前髪を伸ばしているスタイルの犬種
オールド・イングリッシュ・シープドッグ
イギリス原産の大型の牧羊犬で、日本で演じられているミュージカル「アニー」の舞台で「サンディ」という犬がこの犬種になります。なので見たことのある方は多いのではないでしょうか。体重はオスなら40キロを超えるほどの大きさで、非常に賢く、かつ、おだやかな性格です。
コモンドール
ハンガリー原産の犬で、縄のれんのように縮れた被毛が非常に特徴的な大型犬です。牧羊犬として人間のために使役してきた歴史を持っていますが、オールドイングリッシュシープドッグや、ボーダーコリーのように羊を追うためではなく、狼やキツネなどから羊を守る「護畜犬」の職務がコモンドールの仕事でした。
そのため、利口である反面、警戒心も強く、戦いに向いた体つきをしています。分厚い被毛の下にはがっしりとした筋肉質の体が隠されていて、オスなら50㎏を超すほどの大きさになる個体もいます。
ビアデッドコリー
イギリスでもスコットランド地方原産の犬で、オールド・イングリッシュ同様に牧羊犬として使役されてきた犬種です。ビアデッドコリーとは、「ひげを生やしたコリー」という意味ですが、コリー犬種のカテゴリーには属していません。体重はオスで30キロ未満程度。見かけはオールドイングリッシュシープドッグに似ていますが、体の大きさが違います。
犬の目と視力について
人間の場合、オールドイングリッシュシープドッグやコモンドールのような前髪をしていたら、ほとんど前が見えません。しかし、犬と人間では「見える」能力に差があり、目の前に自分の被毛が覆いかぶさっていても、目標物を目で捉えることができるのです。では、犬の目はどのような構造をしているのでしょうか。
犬の目の仕組み
犬の眼球そのものは、人間とよく似ています。しかし、大きく異なるのは、物を見るために使う「視神経」の数と「タペタム層」があることです。人間の視神経は、120万本もあるのに対し、犬の視神経は17万本しかありません。その代わりに、「タペタム層」という独特の鏡のような役割を果たす細胞の層があります。
この「タペタム層」のおかげで、わずかな光でもこの光を反射させて視神経に伝えることで光源の少ない場所でも、物を目で捉えることができます。ただし、目がブルーの犬は、タペタム層を持っていない場合もあります。
犬の視力
犬の視力は、かなりの近眼だと言われていますが、実は作出された経緯などによっては、遠視の犬もいます。例えば、「視覚ハウンド」という目で獲物を捕らえて追いかけて捕らえる、という使役のために発達してきた犬は、先天的に遠視の傾向があります。とはいえ、やはり物の輪郭はかなりぼやけて見えていると考えられています。
前髪を放置することのリスク
角膜炎、角膜潰瘍
目の表面を覆っている角膜に傷がつき、そこから細菌に感染して炎症が起きます。進行すると、目の表面が白く濁ったり、視界が悪くなったりします。また、痛みもあり、通常のときよりもたくさんの涙が分泌されます。
結膜炎
まぶたの内側の粘膜のことを「結膜」と言います。「結膜炎」とは、結膜が細菌やウイルスなどに感染したり、砂やほこり、自分のまつ毛などによって粘膜に強い摩擦が起きて傷がついたりすることで、炎症が起きた状態です。
怪我
家庭犬として飼育されているオールドイングリッシュシープドッグやビアデッドコリーには長い前髪は必要ありません。まして、室内で飼育しているのなら家の中の段差や障害物にぶつかってしまうこともあるでしょう。近眼の人が眼鏡をかけずに、前髪で視界を塞いで歩いているようなものだと考えれば、前髪を伸ばしっぱなしにせず、くくってしまうか、トリマーさんと相談して形よく整えてもらいましょう。
まとめ
前髪を伸ばしているようなスタイルになったのは、牧羊犬としての歴史などがかかわっているかもしれませんが、家庭犬としては不要なものと言えます。やはり、目の周りのトラブルになりかねないので、愛らしさは残したままのスタイルで、視界をすっきりと見えるようにしてあげた方が良いようです。