【獣医師監修】犬は鮭を食べても大丈夫!安全な与え方と適量、生・塩鮭・骨の注意点を解説

【獣医師監修】犬は鮭を食べても大丈夫!安全な与え方と適量、生・塩鮭・骨の注意点を解説

犬に鮭(サーモン)を与えても大丈夫!ただし生食や人間用の塩鮭はNGです。安全に与えるための加熱方法や骨の取り方、体重別の適量について詳しく解説。皮膚や被毛に嬉しい栄養効果や、アレルギー・膵炎などの注意点もまとめた、愛犬家のための完全ガイドです。

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記事の監修

麻布大学獣医学部獣医学科卒業後、神奈川県内の動物病院にて勤務。獣医師の電話相談窓口やペットショップの巡回を経て、横浜市に自身の動物病院を開院。開院後、ASC永田の皮膚科塾を修了。皮膚科や小児科、産科分野に興味があり、日々の診療で力を入れさせていただいています。

犬に鮭(サーモン)を与えても大丈夫!

食器の前に伏せて鼻先を舌で舐めている犬

犬は鮭を食べても問題ありません。鮭は栄養価が高く、愛犬の健康をサポートする食品としてドッグフードにも使用されています。ただし、安全に鮭を食べさせるためには、必ず守るべきルールがあります。

まず、人間向けに加工された塩鮭や鮭フレークなどは、犬にとって塩分や添加物が過剰なため与えてはいけません。

また、寄生虫や細菌感染のリスクがあるため、生鮭や刺身のまま与えるのも避ける必要があります。必ず無塩の鮭を選び、しっかりと加熱調理したものを与えましょう。

鮭を与える際は、小骨まで丁寧に取り除き、喉や胃腸を傷つけないよう細かくほぐしてください。脂肪分が多い部位は適量を超えないように注意が必要です。

あくまでも鮭は主食ではなく、ドッグフードのトッピングやおやつの一部として楽しませるように心がけてください。

初めて鮭を与える場合や、愛犬に持病がある場合は、念のため獣医師に相談してから与えることをおすすめします。適切な与え方を守ることで、鮭は愛犬の食生活を健康的に豊かにしてくれる食材になります。

鮭(サーモン)に含まれる栄養素と犬への影響

ざるの上に並べられた鮭の切り身

鮭には犬の健康維持や皮膚・被毛のケアを助ける栄養素が豊富に含まれています。特に、肉類が苦手な犬や、シニア犬の栄養補給にも適した食材として知られています。

ここでは鮭の代表的な栄養素が愛犬の体にどのような影響を与えるのか、詳しく紹介します。

動物性タンパク質

鮭に含まれる良質な動物性タンパク質は、犬の筋肉や皮膚、臓器の健康を支える重要な栄養素です。

肉類にアレルギーを持つ犬にとって、魚由来のタンパク質は代替の栄養源として活用できます。また、運動量が多い犬や、加齢によって筋肉量が減ってきたシニア犬にも適しています。

EPA・DHA(オメガ3脂肪酸)

鮭にはEPA(エイコサペンタエン酸)やDHA(ドコサヘキサエン酸)などのオメガ3脂肪酸が豊富に含まれています。これらは犬の体内でほとんど合成できないため、食事で摂取することが大切です。

EPAやDHAは皮膚のバリア機能を助け、被毛を健康的に保ちます。また、関節の健康維持や、血液の流れをスムーズに保つ役割も担っています。

アスタキサンチン

アスタキサンチンは鮭の赤色を生む天然の色素で、非常に強い抗酸化作用を持っています。

犬の体内の活性酸素を抑制し、免疫機能を整えることが期待できます。特に高齢犬では、細胞の老化予防や免疫力維持に役立つ栄養素です。

ビタミンD

鮭に含まれるビタミンDは、カルシウムの吸収を促し、犬の骨や歯の健康維持に役立ちます。

成長期の子犬や活動的な成犬にとって重要ですが、通常はバランスの良いドッグフードを摂取していれば不足することはありません。

過剰摂取は避ける必要があるため、あくまでも補助的な栄養源として鮭を取り入れるようにします。

こうした栄養素をバランスよく摂取するためにも、鮭は適量を守りながら日々の食事のトッピングやおやつとして取り入れるのがおすすめです。

犬に与えてもいい鮭(サーモン)の量

飼い主がグラムを測ろうとしている鮭を見つめる犬

鮭は栄養価が高く優れた食材ですが、主食ではなく「おやつ」や「トッピング」として与えるのが適切です。鮭を含めたおやつ全般は、一日の摂取カロリーの10%以内に抑えるのが望ましいとされています。

犬の体重別に、1日に与えてよい鮭の量の目安を以下の表にまとめました。

犬のサイズ(体重) 1日に与えてよい鮭の目安量(加熱済みの身)
超小型犬(〜3kg) 小さじ半分~1杯(5~10g)
小型犬(3〜10kg) 小さじ1〜2杯(10~20g)
中型犬(10〜20kg) 大さじ1~2杯(20~30g)
大型犬(20〜40kg) 大さじ2~3杯(30~50g)

上記はあくまで目安です。鮭は脂質も豊富なため、与えすぎると肥満や消化不良の原因になる可能性があります。

初めて鮭を与える場合や消化機能が衰えているシニア犬には、記載の目安より控えめな量で様子を見ながら徐々に調整してください。

また、持病があり食事制限を受けている犬の場合は、与える前に獣医師に相談しておくと安心です。

犬に与える鮭(サーモン)のおすすめの調理法

油をひかずに鮭をフライパンで焼いている様子

鮭を犬に安全に与えるには、鮮度が高く塩分が含まれていないものを選び、十分に加熱調理する必要があります。

ここでは、鮭の栄養を損なわず、かつ犬が安全に食べられるおすすめの調理法を具体的に紹介します。

茹で調理で脂を落としてヘルシーに

鮭を犬に与える際は、シンプルに茹でる方法が最適です。

沸騰したお湯に鮭の切り身を入れ、中までしっかり火を通します。茹でることで鮭の余分な脂が落ち、脂質の摂り過ぎによる胃腸への負担を軽減できます。

調理後は必ず人肌程度まで冷ましてから与えてください。

蒸すとふっくら仕上がり消化しやすい

鮭を蒸して調理する方法もおすすめです。蒸すことで鮭の栄養分を損ないにくく、身がふっくらとやわらかくなります。

特に消化機能が弱い子犬やシニア犬には、この方法が食べやすく胃腸への負担も少なくなります。蒸し上がった後は細かくほぐし、骨や皮を丁寧に取り除いてから与えましょう。

素焼きでシンプルに仕上げる

鮭を焼いて調理する場合は、油をひかずにフライパンやグリルで素焼きします。表面が焦げると犬の胃腸に負担を与えることがあるため、焦げ目がつかないよう注意が必要です。

焼いた後は身が硬くなるため、必ず細かくほぐし、少量の水やスープで柔らかくして与えると食べやすくなります。

いずれの調理法も、鮭を与える際は小骨を完全に取り除き、皮は与えないようにしましょう。犬が安全においしく食べられるように、ひと手間を惜しまないことが大切です。

犬に鮭(サーモン)を与える際の注意点

テーブル上の人間用に調味した鮭料理のそばで立つ犬

鮭は犬にとって健康的で栄養豊富な食材ですが、与える際にはいくつか気をつけるべきポイントがあります。愛犬が安全に鮭を楽しむためにも、以下の注意点を必ず守りましょう。

塩鮭や加工品は塩分が多く犬にはNG

スーパーや市販のお弁当に入っている塩鮭や鮭フレークなどの加工品は、塩v分や添加物が多すぎるため犬には危険です。犬に鮭を与えるときは、必ず無塩の生鮭を調理したものに限定してください。

生鮭は寄生虫リスクがあるので必ず加熱する

生の鮭にはアニサキスなどの寄生虫が存在する可能性があり、激しい嘔吐や下痢などの症状を引き起こすことがあります。

また一部の地域では、生鮭によって引き起こされる「サーモンポイズニング病(SPD)」という致命的な疾患も知られています。犬に与える鮭は必ず加熱調理し、寄生虫感染や中毒のリスクを回避しましょう。

骨は消化管を傷つけるので取り除く

鮭の骨は細くて硬いため、飲み込むと喉や胃腸を傷つける恐れがあります。加熱後も骨は硬いまま残ることが多いため、必ず指で細かくほぐし、小さな骨まで完全に取り除いてから与えるようにしてください。

脂の多い部位は膵炎・肥満のリスクになる

鮭は脂質が豊富な食材のため、特に脂が乗った腹身などを与え過ぎると、肥満や膵炎のリスクが高まります。

おやつやトッピングとして適量を守り、脂身の多い部分は控えるよう注意しましょう。特に、脂質代謝が苦手な犬種や消化器が弱い犬には慎重な配慮が必要です。

アレルギーや持病がある場合は慎重に

ごくまれに、鮭に対してアレルギー反応を起こす犬もいます。初めて鮭を与える際は少量から始め、食後に皮膚の赤みや痒み、嘔吐、下痢が起こらないか観察してください。

腎臓病や心臓病などで食事制限を受けている犬の場合は、鮭を与える前に必ず獣医師に相談することが重要です。

まとめ

ほぐしている最中の焼き鮭

鮭(サーモン)は犬にとって安全で栄養価が高く、タンパク質やオメガ3脂肪酸、抗酸化成分のアスタキサンチンなどを豊富に含みます。

ただし、与える際は必ず無塩の生鮭を選び、中心部までしっかりと加熱調理し、骨や皮を取り除くことが重要です。人間用に加工された塩鮭や生の鮭は犬に健康被害をもたらすため避けてください。

また、脂質が多い腹身などの部位は食べ過ぎると肥満や膵炎のリスクが高まります。初めて与える場合や持病がある場合には獣医師に相談し、少量から始めて様子を見るようにしましょう。

正しい知識を身につけ、安全な範囲で鮭を取り入れることで、愛犬の健康維持や食生活の充実につなげてください。

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