サイトハウンドとは視力と走力に優れた猟犬
サイトハウンドとは、狩猟犬である「ハウンド種」と呼ばれる分類の内、優れた視力で獲物を見つけ狩猟する犬種を指す名称で、「視覚ハウンド」とも呼ばれています。
足も速く、俊敏な動きで獲物をとらえることを得意とし、ドッグレースなどでもその俊敏なかっこいい姿を発揮しています。小さな耳と長い脚が共通の特徴となっています。
「サイトハウンド」と「セントハウンド」の違い
ハウンド種には「サイトハウンド」のほかに「セントハウンド」というグループもあります。
「サイトハウンド」が視覚で獲物を見つける犬種に対し、「セントハウンド」は獲物のにおいを頼りに追跡するハウンドグループです。
嗅覚が鋭いことから別名「嗅覚ハウンド」と呼ばれています。長く垂れた耳を持つ犬種が多いとされています。
サイトハウンドは家庭でも飼える
サイトハウンドは海外では猟犬として実際に活躍している犬種もいますが、日本では猟師の相棒として活躍している個体はいません。
むしろ家庭犬として、のんびりと穏やかな生活を送っている子がほとんどです。
比較的おとなしく、愛情深い個体が多いですが狩猟本能が高く活発な傾向があるため、日頃から遊びやトレーニングなどで身体を動かしてあげましょう。
サイトハウンドは珍しい犬種も多く、基本的にはブリーダーから譲り受ける方法で迎え入れることがほとんどです。
また、サイトハウンドは里親募集をされることもあります。「サイトハウンドレスキューチーム」というサイトハウンド専門里親サイトもあるので、飼いたいという方はそちらも検索してみてくださいね。
サイトハウンドの代表犬種
サイトハウンドに分類される犬種はいくつか存在します。ここではサイトハウンドの代表的な犬種をご紹介します。
サルーキ
サルーキの基本情報
- 原産地
- 中東
- 体高
- 58~71cm
- 体重
- 16~29kg
優雅さと均衡のとれた体つきが印象的なサルーキは大型犬に属します。
力が強く活発で、走る速さとスタミナはサイトハウンドの中でもトップクラスです。3kmほどの距離を時速60~70kmをキープしながら走り抜くことができると言われています。
ボルゾイ
ボルゾイの基本情報
- 原産地
- ロシア
- 体高
- オス:75~85cm、メス:68~78cm
- 体重
- オス:47kg前後、メス:34kg前後
超大型の犬種で、体格は細く引き締まり、がっしりとした見た目が特徴です。
長い絹糸のような美しい被毛のボルゾイは優雅な犬に見えますが、実は最高時速50kmで走り、獲物を俊敏に捕獲することができるスピードハンターでもあります。
サイトハウンドの中でも特に視力が良く、遠くの獲物をすぐに見つけることができる特徴を持った犬です。
女性 50代
ボルゾイ2歳を飼っています。サイトハウンドは走るのが大好きなので、お散歩だけでなくドックランなど走れる場所で思い切り走らせています。
お散歩中に、鳥や猫など動く物を見つけると突然走り出すので、ガン見したら注意しています。
イタリアングレーハウンド
イタリアングレーハウンドの基本情報
- 原産地
- イタリア
- 体高
- 32~38cm
- 体重
- 3~5kg
サイトハウンドの中では小型で、上流階級のペットとして可愛がられていました。洗練されたスレンダーな外見も魅力の一つです。
前足を高く上げながらリズミカルに歩く姿は高貴さが感じられ、前足後ろ足を揃えて飛ぶように走る姿は躍動感があります。
イタリアングレーハウンドの女の子(3歳)を飼っています。鹿のごとくピョンピョン走り回り、動きがかなり素早いです。
その反面、猫のようにベットにもぐり毎日一緒に寝ます。かなりのストーカー気質だと思って下さい。
人の心を読みますし、愛する家族の為にいつも警戒し、たくさんの愛情を注いでくれます。
2歳までは子供で、それを過ぎるとイタズラもしなくなります。あと、食事はガッツきません。
かなり頭良く、日常の動作から全て教えなくても覚えます。匂いを付けたティッシュも「探せ」の合図で探し出します。
視覚ハウンドなのに、地面スレスレに鼻をくっつけて散歩しています。
心配なのは、大きな音などでパニックになると抑えが効かなくなりますから、お散歩の際はリードが離せません。
アイリッシュウルフハウンド
アイリッシュウルフハウンドの基本情報
- 原産地
- アイルランド
- 体高
- オス:79~86cm、メス:71~75cm
- 体重
- オス:54.5~60kg、メス:48〜50kg
筋肉質の力強い体つきと長い毛を特徴に持つ、超大型サイトハウンドです。
アイリッシュウルフハウンドは狼や鹿など、大きな獣に果敢に立ち向かう猟犬ですが、一方で、家ではゆったりのんびり過ごすので「家庭では小羊のようで、獲りの時にはライオンのようだ」と言われています。
ウィペット
ウィペットの基本情報
- 原産地
- イギリス
- 体高
- オス:47~51cm、メス:44~47cm
- 体重
- 9~18kg
中型犬のウィペットは、サイトハウンドの中でも特にバランスが取れた体格が特徴です。
スピードとタフさを兼ね備えているので、「働くために作られたような身体」だと表現されることもあります。
ドッグレースなどのスポーツでは競争心が強く現れますが、普段は争いを嫌い攻撃性があまり出ません。愛情深いので理想的な人間の伴侶犬とも言われています。
ウィペットを飼っている者です。基本的にサイトハウンドは散歩がかなり必要になってきます。しっかり運動させてあげなければいけません。
特にウィペットに関してですが、なるべく褒めて伸ばすしつけが必要です。とても繊細な性格なので体罰などは厳禁です。
小さい頃はやんちゃですが、大人になると置物のように大人しく、ドッグランでの走る姿とのギャップが素敵な犬種です。
ウィペットと暮らしています。他の方も書いてある通り、運動量が必要な犬種になります。
散歩に加え、ドッグランなどで走らせてあげる事もストレス発散になるかと思います!
サイトハウンドをネット等で調べると「運動量が必要だが、比較的に飼い易く、家の中では猫の様に暮らす」とありますが、そればっかりは遺伝や性格なのかなと個人的には思います(笑)
ウィペットやイタグレ短毛犬は、想像していたよりも毛が抜けます。短い毛なのでコロコロでも取りづらいです。あとは、暑さ寒さに弱いので服は着せている方が多い気がします。
走る姿はどの犬種よりも魅力的だといつも感じています!
グレイハウンド
グレイハウンドの基本情報
- 原産地
- イギリス
- 体高
- オス:71~76cm、メス:68~71cm
- 体重
- 27~34kg
眼光鋭く、すらりと均整のとれたスタイルをしたサイトハウンドです。胸部が発達していて肺活量があるので、驚くほどのスタミナを持っています。
持久力だけでなくスピードもあり、ドッグレースでは最速で時速70㎞で走るグレイハウンドもいるそうです。
スパニッシュ・グレイハウンド
スパニッシュ・グレイハウンドの基本情報
- 原産地
- スペイン
- 体高
- オス:62~70cm、メス:60~68cm
- 体重
- オス:25~30kg、メス:23~25kg
スパニッシュ・グレイハウンドは、ウサギやキツネ、イノシシなどの猟で活躍していました。
全体的に小柄で、頭部は長く身幅は狭めで、尾はとても長く筋肉質です。被毛は細い短毛と、堅いセミロングの2タイプあります。
走り出しのスピードはサイトハウンドの中では比較的遅い犬種ですが、トップスピードは時速48kmまで達すると言われています
スルーギ
スルーギの基本情報
- 原産地
- モロッコ
- 体高
- オス:66~72cm、メス:61~68cm
- 体重
- 18~28kg
脂肪が少なく筋肉質で、大変細身な外見をしています。一見「痩せ過ぎでは?」と思ってしまいますが、スルーギはあばら骨が見える状態が健康的な状態であると言われています。
サイトハウンドの中でも、スピードで獲物を追うよりは、持久力で獲物を追い詰めるタイプです。
ディアハウンド
ディアハウンドの基本情報
- 原産地
- イギリス
- 体高
- オス:76cm前後 、メス:71cm前後
- 体重
- オス:38~47kg、メス:29~36kg
100kg級のシカを追い込んでねじ伏せる力があるので、ディアハウンドはシカ狩りをする貴族の間で大変重宝されていました。
大型でパワーがありますが、普段の性格は温厚で優しく、子どもとも仲良く遊べるサイトハウンドです。
実際にディアハウンドを飼ってみると、結構な環境制約があると感じています。
飼いやすい点
食べ物に執着しない、量を食べない、体臭がほとんど無い、抜け毛が少ない、トリミングがいらない、脂っぽくない(3週に1回のお風呂&タオル拭きで十分)、よだれ・泡を吹かない、はしゃぎまわって室内を壊さない、無駄吠えをしない。
用意したい環境
昼間は庭に放し、夜には室内で寝かせられる環境が必要です。
運動について
散歩は朝・晩の30分以上(できれはノーリード)。時々は、お散歩でなく放牧してください。当家では2~3週間に1回は、週末に高原、山中に行き放牧しています。
ドックランでは、サイトハウンドの走り方「ダブルサスペンションギャロップ」は狭すぎて走りきれないです。この犬種は「ドッグランで思う存分に走らせる」は実態に合っていないと感じます。
直線200mでダッシュできる環境が欲しいので、そうなると放牧に行くしかないです。なので、そういう生活ができる地域でないと厳しいです。
その他に、骨格から言って「引き運動」はできない犬種です(体が壊れてしまうので)。
哺乳類ですので、小さい時からの状況でどんな環境でも「そんなもんだ」と犬は納得しますが、せっかくの純血種を飼うのなら、ストレスフリーな環境レベルで無いと、骨格や性格が歪な物になると思います。
サイトハウンドの特徴
サイトハウンドは猟犬として優秀な犬種グループですが、どのような特徴があるのかを解説します。
視界が広い
犬の視野は200~250度と言われていますが、サイトハウンドは270度以上を見渡せる広い視野を持っています。
多くの犬は近視のようですが、サイトハウンドはあらゆる距離のものをはっきりと見ることのできる正視眼を持ち、視界のピント調整力も優れています。
足がとても速い
サイトハウンドは視力だけでなく足の速さも特徴です。これは「ダブル・サスペンション・ギャロップ」と呼ばれる走り方に秘密があります。
ダブル・サスペンション・ギャロップとは、前足と後足をそれぞれ前後に伸ばし、その後四脚を一気に体の中心に戻して背筋をバネにしながら再び踏み出す走法です。
跳躍力としなやかさが感じられる走り方がサイトハウンドのかっこよさの象徴となっています。
穏やかで愛情深い性格
- 素直
- 穏やか
- 優しい
- 賢い
- 判断力に優れている
- 用心深い
- 頑固でマイペース
サイトハウンドはどの犬種も穏やかで落ち着きがあります。物覚えも良く判断力も優れているため、信頼関係ができ上がれば飼い主に対しても聞き分けが良く、良好な関係を築けていけるでしょう。
優しくて、家族に対しての愛情も深く、吠えることもあまりないので家庭で飼う犬としても人気です。
狩猟犬だった頃は単独で行動し獲物を捕らえていたので独立心が強く、時に他の動物に攻撃的になることもあります。個体によってはマイペースで、少し頑固な面もあるようです。
サイトハウンドの飼い方と訓練方法
家庭犬としても人気があるサイトハウンドですが、元々は猟犬として獲物を追いかけていた犬種です。
生活環境やしつけ方など、いくつか気をつけるべき点があります。サイトハウンドと暮らしたいと考えている方は、ぜひ参考にしてください。
生活環境
走ることが好きなサイトハウンドには、自由に走り回れる広い庭があることが理想です。
一方で、室内でゆっくりと気ままに寛ぐことも大好きなので、専用のクッションをやスペースを作り、リラックスできる工夫をしてあげましょう。
しつけ方
サイトハウンドは独立心が強いため、しつけには少し苦労すると言われています。
マイペースに過ごす「猫のようなツンデレ犬」とも言われているので、飼い主さんも忍耐強くしつける根気が必要になりそうです。
もしどうしても難しいと感じたなら、ドッグトレーナーに任せてもよいでしょう。
あまり厳しく叱ると頑固になってしまいますので、できれば褒めて伸ばすしつけを心がけるのがおすすめです。
運動量
スタミナがあるサイトハウンドにはたっぷりとした運動が必要です。朝夕の1日2回、最低1時間程度の散歩が理想でしょう。
狩猟本能を満たしてあげる追いかけっこのような遊びもおすすめします。時にはドッグランなどへ連れて行き、全力疾走させてあげましょう。
首輪とハーネスの選び方
サイトハウンドには、幅広のハーネスを選んでください。
首が長く、短毛で直毛が多いハウンド種の場合、幅が狭いとハーネスの接触部分の被毛が擦れたり、食い込んだりすることも考えられます。
ハウンド専用のハーネスや洋服も販売されているので、そちらもチェックしてみましょう。
小さな動物を見つけると急に飛び出したり、リードを引っ張っりがちなセントハウンドの、狩猟本能を抑えるためにハーネスはとても役立ちます。
ハーフチョークも、飼い主が引っ張ることで適度に首が締まりブレーキがかかるので効果的です。
サイトハウンドの歴史
サイトハウンドが狩猟犬として用いられていた時代、人々に動物性タンパク源のウサギや鹿をもたらす、重要な役割を担ってきたと言われています。
自らの目と足を武器にして獲物を捕まえるサイトハウンドたちは、鉄砲などの武器がない時代、人間にはなくてはならないパートナーでした。
国や犬種によっては「神様からの贈り物」と称され、改良はほとんどされないまま大切にされてきた犬種が多いようです。
中でも中東原産のサルーキの起源は5000年~7000年前とも言われ、「世界最古の狩猟犬」と呼ばれる古代犬種として現代にもその姿が引き継がれています。
まとめ
優れた視力で遠くの獲物を見つける能力を持ち、走る姿が美しいサイトハウンドたちは世界中で愛されています。
スピードが自慢のハウンドや持久力が売りのハウンドなど、走りにもそれぞれ特徴がありどの犬も魅力的です。
サイトハウンドの犬種によっては、国内にはあまりいない犬種もいます。興味を持たれた方はブリーダーなども探してみると良いでしょう。