犬の虫歯や歯の病気
私たち人間からしてみると、「虫歯」や「歯の病気」というと、症状として表に現れるまではなんとなく軽視してしまいがちです。
急いで歯医者に行かなくても痛くないからOK!という具合に、頻繁に病院に検査に行く人は多くないかもしれません。(本来は私たち人間も、定期的に通院するべきですがその話は一旦置いておきます)
しかし、犬の場合は、そうもいきません。
一旦虫歯や歯の病気になった犬は、飼い主さんが思っている以上に辛い思いをしています。
そして、場合によっては歯の病気から全身疾患を招き、重病を患ってしまうこともあるのです。
「たかが虫歯」とあなどらずに、正しい知識と予防で、愛犬を虫歯や歯の病気から守りましょう。
犬の虫歯や歯の病気のチェックポイント
愛犬が虫歯や歯の病気になっていないか、簡易チェックをしてみましょう。下に挙げた項目の中で当てはまるものがあれば、何かしらの歯の病気になっている可能性があります。
口の中
●歯茎が腫れたり、出血している
→歯周病、口腔内腫瘍、虫歯などの疑いがある。
●ひどい口臭がする
→歯周病、口腔内腫瘍、虫歯の疑いがある。
●7ヶ月を過ぎても乳歯が残っている
→乳歯残存の疑いがある。
●歯が黄色い、または茶色い
→歯周病の疑いがある。
●歯が折れたり、欠けて見える
→歯の破折、咬耗、エナメル質形成不全の疑いがある。
●歯垢や歯石がついている
→虫歯や歯周病の疑いがある。
しぐさ
- 前足で口をよくぬぐう
- 顔を触られるのを嫌がるようになった
- 攻撃的になった
→虫歯やあらゆる歯や歯茎などの病気の疑いがある。
目の周り
- 頬や目の下が腫れている
- 目の下に傷がある
→歯周病、歯の破折、口腔内腫瘍、歯根膿瘍の疑いがある。
食べ方
- 顔を傾けて食べるようになった
- フードや水をよくこぼすようになった
- フードを前にしても食べない
- 食事中に奇声を発する
- 片方の歯だけで噛んでいる
- 以前より食事に時間がかかる
→虫歯やあらゆる歯や歯茎などの病気の疑いがある。
犬がなりやすい虫歯と歯の病気
とくに犬がなりやすい歯の病気と虫歯について紹介します。きちんと知って早期発見につなげましょう。
歯周病
犬がもっともなりやすい歯の病気です。
歯と歯茎の隙間に、歯垢や歯石がたまり、歯茎や骨が炎症を起こす病気です。ほうっておくと、歯を支えている顎の骨が溶けて歯がぐらついたり、抜けてしまうこともあります。重症化すると、全身に細菌が回って他の臓器に疾患が見られるのケースもあります。
一番の予防法は歯磨きです。デンタルガムなどのデンタルグッズも併用するとよいです。
歯の破折
固いものを噛んだことなどが原因で、歯が折れてしまった状態です。犬の歯の場合、歯の先が少し欠けただけにみえても、神経が露出していて、そこに細菌が入って炎症することもあるので、注意が必要です。プラスチックなどのおもちゃや、ひづめ、骨などの固いものを与えると、歯が折れる恐れがあります。
噛むのが好きなこには、特に固いものは与えないようにしましょう。もっとも多いのがひづめで破折になるケースです。どんな犬にも与えないようにしましょう。
口腔内腫瘍
歯茎や舌、頬の裏などに腫瘍ができる病気です。良性のものもありますが、悪性のものもあります。悪性の場合、進行が早いので、気づいたときには他の部位に転移していることもあり、早期発見が重要です。残念ながら、原因がはっきりしていないので、確実な予防方法はありません。栄養バランスのよい食事やストレス予防で病気になりにくい体作りが重要です。また、普段から犬の口の中に出来物がないか観察して、早期発見につなげましょう。
虫歯
人と違って犬はなりにくいですが、まれになる犬もいます。歯垢の中の細菌により酸が作られて、その酸によって歯を溶かすことが原因で、初期は目立った症状は見られません。
ですが、進行すると、歯が茶色や黒色に変色したり、歯髄が見えるなどの症状が出てきます。虫歯の予防には、歯磨きが一番有効です。歯の歯垢を残さないことが重要です。また、糖質の多いおやつや、人の食べ物を与えすぎないことも大切です。
咬耗
咬耗は、歯の破折と違って時間をかけて徐々になっていくものです。固いおもちゃやロープ、ケージの枠などを長時間噛み続けることで、歯がすり減っていきます。ひどい場合は、すり減りすぎて、歯髄が露出してしまうこともあります。
歯髄が露出していないなら、歯の治療の必要はありませんが、歯髄が露出していたり、細菌が入って炎症が起きるなど重症化している場合は、状態により歯のなかに詰め物をするか、抜歯をしなければならなくなってしまいます。
引っ張りっこなどで遊ぶとき以外にも、ひとりで何かを噛んでいることが好きな犬は、長時間噛み続けないようにすることが大切です。ボールやロープなどを与えっぱなしにするのはやめましょう。ロープの引っ張りっこ遊びが好きな犬は多いですが、飼い主さんのもと時間を決めて行っていきましょう。
愛犬を虫歯や歯の病気から守るために
まずは歯を触れられることに慣らそう
いきなり歯磨きをすると、犬は歯磨き嫌いになります。まずは歯を触れられることに少しずつ慣らしていきましょう。
①口まわりを軽く触って、おやつを与える
愛犬なおやつを見せて待たせたままで、逆の手で1~2秒口まわりを軽くつまみます。おとなしいままだったらおやつを与えましょう。
②慣れてきたら歯にタッチする
①に慣れてきたら、犬の背後から両手で上唇を軽くめくり、指のはらで1~2秒、軽くタッチしましょう。
③ガーゼ歯磨きにトライ
用意するものは、おやつ、ペット用歯磨きガーゼ、ペット用歯磨きペーストです。ガーゼに歯磨きペーストをつけ、唇の端から口の中にスライドさせて入れ、2~3秒触れることを繰り返します。慣れてきたら、上から鼻先をつかみつつ上唇を軽くめくり、ガーゼを巻いた指でのぞいた歯を2~3秒軽くこすります。
①②③のポイントは、おやつをあげながら行うこと、嫌がったらすぐにやめて無理に続けないことです。
慣れてきたら歯ブラシでの歯磨きをしましょう
歯垢は3~5日で歯石になるので、3日以内に全部の歯を磨けば大丈夫です。毎日少しずつ行いましょう。
①口を閉じたまま、歯ブラシを入れる
用意するものは、おやつ、ペット用歯磨きペースト、歯ブラシです。犬の口を軽く押さえたまま、ペーストをつけた歯ブラシを唇の端から、滑り入れるようにして入れます。
②上唇をめくり、2~3秒奥歯をみがく
犬が大丈夫なら、上顎を押さえている方の指で上唇をめくり、奥歯を2~3秒、歯の根元から軽くみがきます。
③上顎の前歯もみがく
嫌がらなければ、前の方の上唇をめくり、犬歯や前歯を歯ブラシでみがきます。歯の根元の歯周ポケットから汚れをかき出すようにみがきます。
④上の歯の裏側もみがく
上顎をつかんだ手を持ち上げて、歯ブラシの手で下顎を押さえて、口を開いたまま固定します。上の歯の裏側もみがきます。
⑤下の歯の裏側もみがく
上顎を持ち上げたまま、下の歯の裏側もみがきます。奥のほうの歯も、みがき残さないようにしましょう。
①②③④⑤のポイントは、3日以内にすべての歯をみがくことを目安にすること、おやつを与えながら行うことです。
まとめ
歯磨きをすることが、虫歯や多くの歯の病気から愛犬を守ります。飼い主さんも苦手に感じがちな歯磨きですが、歯磨きをすることで、犬が後天的になりやすい虫歯や多くの歯の病気を予防できます。
諦めず、根気強く慣れさせていきましょう。
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犬の病気大辞典!知っておきたい基礎知識
ユーザーのコメント
30代 女性 TIKI
でも、最近歯の色が茶色く着色してきているので、歯周病など大事に至らぬよう出来るだけ歯磨きを習慣化しなければと思っています。本来はパピーから当たり前に慣らすことが必要なのだと思います。
30代 女性 Chappy
寝ながらゴローンと仰向けになって、リラックスしている時なら、少し歯を確認できる時があるのですが、やはり体勢がきちんと起きている時にやったほうがいいんでしょうね。
チェックリストを確認して、きちんと愛犬の歯のケアをしてあげなくちゃですね!
20代 女性 すず
幸い今のところ虫歯はなく、病院でも歯を見ていただきましたが先生がみても問題はないとのことだったので予防を心がけています。
犬用の歯磨き液をわんちゃんの歯を磨く指にはめるタイプのやわらかいブラシで愛犬の歯を磨いています。あと、ご飯のあとに歯磨き効果のあるボーン(おやつ)を与えています。歯垢もついていません。
女性 emi
我が家の愛犬も歯磨きをしたり、何度か病院で歯石除去も行っておりましたが、
歯周病になってしまって膿がたまり、目の下の皮膚が切れてしまいました。
目の下の皮膚から膿が出てきた時にはとても驚きました。
人間と同じように、犬によっても歯石のつきやすさには個体差があり、
どんなに歯磨きをしていても、歯石がたまり歯周病になってしまう事があると
病院の先生がおっしゃっていました。
うちの子の様に目の下の皮膚が切れて膿が出る子もいますが、
そうではなく、鼻の穴から鼻水のように膿が出る子もいる様です。
その場合は、膿が喉や鼻を通るので、くしゃみや咳をし、鼻水が黄色く色がつくそうです。
歯茎が傷ついていることに気が付かずに歯磨きをすると、かえって傷つけて
細菌が入ってしまうことがあるので、気を付けてあげたいですね!
30代 女性 あー
30代 男性 さとう
心がけてはいるのですが、3,4日に1度のペースとなってしまっています。
以前愛犬が4歳のときにはじめて無麻酔での歯石除去というものをやったのですが、どうやらそれがうちの犬には良くなかったようです。
施術をしてもらった際には、確かに歯がピカピカに白くなたのですが、その後急に歯石がつきやすくなったように感じています。動物病院で獣医さんに相談したところ、その獣医さんの立場では無麻酔での歯石除去は奨励されていないとのことでした。
それ以来歯磨きを心がけているのですが、奥歯などは歯ブラシに血がついてくることも。おそらく歯石が付いてしまっている部分が歯肉炎を起こしているんだと思います。獣医さんはこの程度なら年齢的にも問題ないとはいうのですが…。
30代 女性 nico
50代以上 女性 匿名
歯石かなぁと思いつつ歯石とりの歯みがきをしても中々とれず「バイオフィルム」らしきネットリとした唾液も改善出来なかった時は、鼻水が増えて鼻をフガフガとならしながら寝ていました。歯みがきをすると少しピンク色になりましたが数回すると何もついてはこなくなりました。
そのうち気が付くと歯茎まで黒いシミが現れてきました。老化のかと思いましたが何だか違うようで心配してたとき「塩素水」で虫歯菌が殺菌出来ると歯科のHPで見かけて私が試したところ何となく良いし副作用らしきものも無かったので愛犬に試したところ黒いシミの塊がポロッと取れて鼻水や頭の熱も無くなり症状が改善されました。
ハミガミグッズを遥かに上回る効果にビックリしています。犬の虫歯治療が抜歯くらいしかないのに今更ながら驚き愛犬に申し訳ない気持ちでいっぱいです。これからは虫歯菌も歯周病菌も増えないよう気を付けていきたいです。
20代 女性 ロコン
虫歯じゃなくても歯周病なども大きな問題だし、きちんと歯磨きはしないとだめだなと感じました。最近さぼりがちだったので気を引き締めて毎日やろうと思います(^^)/
女性 ゴン吉
今はデンタルガムやアキレスなどの繊維質でどうにか歯みがきに慣れさせています。硬めのデンタルガムで歯石が剥がれたので効果はありました。
病気予防のためにもいずれはちゃんとした歯みがきペーストなども使ってケアしていきたいと思います。
20代 女性 えみ
50代以上 女性 トモちゃん
13歳になるミニチュアダックスですが、5日前に虫歯で目の下が腫れ上がって病院に行きました。
抗生物質を頂き飲ませていたのですが、1日2回の薬を間違えて1日1回しか飲ませていませんでした。
今朝起きたら、膿が破裂するかのようになっています。
掛かり付けの病院はお休みでした。明日まで待っても大丈夫なのでしょうか?
可哀想で!怖くて!直ぐにでも診て頂きたいのですが、掛かり付けの病院以外に行くのも…明日まで待っても大丈夫なら掛かり付けの病院に行きたいのですが…
どなたかアドバイスお願いしますm(_ _)m
20代 女性 ゆず
でも、放っておくと歯のトラブルになりかねないので病院で取ってもらおうかな〜と最近考えていたところです。麻酔にはあまり良い印象はないのですが、愛犬の安全のためにもやっぱり全身麻酔して歯石取りをやった方が良いかなと考えています。