犬はさくらんぼを食べても大丈夫?安全な与え方や適量、種の危険性を解説

犬はさくらんぼを食べても大丈夫?安全な与え方や適量、種の危険性を解説

犬にさくらんぼを与えても大丈夫?果肉はOKですが、種や茎は中毒の危険がありNGです。この記事では、安全な与え方、体重別の適量、アレルギー症状や注意すべき持病(腎臓病など)まで解説。愛犬に与える前に必ずご確認ください。

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記事の監修

大阪府立大学生命環境科学部獣医学科卒業。その後、約10年に渡り臨床獣医師として動物病院に勤務。予防医療、行動学、老犬の介護問題に興味を持っています。正しい知識と情報を多くの方に伝えたいという思いからWEBライターとして動物関係の記事を執筆しています。

犬はさくらんぼを食べても大丈夫

さくらんぼと子犬

基本的に犬はさくらんぼの「果肉」部分であれば、食べても問題ありません

しかし、これは厳格な条件付きであり、果肉以外の部分、特に種、茎、葉は犬にとって非常に危険です。

これらの部分には、犬に中毒症状を引き起こす可能性のある成分が含まれているため、絶対に与えてはいけません。

適量を守り、安全な部分だけを与えるのであれば、さくらんぼに含まれるビタミンや抗酸化物質が、愛犬の健康をサポートするおやつの一つとなり得ます。

さくらんぼに含まれる栄養素と犬への影響

木になっているサクランボの匂いを嗅ぐパグ

さくらんぼの甘い果肉には、犬の健康維持に役立つ可能性のある栄養素が含まれています。ここでは主な栄養成分と、犬への影響について解説します。

アントシアニン

アントシアニンは、さくらんぼの赤い色素成分で、ポリフェノールの一種です。ポリフェノールとは、植物が自身を紫外線などから守るために作り出す成分の総称です。

このアントシアニンが持つ強い抗酸化作用は、体内の活性酸素を除去する働きをします。犬においても、細胞の老化を遅らせたり、目の健康を維持するのをサポートしてくれる可能性があります。

カリウム

カリウムは、体内の細胞の機能を正常に保つために不可欠なミネラルです。体内の余分なナトリウム(塩分)を尿と一緒に排出し、血圧を正常に保つ働きがあります。犬にとっても、正常な心臓の機能や筋肉の収縮をサポートする重要な役割を担っています。

ビタミン類(ビタミンA・C)

さくらんぼには、皮膚や粘膜の健康を維持し、免疫機能をサポートするビタミンAやビタミンCが含まれています。

犬は体内でビタミンCを合成することができますが、ストレス時や高齢期には、食事から抗酸化作用を持つビタミンを補助的に摂取することが健康維持に役立つ場合があります。

クエン酸

さくらんぼの酸味成分であるクエン酸は、エネルギーを生み出すサイクルの中心的な役割を担う有機酸です。摂取した食べ物をエネルギーに変換する過程をスムーズにし、活動的な犬の疲労回復やエネルギー補給を助けてくれる可能性があります。

犬へのさくらんぼの与え方

人の手から食べ物をもらう犬

愛犬に安全にさくらんぼを楽しんでもらうためには、正しい与え方を守ることが非常に重要です。

必ず種・茎・葉を取り除く

さくらんぼを与える前に最も重要なことは、種、茎、葉を完全に取り除くことです。これらの部分には「アミグダリン」という天然の有毒物質が含まれています。

アミグダリンは、犬の体内で消化される過程で「シアン化物(青酸)」という非常に毒性の高い物質に変化します。少量でも中毒症状を引き起こす危険があるため、必ず果肉だけの状態にしてください。

皮の扱いは慎重に

さくらんぼの皮は、犬にとって消化しにくい部分です。また、栽培過程で使用された農薬が残留している可能性もゼロではありません。

愛犬の安全を第一に考えるなら、流水で十分に洗浄してから与えるようにし、消化不良が心配な場合は皮も剥いてから与えるのが最も安心な方法です。

果肉だけを細かく刻んで与える

安全な果肉部分だけを取り出したら、そのまま与えるのではなく、細かく刻んでから与えましょう。特に、トイプードルやチワワのような体の小さな犬や、食べ物を丸飲みしがちな犬の場合、喉や食道に詰まらせる窒息のリスクがあります。

果肉をペースト状に潰して、普段のフードに少量トッピングする方法もおすすめです。

犬にさくらんぼを与える適量と頻度の目安

口元を舐める犬とさくらんぼが入った器を持つ女性

さくらんぼは栄養がある一方で糖分も含まれているため、与えすぎは禁物です。主食である総合栄養食のドッグフードの妨げにならないよう、おやつやご褒美として与える際の適量を守りましょう。

体重別の適量の目安

犬に与えるさくらんぼの量は、個体差が大きいため、以下の数値を参考にごく少量から試してください。これはあくまで健康な成犬の場合の目安です。

犬のサイズ 代表的な犬種 体重の目安 1日に与える量の上限
超小型犬 チワワ、ヨークシャー・テリア 〜4kg 1粒
小型犬 トイプードル、ミニチュア・ダックスフンド 〜10kg 1〜2粒
中型犬 ボーダー・コリー、ウェルシュ・コーギー 〜25kg 3〜4粒
大型犬 ゴールデン・レトリバー、ラブラドール・レトリバー 25kg〜 5〜6粒

さくらんぼを与える最適な頻度

さくらんぼを毎日与える必要はありません。おやつや特別なご褒美として、週に1回から2回程度に留めるのが理想的です。さくらんぼはあくまで食事の補助的な楽しみであり、主食の栄養バランスを崩さないことが最も重要です。

犬にさくらんぼを与えるときの注意点

悲しげな表情でソファに伏せる犬

愛犬の健康を守るため、さくらんぼを与える際にはいくつかの注意点があります。

種や葉、茎を食べたときの中毒症状

万が一、愛犬がさくらんぼの種や葉、茎を食べてしまった場合、シアン化物中毒を起こす可能性があります。

中毒症状には、呼吸が速くなる、呼吸困難、嘔吐、下痢、痙攣、歯茎や舌などの粘膜が鮮やかな赤色から青紫色になるチアノーゼなどがあります。これらの症状は命に関わる危険なサインですので、異変に気づいたらすぐに動物病院を受診してください。

アレルギー反応の可能性

人間と同じように、犬も特定の食べ物にアレルギー反応を示すことがあります。さくらんぼも例外ではありません。初めて与える際は、まず米粒ほどの少量から始めましょう。

食後、数時間から翌日にかけて、皮膚をかゆがる、目が赤くなる、顔や口の周りが腫れる、下痢や嘔吐を繰り返すといった症状が出ないか、注意深く観察してください。

消化不良による下痢や嘔吐

さくらんぼは水分と食物繊維を比較的多く含むため、一度にたくさん食べると犬のお腹が緩くなり、下痢や嘔吐を引き起こすことがあります。特に胃腸がデリケートな犬には、与えすぎないように量を厳密に管理することが大切です。

与えるべきではないケース

健康状態によっては、さくらんぼを与えるべきではない犬もいます。

腎臓病の犬

さくらんぼに含まれるカリウムは、腎臓の機能が低下している犬にとっては体に溜まりやすく、高カリウム血症を引き起こすリスクがあります。腎臓病の持病がある犬には、さくらんぼを与えないでください。

糖尿病や肥満気味の犬

さくらんぼは果物の中でも糖分が多いため、血糖値のコントロールが必要な糖尿病の犬や、体重管理をしている肥満気味の犬には与えない方が賢明です。

アレルギー体質の犬

バラ科の植物(リンゴ、桃、梨など)にアレルギーがある犬は、同じバラ科であるさくらんぼにも交差反応を示してアレルギー症状を起こす可能性があります。アレルギー体質の犬に与える際は、特に慎重な判断が求められます。

まとめ

芝生の上に置かれたさくらんぼのかごとボーダーコリー

さくらんぼは、種や茎、葉などの危険な部分を完全に取り除き、安全な果肉だけを適量与えるのであれば、犬も食べることができる果物です。

しかし、中毒やアレルギー、消化不良といったリスクもゼロではありません。愛犬の体重や年齢、健康状態を十分に考慮し、必ずルールを守って与えることが重要です。

初めて与える際はごく少量から試し、食後の様子をしっかりと観察してください。少しでも愛犬の様子に不安を感じたり、持病があったりする場合には、自己判断で与えずに、かかりつけの獣医師に相談しましょう。

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