犬が舐める理由
犬を飼っていれば多くの人が、愛犬に顔や体を舐められるという経験をするかと思います。飼い主さんやその家族、お客さんや他の動物などをペロペロと舐めますよね。
犬は「舐める」習性があり、とりあえず気になるものがあれば、まずは口に入れようとします。口に入れることで、それがなにかを確かめようとしているのです。
また、犬が自分の意志を伝えるために舐めることもあります。犬にとって「舐める」という行為は、コミュニケーションを取る上でも役に立っているのです。そのため、犬が飼い主さんを舐めるのは何か意味があり、ボディランゲージのひとつだと言われています。
そして実は、耳、口、手、足など、舐める場所によってその意味が変わってくるので、犬がどの部分をよく舐めてくるかチェックしてみてください。
- 気になるものはとりあえず舐める、という犬の習性
- 自分の意思を伝えるコミュニケーションの手段
犬が飼い主の「耳」を舐める意味
愛情表現やコミュニケーション
犬が耳を舐めるのは愛情表現で、甘えているサインでもあります。グルーミングのひとつで、関係の維持や構築するためのコミュニケーションツールとなっています。
良好な関係を築いている犬同士でも、よく行われる行為です。飼い主さんの耳を舐めることで、飼い主さんとの関係を良好なものにしているのかもしれません。
しょっぱい味が好き
人間の耳が犬にとってしょっぱい味がするから舐めている、という可能性もあります。
犬は塩分などのしょっぱいものが好きなため、人間の耳のしょっぱさがお気に入りなのかもしれません。また耳垢や皮脂を舐め取っている場合もあります。その場合も味がするために、舐めているようです。
犬が人間の耳を舐める理由は、この「しょっぱい味がするから」というのが一番大きいかもしれません。
かまって欲しい、喜んでもらたい気持ち
犬が飼い主さんの反応を良く見ています。犬に耳を舐められると、くすぐったさから、笑ったりなどのリアクションを取ってしまいますよね。犬はそんな飼い主さんの様子を見て、「喜んでくれた!かまってもらえた!」と嬉しくなって、また耳を舐めてくるのです。
耳を舐めるとかまってもらえる、と犬の中で認識されてしまうと、わがまま行動に発展する可能性もあるため注意が必要です。
人の体(口、手、足)を舐める意味
飼い主の「口」を舐める意味
犬は、相手に対して敬意や好意を示しているときに口を舐めます。群れの中で弱い個体は、リーダーに対して口元を舐めることで挨拶をし、敬意や好意を示すのです。
犬が飼い主をリーダーだと認めて、敬意を示そうとする場合、愛情を一生懸命伝えようとしている場合などに、口を舐めることがあります。
そして別の理由もあります。考えられるものとして、ご飯をおねだりしているというものがあります。
犬の赤ちゃんは、母犬の口元をなめてご飯が欲しいという合図を送っています。このときの名残で、飼い主さんを母犬のように感じている場合に、口元を舐めておねだりすることがあります。
しかし、だからといって、ねだられるままにご飯をあげてはいけません。ねだられるままにあげてしまうと、肥満などの健康被害や、主従関係の逆転などの問題につながってしまいます。
- 飼い主をリーダーと認めて、敬意や好意を示している
- ご飯をおねだりしている
飼い主の「手」を舐める意味
犬が飼い主さんの手を舐めるときは「遊んでほしい、撫でてほしい」という合図です。
犬にとって重要である、飼い主さんの手を舐めるのは、愛情表現でもあります。また、犬が安心している状態を表している場合もあります。大好きな飼い主さんの手を舐めることで、リラックスすることができるのです。
飼い主さんの手以外でも毛布やタオル、おもちゃなどでリラックスする場合もあります。大好きなものをそばにおいて、それを舐めて、少し噛んでみたりすることで安心しているのです。
- 遊んで欲しい、撫でて欲しい
- 大好きという愛情表現
- 飼い主の手を舐めてリラックスしている
飼い主の「足」を舐める意味
手と同様に遊んでほしいという合図であることが多く、じゃれついてくることも多いようです。また他の理由として、足のにおいに惹かれているというものがあります。
犬はにおいが強いものが好きで、足は皮脂や汚れがつきやすく、においが強くなりやすいため、犬が反応するのです。においが好きな犬は、その足をペロペロと舐めてしまいます。
足を舐めるのが癖になる犬も多いのですが、足が清潔でない場合は雑菌などが付着している可能性があるので、やめさせたほうが良いでしょう。しつこく舐めてくる犬もいますが、強く叱ったりはせず、時間をかけて根気強く教えてあげてください。
- 遊んで欲しい、じゃれている
- 足のニオイが気になる
感染症に注意!
犬に舐められると、犬の口にいる菌などが人間にうつってしまい、病気になる可能性があります。犬から伝染る菌やそこから発症する病気には、次のようなものがあります。
- パスツレラ菌/パスツレラ症
- レプトスピラ・インテロガンス菌/レプトスピラ症
- ブルセラカニス菌(犬流産菌)/ブルセラ症
- カンピロバクター・ジェジュニ、カンピロバクター・コリ/カンピロバクター症
- ポルフィロモナス菌/ポルフィロモナス菌感染症
いずれも犬から人に感染しやすい病気です。どんなに愛犬が可愛くても、特に口周りはできるだけ舐めさせないようにしましょう。その他の部位も、犬に舐められたらしっかりと石鹸で手を洗い、菌の感染防止対策を心がけてください。
舐めてくるのをやめさせたい時
犬が人を舐める意味は、いずれも飼い主さんのことが好きだから、という気持ちが込められています。ですので、できることならその気持を舐められるがままに受け止めたいところです。
ですが、前述した感染症の恐れや、わがまま行動に発展する恐れもあるため、時にはやめさせることも必要です。
犬に舐められるのをやめさせたい時は、舐められても反応せず、静かに顔など舐められている部位をそらして犬が落ち着くのを待ちましょう。
「やめて!」など声を出すと、かまってもらていると思って、余計に興奮させてしまうので気をつけてください。犬が落ち着いたら、褒めて愛情をいっぱい伝えてあげましょう。
- 犬に舐められても騒がない
- 舐められる部位をそらしながら、犬が落ち着くまで静かに待つ
- 犬が落ち着いたら褒める
まとめ
犬が耳を舐めてくる理由は、大きくわけて2つありました。 1つ目は、愛情表現で飼い主さんを愛しているから、それを態度で示しているというものです。そして2つ目は、しょっぱい味がするから舐めているというものでした。
他にも口や手、足など舐める部分によって遊びたい、餌が欲しい、など意味が変わります。しかし、すべての部位に共通して言えるのは、犬が飼い主さんに対して好意的でないと舐めることはしないということです。犬は飼い主さんが大好きで舐めてしまうようですね。
ただ、舐めるとよくない部位もありますので、飼い主さんを舐めさせるのはあまりオススメしません。
あまりにもしつこい場合は、愛情表現以外に何か理由があるかもしれません。食べ物を触った後や、クリームなどを塗っていること、そういったことでも犬は舐めるようになります。
犬と良好な関係を築けている証拠なので、気持ちだけ受け取って、お互いに危険が及ばないように注意しておくと良いでしょう。