トリミングナイフとは
トリミングに使う道具といえば「ハサミ」「バリカン」「スリッカーブラシ」「コーム」こうしたものを思い浮かべるのではないでしょうか。実は他にも「トリミングナイフ」と呼ばれる犬のヘアケア専用ナイフがあります。
経験の浅いトリマーの中にはトリミングナイフを使ったことがない人もいる、と言われていて一般的でないイメージがあります。ナイフの形は人用のカミソリに似ています。刃の部分はギザギザのノコギリ刃のようになっていて、粗目の刃のナイフと、細目の刃のものがあります。
これは毛を抜くために使うナイフで、カット用ではありません。アンダーコートを抜く「プラッキング」というケアをするために粗目の刃のトリミングナイフを使い、仕上げやオーバーコートのケアに細目の刃のトリミングナイフを使います。
どんな犬種にトリミングナイフを使ったケアをするの?
一般的に犬には集中的に毛が抜ける時期(換毛期)があります。多くの犬の毛はオーバーコートとアンダーコートと呼ばれる二種類になっていて、換毛期に抜けるのはアンダーコートと呼ばれる皮膚に近い方に生えている密でフワフワの毛です。
犬の中にはアンダーコートがない犬(毛の層がひとつしかないシングルコートの犬)もいて、そのような犬種の場合は定期的に人が毛を抜いてあげる「プラッキング」というケアが必要と言われています。
また、針金のような硬い毛質の犬は定期的に「プラッキング」を行って皮膚に適度な刺激を与えることで、ワイヤー・コートと呼ぶのにふさわしい、硬く美しい立派な毛が生えると言われています。
プラッキングが必要な代表的な犬種
- ジャックラッセルテリア
- ウエストハイランドホワイトテリア(通称ウェスティ)
- ワイヤーフォックステリア
- エアデールテリア
- シュナウザー
- ブリュッセルグリフォン
- ダックスフンド(ワイヤーヘア)
こうした犬種を飼っている方はプラッキングというケアも定期的に行ってあげてください。ナイフの使い方さえ覚えれば自宅でできるケアですよ。
毛を抜く「プラッキング」は痛くないの?
プラッキングで抜く毛は、古くなって抜けかかっている毛です。決して、今、生き生きと生えているしっかりとした毛を抜き取るわけではありません。初めは肌に与えられる刺激に驚く犬もいますが、上手にプラッキングすると嫌がることはありません。
プラッキングすることで不要なアンダーコートがなくなって見た目が美しくなる他、皮膚を健康な状態に保つことができ、適度な刺激で肌が強くなる効果も期待できると言われています。ぜひ、取り入れたいケアですね。
監修トリマーによる補足
プラッキングはプラッキング犬種にとって皮膚や被毛を健康に保つために重要なことです。しかし、成犬になってから気軽に飼い主さまが「健康に良いからしてあげよう」と思って簡単に行えるものではありません。
子犬の頃からバリカンをかけてトリミングを行なっている犬の被毛は柔らかくなっています。その状態から急に毛を抜くことは当然、痛みを伴います。ですので、プラッキングを行う場合は子犬の頃から始め、硬い毛を育てる必要があります。もし成犬でプラッキングを行いたい場合は、プラッキングを専門に行なっているサロンで相談することをお勧めします。
自宅でできるトリミングナイフでのプラッキングについて
荒目の刃のトリミングナイフを準備します。必ず体調がよい時に行い、プラッキング前にブラッシングをして毛に絡まったゴミなどを取り除いておいてください。
プラッキングはトリミングテーブルや作業台の上で行います。動いてしまう犬の場合は、ケアの最中、怪我をしないように保定してくださいね。抜いた毛が散乱しないように、大きなゴミ袋を手元に準備しておくとよいですよ。
プラッキング方法と注意点
- トリミングナイフ(粗目の刃)の柄を握り、親指の腹と刃の腹の間に毛先を挟む
- 犬の体と平行に引っ張る
- 毛を掴む場所を少しずつずらしていきながら、全身の古い毛を抜いていく
皮膚を傷付ける恐れがありますので、刃は絶対に犬の体に向けないでください。また、手首を捻って刃を天井に向けて引くのも止めましょう。皮膚や毛穴に強い力が掛かって傷付けてしまいます。
抜けそうな古い毛を抜く作業なので強い力は要りません。自分の指や犬の体を傷付けないよう、刃の方向に注意しながら慎重に少しずつ抜いてください。あくまで毛を引き抜くのであって、カットはしないでくださいね。
トリマーにプラッキングを依頼した場合、やはりハサミやバリカンを利用した通常のトリミングの倍の時間と比べて倍ほどの時間がかかります。ご自宅で行う場合、慣れないうちは感覚を掴むために比較的抜き易い背中で練習するとよいですよ。
また、お腹やお尻は肌が敏感で痛がる可能性が高いので、犬と飼い主両方がプラッキングに慣れてからがよいと思います。なお、プラッキングの後は毛穴が開いた状態になっているため「シャンプーをして皮膚を清潔に保った方が良い」と言われています。
しかし敏感な状態になっている肌に刺激を与えるのはよくない、という意見もあります。犬の皮膚の状態によりますが、シャンプーする場合は低刺激のものを利用し、泡が残らないよう完全にすすいでドライヤーで乾燥してあげてください。
トリミングナイフに関するまとめ
ナイフで犬の毛を抜くなんて、なかなか聞かないかもしれません。ですが、犬種によっては大切で有益なケアです。トリミングナイフを握るのは不安かもしれませんが、使い方さえ覚えればドッグサロンに行かなくても自宅でケアが可能です。犬も自宅の方がリラックスできますよね。
継続的にプラッキングしていると、プラッキングを行なっていない犬より美しく活き活きとした毛艶になってくると思います。より美しく健康的な皮膚を手に入れるためにもチャレンジしてみてはいかがでしょうか。
ユーザーのコメント
30代 女性 もこじ
30代 女性 TIKI
20代 女性 すず
30代 女性 ミニー
普段のお手入れで精一杯なのでとりあえず今のままのお手入れを継続しようかと思います。
30代 女性 Chappy
私はたまにカット用のハサミでカットはしてあげるのですが、トリミングナイフは初めて見ました。
ブラッシングしながら古い毛を抜いていくという感じなのでしょうね♪
古い毛は、取り除いてあげないとこれからの時期暑いし、古い毛があることで毛が汗がたまりやすくなるので、皮膚を清潔に保つためにもケアは必要ですね。
20代 女性 匿名
一度でもバリカンを当てた子には負担が大きすぎる事、成犬になってからプラッキングは出来ない事を冒頭に分かりやすく書いて頂かないと誤解を生むと思います。。
40代 女性 匿名
近所にはジャックラッセルが沢山いますが、プラッキングをしているのはうちだけで、皆さん殆どカットやバリカンのようです。続けていくうちに、毛質の違いが出てきているように見えます。はじめてのトリミングからプラッキングを薦めていただいて良かったと思います。
40代 女性 ぱん
そのときには、トリミングナイフを使っています。
プラッキングで抜ける毛はいらない毛ですので、愛犬は全然痛そうな顔をせずいい子にやらせてくれますが、時間が長くなってくると飽きるようです(笑)
少し高めの台の上に乗せて行うのが一番安定すると思います。
抜いていくうちに、次々といらない毛が抜けていくので結構速いペースで終わりますよ。
プラッキングをするのとトリミングで切ってしまうのとは、その後の毛質が全然違くなることが分かります。
ハサミで切ってしまうと、せっかくの硬い毛が徐々に柔らかくなってしまいますが、
毛を抜くと毛の生え変わりのサイクルが一番初めに戻るので、また元の硬い毛が生えてくるのです。
プラッキングで被毛を抜くことにより、その犬種本来の毛質が保てるだけでなく、皮膚も強くなって更に皮膚トラブルの予防にもなるので、面倒であってもケアはしてあげたいですね。
プラッキングを行っているサロンはまだまだ少ないと聞きます。
技術が必要な為、カッティングに比べると難しいのかもしれません。
飼い主さんが行うのが犬にとっても一番安心すると思いますので、自宅で試してみることをおすすめします。
30代 女性 みつばちマーチ
我が家では4歳頃にはじめて、サロンでプラッキングをさせました。が、それから数回行なう内に、断固としてそのサロン・トリマーさんを拒否、無理矢理抱えていっても翌日に下痢をする等、明らかに状況が悪く、別のサロン・トリマーさんに依頼するようになってからは、持ち前の元気さで乗り越えてくれています。
プロのトリマーさんに委ねてもこんな具合ですので、自宅で出来れば理想ではありますが、出来ないことを無理までしなくてもいいのかなぁと思います。
30代 女性 テンのかーちゃん
女性 きつね
40代 女性 匿名
又プラッキング中の時間は犬とのスキンシップの時間であり 特に信頼関係の執拗な
ジャックは大変有効なトリミングです。
っと ブリーダーさんがおっしゃってました。 我が家も月一回のプラッキング行なっています。
皆さんも是非トライしてみて下さい。
意外と簡単ですよ!