犬が舌を出す理由は?病気やストレスなど考えられる原因を解説

犬が舌を出す理由は?病気やストレスなど考えられる原因を解説

犬が舌を出し「ペロペロ」「ハァハァ」する姿をよく見かけませんか? 実はこの行動には感情の表れや、呼吸が苦しくなる病気まで様々な理由があるのです。病気のサインである場合には、あらかじめ知っておけばできるだけ早く病気に気付けますね。 今回は「犬が舌を出す理由」をご紹介します!

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記事の監修

東京農工大学農学部獣医学科卒業。その後、動物病院にて勤務。動物に囲まれて暮らしたい、という想いから獣医師になり、その想い通りに現在まで、5頭の犬、7匹の猫、10匹のフェレットの他、ハムスター、カメ、デグー、水生動物たちと暮らしてきました。動物を正しく飼って、動物も人もハッピーになるための力になりたいと思っています。そのために、病気になる前や問題が起こる前に出来ることとして、犬の遺伝学、行動学、シェルターメディスンに特に興味を持って勉強しています。

犬が舌を出す理由はたくさんある

舌を出している犬たち

愛犬が舌を出しているのを見かけたことはありませんか?

ハァハァと荒く息をしていたり、のんびり寝そべっていたり…様々な場面で舌を出していますね。

この何気ない舌を出すという行動、何も問題はないように思うかもしれませんが実は意外な理由が隠されている場合があります。

犬の体に関する役割や感情を表している場合はもちろん、中には病気の症状やストレスサインであることも。

にとって大切な「舌を出す理由」についてみていきましょう。

犬は舌を出すことで体温調節している

帽子をかぶっている犬

犬が舌を出す理由として、まず思い浮かべるのは「体温調節」ではないでしょうか。これは体温が上がり過ぎないようにするための大事な行動です。

暑い夏や運動をした後などに「ハァハァ」と荒い息を吐きながら舌を出していますね。この行動は「パンディング」といいます。

犬は汗をかく汗腺が鼻や肉球などのほんのわずかな部分にしかありません。

人間は汗をかくことで体温の調節を行っているのですが、犬はそれができないため、喉や舌からの唾液の蒸発によって体温を下げようとしているのです。

パグやフレンチブルドッグなどの短頭種は鼻が短く喉の面積が少なかったり構造に異常があったりするため、パンティングによる体温調節の効率が悪く、結果として暑さに弱く、舌を出すことが多いのですね。

夏場や運動後に舌を出しているときは体温を下げようとしているので、涼しい場所で水が飲めるようにしてあげましょう。

犬はリラックス・興奮している時も舌を出す

口を開けている犬

呼吸は荒くないけど舌を出している場合はリラックスしているか、興奮しているときです。

犬は顔の筋肉の種類が少ないため人間のように表情を細かく作ることはできません。しかし、咬むための筋肉である咬筋はとても発達しています。

人間と同じように、リラックスしていると口の筋肉が緩んでしまうのです。そのため舌が出てしまうことがあります。

また、興奮しているときには脈が早くなり呼吸数も多くパンティングしていて舌を出していることもありますが、緊張感から口元が締まり舌を全く出していないこともあります。

犬が舌を出すのはストレスのサイン?カーミングシグナルとは

大きな舌を出している犬

カーミングシグナルとは犬のボディランゲージや争いを避けるためにする行動の一つで、音を発することなく自分の感情や立場を伝える行動をさします。

ストレスを感じた時や、緊張している時にもカーミングシグナルが見られます。カーミングシグナルを行う時の感情は、主に以下の2つが考えられます。

敵意がないことを示すため

自分が相手に対して敵意がないことを示すために、対象となっている人や犬、物から視線をそらします。視線をそらすということは、同時に不安や恐怖を感じているシグナルとなります。

相手に敵意がないことを示すときは、他にも以下のような行動をとることがあります。

  • 尻尾を振る
  • 耳をふせる
  • 姿勢や頭を低くする

気分を落ち着かせるため

また自分の嫌な気持ちを落ち着けるために舌を出して「ペロペロ」とすることがあります。

初めて行った場所、嫌な思い出のある場所を通る、飼い主が怒っている、などの嫌な気持ちになる場面で多くみられます。

犬が気分を落ち着かせようとしているときは、以下のような行動も一緒にとることがあります。

  • 鼻を舐める
  • あくびをする
  • 顔や目をそらす

犬が舌を出すのは口腔内トラブルが原因かも

:

犬の下が出しっぱなしになっているときには、歯並びや噛み合わせが原因である場合があります。歯に隙間ができるため、舌が出やすくなるからです。

また、口の中に違和感がある場合にも舌を出して「ペロペロ」とすることがあります。歯周病や口内炎、舌炎、腫瘍などが原因として考えられます。

そのような病気がある場合には、同時にドッグフードを食べにくそうにしたり、口臭がひどくなったりするので、そのような場合は口の中をチェックしてみましょう。

気になるようであれば病院で診てもらうことをオススメします。

犬が舌を出して呼吸する病気!息が荒い、震える時は要注意

医療バックと犬

犬がぐったりしていたり、苦しそうに舌を出して呼吸している場合は病気の可能性が強く考えられます。

震える、息が荒いなど、いつもと少しでも違うと感じたら、すぐに動物病院を受診してください。

熱中症

暑い日やクーラーのきかない閉め切った部屋、車の中などで起こりやすい病気です。

初期症状として、呼吸が荒くなり、体温が40度以上になります。重症化するとけいれん発作やチアノーゼなどの症状が表れ、最悪の場合死に至ります。

熱中症の疑いがある場合には体を冷やすなどの応急処置をしながら、急いで病院に連れて行ってください。

僧帽弁閉鎖不全症

心臓には血液を一定方向に流すために逆流防止弁の役割をする弁があります。その逆流防止弁のひとつである僧帽弁が上手く働かず、血液が逆流してしまう病気です。

この病気は何年もかけて徐々に進行することが多いのですが、症状が軽い場合には病気があっても飼い主さんが気付かないこともあります。

また、初期症状の一つである咳を「吐くのに何も出てこない」と勘違いしてしまうケースもあるようです。

重症化すると、元気がない、息が苦しそう、咳をたくさんする、チアノーゼなどの症状があらわれます。気づいたらすぐに病院へ連れていきましょう。

高齢犬に多い病気なので、日頃から体調をよくチェックすることが大切です。この病気があると、咳が出ていたり元気に散歩に行っているように見えていても、聴診で心雑音が聞かれるようになったり、心拍数が増えたりします。

僧帽弁閉鎖不全症は治すことは難しい病気ですが、早期発見して早めに治療を開始することで、できるだけ健康に暮らせる時間を長くすることができます。

この病気をできるだけ早期に発見するためにも、定期的な健康診断が役立つでしょう。

拡張型心筋症

大型犬に多い病気です。心臓の病気のひとつで、心臓は大きくなってしまうけど筋肉でできている心臓の壁が薄くなってしまい、心臓が血液を上手く送り出せなくなるために、全身への酸素供給が十分に行われなくなってしまいます。

タウリン不足が原因で起こる場合もありますが、不足していなくても起こることがあり、その場合の原因は不明ですが、特定の犬種に多く見られることから遺伝的要因も考えられています。

元気がない、運動を嫌がるといった症状で飼い主さんが気付くようになることが多いようです。進行すると呼吸困難や失神などの症状が現れ、突然死することもあります。

予防策はありませんが、定期健診を受けたり、拡張型心筋症が多い犬種であるかどうかを知り、拡張型心筋症が多い犬種である場合には両親やそれ以前の祖先、兄弟に拡張型心筋症にかかった犬がいるかどうかを知っておくことで、発症に備えることができるでしょう。

また、日頃から愛犬の体調、運動の様子を気にすることでが早期発見につながるでしょう。

息が荒い時も要注意

舌を出すのと同時に息が異常に荒い場合、原因は何であれ呼吸が苦しいということです。呼吸が苦しくなってしまう病気には、上記以外のものもたくさんあります。

興奮している時や、気温が暑い時、運動をした直後に息が荒くなるのは自然なことです。

しかし、何かしらの病気が原因で息が荒くなる場合は、気温や運動量などに関係なく症状が現れます。

また、以前はこれくらいの運動ではハァハァしなかったのに、と飼い主さんが感じることもあります。

以下の記事では、犬の息が荒い時に考えられる原因と病気について解説しています。ぜひとも、併せて参考にしてください。

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愛犬の呼吸が息苦しそうに荒くなる姿を見ると、飼い主さんはとても心配になると思います。生理現象のこともあれば、病気が隠れている可能性もあるようです。この記事では犬の息が荒い時に考えられる病気をご紹介いたします。

  • 病気
  • 症状

まとめ

ぐったりしているパグ

犬はよく舌を出しているイメージがありましたが、中には病気のサインである可能性もあるということです。

舌の出し方や呼吸などが気になる場合には、あらかじめ動画を撮影しておき獣医さんに見てもらうと診察の助けになります。

また、舌を出す行動と合わせて確認してほしいのが、舌の状態です。

以下の記事では、犬の危険な「舌の状態」について解説しています。併せて参考にしてください。

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愛犬の舌が紫?白い?それはもしかしたら病気のサインかもしれません!舌の状態も健康状態とリンクしていることがありますので、愛犬のベロをよく観察してみましょう。今回は犬の舌に現れる異変について解説いたします。

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