歯磨きが命を左右する! 虫歯や歯周病によるリスクを知ろう!

【獣医師監修】歯磨きが命を左右する! 虫歯や歯周病によるリスクを知ろう!

実は3歳以上の犬の8割以上が口腔トラブルを抱えていると言われています。口臭が気になる、虫歯になるだけでは済まない犬の口腔トラブルとオーラルケアについてご紹介しましょう。

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記事の監修

山口大学農学部獣医学科卒業。山口県内の複数の動物病院勤務を経て、ふくふく動物病院開業。得意分野は皮膚病です。飼い主さまとペットの笑顔につながる診療を心がけています。

口を開けた犬

長寿の秘訣はデンタルケアにあり!

歯磨きを3日さぼると歯石になる!?

愛犬の口の中を見てみてください。
歯の根元が赤く腫れていたり黄色くなっていませんか?
それはお口のトラブルが既に発生している状態です。

近頃は様々な種類のドッグフードが販売されていて、ドライタイプのドッグフード以外にも、水分量が多く柔らかい半生タイプ、缶詰やレトルトといったウェットタイプがあり、そちらの方が人気です。

また、おやつの種類も豊富で、クッキーやパン、ドライフルーツ、肉と小麦粉などを混ぜた柔らかいスティックタイプなどがあり、ついついあげ過ぎてしまうケースも少なくありません。

比較的柔らかい食べ物を頻繁に口にするようになった結果、口の中に食べかすがたまり易くなってしまいました。
そして、食べかすは雑菌のエサになります。
増殖した雑菌の塊を歯垢と呼び、これが石灰化して石のようになったものが歯石です。 

犬の場合、歯石は3~5日でできると言われています。最低でも2~3日に1回は歯磨きをして除去してあげなければ、すぐに歯石ができてしまいます。

歯石がたまるとこんなことに!

歯肉炎を発症する

歯と歯の根元(歯肉)の間にはわずかな隙間があります。
この隙間に食べかすが溜まると、そこで雑菌が繁殖し、雑菌が増えると歯肉が炎症を起こして腫れます。
これが歯肉炎と言われる状態です。

歯肉炎になると痛みが起こり、吠えたり、イライラした様子を見せたり、硬い食べ物を嫌がったりします。
また、歯肉が腫れると歯と歯肉の隙間が広がります。
一旦隙間ができると、より深い場所まで隙間ができてしまい、食べかすが溜まり易くなってしまいます。

この深い隙間を歯周ポケットと言います。
歯周ポケットができるとさらに食べかすが溜まり易くなり、悪循環になってしまいます。

口臭がきつくなる

歯周ポケットができるとその中で雑菌が繁殖し、膿が溜まります。
このため口臭がきつくなります。
また、歯肉が赤黒くなり出血するケースもあります。
こうなると食事が苦痛になったり、触れられることを極端に嫌うようになり、お口のケアがとても難しくなってしまいます。

歯周病を発症する

歯周病が進行すると膿の量が増え、歯がぐらつき始めます。
また、炎症が鼻腔まで広がると鼻水やくしゃみなどの症状が出ます。

増殖した雑菌が出す毒素で歯が溶け、歯の中心部(歯髄)まで溶かされると歯髄や神経が侵され、血管の中まで雑菌が入り込んで全身に広がる危険性があります。

こうなると歯が抜けたり、折れたりするため食事ができなくなります。
酷いケースでは飼い主が流動食を喉の奥へ流し込んでやらなければならず、介護が必要になってしまいます。
また血管から雑菌が全身に広がることで、全身性の病気を発症する場合もあります。

手術室

治療には全身麻酔が必要

人は口を開けたまま長時間動かずにいられるので、歯石除去は比較的簡単に行うことができます。

しかし犬はそれができません。

歯石除去で大切なことは、歯周ポケットの中をそうじすることです。
歯に付いた、見える範囲の歯石を除去するだけでは歯周病を治療することはできません。
歯周ポケットのそうじをしている時に犬が動くと歯肉を傷付けてしまいます。
このため犬の歯石除去には全身麻酔が必要になります。

  • 麻酔をする。
  • 超音波スケーラーという道具で歯石や歯垢を削り取る。
  • 歯周ポケットの中の歯垢を取る。
  • 食べかすが付きにくい歯にするため、歯の表面を磨く。

歯石除去は以上のような処置を行います。
費用は診察料、手術前検査料、麻酔代、技術料、術後経過観察のための入院費、投薬費などで1~3万円程度と言われています。

ただし、歯石の量や歯周病の進行状態によってはレントゲン撮影、歯肉の切開、抜歯などが必要になり、追加で費用が掛かります。

麻酔によるリスクがあるため、老齢犬や持病がある犬、肥満傾向の犬などは獣医師とよく相談した上で処置してもらってくださいね。

無麻酔での歯石除去もありますが、これは歯周ポケットのケアをしないケースが多く、また犬によっては処置してもらえない場合があります。
自宅でケアできる、というデンタルケアグッズもありますが、進行した歯周病には効果が期待できない場合が多いので注意が必要です。

歯磨きトレーニング

歯ブラシ

 歯磨きトレーニングは永久歯に生え変わる前から始めてください。
できるだけ早くから始めることが成功のカギです。

Step 1 口に触れても嫌がらない子にする

口に触れられることを嫌がる犬は意外に多いものです。
口を掴まれることは相手の方が優位である(相手に服従しなければならない)ということになるので、嫌がったり、抵抗するのはふつうかもしれません。

しかし、飼い主の指示を聞かなければならない、ということを覚えさせるためにも、子犬の頃からスキンシップの一環として口の周りに触れるようにしてください。

Step 2 唇をめくる。歯を剥き出しにする

口に触れても大丈夫になったら、唇をめくってみてください。
歯を剥き出しにし、歯にふれてください。
これができるようになると、お口のケアがグッと楽になります。

Step 3 ガーゼで歯を拭いてみよう

最初から歯ブラシを使うと「オモチャと勘違いしてボロボロにする」「歯肉に毛先が当たって痛い(痛みを覚えてしまう)」ということがあるため、まずガーゼを使い「ごはんの後に歯を磨く」という習慣を身に付けます。

最初は、ガーゼで歯を拭かせてくれたらご褒美のおやつをあげる、という方法でも構いません。
また、美味しい味の歯磨き粉を使っても構いません。とにかく、習慣を身に付けてください。

Step 4 歯ブラシを使う

ご褒美のおやつがなくてもガーゼで歯を拭けるようになったら歯ブラシの出番です。
子供用の小さくて柔らかい歯ブラシを使います。

最初は一本から始めます。一本できたら盛大に褒め、少しずつ本数を増やします。
手早く、短い時間で歯磨きを済ませるようにしましょう。
慣れるとリラックスした状態で歯周ポケットのケアもできるようになりますよ。

まとめ

犬のオーラルケアは根気が必要です。
焦らず、少しずつトレーニングするようにしてください。
歯磨きトレーニングがなかなか進まなくても、毎日、ほんの少しずつでいいので練習しながら、食べかすをぬぐい取れるようなオモチャや、歯磨き効果があるガムを利用してケアを続けてください。

歯磨きで愛犬の口の中を清潔に保ち、大切な家族が自分の歯で一生美味しくごはんが食べられるよう頑張ってくださいね。

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