ボーダーコリーの体重推移|月齢別の変化と適正ラインを解説

ボーダーコリーの体重推移|月齢別の変化と適正ラインを解説

ボーダーコリーの適正体重や体型の目安、BCS(ボディ・コンディション・スコア)によるチェック方法、体重維持がもたらす健康効果について解説。愛犬の健康管理に役立つ基礎知識をまとめました。

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記事の監修

大阪府立大学生命環境科学部獣医学科卒業。その後、約10年に渡り臨床獣医師として動物病院に勤務。予防医療、行動学、老犬の介護問題に興味を持っています。正しい知識と情報を多くの方に伝えたいという思いからWEBライターとして動物関係の記事を執筆しています。

ボーダーコリーとは?

原っぱを走るボーダーコリー

ボーダーコリーは牧羊犬としてイギリス北部の境界地域で誕生した犬種です。最大の魅力は抜群の賢さと鋭敏な反応力であり、犬種の中でも特に優れた学習能力を持っています。

外見は中型犬らしく引き締まっており、筋肉質な体型で機敏に動くことができます。被毛はやや長めでふんわりとしており、ブラック&ホワイトを中心に多彩な毛色が見られます。また、耳は立ち耳や半立ち耳など様々なタイプが存在します。

性格は活動的で好奇心が強く、適度な警戒心とフレンドリーさを兼ね備えています。飼育にあたっては十分な運動量と、知的な刺激を与えることが不可欠です。

ボーダーコリーの体重推移

子犬と成犬のボーダーコリー

ボーダーコリーは、生後1年間において体重が著しく増加します。特に生後2ヶ月から7ヶ月前後にかけて急激な成長を見せ、この期間に骨格や筋肉、内臓が急速に発達します。体重の増加率は個体差が大きいため、あくまで目安として参考にすることが大切です。

子犬期の栄養状態は将来的な体格を決定づけるため、栄養バランスが整った子犬専用のフードを適切に与える必要があります。

月齢ごとの体重推移の目安

ボーダーコリーの一般的な月齢ごとの体重目安は以下のとおりです。

月齢体重目安(オス)体重目安(メス)
生後2ヶ月3~5 kg3~4.5 kg
生後3ヶ月5~8 kg4.5~7 kg
生後4ヶ月8~11 kg7~10 kg
生後6ヶ月11~15 kg10~14 kg
生後8ヶ月14~18 kg12~16 kg
生後10ヶ月16~20 kg13~18 kg

体重推移の目安と比較して著しく異なる場合でも、元気があり成長していれば特に過度な心配は不要です。ただし、急激な成長を促すような過剰な栄養摂取は避けるべきであり、定期的に体型を触診して健康状態を確認する習慣をつけましょう。

成犬期からシニア期に向けての変化

1歳頃になると、ボーダーコリーは成長が落ち着き、骨格や筋肉がほぼ完成してきます。この時点での体重を基準として、安定した状態を維持していくことが健康管理の基本になります。

年齢を重ね7歳頃のシニア期になると、基礎代謝の低下や筋肉量の減少など、生理的な変化が起こります。これに伴って脂肪がつきやすくなったり、逆に消化機能の低下などから食が細くなり体重が落ちることがあります。

こうしたシニア期特有の体重変化を適切に管理するためには、定期的に愛犬の体型チェックを行い、その時々に応じて食事や運動量を微調整してあげることが重要です。

ボーダーコリーの適正体重と健康基準

人と並んで歩く体格の違う4頭のボーダーコリー

ボーダーコリーは、犬種としての標準的なサイズがある程度定められていますが、個体ごとの活動量や体質、骨格によって適正な体重には幅があります。数値だけに頼るのではなく、体型の確認を日常的に行うことで健康状態を維持することが重要です。

一般的な体高と体重の目安

  • 体高:オス|48〜56cm、メス|46〜53cm
  • 体重:オス|14〜20kg、メス|12〜19kg

ボーダーコリーの体高は一般的にオスで48~56cm、メスで46~53cmとされています。体重はオスが約14~20kg、メスが約12~19kgとされていますが、ショードッグタイプの犬はがっしりした体格、ワーキングタイプの犬はややスリムで筋肉質な傾向があり、個体差が存在します。

このため、あくまでもこれらの数値は目安と考え、愛犬それぞれの体型や生活スタイルに合った基準を見つけることが大切です。

ボディ・コンディション・スコア(BCS)による評価方法

適正体重の判断には、実際に手で犬の身体に触れて評価する「ボディ・コンディション・スコア(BCS)」が世界的にも推奨されています。

これは、犬の身体を触診し、脂肪のつき方や筋肉量を感触で評価する方法です。体重計の数値だけでは判断できない健康状態を把握することが可能です。

具体的な評価基準としては、以下のポイントを目安とします。

  • 肋骨:薄い脂肪の下に肋骨を触れられる状態が理想的(手の甲の骨を触った感覚)
  • 腰のくびれ:上から見てなだらかな曲線を描く
  • 腹部:横から見て緩やかに吊り上がっている

定期的にこれらの部位を触診する習慣を持つことで、微妙な体型の変化に気づくことができます。

適正体重の維持がもたらす健康上のメリット

ボーダーコリーの体重を適正に維持することは、犬の身体への負担を軽減し、さまざまな病気のリスクを抑える効果があります。

例えば、過度な体重は関節への負担を増やし、関節炎や椎間板ヘルニアなどのリスクを高める可能性があります。逆に、適正体重を維持することで犬の運動能力を向上させ、生活の質(QOL)を高めることが期待できます。

さらに、適正体重の維持は心肺機能への負担を軽減し、内臓機能の正常化を促すことで糖尿病など代謝性疾患の予防にも役立ちます。健康基準としての適正体重を正しく理解し、定期的に体型をチェックしながら愛犬の健康を守ることが飼い主としての責任です。

ボーダーコリーの体重が増加しやすい原因とリスク

布団に包まって伏せているボーダーコリー

ボーダーコリーは活動的で賢い犬種ですが、生活環境やライフステージの変化により、意外と体重が増加しやすい傾向があります。体重の増加は見た目だけの問題ではなく、さまざまな健康リスクに直結するため注意が必要です。

体重増加の主な原因

ボーダーコリーが体重増加しやすい原因として最も一般的なのが、必要以上の食事量と運動不足です。特に家庭犬として活動量が少ない場合、パッケージに記載されているフードの量をそのまま与えていると過剰摂取になることがあります。

また、避妊・去勢手術を受けた後はホルモンバランスが変化するため、基礎代謝が約20%程度低下すると言われています。その結果、手術前と同じ食事量でも体重が増加しやすくなるので注意が必要です。

体重増加による健康リスク

体重が増えすぎると、ボーダーコリーの健康にはさまざまな問題が生じる可能性があります。特に、増加した体重が関節への負荷を増大させ、関節炎や椎間板ヘルニアなど運動器疾患のリスクを高めます。また、肥満は気道を圧迫し呼吸器系の問題を引き起こすこともあります。

さらに、体内の脂肪細胞は慢性的な炎症を引き起こし、皮膚病や免疫力低下、さらには心臓病や代謝異常など深刻な病気の引き金になる可能性もあります。

ボーダーコリーの体重が減少する原因と注意点

獣医師に聴診されているボーダーコリー

ボーダーコリーの体重が急激に減少する場合、通常の生活ではあまり見られないため、飼い主はすぐに原因を把握し適切な対策を取ることが求められます。体重の急な減少は病気やストレスの兆候であることが多いため、日々の観察が重要になります。

体重減少が示す健康問題

体重が減少する原因には、消化器疾患(慢性腸症など)、腎臓病、甲状腺機能低下症、糖尿病、あるいは腫瘍など深刻な疾患が考えられます。また、歯周病や口腔内のトラブルが原因で食欲が減退し、十分な栄養が摂取できずに体重が落ちることもあります。

病気以外にも、環境の変化や長時間の留守番など、ストレスが消化吸収能力を低下させて体重が落ちることも珍しくありません。こうした兆候が見られたら、早めに専門家へ相談することが重要です。

特に注意が必要な体重減少の目安

日常的に観察しているにもかかわらず、1ヶ月以内に体重が5%以上減少した場合は注意が必要です。例えば体重15kgの犬であれば、750g程度の減少がこの目安になります。また、体重の減少に伴い嘔吐や下痢、多飲多尿などの症状が見られる場合はすぐに獣医師へ相談し、専門的な診断を受けましょう。

ボーダーコリーの体重管理法|食事編

ご飯が入ったお皿の前に伏せるボーダーコリー

ボーダーコリーは活動量が多くエネルギー消費も激しいため、適切な食事管理が非常に重要です。食事管理とは単に食べる量を調整するだけでなく、質や与え方にも配慮することが求められます。

食事量の調整と給餌回数の工夫

食事量は、犬の活動レベルや体重、年齢に応じて細かく調整することがポイントです。

具体的なカロリー計算には「体重(kg)の0.75乗に70を掛けた値」を基本に、活動量や生活スタイルによって係数を掛けて求める方法が推奨されています。特に小柄なボーダーコリーの場合は、一般的な簡易計算法ではなく精密な計算式を使った方が正確です。

また、消化器官への負担軽減のために食事回数を調整するのも有効です。例えば、子犬やシニア犬は1日の食事を3~4回に分けて与えることで、胃腸への負担を抑え、栄養吸収を促進できます。

筋肉維持のための良質なタンパク質

ボーダーコリーの筋肉質な体型を維持するためには、良質な動物性タンパク質が主成分となったフードを選ぶことが重要です。

原材料欄の最初に、具体的な肉類(チキン、ラム、魚など)が記載されているものが適しています。また、脂質やカロリーを抑えつつ、筋肉維持に必要なタンパク質が十分含まれた体重管理用のフードを選ぶことで、健康的な体型を維持できます。

おやつは摂取カロリー全体の10%以内

おやつは犬とのコミュニケーションやトレーニングに欠かせませんが、体重管理のためには摂取カロリー全体の10%以内に収めることが理想です。特別なご褒美が多い日は主食のフードを減らすなど、食事全体のバランスを常に考慮しましょう。

ボーダーコリーの体重管理法|運動編

フリスビーをくわえているボーダーコリー

ボーダーコリーは非常に運動能力が高く、精神的にも身体的にも充実した運動が健康維持に不可欠です。単に体を動かすだけでなく、頭を使った活動を取り入れることが、効果的な体重管理につながります。

運動の質と量を工夫する

毎日の運動量の目安として、成犬であれば合計1~2時間が適切ですが、年齢や健康状態に応じて15分単位で柔軟に調整することが望ましいです。

ただ散歩するだけではなく、早足で歩く時間を設けたり、安全な場所でロングリードを使用して自由に走らせるなど、強度や運動の種類を工夫すると運動効果が高まります。

知的好奇心を満たす遊びを取り入れる

ボーダーコリーは頭を使った遊びを好みます。フリスビーやボール遊びの中で「待て」「持ってきて」「離せ」といった指示を組み合わせたり、簡単な障害物を使ったアジリティ遊びを行うことで、精神的にも充足感が得られ、ストレスを軽減して健康的な体型維持に役立ちます。

室内で行える運動

天候が悪く十分な外出が難しい場合でも、室内で体重管理に役立つ活動が可能です。おやつを隠して探させるノーズワークゲームや知育トイを活用すれば、頭脳と体の両面を刺激することができます。また、家の中でタオルを使った引っ張りっこや、家族が隠れて犬に探させるかくれんぼなども、効率的な運動不足解消になります。

ボーダーコリーの体重維持のポイント

人の手からおやつをもらおうとしているボーダーコリー

ボーダーコリーの健康的な体重維持は、特別な食事や運動だけでなく、毎日の何気ない習慣の積み重ねによっても大きく左右されます。日常生活の小さな工夫が長期的な健康を支えるため、飼い主の意識がとても重要になります。

おやつの与え方を工夫する

おやつを与える際は、ただ手渡しするのではなく、知育トイに入れるなど工夫して与えるのが効果的です。こうすることで、犬が少量のおやつでも時間をかけて楽しめ、満足感を高めることができます。

また、おやつを与える際には、一粒一粒を小さくして回数を増やすことで、トレーニングや遊びに活用しながら過剰なカロリー摂取を防げます。

定期的な体重測定の習慣化

愛犬の健康管理には、定期的な体重測定が不可欠です。特に子犬やシニア期では週1回、成犬期では月1回の頻度を目安に測定することを推奨します。

体重計が家庭にある場合は、飼い主が犬を抱いて測定し、飼い主の体重を引く方法で比較的簡単に行うことができます。体重の測定結果を記録し、その変化を見守ることで、早期に体重の異常に気づくことができます。

快適でストレスの少ない環境を作る

ボーダーコリーは賢く繊細な犬種であるため、日常的なストレスが体調や体重変化に影響を及ぼすことがあります。家庭内に安心できるスペースを用意し、静かに休める環境を整えてあげることが大切です。

飼い主の匂いがついたベッドやクレート、落ち着ける場所を設けることで、精神的な安定を促し、ストレスによる食欲異常や体重変動を防ぎます。

ボーダーコリーの体重変化をチェックする方法

人の膝の上に乗って体をチェックされているボーダーコリー

ボーダーコリーの健康状態を正確に把握するためには、数値的な体重管理だけでなく、見た目や触った感触でのチェックを日常的に組み合わせることが理想的です。数値と感覚を組み合わせることで、より正確に体重の異常を早期発見できます。

自宅でできる正しい体重測定方法

自宅で体重を測る際は、毎回同じ条件で行うことが大切です。例えば、朝の排泄後で食事前というように、条件を一定にすることで正確な体重変化を記録できます。犬を抱えて人間用の体重計に乗り、自分の体重を引く方法が簡単で推奨されています。

体重以外の記録をつける習慣

体重だけでなく、その日の食事の内容や量、おやつの頻度、運動の時間や種類、排泄の状態などを簡単に記録しておくと、体重の変動原因を特定しやすくなります。日常的な記録を残すことで、専門家のアドバイスを受ける際にも有用な情報として活用できます。

体型チェック(ボディ・コンディション)との併用

体重だけでは筋肉と脂肪の比率を判断しづらいため、定期的に犬の体を触って脂肪や筋肉のつき方を確認することが重要です。特に腰のくびれや肋骨周辺の脂肪のつき方を意識して触診し、体重計では気づけない細かな変化にも気を配ることが大切です。これらを組み合わせることで、より効果的に体重変化を管理できます。

まとめ

上を見上げて幸せそうな表情のボーダーコリー

ボーダーコリーの健康な暮らしを守るためには、単なる体重の数値にとらわれず、適切な体型を維持するための包括的な管理が欠かせません。そのためには、成長期からシニア期まで、それぞれのライフステージに適した食事管理と運動習慣を継続的に取り入れることが重要です。

また、日常生活の小さな工夫や定期的な体重測定、触診による体型チェックを習慣化し、早期に異常を察知することで健康リスクを軽減できます。体重管理は犬の幸福な生活の基礎であり、飼い主の継続的な意識と配慮が最も大切です。

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