犬にとって煮干しは食べさせても良い食材
犬用の煮干し商品が販売されていることからも、犬にとって煮干しは与えても問題のない食べ物になります。しかし、与える際に注意する点はありますので、そちらを踏まえながら愛犬に食べさせるようにしましょう。
一日に与えても大丈夫な量
愛犬に煮干しを与える時は、小型犬でしたら1度に1~2匹程度が良いでしょう。通常、主食でドッグフードを与えている場合、1日に必要な栄養素はそのドッグフードでまかなえています。
そこに煮干しを多く与えてしまうと、栄養バランスが崩れることもあるため、積極的に煮干しを食べさせないといけない、ということはありません。しかし煮干しには、次のような栄養も含まれています。
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煮干しを与えることによるメリット
煮干しは和食では出汁を取るのに欠かせない食材でもあり、近年では日本人のカルシウム不足を改善するにも最適とされています。出汁をとった後の煮干しを料理に活用したり、オヤツやおつまみに煮干しを取り入れることも推奨されているぐらいです。
そんな煮干しに含まれる栄養素には、カルシウム、DHA(ドコサヘキサエン酸)や、EPA(エイコサペンタエン酸)などがあります。
カルシウム
カルシウムの適量摂取は、骨や歯を丈夫にするのに欠かせません。そして煮干しには、カルシウムが牛乳の約20倍含まれているといわれています。これら栄養素は人間だけではなく、犬にも嬉しいものとなっています。
また、煮干しに含まれるイノシン酸は「旨味成分」のひとつです。いつも食べさせているドッグフードの食いつきが悪くなった時に、煮干しを少量混ぜて与えるのもおすすめです。
DHA(ドコサヘキサエン酸)
DHAは、脳や神経の発達に必要な栄養素です。また皮膚や粘膜を健康に保つ働きもあります。
EPA(エイコサペンタエン酸)
EPAは、血中の中性脂肪を正常に保ち、血栓ができるのを防ぐ働きがあります。
煮干しを与える際の注意点
煮干しに含まれる栄養素がもたらす効果を考えると、できるだけ沢山愛犬に食べさせたくなるところですが、食べさせ過ぎはよくありません。これはどんな食材についても、人間についても犬についても言えることです。
塩分の取りすぎに注意する
煮干しとは、一般的にはカタクチイワシですが、他にもマイワシ、ウルメイワシ、キビナゴ、アジ、サバ、トビウオ等の小魚を塩水で茹で、乾燥させることによって作られます。
煮干しとは異なりますが、しらす干しも同様の製法で作られますので、しらすをたくさん与えることに関しては犬にとって塩分過多になるという問題点がよく挙げられます。
犬の適切な塩分摂取量は人間とも違いますが、犬でも塩分を取り過ぎることは良いことではなく、場合によっては心臓や腎臓に負担をかけると言われています。
「煮干しやしらす干しはあげないほうがいい」と言う人もいるようですが、健康な犬であればしらす干しも与えてはいけない食材ではなく、少量をトッピングしたりする分には大丈夫でしょう。
何か病気を抱えていたり心配な場合には、かかりつけの獣医さんに相談すると良いでしょう
アレルギーに注意する
犬にも食物アレルギーがあります。食物不耐症とも言って、下痢や嘔吐、皮膚のかゆみや赤みなどが出るようです。もしかしたら煮干し(青魚)にアレルギー反応をおこす犬もいるかもしれません。
初めて与える際は少量ずつ様子をみながら与え、原因不明の下痢や嘔吐、皮膚症状がある場合にはそれらの症状と煮干しを与えることに関連がないか考えてみましょう。
初めて煮干しを与えた場合には、食べた後に愛犬の様子がおかしくないか、便の状態に変わりはないか、しっかり観察しておく必要があります。
量を多く与えすぎない
ドッグフード(総合栄養食)を食餌として与えている場合、栄養バランスが崩れるから、水以外は与えない方がいいという考え方が獣医さんをはじめとした専門家の間でも強くあるようです。
犬にもカルシウムは、もちろん必要ですがタンパク質、他のミネラル、ビタミン等、様々な栄養素とのバランスが重要で、ドッグフード(総合栄養食)は、その様々な栄養素を計算された配合で含んでいます。そのため、特定の栄養素だけを多く追加する行為はたしかに避けたほうが良いでしょう。
例えば、大型犬や超大型犬の成長期の子犬にカルシウムを過剰に与えると、骨が丈夫になるどころか骨の発育に悪影響を及ぼします。しかし、病気やアレルギーを持っていて療法食を食べていたり食事制限がある場合を除いては、総合栄養食だけを食べさせて他に何も与えないのが絶対に良いということではないと思います。
しっかりとした目的を持って与える
楽しみの一つとして、食欲を増進させるために、コミュニケーションの手段として、総合栄養食以外に煮干しなど犬が好きなものを栄養バランスが崩れない範囲で与えることは、犬がより良く過ごすことにつながります。つまり大事なことは「どんな食材にしても与え過ぎない」ということですね。
そのままの大きさで与えない
犬に煮干しをそのままの大きさで与えると、あまり噛まずに丸呑みしてしまう可能性があります。丸呑みは胃腸に負担がかかり消化に悪く、下痢や嘔吐の原因になることもあります。
対策として、小さくカットしたり、一度茹でてふやかすなどで、やわらかくしてあげると良いでしょう。犬によっては、煮干しの頭は嫌いで頭をとってあげないと食べない、などという子もいるそうです
ペット用の減塩煮干しおすすめ3選
塩分を抑えながら犬に煮干しを与えたい場合には、ペット用の減塩(低塩)の商品を利用するのがおすすめです。また、煮干しを湯通しすることで塩分を減らすこともできます。人間用の物でも無塩の煮干し(いりこ)もありますので、それらを利用してもいいでしょう。
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オヤツとして与えるか、ご飯の一部として与えるのか
以上のように、煮干しをオヤツとして少量与える場合は、さほど心配することはありません。塩分の含有量が少ない商品を選び、丸呑みしないように気をつけてあげましょう。また食物アレルギーのことを考えるのであれば、皮膚の変化や下痢嘔吐などもないか観察しましょう。
手作りご飯でカルシウム不足になっているかも
ドッグフード(総合栄養食)をメインの食餌とせず、手作り食を愛犬に与えている場合、多くの日本人がカルシウム不足であるのと同様に、愛犬もカルシウム不足に陥っているケースが多いと聞いたことがあります。成犬でのカルシウムの適正摂取量は、摂取する食べ物全体の乾物重量に対して0.5%と言われています。
サプリメントで摂取するのもおすすめ
煮干し以外にも例えば、小松菜やチーズなどもカルシウムが多く含まれる食品です。十分な量のカルシウムを食餌だけで賄えない場合にはペット用のサプリメントを利用するのも一つの方法でしょう。
また、カルシウムをはじめとしたミネラルの摂取においては、リン、マグネシウム、ビタミンDなどの他の様々な栄養素とのバランスも重要です。カルシウムやリン、マグネシウムは取り過ぎると体質によっては尿結石が作られやすくなりますのであげすぎには十分注意してください。
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まとめ
我が家の愛犬は穀物アレルギーが強くあるため、朝ご飯はドッグフード半分とトッピング。晩ご飯は完全手作り食という生活を、もう数年来続けています。単純に煮干しや骨だけを食べればOKとはいかないのを知ってから、カルシウムというのは課題のひとつです。
現在は、煮干しだけでカルシウムの問題を解決するのではなく、ヨーグルトや犬用のミルクといった乳製品の利用、(消化が得意とはいえませんが)カルシウムの多い野菜や海草類(パセリ、大根の葉、小松菜、ひじき)の利用を行っていますが、サプリメントでの補填も併せて考えるのが理想的のように感じます。
煮干しはオヤツに少し与えるにしても手作り食の食材として使うにしてもいい食材だと思います。愛犬のカルシウム補助に、またコミュニケーションのためのオヤツに、上手に活用したいものですね。