【獣医師監修】犬にセロリを与えても大丈夫?与え方・適量・メリットと注意点を詳しく解説

【獣医師監修】犬にセロリを与えても大丈夫?与え方・適量・メリットと注意点を詳しく解説

犬にセロリは与えても大丈夫?この記事では、犬にセロリを与えるメリット、体重別の適量、安全な与え方、注意点を解説します。アレルギーや持病のリスク、喉に詰まらせない下処理方法も紹介。低カロリーで健康的なおやつを探している飼い主さんは必見です。

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記事の監修

大阪府立大学生命環境科学部獣医学科卒業。その後、約10年に渡り臨床獣医師として動物病院に勤務。予防医療、行動学、老犬の介護問題に興味を持っています。正しい知識と情報を多くの方に伝えたいという思いからWEBライターとして動物関係の記事を執筆しています。

犬にセロリを与えても大丈夫

口元を舐めて空腹な様子の犬

結論から言うと、犬はセロリを食べても大丈夫です。セロリには犬にとって有害な成分は含まれておらず、適量を守れば安全に与えられます。

初めて与えるときはごく少量(1g未満)から始め、24〜48時間は体調やアレルギーの有無を観察してください。

ただし、市販のセロリには農薬が付着している場合があるため、流水でよくこすり洗いしましょう。また、硬いスジは消化しづらく喉に詰まる恐れがあるため、必ず取り除く必要があります。

なお、加工品(セロリソルト、ピクルス、セロリシード、精油など)は塩分や成分濃度が高く、犬には危険ですので与えないようにしてください。

正しい下処理と与え方を守れば、セロリは犬にとって健康的で安全なおやつになります。

セロリに含まれる栄養素

丸ごとのセロリが置かれている様子

セロリは約95%が水分の低カロリー野菜で、犬の体の健康維持に役立つさまざまな栄養素を含みます。

中でも注目すべきはビタミンKで、血液の凝固や骨の健康を支える働きがあります。また、皮膚や粘膜の健康を保つβ-カロテン(犬ではビタミンAへの変換効率は高くないといわれます)、抗酸化作用をもつビタミンCも含まれています。

そのほか、体内の余分なナトリウムを排出し、むくみを防ぐカリウム、腸の働きを整える食物繊維も豊富です。これらの栄養がバランスよく含まれていることから、セロリは健康維持のサポートに向いている野菜といえます。

なお、葉の部分にはビタミンやミネラルが多く含まれますが、硝酸塩が多い場合もあるため、与えるならごく少量にとどめましょう。

生のままが最も栄養価が高いものの、消化が心配な場合は軽く茹でて柔らかくしてから与えるのがおすすめです。

犬がセロリを食べるメリット

楽しそうな表情をしている犬の口元のアップ

セロリは低カロリーで栄養を多く含み、上手に取り入れることで犬の健康維持を助けます。

ここでは主なメリットを、理由とあわせて紹介します。いずれも補助的な効果であり、毎日のケアを支える役割として取り入れるのが理想です。

低カロリーで肥満予防に役立つ

セロリは脂質や糖質がほとんど含まれず、約95%が水分のため、ダイエット中の犬や体重管理が必要な犬にも安心して与えられます。

おやつをセロリに置き換えることでカロリーを抑えながら満足感を得ることができ、肥満防止に効果的です。体重コントロールを目的とする食事管理にも適しています。

食物繊維で腸内環境を整える

セロリに含まれる食物繊維は腸の動きを活発にし、便通を改善する働きがあります。適量を与えることで腸内環境を整え、消化をサポートします。

また、満腹感が持続するため、食べすぎを防ぐ効果もあります。ただし、繊維質を摂りすぎると逆に下痢や嘔吐を起こすことがあるため、少量ずつ慣らしていくことが大切です。

噛むことで口臭予防をサポート

セロリのシャキシャキとした食感は、噛むことで歯の表面の汚れを軽減し、口臭予防の補助になります。さらに、水分が多く口内を潤すため、乾燥による臭いの発生も抑えられます。

ただし、あくまでも補助的な効果であり、歯磨きやデンタルケアの代わりにはなりません。

抗酸化作用で健康維持を助ける

ビタミンCやβ-カロテンには抗酸化作用があり、細胞の老化を抑える効果が期待できます。これにより免疫機能を維持し、疲労やストレスに強い体づくりをサポートします。

犬はビタミンCを体内で合成できますが、加齢やストレスで消費量が増えるため、食材から補うのは有効です。

水分補給のサポートになる

セロリは水分が非常に多く、暑い季節の水分補給を補助します。特に水をあまり飲まない犬やドライフード中心の食生活を送る犬にとっては、自然に水分を摂れるメリットがあります。

ただし、セロリだけで十分な水分は摂れないため、飲み水の確保が基本です。

このように、セロリは少量でも栄養と水分を摂取できる優れた野菜です。与え方と量に注意すれば、健康維持に役立つおやつとして活用できます。

犬に与えても良いセロリの量

食器の前に立って食べ物を待っている犬

セロリはあくまで補助的なおやつであり、1日の総摂取カロリーの10%以内が目安です。繊維質が多いため、与えすぎると消化不良を起こすことがあります。

1日の上限は体重1kgあたり約1gを目安にしてください。以下は体重ごとのおおよその上限量です。

犬の体重 1日のセロリ上限目安 犬種例
〜4kg(超小型犬) 〜4g(小さじ1弱) チワワ、トイプードル など
5〜10kg(小型犬) 5〜10g(大さじ1弱) シーズー、ミニチュア・ダックスフンド など
11〜20kg(中型犬) 11〜20g(大さじ1〜2) コーギー、フレンチブルドッグ など
21〜30kg(大型犬) 21〜30g(大さじ2〜3) ラブラドール・レトリバー、ゴールデン・レトリバー など
31kg以上(超大型犬) 〜40g目安(大さじ3程度) バーニーズ・マウンテン・ドッグ、グレート・ピレニーズ など

上記はあくまで目安です。初めて与える際は1g未満から始め、体調や便の様子を見ながら量を調整してください。子犬や高齢犬は消化機能が弱いため、さらに少なめから始めましょう。

犬へのセロリの与え方

まな板の上でセロリを包丁でカットしている様子

セロリを安全に与えるには、手順とポイントを理解しておくことが大切です。下記の流れを参考にしましょう。

まず、流水でよく洗います。市販のセロリには農薬や汚れが残っていることがあるため、丁寧にこすり洗いをしてください。

次に、硬いスジをピーラーなどで取り除きます。この作業を怠ると、喉に詰まる危険性が高くなります。

その後、できるだけ細かく刻むか、すりおろして与えます。特に小型犬や早食いの犬は、丸飲みを防ぐためにも小さくカットすることが重要です。

消化が気になる場合は、軽く茹でて柔らかくしてから冷まして与えると安心です。加熱のしすぎは栄養損失につながるため短時間で行いましょう。

与える際は、調味料や油を使わないことが原則です。ドッグフードに少量トッピングする、あるいはおやつとして手渡しで与えるのも良い方法です。

必ずそばで見守り、噛まずに飲み込んでいないか確認してください。

犬にセロリを与える際の注意点

ソファに寝転んで体調が悪そうな犬

セロリは健康的な食材ですが、与え方を誤ると体調を崩すこともあります。ここでは特に注意しておきたいポイントを紹介します。

初めて与えるときは少量でアレルギー確認を

犬によってはセロリにアレルギー反応を示すことがあります。初回はごく少量(1g未満)を与え、24〜48時間は体調の変化を観察してください。

かゆみ、発疹、嘔吐、下痢などの症状が見られたらすぐに与えるのをやめ、獣医師に相談しましょう。

与えすぎは下痢や嘔吐の原因に

繊維が多いため、過剰に与えると消化不良を起こす可能性があります。特に小型犬や胃腸の弱い犬は、少しの食べすぎでも便が緩くなることがあります。体重に応じた目安量を守り、便の状態を見ながら量を調整しましょう。

スジを取らないと喉や食道に詰まる恐れ

セロリのスジを取り除かないまま与えると、喉や食道に引っかかって窒息の危険があります。必ずスジを除去し、細かく刻んでから与えてください。与える際は見守り、噛まずに飲み込んでいないか確認しましょう。

持病がある犬は獣医師に相談を

腎臓病の犬はカリウムをうまく排出できず、高カリウム血症を起こす可能性があります。また、心疾患や高血圧がある犬はナトリウムの摂取に注意が必要です。

甲状腺の持病がある犬も成分の影響を受ける場合があるため、与える前に必ず獣医師へ相談してください。

加工品やセロリ精油などは絶対に与えない

セロリソルトやピクルス、セロリシード、セロリ精油などは、濃度が高く塩分も多いため犬には有害です。生または軽く茹でた無塩のセロリのみを与えましょう。

これらの注意点を守れば、セロリは安全で栄養価の高いおやつとして取り入れることができます。「少量・無調味・見守り」を徹底して、安心して与えましょう。

まとめ

カットして器に盛られたセロリ

セロリは低カロリーで水分が多く、犬にとって安全で健康的な野菜です。適切に与えれば肥満予防や腸内環境の改善など多くのメリットが得られます。与える際はスジをしっかり取り除き、細かく刻んで喉詰まりを防ぎましょう。

初回は少量から始め、体調の変化を確認することが大切です。特に腎臓病や心疾患などの持病がある犬は、必ず獣医師に相談してください。正しい知識と方法を守れば、セロリは愛犬の健康を支える心強い食材になります。

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