犬にさんま(秋刀魚)を与えても大丈夫
結論からお伝えすると、犬はさんまを食べても問題ありません。ただし、与える際は必ず加熱調理をし、骨や内臓、頭などの部位は取り除き、身だけを適量与える必要があります。
さんまは犬にとって安全で栄養豊富な食材ですが、食べすぎは脂質過多による消化不良や肥満の原因になります。特に子犬やシニア犬、持病を抱える犬では慎重な対応が求められるため、事前に獣医師へ相談することをおすすめします。
また、初めてさんまを与える場合は、少量からスタートして、体調に異変が起きないか数日間観察してください。問題がなければ、おやつやトッピングとして食事に取り入れることができます。
さんま(秋刀魚)に含まれる栄養素と犬への効果
さんまは栄養価が非常に高い青魚で、犬の健康に役立つさまざまな栄養素が豊富に含まれています。ここでは、犬の健康維持や体調管理に特に重要な栄養素を取り上げ、その具体的な効果を紹介します。
オメガ3脂肪酸(DHA・EPA)
さんまには、オメガ3脂肪酸の一種であるDHAやEPAが多く含まれています。これらには皮膚の乾燥や炎症を抑える働きがあり、被毛の艶や皮膚の健康維持に役立ちます。
また、高齢の犬では関節や心臓の健康維持、認知機能のサポートにも効果が期待できます。
良質なタンパク質
さんまのタンパク質は消化吸収に優れ、筋肉や内臓など体づくりを効率的にサポートします。適量を摂ることで、体格維持や健康な筋肉量の保持に役立ちます。
ビタミンD
さんまに含まれるビタミンDは、カルシウムの吸収を助け、骨や歯の健康維持に貢献します。特に成長期の子犬や骨が弱くなりやすいシニア犬には適量を摂らせたい栄養素です。
ビタミンB群
さんまに豊富なビタミンB群は、食事から摂取した栄養を効率よくエネルギーに変換する働きがあります。犬が元気で活動的に過ごすために欠かせない栄養素です。
このようにさんまには犬にとってメリットのある栄養素が多く含まれていますが、安全かつ健康的に与えるためには、与え方や量についての注意点を守る必要があります。
犬にさんま(秋刀魚)を与える際の量の目安
さんまは栄養豊富ですが脂質も多いため、適切な量を守って与えることが重要です。
一般的に、おやつや食事のトッピングとして与える量は、1日に必要な総摂取カロリーの10%以内が目安です。ただし、脂肪に敏感な犬や肥満傾向の犬は5%以内を推奨します。
以下の表に犬の体重別で1日あたりのさんまの摂取量の目安をまとめましたので参考にしてください。
| 犬の体重 | 1日の摂取量の目安(グラム) | 切り身の目安 |
|---|---|---|
| ~5kg | 10g程度 | 切り身の1/8程度 |
| 5~10kg | 20g程度 | 切り身の1/4程度 |
| 10~15kg | 30g程度 | 切り身の1/3程度 |
| 15~20kg | 35g程度 | 切り身の約1/3強 |
| 20kg~ | 40~50g程度 | 切り身の約1/2程度まで |
特に子犬やシニア犬は消化機能が弱いことがあるため、上記の半分程度の量からスタートし、軟便や嘔吐などがないか体調をよく観察してください。
初めて与える場合も少量から試し、数日間かけて徐々に量を増やしていきましょう。
犬にさんま(秋刀魚)を与える際の注意点
犬にとってさんまは栄養価の高い食材ですが、安全に与えるためには守るべきポイントがいくつかあります。トラブルを未然に防ぐためにも、以下の注意点を必ず確認しておきましょう。
生食NG!必ず加熱・冷凍を
さんまにはアニサキスという寄生虫が潜んでいる場合があります。犬が生のまま食べると激しい腹痛や嘔吐の原因となるため、与える前に中心部までしっかり加熱するか、−20℃以下で24時間以上冷凍してください。
骨は誤飲の原因、完全除去が必須
さんまの骨、特に小骨は硬く鋭く、犬の口内や喉、消化管を傷つける危険があります。与える際には骨をすべて完全に取り除き、安全な身の部分だけを与えるようにしてください。
加工品(味付け缶詰・油漬け)はNG
塩焼きや蒲焼き、味付け缶詰、油漬け缶詰などの加工品は犬にとって塩分や脂肪分、糖分が過剰です。必ず味付けをしていない新鮮なさんま、もしくは食塩不使用・無添加の水煮缶を選びましょう。
頭・内臓は消化不良を起こす
さんまの頭や内臓にはリンや脂質が多く、消化不良や持病悪化のリスクがあります。また、鮮度が落ちると中毒症状を引き起こすヒスタミンも増えやすいため、必ず取り除いて身のみを与えてください。
鮮度が悪いと中毒リスク
鮮度が落ちたさんまにはヒスタミンという物質が増加し、中毒症状(嘔吐、下痢、アレルギー症状)を起こす危険があります。異臭や粘つき、変色したものは絶対に与えず、保存方法や解凍後の管理にも注意しましょう。
持病やアレルギー時は獣医師に相談
腎臓病、心臓病、膵炎、尿路結石などの持病がある犬は、さんまの栄養成分によって症状が悪化する可能性があります。
また、魚類アレルギーの犬では重篤なアレルギー症状(顔面腫脹や呼吸困難など)を起こす場合があるため、事前に獣医師に相談してください。
まとめ
犬は適切な与え方を守れば、さんまを安全に食べることができます。さんまには皮膚や被毛の健康維持に役立つDHA・EPAなどのオメガ3脂肪酸や良質なタンパク質が含まれ、栄養面でもメリットがあります。
ただし、必ず加熱調理または冷凍処理を行い、骨・内臓・頭部を取り除き、味付けせずに身だけを与えることが重要です。犬の体重や体調、年齢によって適切な量が異なるため、少量から始めて愛犬の様子を観察しましょう。
持病やアレルギーがある犬は、与える前に獣医師に相談すると安心です。



