犬にカニを食べさせても大丈夫!(ただし加熱が必要)
犬にとってカニ(蟹)は、加熱調理すれば与えても問題のない食べ物です。茹でるのはもちろん、焼きガニを食べても大量でなければ問題はありません。
一日に与えても良い分量ですが、小型犬(約5kg)に、大さじ2杯程度(1杯=15g)を参考にすると良いでしょう。
生で大量に食べた場合、後述しますが「ビタミンB1(チアミン)欠乏症」が起きるリスクがあるので、絶対に加熱調理したうえで与えましょう。
また、同じ甲殻類であるエビも加熱が必要な食べ物です。犬がエビを食べても大丈夫?与え方と注意点をご紹介をチェックしてみてください。
犬にカニを与える際に加熱が必要な理由
生のカニを大量に与えてしまうと、カニに含まれる酵素、チアミナーゼが体に必要不可欠なビタミンB1を分解してしまいます。ビタミンB1が少なくなると、「ビタミンB1(チアミン)欠乏症」となってしまう可能性があります。
ではなぜ、加熱調理が必要なのかというと、ビタミンB1欠乏症を起こす原因である「チアミナーゼ」は、加熱すると変性し、その働きを失うためです。そのため、カニを与えるのでしたら茹でる、焼くなど加熱したものを与えましょう。
このビタミンB1欠乏症は、カニのみではなく生のイカ、タコ、貝類(アサリ、ハマグリ、シジミ)、他の甲殻類(エビ)、魚類などでも起きてしまうので注意してください。
ただし、ビタミンB1欠乏症を引き起こす量のチアミナーゼを摂取するには、一度に大量に、または長期間にわたって継続的に加熱不十分な魚介類を摂取する必要がありますので、少量をたまにであれば問題とはなりません。
ビタミンB1(チアミン)欠乏症の症状
チアミン欠乏症になった場合次のような症状がみられます。
- 食欲不振
- 発育障害
- 体重減少
- 嘔吐
- 歩行障害
- 視覚障害
- その他神経系の異常
特に小型犬や子犬が生のカニを大量摂取した場合には、体が小さいことから特にチアミン欠乏に陥りやすいでしょう。チアミン欠乏症を起こし治療をしないと、最悪のケースでは死亡する可能性もあります。
ただ、常識的な範囲内の量で1回だけ生のカニを食べた場合にはチアミン欠乏症を起こすほどのチアミナーゼを摂取することは考えにくいです。
しかし生のカニを犬が盗み食いで大量に食べてしまった場合、特にそれが小型犬や体の小さな子犬であった場合にはチアミン欠乏症を招く可能性もあります。いわゆる脚気はチアミン欠乏症のことです。
ビタミンB1(チアミン)欠乏症の仕組み
生のカニには、チアミナーゼという酵素が含まれています。このチアミナーゼを摂取されると、体内のビタミンB1を分解してしまい、ビタミンB1が少なくなってしまいます。
ビタミンB1はチアミンとも呼ばれ、体内での多くの化学反応において重要な役割を持つ水溶性ビタミンです。チアミンは細胞でのエネルギー生成に不可欠です。
犬はチアミンを食べ物から適量摂取する必要があります。さらに、チアミンは炭水化物の代謝にも多く用いられていますし、神経系において刺激伝達に必要な物質の合成にも関与しています。
このように多くの重要な働きを持つチアミンが不足してしまうと結果として、元気や筋力の低下、歩行障害などの様々な体の不調や症状を引き起こしてしまいます。
犬にカニを与える際の注意点
甲羅や殻付きで与えない
甲殻類ですので、カニの甲羅や脚の殻がカニの身に付いたままの場合、口腔内を怪我してしまうかもしれませんし、飲み込んだ後に、消化管内を傷つけてしまう恐れもあります。
最悪なケースでは、消化管が傷つくだけではなく消化管に穴が開いてしまう可能性も考えられます。そのような場合には、緊急開腹手術を要することになります。
大型犬でも同様です。喉に詰まらせてしまうかもしれません。カニを与える際は甲羅や殻、腱を全て取り除き十分に注意して愛犬に与えてください。
アレルギーに注意
獣医学的な報告は今のところないようですが、甲殻類アレルギーを持つ犬がいる可能性も考えられます。カニに限らず、犬の食物アレルギーでは以下のような症状が見られます。
- 下痢や軟便
- 嘔吐
- 肌をかゆがる、皮膚が赤いなど(顔、脇、お腹など)
- 口周りを痒がる、赤くなる、毛が抜ける
アレルギーの疑いが少しでもあるならば、動物病院へ相談しましょう。
犬がカニの殻や生で食べてしまった時の対処法
甲羅や殻を食べてしまった場合
甲羅や殻も全て食べてしまった場合は、消化管閉塞、消化管穿孔や食道で詰まったことによる呼吸困難などを招く可能性があります。一日様子を見て、元気がない、食欲がなくなった、嘔吐などの症状がある場合には動物病院へ行きましょう。
無理に吐かせると、食道・気管や胃に傷をつけてしまう可能性あります。医療経験のない人が吐かせる処置を行うことは控えてください。
生のカニを食べてしまった場合
生の身をたくさん食べてしまった場合、チアミン欠乏症を起こさないとしても消化不良を起こしてしまう可能性があります。食べてすぐ、遅くても2~3時間以内に吐かせるなどの処置が必要ですので、行きつけの医師に相談することをおすすめします。
カニカマは与えても大丈夫?
カニを模した食べ物カニカマは、食べられるけど、犬に与えない方が良いです。カニカマは、カニを模して加工された食品であり、基本的にカニのエキスやカニの身は入っておらず魚のすり身で作られています。ですがカニカマには、塩が多く使われているため、あまり与えることを推奨できない食べ物に分類されます。
まとめ
ついつい美味しいから愛犬にも食べて欲しいと思うカニは、愛犬にとって有害となってしまう場合があります。与える場合は少量を加熱して与えてください。
また、カニの身ではなく甲羅を誤食してしまった場合には、消化管を傷つけたり途中で詰まったりするだけではなく、食道で詰まった場合には気管を圧迫して呼吸困難を引き起こす可能性もあることを心に留めておいてください。