犬の目やにができる仕組みと原因
犬の目やにが出る原因には、そもそもどんなものがあるのでしょう。
人間の視力でいうと0.3程度の視力しかないと言われる犬。けれど、それでも犬の目は外界の様子を知る上で非常に重要な役割を果たしているため、目やにの原因を知って、参考にして頂ければと思います。
犬の目やにができる仕組み
犬に目やにができる原因の一つには、老廃物や目の表面についたゴミ、ホコリなどが固まったことでできる分泌物があります。
通常は瞬きをする過程で涙と一緒に流れ出るものですが、人間同様、起床時といった瞬きをしない時間が長かった場合などは、そのまま目やにとして残っていたりすることがあるのです。
基本的に上記の場合の目やには生理現象のものなので、少量であれば気にする必要はありません。
短頭種に属する犬種は目が大きく、目のトラブルに合いやすいため、好奇心が旺盛なフレンチブルドッグなどは子犬の時期に限らず、目にケガをしないよう注意してあげてください。
また、年を重ねて老犬になった場合、新陳代謝の影響や涙の量の減少によって老廃物を流し出すことができなくなる場合があり、目やにの量が多くなる可能性があります。こちらも注意してあげましょう。
病気や傷が原因で目やにが出る場合もある
先程目やにのできる仕組みは生理現象のものとお伝えしましたが、目やにのできる原因の二つ目に、細菌やウイルスなどが侵入した際の免疫機能の一つとして分泌されることが挙げられます。
愛犬が前足を使ってしきりに目を擦って痒がっていたり、痛みが出ている場合、目やにに粘りや臭いが出ている場合、それらの主な原因はウイルスや細菌の可能性が高いです。
また、ウイルス性や細菌性の場合、目やにの色にも変化が生じます。
白・黒・茶色の場合
これらの色をした目やにについては、基本的に心配はいりません。生理的なものであることが多いため、角膜を傷つけないように優しく拭き取ってあげてください。
黄色・黄緑色の場合
目やにが黄色や黄緑色をしている場合、ウイルスや細菌による感染症の可能性が考えられます。
目やにが黄色や黄緑といったこの状態は膿として外に出ている状態で、粘着性があるものです。目の異常が生じていますので、早急に獣医師さんに相談してください。
緑色の場合
緑色をしている目やには、黄色や黄緑同様、目の病気が疑われる際に見られます。
ただし緑色の目やには、先程膿として外に出ていた黄色や黄緑色と違って、犬の免疫力により菌を死滅させ、その際に膿として排出された場合に多いです。
とはいえ油断は禁物で、目が充血していたりするのであれば、獣医師に診せるようにしてください。
赤色の場合
目やにが赤くなっている場合、この場合は目やにというよりも目の出血が疑われるため、早急に獣医師の診察を受けることをおススメします。
目やにが出る犬の病気
では、目やにが出る場合の犬の病気にはどんなものが考えられるのでしょうか。
傷により起こりやすいものから、合併症により起こる病気まで様々あるので、いくつかの例をご紹介します。
- 結膜炎
- 角膜炎
- マイボーム腺炎
- 逆さ睫毛
- 白内障
結膜炎
結膜炎は目を守る膜組織の炎症を言います。犬の病気では最もよく見られる病気で、ウイルス性や細菌性の結膜炎の目やにには黄みがかった色になります。
また、結膜炎の症状が片目だけの場合、物理的なものが多く、両目に現れた場合には、感染症やアレルギーなどの全身性の病気が原因であると考えられています。
角膜炎
外傷や異物混入、あるいは細菌やウイルス、真菌等の感染により角膜に炎症が起こるものを角膜炎と言います。角膜は5つの層からなり、どこにどの程度の炎症ができたかによって病名が違ってきます。
角膜炎は痛みが強く、治療のため点眼するだけでも痛みを生じます。そのため、犬は目を気にする動作を頻繁に繰り返してしまうので、角膜炎と診断された場合は、エリザベスカラーを付けて搔かないように対処しましょう。
マイボーム腺炎
マイボーム腺炎とは、眼瞼(まぶた)の縁にあるマイボーム腺という分泌腺が細菌感染などにより閉塞し、分泌物が貯留、炎症を起こす状態のことを言います。
一か所で炎症を起こす場合もあれば、同時に複数個所で炎症を起こす場合もあり、また、アレルギー体質の犬に発症しやすい傾向があると言われています。
まぶたの縁が赤く腫れあがり、二次的に目を開きづらくなったり、目やにや涙が多くなり、痒みを伴うことも多いため、早めの対処が必要になります。
逆さ睫毛
逆さ睫毛とは、本来外側を向いている睫毛が眼球に向かって生えることで、眼球を刺激し、角膜や結膜の炎症を起こすことを言います。
逆さ睫毛の原因はほとんどが生まれつきのものと言われており、予防法としては逆さ睫毛による結膜炎や角膜炎予防のための点眼などが挙げられます。
白内障
目の水晶体の一部、または全体が白く濁る病気のことを白内障と言います。進行すると視力低下が起こり、最悪失明に至ることもある病気です。
白内障には先天性のものと後天性のものがあり、基本的には後天性の方が多いようです。
また、他にも白内障の原因には糖尿病や、外傷による合併症などでも起こることが分かっています。
犬の目やにのケア方法
目やにを取る準備
それでは、目やにを取る際にはどんな準備が必要なのか、下記の点に注意しながら見ていきましょう。
- 目やにが固まっている時は、ホットタオルや湿らせたガーゼでふやかす
- 涙やけでケア用品を使う際は、無香料のものや天然成分のものを選ぶ
目やにを取ると一言に言っても、目やにの状態によっては動物病院を先に受診した方が良い場合もあるので、落ち着いた行動を心掛けてください。
犬が痛がらないように目やにを取るコツ
本来、犬の目やには健康であればほとんど出ないのが正常です。もちろん、気候の変化によっては健康であっても少し目やにが出たりする場合はあります。
では、目やにを取るコツにはどういったものがあるのでしょう。いくつか例をご紹介します。
- 湿らせたコットンやティッシュを使う
- 固まった毛を梳く時はノミ取りコームを使う
コットンなどを湿らせる際は少し湿らす程度にし、その角をそっと当て、引くようにすると目やにの水分をコットンが吸収します。
また、固まってしまった毛を梳く場合も、ふやかした後に目頭から鼻先へ梳くように意識してあげると、目やにと一緒に絡まりも取れるでしょう。
犬が目薬を嫌がる場合の対処法
犬が目薬を嫌がる理由
犬が目薬を嫌がる場合、いくつか理由があります。
例えば、過去に目薬をさそうとして暴れた時に、無理やり押さえつけられたことがあった、顎や頭を固定されるのが嫌だったなど、犬が目薬を嫌がる理由は様々です。
では、犬が嫌がらずに目薬を差す方法にはどのような方法があるのでしょうか。
目薬を上手にさす方法
犬に目薬をさす際は、真正面にしゃがんだ状態でさすのは避けましょう。
犬は自分の目線に人間がしゃがむと怖いと感じる場合があり、警戒してしまいます。
目薬を差す時は、後ろから犬の顎に手を回し、軽く顎を抑えたら、顔を上に向かせ、目薬の先端が犬の視界に入らないように注意しながらさしてみましょう。
どうしても目薬がさせない時には
犬がどうしても嫌がって目薬をさせない時の対処法として、動物病院の先生にお願いするのも一つです。
通常何かしら目にトラブルが生じた場合は、目薬と一緒にエリザベスカラーも貸し出してもらえるはずなので、エリザベスカラーを嫌がらないのであれば、それを付けましょう。
一方でエリザベスカラーが苦手な犬には、前足に包帯を巻き、目を擦っても傷が付かないような工夫が必要です。
また、眼軟膏を使うという手もあります。こちらは点眼薬と違い、頻繁にささなくて良いという利点があるので、選択肢に加えてみるのも良いでしょう。
犬に人間用の目薬を差してもいいの?
動物病院で扱っている目薬のほとんどは、人間用と言われています。目やにや充血が病的なものでなく、ホコリやごみを取り除く一時的な応急処置として使うなら、使用しても問題ないでしょう。
ただし、市販で売られている目薬の中には清涼感のあるものや、刺激性の強いものもあるため、そういったものは避けましょう。
もし人間用の目薬を使用するのであれば、子供用の目薬や、人口涙液のような乾燥を防ぐための防腐剤の入っていない目薬を選ぶようにしましょう。
まとめ
犬の目やにの種類や状態は、時に見過ごせない状態のものも多く存在します。
全身の健康状態などは目に反映されることもしばしばありますので、日頃からの愛犬とのスキンシップやケアは、忘れないようにしたいものですね。