【獣医師監修】犬はパンを食べても大丈夫?与えていい種類と危険なパンを解説

【獣医師監修】犬はパンを食べても大丈夫?与えていい種類と危険なパンを解説

犬はパンを食べても大丈夫ですが、与えるのは具や味付けのないプレーンなものを少量に限ります。与えてはいけない危険なパンの種類、適量の目安、誤食時の対処法、欲しがるときの対応までわかりやすく解説します。

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記事の監修

大阪府立大学生命環境科学部獣医学科卒業。その後、約10年に渡り臨床獣医師として動物病院に勤務。予防医療、行動学、老犬の介護問題に興味を持っています。正しい知識と情報を多くの方に伝えたいという思いからWEBライターとして動物関係の記事を執筆しています。

犬はパンを食べても大丈夫?

様々なパン

犬は、具や強い味付けのないプレーンなパンであれば、少量をおやつとして食べても基本的には問題ありません。

実際に、白い食パンやシンプルなロールパンなどは、犬にとってただちに中毒性のある食べ物ではないとされています。

ただし、パンは犬にとって主食ではなく、栄養面でも積極的に与える必要がある食品ではありません。炭水化物やカロリーが中心のため、与え方によっては食事全体のバランスを崩しやすく、日常的に多く与える食べ物には向きません。

そのため、「犬はパンを食べられるか」という問いに対しては、少量なら食べられるものの、あえてたくさん与える食品ではない、という理解が適切です。

特に、人が食べるパンには犬に向かない材料が使われていることもあるため、愛犬に与えるかどうかは種類や内容を見て慎重に判断することが大切です。

また、パンを好む犬は多いものの、犬が喜んで食べることと、安心して習慣的に与えられることは同じではありません。まずは「プレーンなパンを少量だけ」という基本を押さえたうえで、次から注意したいポイントを確認していきましょう。

犬にパンを与える際の注意点

パンを作っている人

犬にパンを与えるときは、「食べられるかどうか」だけでなく、原材料や与え方、食べたあとの様子まで含めて確認することが大切です。

プレーンなパンであっても、与え方を誤ると消化器症状や喉詰まり、体質に合わないことによる不調につながることがあります。

愛犬の体格や年齢、健康状態に合わせて、無理のない形で与えるようにしましょう。

パンはシンプルな原材料のものを選ぶ

犬に与えるパンは、できるだけ原材料がシンプルなものを選びましょう。白い食パンやロールパンのように、具が入っておらず、強い味付けがされていないもののほうが判断しやすくなります。

一方で、市販のパンには塩分や糖分、油脂が多く使われているものも少なくありません。

こうした成分を日常的に摂りすぎると、肥満や体調管理の妨げになることがあるため、与える前に原材料表示を確認する習慣をつけることが大切です。

また、「シュガーレス」と表示された製品では、甘味料が使われている場合があります。犬に向かない成分が含まれていないかどうか、表示をよく確認してから判断しましょう。

パンは小さくちぎって与える

犬は食べ物をよく噛まずに飲み込むことがあるため、パンはそのまま渡さず、小さくちぎってから与えるのが基本です。

特に、食パンの耳のようにやや硬さがある部分は、丸のみすると喉に引っかかるおそれがあります。

細長い形のまま与えると急いで飲み込みやすいため、ひと口サイズに分けて、落ち着いて食べられるようにしてください。

子犬やシニア犬など、噛む力や飲み込む力が弱い場合は、少量のぬるま湯でやわらかくしてから与えると食べやすくなります。

トッピング付きのパンは避ける

パン自体がシンプルでも、バターやマーガリン、ジャムなどが付いていると、余分な脂質や糖分を摂りやすくなります。

少量でも積み重なるとカロリー過多につながりやすいため、犬に与える場合は何も付いていない状態が基本です。

また、人用のパンには、見た目だけでは判断しにくい材料が使われていることもあります。表面に何も見えなくても、中にクリームや調味料が入っている場合があるため、あいまいなときは与えないほうが安心です。

愛犬の体質に合うか確認する

同じパンでも、犬によっては体に合わないことがあります。

小麦などの原材料に反応しやすい体質の犬では、食べたあとに皮膚をかゆがる、耳や皮膚の状態が悪くなる、便がゆるくなる、嘔吐するといった変化が見られることがあります。

また、心臓や腎臓の病気がある犬、体重管理が必要な犬では、少量のパンでも食事管理に影響することがあります。

持病がある場合や療法食を食べている場合は、自己判断で与えず、事前に獣医師へ相談しておくと安心です。

初回は少量にして反応を確認

初めてパンを与えるときは、ほんの少しだけにして、その後の様子をよく観察しましょう。食欲や元気に変化がないか、下痢や嘔吐が出ていないか、便の状態がいつもと違わないかを確認することが大切です。

少量でも体質に合わず不調が出ることはあります。食べたあとに気になる変化が見られた場合は、それ以上与えるのをやめ、症状が続くときは動物病院に相談してください。

犬に与えてはいけないパンの種類

色々な種類のパン

パンの中には、犬にとって危険な食材が含まれているものがあります。見た目は普通のパンでも、具材や調味料によっては中毒や体調不良の原因になることがあるため注意が必要です。

特に人間向けの菓子パンや惣菜パンは、犬に適さない材料が使われていることが多いため、基本的には与えないほうが安心です。

ここでは、犬に与えてはいけない代表的なパンの種類を紹介します。

レーズンパン

レーズンパンやぶどう入りのパンは、犬に与えてはいけない代表的な食品です。ぶどうやレーズンは、犬が食べると急性の腎障害を引き起こす可能性があると報告されています。

発症する量には個体差があり、少量でも体調不良を起こすケースがあるため、「少しなら大丈夫」と考えて与えるのは危険です。

レーズンパンは犬の手が届かない場所に保管し、誤って食べてしまわないよう注意してください。

チョコパン

チョコレートを使ったパンも、犬には与えてはいけません。チョコレートにはテオブロミンという成分が含まれており、犬が摂取すると中毒症状を起こすことがあります。

チョコチップパンやチョコクリームパンのほか、生地にココアが練り込まれているパンも同様に注意が必要です。量や犬の体重によっては嘔吐、興奮、震え、心拍数の増加などの症状が現れることがあります。

ガーリックトースト

ガーリックトーストやガーリックフランスなど、にんにくが使われているパンも犬には向きません。にんにくを含むネギ類には、犬の赤血球に影響を与える成分が含まれているとされています。

パン自体は問題がなくても、調味料として使われているにんにくや香辛料が体調不良の原因になることがあります。香りが強い惣菜パンは、犬には与えないようにしましょう。

カレーパン

カレーパンのような惣菜パンも、犬には適していません。カレーには玉ねぎやにんにく、香辛料など、犬にとって刺激が強い材料が含まれていることが多いためです。

また、揚げパンは油脂が多く、犬の消化器に負担をかけやすい食品でもあります。脂質の多い食べ物を多く摂ると、下痢や嘔吐などの原因になることがあるため注意してください。

ナッツパン

くるみパンやナッツ入りのパンも、犬には与えないほうが安心です。ナッツは脂質が多く、犬にとっては消化しにくい食材です。

さらに、ナッツの種類によっては犬に中毒症状を起こすものもあります。特にマカダミアナッツは犬にとって危険とされているため、ナッツが入ったパンは避けてください。

生のパン生地

焼く前のパン生地も、犬には与えてはいけません。発酵中の生地を食べると、胃の中で生地が膨らみ続け、胃拡張の原因になることがあります。

また、発酵の過程でアルコールが生成されるため、アルコール中毒のリスクも指摘されています。家庭でパンを作る場合は、生地を犬が誤って食べないよう十分に注意してください。

犬に与えてもいいパンの量

食パンに鼻を突っ込む犬

犬にパンを与える場合は、主食ではなくおやつとしてごく少量にとどめることが大切です。

おやつは1日の総摂取カロリーの10%以内が目安とされており、食パンは100g当たり248kcal前後あるため、体の小さい犬ほど少しの量でもカロリーオーバーになりやすくなります。

下の表は、プレーンな食パンを与える場合の1回の目安量です。体格や運動量、普段のおやつの量によって適量は変わるため、実際にはこの範囲よりやや少なめから始めると安心です。

犬の体重 1回の目安量
1〜3kg(超小型犬) 2〜5g(食パンを小さくちぎって1〜2口ほど)
3〜5kg(小型犬) 5〜8g(食パン8枚切りの1/5〜1/4枚)
5〜10kg(小型犬〜中型犬) 8〜15g(食パン8枚切りの1/4〜1/2枚)
10〜20kg(中型犬) 15〜20g(食パン8枚切りの約1/2枚弱)
20kg以上(大型犬) 20〜30g(食パン8枚切りの1/2〜2/3枚)

パンの厚さや商品によって1枚当たりの重さとカロリーは変わるため、与える前に包装表示を確認するとより正確に調整できます。

また、毎日与えるのではなく、たまに少量を楽しむ程度にとどめると、食事全体のバランスを保ちやすくなります。

犬にとって危険なパンを食べてしまったときの対処法

パンのかけらを咥える犬

犬が危険な具材を含むパンを食べてしまったときは、自己判断で様子見をしたり、無理に吐かせたりせず、落ち着いて必要な情報を確認したうえで早めに動物病院へ相談することが大切です。

食べた量が少なく見えても、パンの種類や犬の体格によっては体調を崩すおそれがあります。特に、レーズンやチョコレート、玉ねぎ、にんにく、キシリトールなどが含まれていた場合は、できるだけ早く対応しましょう。

何をいつどれだけ食べたか確認する

最初に確認したいのは、何のパンを、いつ、どのくらい食べたのかという点です。パンの名前だけでなく、原材料や中に入っていた具材までわかると、受診時の判断に役立ちます。

可能であれば、商品の袋や原材料表示を手元に残しておきましょう。手作りパンや袋がない場合も、使った材料を思い出してメモしておくと、動物病院に状況を伝えやすくなります。

危険なパンを食べたらすぐ相談

レーズンやチョコレート、玉ねぎ、にんにく、キシリトールなど、犬にとって危険な成分が入ったパンを食べた場合は、症状がまだ出ていなくても早めに動物病院へ連絡してください。

食後すぐは元気に見えても、時間がたってから不調が出ることがあります。

食べた量が少ないように見えても、安全とは言い切れません。特に体の小さい犬では、わずかな量でも影響が出ることがあるため、「少しだけだから大丈夫」と自己判断しないことが大切です。

無理に吐かせず病院へ相談する

家庭で無理に吐かせようとするのは危険です。塩水を飲ませる、指を入れて吐かせるといった方法は、かえって状態を悪化させるおそれがあります。

誤って気管に入れば呼吸器のトラブルにつながることもあり、塩分の摂りすぎによる別の体調不良を招く可能性もあります。

まずは動物病院に電話し、食べたものや量、現在の様子を伝えて指示を受けてください。

受診時は体重と症状を伝える

病院へ連絡するときは、愛犬の体重、年齢、食べたパンの種類、食べた時刻、現在の様子をできるだけ具体的に伝えましょう。

嘔吐、下痢、ふらつき、落ち着きのなさ、震え、元気消失などがあれば、その変化も重要な情報になります。

受診時に商品パッケージや原材料表示を持参できれば、診察がよりスムーズになります。情報が多いほど適切な対応につながりやすくなるため、慌てず整理して伝えることが大切です。

帰宅後もしばらく様子を見る

受診後や自宅で様子を見るよう案内された場合でも、その後の体調変化には注意が必要です。食欲が落ちていないか、元気があるか、便や尿の様子に変化がないかをしばらく確認してください。

食べた直後は症状がなくても、あとから不調が出ることがあります。少しでも普段と違う様子が見られたときは、再度動物病院に相談しましょう。

犬がパンを欲しがったときの対処法

パンと犬

犬がパンを欲しがるときは、その場しのぎで与えるのではなく、行動が強まらないよう落ち着いて対応することが大切です。

人の食事中やパンの匂いがする場面で繰り返し与えていると、「欲しがればもらえる」と覚えてしまい、要求行動が習慣化しやすくなります。

日頃から対応をそろえておくことで、無理なく落ち着いた行動につなげやすくなります。

パンをねだられても応じない

犬が見つめる、鳴く、前足をかけるなどの行動をしたときにパンを与えると、その行動が成功体験として残り、次回以降さらに強く求めるようになることがあります。

特に家族のうち誰か一人でも食卓から与えていると、犬は「待てばもらえる」と学習しやすくなります。

欲しがっている最中はすぐに反応せず、落ち着いてから別の行動に意識を向けさせることが大切です。要求してももらえない経験を積み重ねることで、しつこい催促は出にくくなります。

食事中は距離を取ってねだりを防ぐ

人がパンを食べている様子や香りは、犬の興味を引きやすいものです。

そのため、食事中は足元に来られないようにする、ハウスやクレートで過ごしてもらう、別の場所で待たせるなど、物理的に距離を取れる環境を整えておくと安心です。

テーブルやキッチンにパンを出したままにしないことも大切です。見える場所や届く場所に置かれていると、欲しがるだけでなく盗み食いにつながるおそれもあります。

家族でルールを統一する

犬への対応が家族の中でばらばらだと、犬は相手によって行動を変えるようになります。たとえば、ある人には強くねだればもらえて、別の人にはもらえないという状況では、要求行動がなくなりにくくなります。

「食卓からは与えない」「人が食べている間は待たせる」など、家庭内でルールをそろえておくことが大切です。対応が一貫しているほど、犬も状況を理解しやすくなります。

パン以外に意識を向けさせる

パンを欲しがる場面では、別のおもちゃを使って気をそらしたり、食後に短い遊びや声かけを取り入れたりすると、食べ物への執着をやわらげやすくなります。

欲しがるたびに食べ物で対応するのではなく、別の楽しみ方を作ってあげることがポイントです。

食事の時間以外にコミュニケーションや遊びの機会を十分に取れていると、食べ物への関心が必要以上に高まりにくくなることもあります。日常の過ごし方全体を見直すことも役立ちます。

パンへの執着が強いときは生活を見直す

パンに限らず、常に人の食べ物を欲しがる場合は、空腹感が強すぎる、食事量が合っていない、生活の刺激が不足しているなど、日常の過ごし方に原因があることもあります。

おやつの与え方や食事の時間、運動量などを見直してみましょう。

急に食べ物への執着が強くなった場合や、落ち着きのなさが目立つ場合は、体調の変化が関係していることもあります。気になる変化が続くときは、動物病院に相談してみると安心です。

まとめ

麦とパン

犬は、具や強い味付けのないプレーンなパンであれば、少量をおやつとして与えることはできます。

ただし、パンは主食ではなく、与えすぎればカロリー過多や栄養バランスの乱れにつながるため、日常的にたくさん与える食べ物ではありません。

特に、レーズンやチョコレート、玉ねぎ、にんにく、キシリトールなどを含むパンは犬にとって危険なため、絶対に避ける必要があります。

また、パンを与えるときは、小さくちぎる、原材料を確認する、食後の体調を観察するなどの配慮も大切です。愛犬がパンを欲しがる場合も、その場で安易に与えず、家庭内で対応をそろえながら落ち着いて習慣を整えていきましょう。

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