犬のヒゲの役割とは
①顔、目を守る
犬でもヒゲは感覚器官であり、犬はヒゲに何かが触れるとすぐ近くに何かがあると知り目をつぶる反射があります。右のヒゲだけに触れると右目を、左のヒゲだけに触れると左目をつぶるようです。草むらなどに顔を突っ込んだ時に草や枝で目を傷つけてしまわないようにヒゲに何かが当たった時は反射的に目をつぶり守るようになっています。
②センサーとしての感知機能
猫はヒゲで対象物との距離をはかったり、空気の流れを感じて獲物の移動を感知する働きがあるため、ヒゲは非常に重要な器官とされています。犬ではその様に言われることはあまりなく、トリミングでカットされることも多いようですが、犬のヒゲにも猫のヒゲと同じような働きがあり、空気の流れや温度の変化、風向きを感知するセンサーとしての役割があると考えられています。ただし、猫ほどにはヒゲからの情報が重要ではないのかもしれません。
③障害物などの位置の把握
犬は口やあごの下付近のものを見ることが苦手な場合が多いようです。口まわりにあるヒゲに物が当たることで顔の近くにある物の位置や距離をある程度把握することができるのでしょう。特に目の悪くなりがちなシニア犬などにとっては重要な役割を果たすかもしれません。
犬のヒゲは切ってもいいの?
犬のヒゲを切ってもいいのか、ということについては賛否両論あります。犬のヒゲは退化した器官だという証拠はなく、猫と同程度に機能している可能性があるので切るべきではないと考える専門家もいます。ただし、ヒゲを切っても犬の行動や精神面などに影響が見られないという意見も多くあります。
そのため、切っても切らなくてもどちらでも問題ないというのが一般的な認識だと思いますが、特別な事情がなければ切る必要はないかと筆者は思います。少しでも犬の感覚や機能を補完する役割があるというのであれば、やはりそれは残しておくべきだと考えます。特に目や耳などの機能が低下してくるシニア犬の場合は、ヒゲによって感覚機能を補えるようにできるだけ残してあげましょう。
ただし、感覚過敏傾向にある犬の場合は外で色々と物に触れるたびストレスを感じてしまうことがあるのであえて切るという選択肢もあるようです。
犬のヒゲのカットの仕方
犬のヒゲを切る場合はトリマーなどプロに任せることをおすすめします。ヒゲを切る場合にははさみで切りますが、見た目を重視してギリギリまで短く切ることが多いでしょうし目も近いですので、犬が急に動いて万が一のことが起こっては大変です。切るかどうか悩んだ時は、切る必要があるのか、飼い主さん自身がどういう見た目にしたいのか、犬の何を大事にしたいのか長すぎるかということや切らないとどうなるかなどを確認してみましょう。
犬のヒゲを切る場合でも、長さを揃える程度であったり先端の方だけを切って半分以上残すような形であれば、感覚器官としての役割を果たせると考えられます。そのため、口周りをすっきりさせて見た目も良くしたいがヒゲの機能も残してあげたい場合は先端を切りそろえる程度にして様子を見るといいかもしれません。
まとめ
「猫のヒゲはだめだけど犬のヒゲは切っても大丈夫」という世間に広がっている認識は、はっきりと間違っているとも言えませんが犬によっては適切ではない場合があるでしょう。
実は犬のヒゲは目の上や頬、あごの下など顔のあらゆるところに生えている「触毛」という毛のひとつです。触毛は太く長くピンとした毛で他の毛よりも深いところから生えていて、上記した通り感覚器官の一つであり感情を表現することもあるので、犬にとっては大切な機能器官の一つだと思います。
トリミングなどを定期的に行っているとヒゲのカットを提案されることもあると思いますが、見た目のかわいさだけでなく、ヒゲの機能やヒゲを切る必要性などを考えて、切るどうかを決めるようにしましょう。