンテリアは被毛も厚く抜け毛が多いので、掃除しやすい家具の配置を工夫しておくとよいでしょう。元々牧羊犬なので運動や遊びが大好きで活発なため、走り回れる庭やドッグランなどが近くにあるといいですね。
被毛を美しく維持するためにもブラッシングは欠かせないので、最初に揃える犬用品として、長毛種用のブラシ、またはコームを用意しておきましょう。
運動
チベタンテリアは前述したように運動量が多いので、ストレス解消とエネルギー発散のためにも1日2回、30分程度の散歩が必要です。
知的好奇心が高く賢い犬なので、アジリティも挑戦してみるとよいかもしれません。一日中室内だけで過ごすのは問題行動の原因となるので、なるべく戸外に出て充分な運動量を確保してあげましょう。
食事
チベタンテリアは太りやすいので、食事の量には気をつけましょう。また、遺伝的に膝が脱臼しやすいので、食事と運動のバランスに注意して、肥満が原因の病気にならないよう気をつけましょう。
皮膚や被毛を美しく保つためにチベタンテリアに必要な栄養素を考慮した餌をあげたいですね。病院と相談して栄養管理するのも病気の予防になるでしょう。
お手入れ
チベタンテリアの優雅で美しい被毛を保つためにも、週に2回はブラッシングしましょう。トリミングも定期的に必要で、特に目の周りは毛が入って結膜炎などにならないように短くカットします。たれ耳なので、定期的な耳掃除も忘れずにしてあげましょう。
チベタンテリアのしつけ
チベタンテリアは賢く、しつけは比較的簡単と言われています。好奇心の強さを生かして、犬用品を使ったゲームや遊びを取り入れたしつけがおすすめです。飼い主の喜びを自分の喜びと感じるところがあるので、うまくできたら大げさにほめるなど、チベタンテリアの性格を理解して楽しくしつけをしましょう。
どの犬のしつけにも言えますが、人間がリーダーシップを取ることが大切で、この信頼関係を崩さないようにしましょう。
チベタンテリアがかかりやすい病気
進行性網膜萎縮症
チベタンテリアがかかりやすい進行性網膜委縮症は、目の網膜が徐々に萎縮して、だんだん目が見えなくなっていく病気です。目がキラキラして見えるので、一見きれいですが症状が進むと網膜が剥がれ、失明してしまいます。
現在確かな治療法はなく、痛みを伴わずに少しずつ目が見えなくり、犬も次第に対応していくので飼い主が気づかないこともあります。あまり生活に不便はないようですが、飼い主が心身ともにケアしてあげることが大切です。
セロイドリポフスチン症(CL症)
セロイドリポフスチン症は、CL症とも呼ればるチベタンテリアに多い遺伝性疾患です。脳内の老廃物を除去する酵素が欠損していることが原因となり、中枢神経に老廃物が蓄積し続けることで中枢神経障害をおこします。
1歳頃の発症が多く、徐々に脳細胞がダメージを受け、3歳頃までには亡くなってしまいます。治療法はなく、遺伝子検査で選択的な繁殖を行うことで予防するしかありません。
膝蓋骨脱臼
チベタンテリアに多い膝蓋骨脱臼は膝のお皿、膝蓋骨(しつがいこつ)が正常な位置から脱臼してしまう病気です。チベタンテリアの場合は遺伝的要因が多いですが、外傷や骨の異常、また栄養障害で起こる場合もあります。無症状な状態から歩行困難まで程度によって症状の幅が広いです。
最初は、脱臼しても指で押せばすぐに戻りますが、根本的な治療には外科手術が必要となります。スキップをするような歩き方や足を引きずっているなど、普段と違う様子が見られた時は、早めに獣医師を受診しましょう。
チベタンテリアの歴史
紀元前から存在する古い犬種です。チベット国内では「幸福をもたらす犬、神聖な犬」と言う意味のドーキアプソと呼ばれ、チベタンテリアを「神の使い」として、人に贈ることは幸せを分け与えることと考えられていました。
長い間門外不出の犬とされていましたが、1920年にチベットとインドの国境近くで働いていたイギリス人医師が、治療のお礼にと送られたチベタンテリアを大変気に入り、オスメス譲受け、イギリスで繁殖を続けたことで、この犬が世界中に知られるきっかけとなりました。
まとめ
チベタンテリアは美しく気品のある見た目と賢く忠実で愛情深い性格を持ち、家庭犬としてとても飼いやすい犬種と言えますね。
日本では希少な犬ですが、チベタンテリアを家族に迎える際には充分な運動と栄養バランスの取れた食事に気をつけましょう。「幸運をもたらす犬」との信頼関係がしっかりできれば、素晴らしいパートナーになってくれることでしょう。