犬にお米はあげてもいい食べもの
お米は犬に与えても良い食材の1つです。ドッグフードがまだ普及していなかった頃の日本では、家庭で飼われていた犬に、人間が食べたお米の残りに味噌汁をかけたものなどを餌として与えていたことが多かったようです。元々犬は肉食動物でしたが、人間と一緒に生活する中で食性が変わり、肉食に近い雑食性へと進化してきたと言われています。
お米や玄米に含まれる栄養素は、犬の健康を維持するためにも役立つことから、最近では市販のドッグフードやおやつの材料として使われていることも多いようです。お米などの穀物を与えても大丈夫なのかと不安を感じている飼い主さんもいると思いますが、与え方に注意すれば、犬にとってもメリットをもたらす食材となります
お米に含まれる栄養素と犬に期待される効果
- 炭水化物(糖質・食物繊維)
- たんぱく質
- ビタミンB1、B2
- カルシウム
炭水化物(糖質)は体を動かす力になり、脳にとっては唯一のエネルギー源となってくれます。犬にとって、1日に必要なエネルギーを炭水化物からも摂取することは大切です。また、お米には糖質以外にも食物繊維も含まれています。
その他に、お米に含まれるビタミンB1やB2は、神経の機能を正常に保ったり、代謝を支える重要な役割を果たしてくれます。
犬に与えてもいいお米の量
ドッグフードを主食として食べている犬にとって、お米は理想的な栄養食と言えます。ドッグフードの上にトッピングしたり、おやつとして与えたり、食べ方には色々ありますが、最大でも「9:1(主食:お米)」の割合にとどめてあげてください。与える量が増えれば増えるほど、本来バランスのとれたドッグフードでまかなわれるはずの栄養素が、「過剰」もしくは「不足」し、犬が体調を崩しかねません。
手作りご飯の主な材料として毎日あげる場合は、さらに難しい栄養計算が必要です。炭水化物・たんぱく質・脂質・ビタミン・ミネラルの5つの栄養バランスを整えなければいけないため、手作りご飯に詳しい獣医師に相談することをおすすめします。
犬にお米を食べさせるときの注意点
- お米に芯が残らないように炊く
- 生米を与えない
- 大量に与えすぎない
お米に芯が残らないように炊く
家庭によっては、白米以外にも玄米や雑穀米を食べているケースもあるでしょう。犬に与える場合、玄米や雑穀米を白米のかわりに与えても問題ありません。含まれる栄養素に関して、ビタミンやミネラル、食物繊維などは白米以上です。
ただし、白米に比べ注意しなければいけないのは、柔らかく炊けているかどうかです。人にとっては噛みごたえが楽しいお米たちですが、硬さが残ってしまうと犬の胃腸では消化されにくく、負担になったりせっかくの栄養素の吸収が悪くなることがあります。
生米を与えない
犬にお米を与える時は、必ず炊いたお米を与えてください。人間も同じですが、生米を犬に与えると、消化不良による下痢を引き起こす原因となるため注意が必要です。犬の体内でお米が上手く消化されないと、消化不良を起こし胃の中に入ったお米が小腸に移動することなく、嘔吐を起こす可能性もあるでしょう。
お米を与える時は、しっかり炊けていてお米に芯が残っていないか確認すると良いでしょう。場合によってはおかゆに近い状態で与えると良いでしょう。
大量に与えすぎない
どんな食材でもそうですが、大量に与えすぎないように注意しましょう。炭水化物を多く含んでいるお米を犬に与えすぎると、体の中で余った糖質は脂肪として蓄えられるため肥満につながります。
栄養バランスの良いドッグフードをしっかり食べさせているならば、お米はあくまでも「トッピング」であると意識しましょう。
女性 20代
我が家ではおじや風にしたり、ペーストにしてお野菜と混ぜたりもしています。たまに私たちの残りご飯をそのままあげる時もあります。ただし!お米は量に気をつけないとかなり太ります…平均体重を越えそうになったのでお米を控えました。
子犬は栄養バランスを優先させる
子犬の食が進まなかったり、かわいさにつられた時に主食以外のものをあげてしまうこともあるかもしれません。しかし、この時期は筋肉や骨がグンと成長するため、栄養バランスの乱れは避けるべきです。
また、子犬にとって「おいしすぎるもの」を知ることで、主食を余計に食べなくなるなど、好き嫌いが激しい犬になることも考えられます。さらには、胃腸が未発達な幼い子犬は、食べ慣れないものを食べてお腹の調子を崩してしまうこともあるため、お米に限らず普段あげていないものを与える際には注意しましょう。
アレルギーに注意する
お米は小麦などと比べて、アレルギー反応を起こしにくい食材とされていますが、絶対にないとも言い切れません。初めて犬にお米を与える時は、犬にいつもと変わった様子がないかを観察しながら少量ずつ与えましょう。
もし、お米を与えた後に下記の症状が見られた時は、アレルギーの可能性も考えられるので、お米を与えるのをやめてすぐに動物病院を受診しましょう。
- 下痢や軟便になる
- 体を掻きむしる
- 口元などが赤く腫れる
犬にその他の米類を与えても大丈夫?
米粉(こめこ)
米粉は、お米を細かく砕いて粉にしたもので、米の成分との違いはないため、犬に与えても大丈夫です。お米と同様、米粉は小麦粉よりもアレルギーを起こしにくい食材なので、犬用の米粉パンや犬用の米粉ケーキなども数多く販売されています。
犬に与える時は、お米と同じようにそのまま与えたりせず、水分と熱を加えて消化しやすくしてから与えましょう。
米ぬか
米ぬかも犬に与えても良い食材です。米ぬかには食物繊維が多く含まれており、犬の腸内環境を整え、便秘を予防してくれます。また、血糖値を下げたり、多く含まれるビタミンBによって犬の皮膚を健康に保つのに役立つかもしれません。
米ぬかは粉末状なのでそのままでは食べにくいでしょう。他の食材と一緒に煮たり、手作りクッキーに混ぜて入れたりすると良いでしょう。ただし、米ぬかも与えすぎには注意しましょう。
米麹(こめこうじ)
米麹も犬に与えても問題はありません。蒸したお米に麹菌を加えて、繁殖させて作られている米麹には、ビタミンB1・B2・B6、ビオチンやナイアシン、パントテン酸、イノシトールなどの栄養素が豊富に含まれています。
米麹から作られている甘酒を、老犬への栄養補給のために与えている飼い主さんもいるようです。ただし、使われている砂糖の量には注意して下さい。
胚芽米(はいがまい)
胚芽米は、犬に与えることで健康に役立つ食材と言えるでしょう。胚芽とは、玄米の芽が出てくる部分のことで、ミネラルやビタミンなどの栄養素が多く含まれています。
胚芽の部分を残して、まわりの固い皮や糠層などを削ったお米が胚芽米です。白米よりも胚芽米の方が、ビタミンなどの栄養素は豊富に含まれています。
お米を使った犬用手作りご飯・おやつレシピ
ミルク粥
消化に良く犬の体に優しい、お米を犬用ミルクで煮たおかゆのレシピです。犬が好きな野菜や、肉を一緒にトッピングしても良いでしょう。煮込み具合によって、食べやすい柔らかさに調節することができるので、体調があまり優れない時や、老犬などにもおすすめです。
米粉で作るささみアップルスティック
ほんのりとしたりんごの甘さを感じる、スティック状の犬用米粉クッキーです。米粉の他に、ヨーグルトやささみのひき肉などが入っているため栄養も満点です。材料を混ぜて焼くだけなので、料理が苦手な飼い主さんでも簡単に手作りすることができます。
鶏肉とバナナのケーキ
とりのひき肉とバナナを組み合わせた、犬用ケーキのレシピです。レシピの材料のたかきび粉を米粉で代用すれば米粉ケーキになります。まとめて作って冷凍保存しておくことも可能です。また、エネルギーに変わりやすい食材を使用しているので、ドッグスポーツなどをする犬にもおすすめのレシピです。
まとめ
お米は犬に与えても良い食材ですが、他の食材と同様に与えすぎには注意が必要です。お米は炭水化物を多く含む食材の中では消化が良い食材ですが、与えすぎはやはり胃腸に負担をかけるでしょう。また、主食の他にお米を多く与えてしまったり手作り食に入れるお米が多すぎたりすると、肥満の原因となってしまいます。
白米以外にも、犬に与えることができるさまざまなお米製品があります。今回紹介した内容を参考にして、犬に負担のないようにお米やお米製品を上手に犬の食事に取り入れてみてください。