【獣医師監修】犬に水道水を飲ませて大丈夫?安全性と注意点、ミネラルウォーターとの違いも解説

【獣医師監修】犬に水道水を飲ませて大丈夫?安全性と注意点、ミネラルウォーターとの違いも解説

犬に水道水を飲ませても大丈夫?日本の水道水の安全性や与える際の注意点をわかりやすく解説します。ミネラルウォーターや浄水、RO水との違い、犬に与えない方がよい水の種類、水を飲まないときの対処の考え方も紹介します。

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記事の監修

大阪府立大学生命環境科学部獣医学科卒業。その後、約10年に渡り臨床獣医師として動物病院に勤務。予防医療、行動学、老犬の介護問題に興味を持っています。正しい知識と情報を多くの方に伝えたいという思いからWEBライターとして動物関係の記事を執筆しています。

犬に水道水を飲ませても大丈夫?

コップに水道水を注いでいる様子

結論からお伝えすると、日本の水道水は厳しい水質基準のもとで管理されているため、犬に与える飲み水として基本的には問題ありません

日本の水道水は、人が日常的に飲用することを前提に、安全性や衛生面が保たれるよう管理されています。そのため、健康な犬が普段の飲み水として利用する場合も、過度に不安視する必要はないでしょう。

また、日常的に手に入りやすく、安定して用意しやすい点も水道水の大きな利点です。特別な水を常備しなくてもこまめに新しい水へ入れ替えやすく、毎日の水分補給を続けやすいという実用面のメリットもあります。

ただし、すべての犬に絶対に同じ条件で当てはまるとは限りません。年齢や体質、持病の有無、獣医師からの指示などによっては、飲み水の種類や管理方法に配慮が必要になることもあります。

まずは「日本の水道水は犬の飲み水として基本的に使える」という前提を押さえたうえで、愛犬の様子や健康状態に合わせて無理のない形で与えていくことが大切です。

犬に水道水を与える際の注意点

食器に水道水を入れる人の手とそばで見守る犬

日本の水道水は犬の飲み水として基本的に使えますが、与え方や管理方法によっては衛生面や飲みやすさに差が出ます。

安全に飲める水であっても、器の状態や水の鮮度、愛犬の体調によっては負担になることもあるため、毎日の扱い方に気を配ることが大切です。

ここでは、水道水を与えるときに意識しておきたいポイントを確認していきましょう。

こまめな水の交換が大切

水道水そのものが安全でも、長時間置いた水はほこりや唾液、食べかすなどが入りやすくなります。

特に気温が高い時期は雑菌が増えやすいため、朝入れたままにせず、こまめに新しい水へ入れ替えることが大切です。

見た目がきれいでも、水は時間が経つほど風味や衛生状態が変わりやすくなります。愛犬が気持ちよく飲めるよう、少なくとも朝晩を目安に交換し、汚れが気になるときはその都度取り替えるようにしましょう。

器や給水器は清潔に保つ

水を入れる器が汚れていると、せっかく新しい水を入れても衛生的とはいえません。犬が口をつけた器には唾液やぬめりが残りやすく、放置すると雑菌の温床になることがあります。

器は毎日洗い、自動給水器を使っている場合は本体やパーツの汚れも定期的に確認してください。見えにくい部分に汚れがたまりやすいため、フィルターだけでなく給水口や内部まで清潔に保つことが大切です。

水のにおいが原因で飲まないことも

犬によっては、水道水特有のにおいを気にして飲みたがらないことがあります。

健康な犬にとって通常の水道水をそのまま与えること自体は大きな問題になりにくいものの、においに敏感な子では飲水量が落ちるきっかけになることがあります。

水の減りが悪いと感じたときは、器を清潔にしたうえで新しい水に替える、置き水を長時間放置しないなど、まずは管理面を見直してみましょう。

単に水のにおいだけでなく、器の汚れや置き場所が原因になっていることもあります。

持病がある犬は獣医師に相談

健康な犬であれば水道水を日常の飲み水として使いやすい一方で、腎臓や尿路の病気がある場合、あるいは治療中で飲水管理が必要な場合は、一般的な目安だけで判断しない方が安心です。

とくに療法食を食べている犬や、結石の既往がある犬では、水の管理について獣医師から個別に指示が出ることもあります。

水道水を飲ませていて気になる変化がある場合は自己判断を続けず、かかりつけの獣医師に相談しましょう。

飲んだあとに不調が続くときは受診を

水を飲んだあとに毎回吐く、下痢や軟便が続く、明らかに元気がないといった場合は、水の問題だけでなく別の体調不良が隠れている可能性があります。特に子犬やシニア犬では、軽い不調でも注意が必要です。

一時的な変化でおさまることもありますが、症状が続く場合は早めに受診を検討してください。普段の飲み水である水道水に問題があると決めつけず、全身状態を含めて確認してもらうことが大切です。

水道水以外で犬が飲んでもいい水は?

食器から水を飲んでいる犬

犬の飲み水は基本的に水道水で問題ありませんが、状況によっては別の種類の水を選ぶこともあります。ただし、水なら何でもよいわけではなく、特徴を理解したうえで使い分けることが大切です。

ここでは、水道水以外で選択肢になりやすい水の種類を紹介します。

浄水

浄水は、水道水をもとに気になるにおいや一部の物質を除去した水です。水の味やにおいに敏感な犬では、浄水の方が飲みやすい場合があります。

ただし、浄水器の性能は製品によって異なるため、何が除去されるかは一律ではありません。また、浄水後の水は時間がたつと衛生状態が変わりやすいため、長く置きっぱなしにせず、早めに使い切ることが大切です。

軟水のミネラルウォーター

市販のミネラルウォーターを与える場合は、軟水を選べば選択肢のひとつになります。外出先や災害時など、水道水を使いにくい場面では扱いやすいこともあるでしょう。

一方で、同じミネラルウォーターでも商品によって成分は異なります。毎日の飲み水として続ける場合は、硬度や成分表示を確認し、気になる持病や結石の既往がある犬では、事前に獣医師へ相談しておくと安心です。

RO水

RO水は、逆浸透膜という特殊なフィルターを使って不純物を取り除いた水です。成分が比較的安定しているため、飲み水の選択肢として検討されることがあります。

ただし、病気のある犬に必ず向いているといえるわけではありません。飲み水は種類だけでなく、十分な量を飲めているかどうかや、食事内容も含めて考えることが大切です。

継続して使う場合は、愛犬の体調に合っているかを見ながら判断しましょう。

犬用の経口補水液

犬用の経口補水液は、下痢や嘔吐のあと、暑い時期の脱水対策などで一時的に使われることがある飲料です。水分だけでなく電解質も補いやすいように作られているため、体調管理の補助として役立つ場面があります。

ただし、日常の飲み水の代わりとして与え続けるものではありません。使う場面や量は製品の案内に従い、不安がある場合は獣医師に相談するようにしましょう。

犬用のイオン飲料

犬用のイオン飲料も、運動後や体調不良時の水分補給を補助する目的で用いられることがあります。水だけでは飲みにくいときに、補助的に取り入れやすい場合もあります。

ただし、これも毎日の水の代わりではありません。日常の水分補給はあくまで水を基本とし、犬用のイオン飲料は必要な場面に限って取り入れることが大切です。

犬に飲ませてはいけない水の種類

水が入った食器を見つめながら伏せている犬

犬の飲み水は、体に負担をかけにくいものを選ぶことが大切です。見た目は同じ「水」のようでも、含まれる成分や性質によっては、犬の健康を損なうおそれがあります。

特に、人には問題のない飲みものでも、犬には向かないものがあるため注意が必要です。ここでは、犬に与えないようにしたい水の種類を確認しておきましょう。

硬水

硬水にはカルシウムやマグネシウムなどのミネラルが多く含まれており、犬に日常的に与える水としてはあまり適していません。

特に、尿路結石の既往がある犬や体質的に結石ができやすい犬では、ミネラルの多い水が負担になる可能性があります。

少量を一時的に口にしただけで直ちに問題になるとは限りませんが、毎日の飲み水として続けるのは避けた方が安心です。市販のミネラルウォーターを選ぶ際は、硬度を確認する習慣をつけましょう。

炭酸水

炭酸水は犬の飲み水としてすすめられません。炭酸の刺激によって、お腹の張りや不快感につながることがあるためです。

無糖の炭酸水でも、犬にあえて与えるメリットはほとんどありません。さらに、フレーバー付きや甘味料入りの商品には犬にとって危険な成分が含まれていることもあるため、炭酸水は基本的に避けるようにしましょう。

海水

海水には多量の塩分が含まれており、犬が飲むと体に大きな負担がかかります。

海辺で遊んでいるときに誤って飲んでしまうこともありますが、量が多いと塩分の過剰摂取によって嘔吐や下痢、脱水などを起こすことがあります。

体調を崩す原因になるため、海で遊ぶときは真水を別に用意し、のどが渇いたときに海水を飲まないよう気をつけてください。繰り返し飲んでしまう場合は、早めに海から離すことも大切です。

プールの水

プールの水は、消毒のための塩素などが含まれているため、飲み水としては適していません。

少し口に入る程度ですぐに大きな問題になるとは限りませんが、まとまった量を飲むと胃腸に負担がかかることがあります。

犬用プールやレジャー施設で遊ばせるときも、飲み水は別に用意しておきましょう。遊びに夢中になると、のどの渇きをまぎらわすようにプールの水を飲んでしまうことがあるため注意が必要です。

入浴剤入りの残り湯

入浴剤を入れたお風呂の残り湯は、犬に飲ませてはいけません。入浴剤には香料や着色料、保湿成分などが含まれており、犬にとって刺激になることがあります。

また、残り湯には皮脂や汚れが混ざっているため、衛生的にも望ましくありません。犬が浴室に入り込める環境では、お風呂の水を飲まないようにふたを閉めるなどの対策をしておくと安心です。

スポーツドリンク

人用のスポーツドリンクには、犬にとって糖分や塩分が多すぎるものが少なくありません。日常的に与えると、肥満や膵炎、血糖コントロールの悪化につながる可能性があります。

また、製品によっては犬に有害な甘味料が含まれていることもあります。水分補給のつもりで与えるのではなく、普段は水を基本にすることが大切です。

ジュース

ジュースには多くの糖分が含まれているうえ、果汁の種類によっては犬に向かない成分が含まれることがあります。飲み水の代わりにするものではなく、日常的に与えるのは避けるべきです。

少量でも習慣になると、甘い味を好んで水を飲まなくなることもあります。愛犬の健康を考えるなら、水分補給はあくまで水を中心に行いましょう。

お茶やコーヒー

お茶やコーヒーにはカフェインが含まれており、犬には危険です。摂取すると落ち着きがなくなる、震える、心拍数が上がるなどの症状が出ることがあります。

緑茶や紅茶、ウーロン茶なども同様に注意が必要です。飲みかけのカップを犬の届く場所に置かないようにし、誤って口にしない環境を整えましょう。

アルコール飲料

アルコール飲料は、少量でも犬に中毒を起こすことがあります。ふらつきや嘔吐、ぐったりするなどの症状がみられ、重い場合は命に関わることもあります。

興味を示しても、絶対に舐めさせてはいけません。お酒の入ったグラスや缶を放置しないことはもちろん、アルコールを使った食品や飲み残しにも注意してください。

犬に1日にどれくらいの量の水を与えるべき?

食器から水を飲んでいる犬の口元のアップ

犬が1日に必要とする水分量は、体重や活動量、気温、食事内容などによって変わりますが、一般的な目安として体重1kgあたりおよそ50〜60mL程度といわれています。

これはあくまで目安であり、実際の飲水量には個体差があります。

たとえば、小型犬は体が小さいため飲む量も少なく、大型犬になるほど必要な水分量は増えます。以下の表は、体重ごとのおおよその1日の目安量をまとめたものです。

犬の体重 1日の目安量
3kg(小型犬) 150〜180mL
5kg(小型犬) 250〜300mL
10kg(中型犬) 500〜600mL
20kg(中型〜大型犬) 1000〜1200mL
30kg(大型犬) 1500〜1800mL

ただし、この量はあくまで参考値です。夏の暑い時期や運動量が多い日には、体温調節や呼吸による水分の蒸発が増えるため、必要な水分量も多くなります。

また、食事の種類によっても飲む水の量は変わります。ドライフードは水分が少ないため器から飲む量が増えやすく、ウェットフードや手作り食など水分を多く含む食事では、見た目の飲水量が少なく見えることもあります。

普段から愛犬がどれくらい水を飲んでいるかを把握しておくと、体調の変化にも気付きやすくなります。器に入れる水の量を計っておくなどして、日々の飲水量をおおまかに確認しておくと安心です。

犬が水を飲まないときの工夫

壁際に置かれた犬用の飲水食器

犬がなかなか水を飲まないときは、無理に飲ませようとするのではなく、飲みやすい環境を整えることが大切です。

体調不良が隠れている場合もありますが、器の使いにくさや置き場所、食事内容などが影響していることもあります。まずは日常の中で見直しやすいポイントから整えていきましょう。

器の形や素材を見直す

犬によっては、器の素材や形が合わず、水を飲みにくく感じていることがあります。深すぎる器や口が狭い器は飲みにくさにつながることがあり、口周りやひげが触れるのを嫌がる犬もいます。

そのため、浅めで口当たりのよい器に替えるだけで飲みやすくなることがあります。金属製より陶器やガラスの方が好みに合う犬もいるため、飲み方を見ながら合うものを探してみましょう。

水飲み場を増やして飲みやすくする

水飲み場の場所が落ち着かないと、犬はゆっくり水を飲めないことがあります。人の出入りが多い場所や騒がしい場所、寝床やトイレのすぐ近くなどは、犬によっては避けたがることがあります。

静かで安心できる場所に移したり、家の中に複数の水飲み場を用意したりすると、自分のタイミングで飲みやすくなります。移動の負担が少ない場所に置くことも、飲水量の確保につながります。

フードに水分を加えて補う

器からあまり水を飲まない場合は、食事から水分をとりやすくする方法も有効です。ドライフードをぬるま湯でふやかしたり、ウェットフードを取り入れたりすると、自然に水分摂取量を増やしやすくなります。

ただし、急に食事内容を大きく変えるとお腹がゆるくなることもあるため、少しずつ調整することが大切です。普段の食事に無理なく水分を足せる方法を選びましょう。

タイミングを工夫して飲水を促す

犬は、遊んだあとや散歩のあと、寝起きなどに水を飲みやすくなることがあります。飲む量が少ないと感じる場合は、そうしたタイミングで器のそばに誘導すると、水を口にするきっかけになりやすいです。

一度にたくさん飲ませようとするのではなく、自然に口をつける回数を増やしていくことがポイントです。普段より飲む様子が見られた時間帯を覚えておくと、習慣づけにもつながります。

急に飲まないときは受診を検討する

これまで普通に飲んでいた犬が急に水を飲まなくなった場合は、口の中の痛みや発熱、胃腸の不調などが隠れていることがあります。

元気がない、食欲も落ちている、吐く、下痢をしているなどの変化があるときは注意が必要です。

特に、ほとんど水を飲まない状態が続くと脱水につながるおそれがあります。工夫をしても改善しないときや、ほかの不調も見られるときは、早めに動物病院へ相談しましょう。

まとめ

蛇口から水道水が出ている様子

犬に与える飲み水は、日本の水道水で基本的に問題ありません。ただし、長時間置いた水や汚れた器は衛生面に不安があるため、こまめな交換と器の清潔維持が大切です。

水道水以外では、浄水や軟水のミネラルウォーター、RO水などが選択肢になりますが、体質や持病によっては合わない場合もあるため注意しましょう。

一方で、硬水や炭酸水、海水、プールの水、人用のスポーツドリンクやアルコール飲料などは犬の体に負担をかけるおそれがあります。

毎日の飲水量の目安を把握し、水を飲まないときは器や置き場所、食事内容を見直しながら、必要に応じて早めに動物病院へ相談することが大切です。

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