犬の乳歯遺残とは?
人間の子どもと同じように、子犬は乳歯が抜けた後、永久歯と呼ばれる歯が生えるようになっています。しかし、中にはきちんと乳歯が抜けないまま永久歯が生えてしまう乳歯遺残(にゅうしいざん)となってしまうことがあります。
乳歯遺残の中でも特にそのまま残りやすい乳歯が犬歯です。犬歯は他の歯に比べて根元がしっかりしているため抜けにくく、そのまま残っている状態にもかかわらず、新しい永久歯が生えてきてしまうことが珍しくありません。
乳歯遺残をそのままにしてしまうと、歯並びが悪くなってしまうため、歯石ができやすくなってしまったり、歯の病気にかかってしまう恐れがあります。
また、歯並びが悪くなってしまったり、乳歯の犬歯部分が残ってしまうことにより、口の中を乳歯や並びの悪くなった歯によって傷つけてしまうリスクも考えられます。乳歯遺残はそのまま放置しておくべきではないのです。
犬の乳歯遺残の原因
では、子犬が乳歯遺残となってしまう原因は何なのでしょうか。はっきりとした原因は解明されていませんが、小型犬に多い傾向から、遺伝や顎の狭さが原因だと考えられています。
子犬の歯の生え変わりは、生後5ヶ月~10ヶ月の間に完了するのが一般的です。そのため、この時期を過ぎても乳歯が残っている場合は乳歯遺残の可能性が高くなります。
生後5ヶ月に入る頃になると、歯がかゆい時期に入りますので、硬めのおもちゃなどを与えてグラグラとした歯が抜けるように誘導させるのも良いでしょう。
しかし、乳歯と永久歯の違いがわからないという飼い主さんも少なくありません。乳歯と永久歯の見分け方のポイントは歯の本数と大きさです。大きさに関しては永久歯に比べると乳歯は小さく細いため、一目でわかります。
また乳歯は上下14本ずつの計28本、永久歯は上が20本、下が22本と計42本です。したがって、1歳を過ぎるあたりになっても歯の大きさがバラバラである、歯並びがガタガタである場合は乳歯遺残が考えられます。
先ほどもお話ししたように、乳歯がそのまま残ってしまう状態を放置してしまうと、歯並びが悪くなってしまったり、口の中を傷つけてしまう恐れがありますので、事前に予防法を試したり、乳歯遺残の場合は病院で処置してもらいましょう。
犬の乳歯遺残の症状
もしも子犬が乳歯遺残になってしまった場合、具体的にどのような症状が現れるのでしょうか。症状を知っておくことで、乳歯遺残に陥ってしまっていないかどうかを判断することもできます。
まず歯周病の原因となる乳歯遺残は口臭が気になったり、食べ物を食べた後に口内を観察すると多くの食べかすが歯と歯の間に挟まっていることがあります。
これが第1の症状と考えましょう。日頃から歯磨きをしたり、観察したりしていると異変に気付きますので、10ヶ月~1歳過ぎは特に注意して観察するようにしましょう。
また、乳歯が残った状態で永久歯が後ろから生えてきてしまうため、乳歯や永久歯が歪んでしまうこともあります。また、乳歯が折れてしまうこともあります。折れるだけではなく歯髄(歯の中心部にある血管や神経が通っている部分)に感染が起こると腐ってしまうこともあるため、この場合は早めの処置が重要となります。
犬の乳歯遺残を見分ける為のポイント
犬の乳歯は上顎・下顎合わせて28本あります。生後5か月前後から永久歯が生え始めます。永久歯が生えたからといって乳歯がすぐに抜けるわけではなく、切歯および臼歯は数日間、上顎・下顎の歯は1週間前後併存する期間を挟みます。
生後7ヶ月前後には乳歯が抜け永久歯の生え変わりが完了し、上顎・下顎合計で42本の歯が口内に存在することになります。生え変わり終わってから1週間の併存期間を過ぎても42本以上歯がある場合は乳歯遺残の可能性が高いです。
犬の乳歯遺残の治療法
では、もしも愛犬が乳歯遺残である場合、どのように対応すれば良いのでしょうか。まず自己判断で無理矢理乳歯を抜こうとするのはやめてください。途中で欠けてしまい、より抜けにくくなってしまう恐れや口の中を傷つける恐れがあるからです。必ず病院へ連れて行き、獣医さんに処置してもらいましょう。
基本的に乳歯遺残の治療方法は、犬に全身麻酔をかけた後に残ってしまった乳歯の抜歯をする方法が一般的です。犬の場合は体を動かしてしまったり、恐怖から暴れてしまう子が大半です。したがって、部分麻酔では施術をすることが難しいため、全身麻酔をする必要があるのです。
抜歯時期についてはそれぞれのご家庭によって異なりますが、一般的には1歳を過ぎても乳歯が抜けていない場合、抜歯をしてもらうケースが多いです。中には7ヶ月を過ぎたあたりで病院へ行った際、抜歯を推奨されるケースもあるようです。
犬の乳歯遺残にかかる治療費用
では、この抜歯施術はどのくらいの費用がかかるのでしょうか。飼い主としては気になるポイントですよね。
一般的に施術前の診察や検査費用に加え、麻酔代、施術費用を合わせた金額となります。平均で5万円前後となりますので、抜歯を検討する場合は5万~6万円を用意しておくと安心です。
また「ペット保険に入っているけれど、抜歯施術は保険が適用されるの?」という疑問を持つ飼い主さんも多いですが、基本的に病気ではない場合の抜歯は保険適用外となってしまいます。そのため、自費で5~6万円の費用を負担することがほとんどです。
少々飼い主にとっては高い出費となってしまいますが、愛犬が今後健康に美味しく食事を楽しめるよう必要な出費です。乳歯遺残を医療費が高いからと放置するのはやめましょう。
犬の乳歯遺残の予防・対策法
犬が乳歯遺残となる原因は遺伝的要因という説がありますが、詳細は定かになっていません。そのため、どの犬種でも乳歯遺残を引き起こす可能性があり、発生を防ぐことは困難とされています。
乳歯遺残による犬への影響を最低限に予防するためには、生え変わりの時期から定期的に犬の口腔内を観察することが大切です。万が一、乳歯遺残が発覚した場合は飼い主さんの手で抜こうとするのではなく、必ず動物病院に相談し、歯科手術にて抜歯してください。
乳歯遺残になりやすい犬種
乳歯遺残の原因は未だにハッキリとは解明されていないものの、チワワやトイプードルと行った小型犬が乳歯遺残になりやすい傾向があるということはわかっています。
前述したとおり、なぜ小型犬に乳歯遺残になってしまう犬が多いのかというはっきりとした理由は判明していませんが、一説によると他の犬種に比べて体格が小さく、それに伴い顎部分の骨格が狭いことから乳歯が抜けにくいと言われています。
しかし、これはあくまで一説に過ぎません。なぜ小型犬に乳歯遺残が多いのかは、今後の研究などで明らかになることでしょう。小型犬を飼っている飼い主さんは、特に乳歯遺残になっていないかを生後7ヶ月~1歳頃には注意深く観察するようにしましょう。
まとめ
いかがでしたでしょうか。乳歯遺残は人間の子どもと同じように子犬にも十分起こり得る症状です。乳歯遺残をそのまま放置してしまうと、乳歯が割れてしまい抜歯しにくくなってしまったり、飛び出た乳歯や歯並びの悪さによって口の中を傷つけてしまう恐れがあります。
今回ご紹介したように、乳歯から永久歯に生え替わる時期は生後5ヶ月から1歳前までが一般的です。そのため、生後7ヶ月頃から口の中の様子を観察し、1歳を過ぎても抜けていない乳歯がある場合は病院で抜歯してもらうようにしましょう。
抜歯は基本的に自費となってしまうため、5~6万という医療費がかかってしまいます。しかし、乳歯遺残をそのまま放置してしまうと、将来歯周病になってしまったり、そこから違う病気を併発してしまう恐れもあります。したがって、乳歯遺残はしっかり治療してもらいましょう。
ユーザーのコメント
女性 mocmoc
獣医さんに診せたところ、根本がしっかりついたまま後ろから歯が出てきてしまったのでこのまま自然に抜けることは難しい、もしかしたら手術で摘出するようになるかもしれないと言われ、不安になりました。手術は全身麻酔になるのでリスクも高いです。
乳歯遺残は残ってしまうと後ろの永久歯にも悪い影響しかなく、噛み合せが上手くいかなければ食事もうまくとれなくなってしまいます。丸飲みばかりするようになると消化にも悪いです。
幸いにして、愛犬の歯は噛むおもちゃで遊ばせていた時にぐらつき始め、無事に生え変わりました。乳歯遺残は小型犬、特に短頭種に起こりやすいと言われています。歯の生え変わりの頃にはなるべく噛むおもちゃや引っ張り合いなどをして、抜けやすくしてあげるといいと思います。
女性 nana
犬種はアメリカン・コッカー・スパニエルです。
乳歯が残り、抜歯となった場合には、麻酔をかける必要があるので、麻酔のリスクを考えると、それは避けたいと思い、毎日ガムなどの硬いものを噛ませました。
しかし、ただ与えるだけだと奥歯で噛んでしまい、肝心の乳犬歯に当たらないので、長さのあるガムを選び、手で持ったまま噛ませるようにしました。
しばらくすると、少しグラついてきたので、そこからはガムの他に、乳犬歯を指で摘んで、痛くない程度に揺らすようにしていました。
おかげで一才直前に、無事抜けました!
他の歯に影響が出る前に抜けたので、本当によかったです。
人間もですが、歯は一生ものなので、子犬の頃からきちんとチェックしてケアしていくことが大切なのだと思いました。
女性 匿名
もう 抜歯するしかないのかなぁ、と悩んでしまいます。
女性 みーたん
20代 女性 匿名
30代 女性 匿名