犬に卵を与えても大丈夫!ただし注意が必要です
犬にとって卵は食べても問題のない食材です。ただし、食べさせ方や食べさせる量などに注意が必要です。卵は栄養価が高く、犬にも必要な栄養素がたくさん入っているため、大変理想的な食べ物です。
犬に卵を与える際は、この後にご紹介する内容をよく読んで理解した上で、愛犬に適した与え方をするようにしましょう。
卵の栄養効果について
【 卵の主な栄養素 】
- たんぱく質
- 脂質
- ビタミン類
(ビタミンA、ビタミンB2、ビタミンD、葉酸、ビオチンなど) - ミネラル
(ナトリウム、カリウム、カルシウム、鉄など)
卵には、とても多くの種類の栄養素が含まれており犬にとっても理想的な食材です。
また、卵の中に含まれている「ビオチン」と呼ばれるビタミンは、アミノ酸や脂肪酸、ブドウ糖の代謝などに必要で、皮膚や粘膜、被毛の健康に深くかかわっています。様々な種類の栄養素を含む卵は体を作るために必要な栄養素の宝庫であるともいえます。
ただし、栄養価が高いということは食べすぎてしまうとカロリーオーバーになりやすい食べ物でもありますので、食べる量はしっかりと守るようにしましょう。
【 栄養素の効果 】
卵に豊富に含まれているたんぱく質は、筋肉の形成や被毛の健康維持に欠かせない栄養素です。そして、卵に含まれるビタミン類の中でも特に注目をしたいのが、皮膚や被毛の健康に必要なビタミンB2です。
ビタミンB2は様々な物質の代謝に必要で、特に発育に重要な役割を果たし、皮膚や粘膜、被毛の健康にも関与しているため、体を健康に保つために大変重要なビタミンです。
犬に卵を与える際の注意点
生卵の白身は危険!
犬に生卵は注意が必要です。まず、生卵の白身に含まれている「アビジン」というタンパク質が、「ビオチン」(ビタミンB群の1つ)の吸収を阻害してしまいます。ビオチンの吸収が阻害されると、ビオチン欠乏症が起きてしまう恐れがあります。
ビオチンは皮膚の健康や、様々な物質の代謝、神経の働きや細胞機能を正常に保つためなどに必要不可欠なビタミンです。犬がビオチン欠乏症になると、皮膚炎、脱毛、ふけが多いなどの症状が出ます。
犬に生卵をどれくらいの量や頻度で与えるとビオチン欠乏症になるかは分かっていませんが、ビオチン欠乏症が稀だとしても起こる可能性はあります。
たとえ毎日しっかりと良質な食事を摂っていたとしても、犬に生卵の白身を与えていたせいで、ビオチン欠乏症になってしまう可能性もゼロではありません。
アレルギーに注意!初めて食べる際は少量から
犬が卵でアレルギーを発症する恐れもあるため、初めて愛犬に卵を食べさせる際は、様子を見ながら少量ずつ与えるようにしましょう。卵を食べると、愛犬に下記のような症状が出る場合は、動物病院を受診するようにしてください。
- 嘔吐
- 下痢、軟便
- 湿疹
- 皮膚のかゆみ、赤み
毎日食べさせてはダメ!
卵のカロリーに注意してください。卵は良質なたんぱく源であると共にエネルギー源にもなります。与えすぎてしまうと、カロリーオーバーとなってしまい肥満の原因となります。
手作り食を与えている場合には、栄養バランスの良いご飯を作るための食材の一つとして使うことができますが、市販のドッグフードを主食としている場合に毎日卵をトッピングやおやつで与えているとカロリーオーバーとなる可能性があります。
犬に卵は毎日与えるのではなく、時々のご褒美・ご飯のトッピングとして少量を与えるようにしましょう。
細かく刻むなど消化しやすい形で与える
卵が大きすぎ、または犬が丸飲みしてしまうと、犬の喉や消化器官に詰まってしまう恐れもあります。犬に卵を食べさせる際は、飲み込みやすく消化しやすいように、細かく刻んだり、他の食材やドッグフードと混ぜたりして与えるようにしましょう。
卵に味付けをしない
犬に卵を与える時は、人間用に調理したものを与えないように注意しましょう。例えば、炒り卵は塩コショウをたっぷりと効かせてケチャップをつけて食べる人も多いでしょう。
しかし、犬に人間用に調理した炒り卵を与えると、味が濃すぎます。あまりにも味の濃い料理は、犬の肝臓や心臓、腎臓などに負担をかけて、結果的に病気の原因となる可能性もありますし、犬が味を濃いものを好むようにもなることもあります。同様に、卵焼き、目玉焼きなども気を付けてください。
ちなみに、卵豆腐などの加工品も、あらかじめ味付けがされているものを食べさせるのは控えるのが良いでしょう。
犬に卵を与えても大丈夫な量
一般的に、犬に主食以外の食べ物を与える際の目安量は「一日に必要なカロリー量の20%以内」といわれています。卵は栄養価が高いゆえに、カロリーも高い食べ物でもあります。そのため、大量に与えてしまうと肥満の原因になります。
- ・鶏卵(生、ゆで):151kcal
しっかりとカロリー計算することをおすすめしますが、一日に与える量の目安として、犬の体重1kgあたり卵5gの割合が良いという情報もあります。つまり、体重3kgの子ならば、卵の量は10〜15g程度。体重10kgの子ならば卵は40g程度です。
ちなみに殻を除いた卵1個の重さは、Lサイズで約60g、Mサイズで約50gです。あくまでも一つの目安ですから、様子を見ながら加減をして与えるようにしてください。また、必要なカロリー量は個体差がありますので、下記の記事も合わせてご参考ください。
犬への卵の与え方
ゆで卵で与える
犬に卵を与える時は、生の白身に含まれるアビジンや、サルモネラ菌などの卵についている可能性のある菌のことを考えて、火を通した状態で与えるのが最も安心です。ただし、適切に保管されていた卵であれば絶対に生で与えてはいけないわけではありません。
最も簡単で確実、かつ、試しやすいおすすめの料理はゆで卵です。ゆで卵を作って、普段のドッグフードにトッピングして様子をみると良いでしょう。
ゆで卵は、細かく刻んで与えると良いでしょう。また、半熟卵をカットして与えることも可能です。たまにトッピングに利用する程度でしたらアビジンの量を心配する必要はないでしょうが、手作り食の食材として卵をよく使うのでしたら、白身に火が通っていることを確認した方が良いかもしれません。
鶏の卵とは含まれる栄養成分がやや異なりますが、うずらの卵でも良いです。小型犬の場合ならば、うずらの卵の方が食べやすいかもしれませんね。
スクランブルエッグで与える
スクランブルエッグもおすすめです。人間用のような濃い味付け(塩コショウなど)はせず、油も使い過ぎないようにしましょう。もし、飼い主さんが愛犬と同じスクランブルエッグを食べる時は、愛犬の分を取り分けてから後で味付けをするようにしましょう。
卵を使った犬用の手作りご飯(おやつ)レシピ
火加減が絶妙!かんたん半熟ゆで卵
とても簡単にいつも丁度良い加減に出来上がる、半熟卵の作り方を紹介します。
- 卵を十分に室温に戻す。
- 「1」の卵を鍋に入れ、そこへたっぷりの水をそっと入れて中火にかけます。
- 沸々と鍋底から泡がたってきたら、火を弱火にして、3分30秒加熱します。
- 加熱後、ざるにあげてそのまま冷まします。
また、こちらのレシピもおすすめです。
- お米が炊きあがった後の熱々の、保温状態になっている炊飯器に、ラップでしっかりと(ラップを二重にする)包んだ卵を入れます。
- 保温の状態になっている熱々の炊飯器の蓋を、卵が割れないように、そっと閉めて、入れっぱなしのまま約40分待ちます。
- 40分後、ラップごと炊飯器から取り出して、室温でそのまま冷まします。
簡単に半熟卵の出来上がりです。(保温状態の炊飯器に、入れっぱなしのまま40分待つだけなのでこの間に、犬の散歩に行くこともできます)どちらの方法も簡単なので、ぜひ試してみてください。
ふわふわ卵のオムライス風♪
今日のメニューはオムライス!という時に、是非愛犬にも作って頂きたいメニュー。ちょっとした特別な日に、お祝いに、いいことがあった日に、愛犬と一緒に美味しいオムライスを食べて嬉しい気持ちを共有しちゃいましょう。
自宅で簡単!手作りたまごボーロ
わんちゃんのおやつを手作りしてあげたい方におすすめのレシピです。ちょっとしたお出かけに持っていくのも良さそうですね。卵ボーロなら、片手ですぐにあげれるのもポイントです。
まとめ
なぜ、犬に生卵の白身をあまり与えてはいけないのかを、今一度おさらいします。
生卵の白身には、「アビジン」という物質が含まれていて、「アビジン」は「ビオチン」というビタミンと強く結びつき、「ビオチン」が吸収されるのを妨げてしまいます。そのため、生の卵白を常食していると、ビオチン(ビタミンB7、ビタミンH)欠乏症になる可能性が生じるのです。「アビジン」は、熱で変性するため、加熱をするとその働きは失われます。
完全栄養食品とも言われる卵は、タンパク質や脂質などを含み、さらに入手しやすい食材です。毎日犬のごはんを手作りされている方は、卵の殻を使って、卵殻パウダーを作りカルシウムを補ってあげるのも活用法の一つです。
犬の必須アミノ酸を全て含んだ、素晴らしい食品「卵」。愛犬の食事にも積極的に使用してあげたいですね。卵を正しく使えたら、愛犬の健康維持にも役立ちそうです。ぜひ今回ご紹介したレシピを参考に、卵を活用してみてください。