犬に甘酒を飲ませても大丈夫?
愛犬に甘酒を飲ませたいけれど、大丈夫か不安な飼い主さんはいませんか?犬に甘酒を飲ませることは、いくつかの注意点に気を付ければ、大丈夫です。
米麴からできたノンアルコールの甘酒なら大丈夫!
市販されている甘酒には、酒粕(さけかす)と米麴(こめこうじ)由来のもの、さらにそこへ砂糖が含まれているものがあります。
しかし、酒粕に含まれるアルコールや砂糖は犬の体には悪影響な成分です。そのため、愛犬に与える甘酒はノンアルコールの米麴で砂糖なしのものを選ぶようにしましょう。
犬用の甘酒を選ぶとさらに安心
店頭で販売されている甘酒の多くが人間用だと思います。人間用の甘酒には、犬にとっては過剰な糖分や健康に害がある成分も含まれていることがあります。
より愛犬に悪影響が少なく、健康効果の高い、安心できる甘酒を選ぶなら、通販などで購入できる犬用の甘酒がおすすめです。
犬に甘酒を与えるメリットや栄養素
甘酒は優しい甘味が飲みやすく、体に必要な栄養素を豊富に含んでいるため、巷では「飲む点滴」と呼ばれています。ここでは、甘酒に含まれる栄養素と期待できる効果を解説していきます。
ダイエットや肌の健康維持に効果的な「ビタミンB群」
甘酒はビタミンB1、B2、B6、B12、パントテン酸、葉酸、ビオチン、イノシトール、ナイアシンといったビタミンB群を豊富に含んでいます。
ビタミンB群は体内で、炭水化物・たんぱく質・脂質の代謝促進・新陳代謝を促す働きをもつため、ダイエット効果が期待できます。
さらに、ビタミンB群は皮膚や目の角膜といった器官の健康維持にも必要な栄養素です。
疲労回復・食欲増進の効果がある「ブドウ糖」
甘酒は体を動かす主なエネルギー源であるブドウ糖を豊富に含んでいます。
特に脳の唯一のエネルギー源はブドウ糖です。ブドウ糖を摂取することで脳へ栄養を供給することになり、疲労回復効果が期待できます。
また、甘酒特有のやさしい甘味の要素の一つにはブドウ糖があります。
ワンちゃんの夏バテ時やシニア犬で食欲が落ちてきた際には、甘味が食欲増進効果も果たす甘酒を積極的に与えてみることをおすすめします。
腸内環境を整える「オリゴ糖」
甘酒はオリゴ糖という成分を含みます。このオリゴ糖は腸内の善玉菌のエサとなり、腸内環境や便通を整える効果があります。
腸内環境の改善から肥満・がん予防効果のある「食物繊維」
甘酒は食物繊維を含んでおり、特に不溶性食物繊維を豊富に含んでいます。不溶性食物繊維は、先ほど紹介したオリゴ糖と同様に、腸内の善玉菌のエサとなり、腸内環境や便通改善する効果があります。
さらに、腸内で不溶性食物繊維が便の量を増やすことで、肥満や大腸がんを予防する効果もあります。
体に必要不可欠な栄養素「必須アミノ酸」が摂れる
甘酒には、ワンちゃんが体内で合成できないトリプトファン、ヒスチジン、イソロイシン、リジンなど10種類の必須アミノ酸が含まれています。
これらの必須アミノ酸は、体の各器官に必要なたんぱく質を合成するためには必要不可欠です。愛犬に不足しやすい必須アミノ酸を定期的に補う意味でも、甘酒はおすすめです。
消化吸収・体の代謝を促す効果のある「酵素」
甘酒は発酵食品であるため、300種類以上の酵素が含まれています。酵素は消化吸収や体の代謝を促すなど、体に良い効果が期待できます。
犬に甘酒を与える際の適量や与え方
愛犬に甘酒を飲ませる場合、選び方から与え方までいくつかのポイントがあります。ぜひ、参考にしてみてください。
米麴・砂糖なしの甘酒を選ぶ
店頭で購入できる甘酒には、酒粕由来や米麴甘酒でも砂糖が入っているものがあります。
お酒に含まれるアルコールや砂糖は、ワンちゃんの体に悪影響を与える可能性が高いです。愛犬へ与える甘酒は米麴・砂糖なしのものを選ぶようにしましょう。
また、より愛犬の健康に気遣う飼い主さんであれば、ネットのレシピを参考に手作り甘酒を作って、おやつ用などにアレンジしながら、愛犬に与えてみることもおすすめです。
愛犬に合った適量を与える
甘酒は体の主なエネルギー源となるブドウ糖を豊富に含んでいるため、愛犬の体格に合った適量を与えることが望ましいです。
以下の目安量を参考にしてください。
〈体重別甘酒の適量〉- 体重3kgまでの小型犬は、1日20g程度
- 体重10kgまでの中型犬では、1日60g程度
- 体重20kg以上の大型犬なら、1日100g程度
甘酒は30℃以下のものを与える
甘酒に豊富に含まれ、体に良い効果が期待できる酵素は、温度が60℃以上で効果がなくなってしまいます。愛犬に温かい甘酒を与える際には、必ず30℃以下の適温に冷ましてから与えるようにしましょう。
犬に甘酒を与える時の注意点
愛犬に甘酒を与える時には、以下のような注意点があります。愛犬へ与える前に必ずよく注意点を確認しましょう。
悪性腫瘍(癌)の犬には与えない
甘酒はブドウ糖を豊富に含む飲料です。悪性腫瘍(癌)はブドウ糖をエネルギー源に乳酸を産出します。さらに体内では、その乳酸を再びブドウ糖へ還元しようと働きます。
その結果、多くの体力を奪われてしまい、ワンちゃんが栄養失調になってしまう可能性があります。愛犬が癌の闘病中という場合には、絶対に甘酒を与えないで下さい。
また愛犬の持病が悪性腫瘍以外の場合でも、甘酒を飲むことで悪影響が起こる可能性もあります。持病があるワンちゃんに与えたい場合には、必ずかかりつけの獣医師に相談して、許可を得てから与えるようにしましょう。
米へのアレルギー症状がないかよく観察する
米麹由来の甘酒は、米を原料としています。ワンちゃんの中には米にアレルギーを持つ子もいます。
初めて愛犬へ甘酒を与える場合には、少量ずつ与え、かゆみや下痢などのアレルギー症状を起こしていないか、よく観察するようにしましょう。
肥満にならないよう、与えすぎに注意する
犬に甘酒を飲ませるポイントでも少し触れたように、甘酒はブドウ糖を豊富に含んでいます。甘酒を愛犬の適量以上に与えることは、ブドウ糖の過剰摂取につながり、愛犬を肥満してしまうことへつながります。
甘酒は必ず愛犬の体格にあった適量を与え、肥満を予防しましょう。
微量元素の銅を肝臓に蓄積しやすい犬種がいる
甘酒には、微量元素である銅が含まれています。本来、銅を過剰に摂取した場合には胆汁となり排泄されます。
しかし、犬種によっては銅が肝臓に蓄積しやすく、銅関連性肝炎や慢性肝炎を引き起こす可能性が高いことがあります。愛犬が以下の犬種の場合には、注意して与えてください。
《銅を肝臓に蓄積しやすい犬種》〈銅関連性肝炎の好発犬種〉
- ウエストハイランドホワイトテリア
- ダルメシアン
- ドーベルマンピンシャー
- ベドリントンテリア
- スカイテリア
〈慢性肝炎の好発犬種〉
- コッカースパリエル
- ラブラドールレトリバー
- スタンダードプードル
- ドーベルマンピンシャー
まとめ
今回は犬に甘酒を飲ませて良いのか、与えた場合の効果や注意点までをご紹介しました。
愛犬に与える甘酒は、米麴・砂糖なしのものであれば、問題ありません。むしろ、飲む点滴といわれるほどの栄養価の高い甘酒は、愛犬の健康維持に最適なドリンクです。
ぜひ、今回紹介した与え方のポイントや注意点に気を付けて、与えてみてくださいね。