犬に白髪が生える仕組み
メラニン色素が作られなくなると白髪になる
犬も人と同じで、毛色はメラニン色素の種類と量で決まります。このメラニン色素の生成が低下したり、毛根にある毛を作る細胞へのメラニンの供給が不足することにより、白髪になるのです。
メラニン色素不足は体調管理に関係している
メラニン色素が不足する、供給不足が起こる原因は、栄養不足・血行不良・ホルモンバランスの崩れなどが関係しています。次の項目では、メラニン色素の作られる量が減ったりうまく行き渡らなくなって白髪が生える原因についてご紹介します。
犬が白髪になる主な原因とは?
前項でメラニン色素の作られる量が低下することで、または作られたメラニン色素が毛を作る細胞に、うまく供給されないことで白髪ができることがわかりました。
それでは、どんなことが原因でメラニン色素が不足してしまうのでしょうか?ここでは、白髪ができる原因についてご紹介します。
- 加齢による老化
- ストレス
- 栄養不足
- 血行不良
加齢による老化
加齢による老化で、メラニン色素を作る細胞の働きが弱まり、色素が少ない毛や白髪になったりします。一般的に犬の加齢による白髪は、口周りを始めとした顔周りから生えはじめます。
目の周り、ヒゲ、まつげまで、いつも見ている顔なのですぐに気付きやすいです。また、足先や肘、お腹周りなども白髪が最初に出やすい部位です。
白髪が増えていくと、背中周りにも次第に広がっていきます。ふと愛犬の1歳や2歳の頃の写真と見比べた時に、白髪が増えたなぁと、実感することもあるでしょう。
白髪が生えてくるのは何歳から?
犬種や環境によって異なりますが、白髪が生えはじめるのは6歳から8歳あたりが多いようです。身体機能が衰え始め、徐々に老化が始まる高齢期に差し掛かる時期です。人間の年齢で換算すると40代からその後半に相当します。
ストレス
加齢に次ぐ犬の白髪の原因は「ストレス」と言われています。ストレスを感じると、ホルモンや神経系の働きによって、白髪が生えることにつながるそうです。
犬におけるストレスと白髪の関係についての科学的な研究結果はありませんが、犬でもストレスによって白髪が生えると考えられています。犬のストレスになる出来事には、以下のようなものがあります。
運動不足
性格や犬種にもよりますが、満足のいく散歩量になっていなかったり、運動不足になるとストレスになります。愛犬との散歩量は足りているのか、運動不足になっていないか見直してみましょう。
環境が変わった
引っ越し等で住まいが変わると、犬によっては強いストレスを感じるようになります。また、飼い主さん宅に赤ちゃんが生まれる、あるいは新しい犬や猫といったペットが加わるというように、家族構成が変わる事を苦手とする場合があります。
さまざまな騒音
家の近くで工事が始まったり、テレビやラジオ等の機器が犬の生活スペースにある、などといった騒音でも犬にとってはストレスになることがあるでしょう。いま一度、みなさんの愛犬のケージや生活スペースに大きな音が出る物が置いていないかチェックをしてみましょう。
また、家の中では変わったことはないのに眠りが浅かったり落ち着かない様子があったりする時には、騒音や振動を出す工事や引っ越し業者の出入りなど、近所で変わったことがなかったかも気にしてみましょう。
栄養不足
メラニン色素の原料であるチロシンが不足したり、その他の栄養素が不足することも、白髪の原因になることがあるようです。
血行不良
血行不良により、栄養素がうまく毛根に行き渡らなくなることも、白髪の原因になると考えられています。なお、タバコの受動喫煙にも注意が必要です。タバコの副流煙に含まれるニコチンは、皮膚の血行を悪化させる原因になります。
そして、受動喫煙にさらされているとニコチンなどの有害物質を体外に排出するために、ビタミンCが多く使われてしまい体が酸化ダメージを受けやすくなります。
犬が白髪になるのを防ぐ方法
愛犬の白髪を最小限に防ぐことができる方法を説明します。
- ストレスを貯めさせない
- 皮膚と被毛の清潔を保つ
- 白髪を抜かない
- 栄養素「チロシン」を取り入れる
ストレスを貯めさせない
ストレスは白髪になりやすい要因として考えられますので、生活環境の変化には充分に気を付けましょう。もし、新しい家族が増えてナイーブになっているなら、十分なスキンシップやコミュニケーション、運動や遊びの時間をとってあげて下さいね。
皮膚と被毛の清潔を保つ
日々のお手入れも、白髪予防には欠かせません。定期的なシャンプーと、こまめなブラッシングを心がけてください。ブラッシングの刺激は、血行促進にもつながります。
白髪を抜かない
よく私達人間でも「白髪が生えたら抜けば良いよね」と、白髪を抜いている方もいるかと思います。犬も白髪が生えたら抜いてしまっても良いのでしょうか?
答えは「No!」です。たとえ愛犬の白髪が気になったとしても、抜いてはいけませんし抜く必要もありません。白髪を無理に抜いてしまうと、毛根や頭皮を傷めてしまうことがあります。
毛を無理に抜いたことがきっかけとなって、皮膚に炎症を起こすこともあります。また、白髪を抜いた痛みがストレスになってしまい、さらに白髪が増えてしまうという悪循環を招く可能性があります。
栄養素「チロシン」を取り入れる
タンパク質の多い肉類や魚類や乳製品などに含まれているメラニン色素の原料である「チロシン」というアミノ酸を積極的に摂取するのが白髪に良いとされています。
チロシンを多く含む食品には次のものがあります。
・チーズ
・かつお節
・大豆製品
・豆やナッツ類
犬に与えるには、犬用の塩分の少ないチーズ、かつお節、高野豆腐などが良いかもしれません。また、小麦たんぱくにもチロシンが多く含まれるので、お麩(おふ)も良いでしょう。
食材からの摂取が難しい場合は、チロシンを含む犬用サプリメントを与えるのも良いでしょう。愛犬が食べられる範囲で、無理なく取り入れていきましょう。
【チロシンを含むサプリメント】白髪になりやすい犬種
次の犬種は白髪になりやすい、という言う人もいるようですが、同じ犬種によっても犬によって白髪が出始める時期は様々ですし、もともとの毛の色によって白髪の目立ち方も違うでしょう。
- 小型犬:トイプードル
- 中型犬:柴犬
- 大型犬:ゴールデンレトリバー、ラブラドールレトリバー
まとめ
犬の白髪の原因は、加齢によるものとストレスによるものに大きく分かれるでしょう。加齢の場合だと早ければ3歳から始まり、犬種によってなりやすい子もいると言われています。
愛犬の白髪を予防したい場合は効果的な栄養素を与えたり、日々のケアを怠らず被毛や皮膚を清潔に保つ事も大切です。また、ストレスが原因で白髪になってしまう子もいるようですので、飼い主さんは充分に気を付けてあげましょう。
詳しいことは不明ですが、腎臓病や肝臓病を持っている犬で白髪が見られることがあり、病気が治るとともにまた元の色に戻っていくこともあるそうです。
また、甲状腺機能低下症の犬では様々な生理機能が低下しますが、メラニン色素を作る細胞の機能も低下すると考えられ、白髪が生えてくることがあるようです。
この場合にも適切な治療を行えば毛の色も元に戻っていきます。いわゆる白髪は白い毛がまばらに生えますが、体の一部分の毛だけが真っ白になってしまう尋常性白斑という珍しい病気も犬で報告されています。その部位では一切メラニンが作られなくなってしまいます。
原因は不明ですが、遺伝的な要因があると考えられ、ロットワイラー、ジャーマンシェパード、オールドイングリッシュシープドッグ、ダックスフンドなどで多く見られると言われています。