犬にパイナップル、メリットとデメリットについて
獣医師として診療していると、飼い主さんからビックリするようなことをお聞きすることがあります。
その一つが「うちのこ、こんなものを食べるんですよ」というもの。今回はその中でもパイナップルについてお話ししようと思います。
パイナップルといえば、最近はカットフルーツとしても缶詰としてだけでなくドライフルーツとしても良く見かけますよね。
そんなパイナップルは、非常に消化に悪く糖質が多いため、犬には与えないほうがベターな食材です。
しかし肉などを柔らかくするブロメリンという酵素を持つので、消化の助けになる一面もあります。
パイナップルの良しあしについて
犬は基本的に、たんぱく質や脂質を中心とした食事に向いた胃腸の仕組みをしています。強い胃酸をもち、腸は短めで腸内細菌も脂質消化に向いたものをもっています。
パイナップルの栄養成分は?
一方パイナップルは、栄養成分の中心は繊維質・果糖・水分です。さらに、生のパイナップルにはブロメリンという酵素が含まれています。ブロメリンは、お肉などを柔らかくする働きを持つ酵素です。
パイナップルの良い所
犬が舌で感じられる数少ない味覚が、甘味です。甘味の強いパイナップルは、犬にとって美味しく感じられる食材です。さらに、肉と一緒にパイナップルを摂ることでブロメリンがたんぱく質の消化を助けてくれます。
ドライフードではなく、手作り食中心のワンちゃんなどの食事には、細かく刻んだパイナップルを加えると消化に良い美味しい食事になります。
犬にパイナップル与える時の注意点
犬には気を付けたい繊維質と果糖
愛犬にパイナップルを与える場合、一番注意をしたいのが繊維質と果糖です。犬は繊維質を消化することができないので、繊維質を摂りすぎると下痢をすることが多くなります。果糖は、果物に含まれる糖でもともと走り回って狩りをして獲物を食べていた犬たちにとってはカロリーが高すぎる栄養素です。
果糖を摂りすぎることで、糖尿病の危険性が高まるので注意が必要です。パイナップルの中でも、缶詰のものやドライフルーツは糖分が非常に多いのでお勧めしません。
生のパイナップルなら良い?
生のパイナップルなら食べさせても良い・・・のかというと、注意しなければならない点があります。
パイナップルを生で食べると、口がピリピリすることがありますよね。生のパイナップルにはクエン酸とブロメリンという酵素がたっぷり含まれています。
ブロメリンはたんぱく質を分解するので、口の粘膜を傷めクエン酸が刺激になることでピリピリします。
生のパイナップルは繊維質が硬く、それ自体は消化しづらい果物ですが、肉などの消化の助けになるので、少量であれば与えても構いません。小さく切って、胃腸に詰まることのないように気を付けましょう。
下痢をしてしまった場合
ついつい与えすぎで、お腹がゆるくなった場合は、すぐにパイナップルを与えるのをやめましょう。子犬でなければその次の食事を抜いて、消化管の負担を軽くします。
その時点で下痢がストップしていれば、次の食事から量を少なめにしてだんだんもとの食事に戻してあげましょう。
- 次の食事を抜いても下痢が止まらない
- まったくでなくなっても踏ん張っている
- 便に黒いものや、赤いものが混じる
- 1日に4回以上便をする
このような場合は消化管に負担がかかり過ぎて、自己治療では難しい場合が多いです。あくまでも目安ですが、上のような症状があるときは早めに動物病院に行きましょう。
パイナップルを美味しく食べるレシピ
利点も欠点もあるパイナップル。美味しく健康のために食べてもらうためのレシピをご紹介しますね。
鶏肉とパイナップルの蒸し煮
<材料>
- 鶏むね肉
- 生パイナップル
鶏むね肉とパイナップルはのどに詰まらない程度の大きさに刻んでおきます。ビニール袋の中などで鶏肉とパイナップルをもんで30分ほど冷蔵庫においておきましょう。
耐熱性のおさらに平たくならべてラップをして、電子レンジの「蒸し鶏」や「鳥の酒蒸し」などのレシピで加熱しましょう。鶏肉の大きさなどによって、加熱時間が違うので様子をみながら加熱してください。
鶏肉にしっかり火が通ったら、取り出してしっかり冷ましましょう。
お買い得な鶏むね肉が柔らかく、パイナップルの甘味で美味しくいただける手作り食になりますよ。
パイナップルの簡単デザート
<材料>
- 良く熟したパイナップル
- 無塩のカッテージチーズ
パイナップルは細かく刻んで、カッテージチーズと混ぜるだけです。
カッテージチーズは、牛乳にレモン汁を加えて分離したものをざるで越すことでも手作りできます。
チーズのうまみと、パイナップルの甘味がさっぱりいただけるデザートです。
このデザートは、はちみつを上からトロリとかけると飼い主さんも美味しくいただけます。(ハチミツは小さなお子様には向きません)
愛犬友達を呼んで、みんなでデザートタイムなんていうのも楽しそうですよ。
まとめ:四角四面ではつまらない愛犬生活
獣医師として、本来は「総合食であるドライフードと水で健康に暮らしてほしい」というべきなのかもしれない、と思うこともあります。でも、自分が愛犬と過ごす時間を考えてみるとそれだけではつまらないですよね。
良く熟した生のパイナップルを15~20gほど与えるのであれば健康に害はありません。もちろん体質には差がありますので、与えてみて良くないようであればやめておくという判断も大事です。
自分で判断できない愛犬のために、しっかり選んでしっかり決めてあげることも大事ですよ。
▼犬が食べてはいけないものについてもっと知りたい方はこちら
犬が食べてはいけないもの一覧
ユーザーのコメント
30代 女性 ちゃー
20代 女性 めぐ
20代 女性 そそ
30代 女性 ロン
もちろん缶詰などの加工品は犬にあげてはいけないけれど、生を少量なら大丈夫と知って、一度愛犬に食べさせてあげたいと思いました。これまで暮らした犬たちも今の愛犬も甘みのある食べ物はおいしく感じるようで、果物は喜んで食べます。パイナップル入りの手作りごはんなんてオシャレで、自分も食べてみたいと思いました(笑)決まったフードしか食べられない愛犬に、少しでも食べる喜びを増やしてあげたいので、記事を参考にパイナップルを与えてみます。
女性 フカフカ
30代 女性 てとめる
女性 あんみつ
50代以上 女性 匿名
効果が有って、食糞は解消されました。
50代以上 男性 湘南柴