「震え」のメッセージはなに?
みなさんは犬の体が小刻みに震えるのに気づいたことはありますか?
それはもしかしたら、犬の精神的な問題なのかもしれないし、なにか病気のサインかもしれない。
お腹や背中が痛んでいるときは、全身に震えがきたり痙攣のように震えることもあります。
まず、生き物が震える時はなにが原因か、ということを考えてみまししょう。
人間なら、寒い、怖い、くやしい、我慢できない(トイレなど)、そのほか体の不調が原因で震えがきます。
犬の場合はどうでしょうか。
例えば、地震や雷、周りの掃除機の音、病院や知らない場所などへ連れて行かれたりなど、犬が恐怖や極度の緊張から自分を落ち着かせようとして震えることがあります。
怖がりの犬など、見知らぬ人に会っただけでストレスを感じて震えることもあります。
こんなときは、犬の目の向きや表情、行動などから犬が何を気にしているのか観察してみて、もしその原因に気づいたら、そこから離してやるなど、犬が落ち着けるようにしてあげてください。
離すことが難しい場合には、優しく声をかけながら撫でたり、抱きしめるなど、安心させてやることです。
犬だって感情のある動物ですから、寒い、怖い、くやしい、我慢できないなどは、すべて人と同じように感じます。
つまり、犬が震えるのは必ず何かの理由があるということ、もしかすると寒いからではなく、どこか体の不調や精神的な違和感のサインなのかもしれないという事なのです。
ただ、人間と違うのは、犬はそれを言葉で表現できないから、態度や様子、振る舞いなどでそれを知らせるのを、飼い主が「見拔く必要がある」ということになります。
この辺りが、難しいところですが、犬の態度、様子、振る舞いを見抜けさえできれば、震えの原因も見えてきて、それぞれに適した対策も見つかるはずです。
以下では、それを整理してお話しましょう。
環境的な原因
犬の置かれている環境によっても、犬は震えることがあります。
それは:
- 寒さ
- 恐怖
- 興奮
などです。
恐怖といってもただ怖いものが目の前にいるだけではなく、どこか高いところに乗せられたとか、グラグラ揺れるものに入れられるとか、犬が感じる違和感と共通する原因があります。
このほか、とても好きなモノをじらされてもらえないときなど、犬は興奮して震えます。
待ちかねたご主人が玄関のノブを回すのを聞いて、嬉しさに震える。
これなどは興奮の部類に入りますね。
これらはすべて「外的要因」といえるもので、犬の体調には関係ありませんので、動物病院を受診する必要はありません。
ほかに、チワワなどの小型犬は熱の発散量が多いので、特に寒がりです。
愛犬に合わせた部屋の温度調節もしてあげてください。
もう一点、寒さについて
犬の平熱は38度前後です。
ですから、被毛の量などを差し引いて、震えがくるほどの外気温がどれほどか、飼い主の観察眼が活きるところです。
また、重い病気や怪我などから体が衰弱した結果に起こる低体温症という症状があります。
これは単なる「寒さ」からくるものではないので、後述の内科的原因の問題になりますから、受診したほうが良いケースと覚えておいてください。
体調不良が原因
ところが、暑い寒いではなく犬の体調不良で震えがくるとなると、動物病院を受診しましょう。
この稿で問題にするのは、実はこの体調の不良が原因で起こる震えをどうするか、ということですね。
まず、犬の体調不良を区別することから始めましょう。
外科的な体調不良
例えば、どこか骨が外れているとか、折れているとか、どこかに傷があるとか、というような原因で犬が「訴える」手段として「震え」という動作をすることがあります。
これには個体差があり、犬によってはじっと我慢、ということもあるし、震え方にも個体差があります。
だから、ここでも飼い主の観察眼がものをいうわけで、目に見えて震えているのか、体に触れてみたら震えているのが分かる、など、飼い主としては、できるだけ原因とおぼしきデータを早めに獣医師に伝えられるよう、日頃から観察眼を養っておくことが大切です。
勿論、外科的な原因だと分かれば、病院ですぐ対応してもらいましょう。
まず外傷がないかチェックし、外傷がないのに震えている場合は、身体の中に異常がある場合も。
体中を押してみて、しこりがないか、嫌悪反応を示す場所がないかなどを探し、病院へ連れて行きましょう。
内科的な体調不良
さて、問題はここからです。
外から見えて分からない。
ただ、ひたすら震えている、という状況が問題を複雑にします。
冒頭お話したように、内臓系のトラブルはどれでも可能性があります。
人間なら問診、問い掛けなどで原因が探れますが、犬の場合は、飼い主さんに状況を教えてもらうことはできますが、直接犬に問いかけることはできません。
犬のさまざまな部位を触診たり、飼い主さんから得た情報をもとにして震えの原因を探ります。
その際、震えという現象をどう原因と結びつけるか、というときに、専門的に考えられる原因をまず想定する、ということをします。
考えられる原因には次のようなものがあります:
- 尿毒症
- 脳や神経の異常
- 内分泌の異常
- 狂犬病
- ジステンバー
- 破傷風
- 低体温症
- 低血糖症
- 中毒
- 熱中症
- てんかん
これらはあくまでも考えられる原因を並べただけで、特定するには動物病院での総合的な診療が必要です。
では次に、低血糖と熱中症、中毒、低体温症について触れておきます。
低血糖
なにかの理由で、犬が長時間ごはんを食べない、食べられない状況が続くと、低血糖症状を起こして体を震わせることがあります。症状としては、ぐったりとして元気がなく、よだれが出たり、痙攣をおこしたり、体温が下がったりします。
ごはんを食べると元気になるが、ごはんを食べないとぐったりしたり、運動後急に調子が悪い場合は低血糖が疑われます。 通常子犬に多いですが、成犬以降でも膵臓の病気がある場合も同様の症状が起こります。動物病院を受診し検査を行いましょう。
熱中症
熱中症が起こった場合、全身のけいれん発作を起こすことがあります。当然、水を飲ます、体を冷やすなどの処置をして、必ず連絡の上、動物病院へ連れていきましょう。
熱中症は気温や湿度が高くなる梅雨から秋口までは起こる可能性がありますので、温度管理には十分気を付けるようにしましょう。
中毒
犬はなにか有害なものを食べたときに、中毒症状を起こして震えることがあります。毒性のある植物、農薬や洗剤などがよくあるケースなのですが、いずれも症状としては、激しいよだれ、嘔吐、下痢、けいれんです。
例えば、代表的なケースですが、犬にとっては有害なチョコレートやぶどう、たまねぎなどの食品が原因のこともあります。
これらの症状が起こったら、中毒の可能性があります。
すぐに動物病院へ連れて行って、獣医さんに行きましょう。
低体温症
犬がけいれんしているように震えが止まらないときには、低体温症といって、重い病気や怪我などによって体が衰弱して、体温が下がった状態になる病気かも知れません。まるでけいれんしているように震えが止まらない、というのが特徴です。
気づいたら、直ちに病院へ連れて行ってください。
まとめ
これまでお話したように、震えは犬が発信する「信号」、メッセージです。
病気の場合もあり、ただ単に犬の精神的な面の表れの場合もあります。
この記事では触れませんでしたが、犬にもてんかん症状が起こります。
手足を突っ張って、口から泡を吹きます。
これなどはとてもはっきりした症状ですから、ある意味ではすぐ対応できる場合ですが、トイレを我慢して震えることもあるのです。
本編でなんどか触れましたが、病気の早期発見、手遅れにならないために日々しっかり見てあげるようにしてください。
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犬の病気大辞典!知っておきたい基礎知識
ユーザーのコメント
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30代 女性 ミニー
愛犬のココアは、初めて行く病院や寒さでブルブル震えたりしました。初めは、心配しましたが病院も回数を重ねると慣れて来ました。
寒い時は、厚手の洋服で対応しました。震える原因が分かり対応すると少し安心します。
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30代 女性 TIKI
震えにも色々あって、記事にあるように環境的に暑い寒い、雷が怖いなど・・・。そして、気を付けなければいけないのが、体調の異変によるサインですね。
犬は言葉が話せない分、飼い主が何が原因か把握しなければいけないと思います。日頃から獣医さんと連携して愛犬の状態を知っておく事が必要ですね。
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30代 女性 きなこ
犬が震える原因には色々あるんですね。お友達のわんちゃんが、車が苦手で長時間乗ってると震える事があります。これは緊張と恐怖が入り交じった震えなのかも。ただ、その子は嬉しい時もブルブル震えるみたいなので興奮の震えもあるのかな?
うちの愛犬は、震えるなんて今までなかったんですが、ある時花火がダメになりそれから花火や破裂音が聞こえてくるとソワソワして震えるようになりました。
震えるくらい怖いんだとわかり、そういう対象には近づけないように努力しています。震えは目に見えてわかるサインなので見逃さない様にしたいですね。
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50代以上 女性 匿名
ヘルニアで下半身麻痺しているせいで前足に負担が掛かるからかよく震えています。そういう時は抱っこして「大丈夫だよー」と言うと安心するのか止まります。デモ痛くて震えている時もあるのかもしれないと勉強になりました。力の入れ過ぎなのか痛いのか判断できる飼い主になれるように頑張ります。 -
50代以上 男性 シロー
いぬが震えてご飯も食べません、こたつに入れておくと治りますが外におしっこに行ってくるとまた震えますお知りにコブがでできていておしても痛がりません、
医師に見せたらガンといわれもう高齢だから手術もできないとの事で
今は布団の中でいびきをかいて寝てます、明日病院に連れて行こうと思います。 -
50代以上 男性 なお
14歳のシーズーと暮らしています。
時々震えているようで色々原因をネットなどで調べましたが理由が分かりません食欲も無いようで心配しておりましたが
背中ににマダニが食いついたまま死んでいました、簡単に抜けました。
服を着せていたせいで気付きませんでした、背中が痛かったのか痒かったのか分かりませんが今は震えもなく食欲もあります。
そういうストレスもあったのかなと、もっと早く気付いてあげるべきでした反省しております。
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40代 女性 キウイ
うちの犬は1年に1度くらいブルブルと小刻みに震えます。震えながらか細い声を出して落ち着かない様子となります。
冬に起きることが多かったため、てっきり寒くて震えているのかと、ストーブの前で抱っこしながら温めていましたが、先日動物病院でたずねたところてんかんの疑いがあることがわかりました。
尻尾を下げて震えながら部屋をぐるぐる歩き回っていると話をしたら、実際に見ていないので確かなことは言えないが、てんかんの症状でそういったことがあるというのです。
子犬の頃からずっと定期的に年1回くらいあったのですが、これまでてんかんだとは思わず、少しすると元気になるので寒さが原因かと勘違いしておりました。
獣医さんからは、今度同じ症状が出たら、スマホで動画を撮影してくださいと言われました。 -
女性 rapa
犬の震えについて考えると、やはり大型犬より小型犬が頭に浮かびます。
我が家でも20kg超えの犬の震えはあまり見ませんが、ミニピン、ヨーキー、チワワなどの小型犬はゴハンの前や、お散歩の前などよく震えています。これは恐らく興奮して震えているのだと思います。
あと、一日中寝ていることの多い老犬も、寝ている時に震えていることがあります。
老犬ということもあり、何かの病気かと心配しましたが、病院では特に問題ないとのことでした。
他に、元野犬の保護犬が人間に慣れるまでの間の震え方はものすごいです。
明らかに、恐怖と戸惑いの表情をしています。
犬は、人間の言葉を話せないけれど、すごく表情豊かでいろんなことを態度で伝えてきますよね。
震えているのを見ると、まず、寒いのかな?病気かな?と心配になりますが、ワンコの環境や状況をよく見て判断していけたらと思います。 -
40代 女性 匿名
ウチの子は超大型犬ですが……
夫婦喧嘩すると、隅でお座りして震えています…… -
女性 匿名
うちの子は、お腹が減り過ぎると震えます。 -
30代 女性 ルールー
うちのチワワは車に乗るのが恐くて、お出かけ前にキャリーに入れるとキャリーまでプルプルが伝わってきます。
あとは最近ですが、散歩の時にハーネスをつけて抱っこすると、プルプルしてます。多分これは嬉しい気持ちの高まりですね。
1人で飼ってるのですが、私の入浴の時間(特にシャワーの音)が苦手らしく、普段は全く吠えないのに入浴中だけ吠えまくります。お風呂に湯を溜めてる間から既にプルプルしてます。
あとはご飯作ってたり、用事してて構えない間にふと見るとプルプルしてます。
これは、愛犬の要望??が通らず、我慢してるからだと思います。
いつもと違うプルプルに要注意ですね! -
40代 女性 匿名
13歳シーズー(女の子)です。1ヶ月前に肺水腫と診断され、検査をしても原因がわからず、投薬で治療していましたが先週二度目の肺水腫が起きました。今度は薬も効かず、4日後に旅立ってしまいました。よく考えると、1度目の肺水腫になってからは食欲も落ち、体の震えが止まりませんでした。この記事を読んで、うちの子は病気からによる低体温だったかと思います。肉球がとても冷たかったのを覚えています。体が限界だったんですね。 -
50代以上 男性 ただ犬
兄の家に花桃の木が植わっているんだけど、たくさんの実をつけて実が落下しました。その実を犬が食べて種の核の部分もガリガリかじって一つ残らず飲み込んでしまい、それが原因で中毒起こしてけいれんを起こしたようです。さすがに犬の命のほうが桃より大事なのは当然で、桃の木は実家に送られ、犬がけいれん起こすことはなくなりました。
桃の木の送料は・・・
それより犬の命のほうが繰り返しますが大事です。
ちなみに桃の木の後にはみかんを植えたようです。
ところでみかんは犬にとって大丈夫なんですかね? -
50代以上 女性 匿名
東日本大震災の時、こちらは震度5強で、経験のなかった強さでした。
娘とワンコ(シーズー)をバッグに入れて、外に避難しましたが、バッグの中でガタガタ震えていました。
娘がシャワーを浴びていて、出る用意が出来るのを待っている間、私も相当あたふたしていましたので、それを感じ取ったのだと思います。
人間の感情にとても敏感なワンコでしたので・・・。
震える原因は次の3つにわけることができます。
①筋肉が小刻みに震えることが原因になる震え
②神経症状から起こる震え
③その他
まず、①ですがこの中には、「低カルシウム血症」「低血糖(インシュリンの過剰投与や栄養が足りないためなどが原因です)」「恐怖などのストレス」「熱」低体温」「筋肉の衰え」などが原因になります。震えるということは、もう限界だという身体からの警告症状とも言え、放置すると命にかかわる場合もあるとも言えます。
②の神経症状ですが、この場合の震えるは神経が正常に働いていなくてコントロールができない状態を言います。脳腫瘍や、脳梗塞、てんかん発作、前庭障害など神経に異常があるために起こります。
③のその他ですが、甲状腺機能亢進症などが考えられます。
このように、起こる症状は「震え」ですが、その原因は多くあります。恐怖から起こる震えは「怖い」という状況がなくなればなくなりますが、状況にかかわりなく常に震えている状態は異常です。できるだけ早く動物病院で診察を受けましょう。
山口大学農学部獣医学科卒業。山口県内の複数の動物病院勤務を経て、ふくふく動物病院開業。得意分野は皮膚病です。飼い主さまとペットの笑顔につながる診療を心がけています。