犬の一日のスケジュールは?
犬の一日で大きな割合を占めるのが睡眠時間です。犬は人間が通常取っている時間以上に、睡眠時間を確保しています。犬の睡眠時間の長さは、年齢や生活環境、飼い主さんの生活リズムなどが関係してきます。
特に、睡眠時間が長めになる傾向にある子犬の一日を見てみると、そのスケジュールが人とは大きく異なるということがよくわかります。
子犬の一日の過ごし方
- 6時…飼い主さんの行動開始と共に目覚める、トイレ
- 6時半…飼い主さんとお散歩
- 7時…朝ごはん
- 8時~10時…トイレの後、睡眠
- 10時~13時…トイレ、飼い主さんとの遊び、睡眠
- 13時…昼ごはん
- 13時半~18時…トイレ、睡眠
- 18時~19時…散歩、飼い主さんとの遊び
- 19時半…夕ごはん、飼い主さんとのんびり
- 21時…就寝
まだ体が未熟な子犬にとって、遊ぶんだけやご飯を食べるだけであっても体力を使います。また、毎日が勉強でお散歩の時に出会う見慣れないものや、興味のあるものへの好奇心が強い時期です。物事を積極的に吸収しようとする分、脳も休みを必要とする時間が長くなるというわけです。
老犬の場合は、徐々に力をつけていく子犬とは逆に、その力が少しずつ 衰えていく時期です。認知症の初期症状が気づかぬうちに出ていたり、病気による体の痛みや辛さから、動かないでぼーっとする時間も増える傾向にあります。
年齢や飼い主の生活リズムでスケジュールが決まる
犬の一日は、年齢による体の変化や飼い主さんの生活リズムに対応するために、犬自身が無意識でスケジュールを組んでいます。
他にも、「このお腹の空き具合はそろそろごはん!」「飼い主さんがこの動きをし始めたらお散歩だ!」といったように、いわゆる体内時計や飼い主さんの行動を見て生活リズムを整えている点もあります。
愛犬の一日の過ごし方を、ぜひ時間をわけて書き出してみてください。
犬の一日の平均的な睡眠時間は?
犬の一日で多くの時間を占めるのが睡眠時間です。なぜ、犬は人よりも睡眠時間を長く確保するのか気になっている方もいるでしょう。
犬の一生の中での平均的な睡眠時間とはどれくらいかを知り、愛犬が一日のスケジュールを組み立てやすくなるよう、飼い主さんも協力してあげましょう。
理想的な睡眠時間について
犬の一生の中での理想的な睡眠時間は、次のように言われています。
- 子犬…18~19時間
- 成犬…12~15時間
- 老犬…18~19時間
犬の一日のスケジュールを先ほどご紹介しましたが、人の一般的な睡眠時間「6~7時間」に比べると、かなり長い時間です。体が成長して1番体力もある成犬時期ですら、半日以上を睡眠時間にあてています。
犬にも「レム睡眠」と「ノンレム睡眠」がある
犬と人の睡眠時間の違いを考える時に重要なポイントは、「レム睡眠(体は休んでいて、脳は覚醒している浅い眠り)」と「ノンレム睡眠(脳が休む深い眠り)」の2つの睡眠方式です。
「レム睡眠(浅い眠り)」の時には、体から力が抜けてだらっとした姿勢で眠ることが多いです。犬が夢を見ているかどうかは立証されていませんが、人で言う「夢を見る睡眠」はこの時間のことです。そして、眠る前にあった様々な記憶を整理する時間でもあります。
「ノンレム睡眠(深い眠り)」は、夢も見ないほどの深い眠りのことです。この時には成長ホルモンが分泌されたり、免疫力を高めたりと、体の中を整える時間に大切な睡眠時間となっています。
このレム睡眠とノンレム睡眠の割合が、人と犬では大きく異なる(ほとんど真逆)と言われています。
レム睡眠 (浅い眠り) |
ノンレム睡眠 (深い眠り) |
|
犬 | 80% | 20% |
人 | 25% | 75% |
犬が長い睡眠を必要としている理由
犬はかつて夜行性の動物で、外敵から身を守りやすい昼間に浅い眠りを取るという生活をしてきました。周囲の様子を伺い、必要があればすぐに行動する必要があったことから、浅い眠りの時間が長く、深い眠りの時間は短いともされています。
眠っていると思っていたら、飼い主さんが立てる物音にパッと反応する愛犬を見たことがある飼い主さんも多いのではないでしょうか?
こういった理由から、犬たちは脳を休めるためのノンレム睡眠(浅い眠り)の時間をある程度確保するために、人よりも長い睡眠時間を必要としているのです。
【豆知識】犬の一日は人間の7時間?
犬の一日は、人間の時間にすると「7時間」と言われています。つまり、人間の1日は24時間なので、およそ3倍もの速さで、犬の時間は経過していっているということになります。
この「7時間」という数値に、残念ながらいまのところ根拠は見つかりませんが、犬の寿命を考えると、人間より時間の流れは早いということは明確です。
犬の生活サイクルも把握しながら、愛犬と健康に1日でも長く過ごせるように、飼い主が適切に過ごし方をコントロールしていくことが大切です。
犬の一日でケージで過ごす時間はどのくらい?
犬にとって、落ち着けて安心できる「自分だけの場所」を作ることはとても大切です。
飼い主さんとの暮らしの中で「今はケージの中で待っててね」というタイミングは必ずありますよね。お留守番や飼い主さんが家事をする時など、飼い主さんの目を配ることができない時間に愛犬の安全を守るためにも、放し飼いだけでなくケージの中で過ごすことは覚えておく必要があります。
しかし、室内犬がケージの中で過ごす時間は、家庭の状況や家族構成によって変化します。
家族が日中仕事で留守にする場合
昼間に飼い主さん家族のみんなが出かけて、家を留守にすることが多い家庭では、犬がケージに入っている時間が長くなります。飼い主さんの外出準備から帰宅まで、少なくとも8時間以上をケージで過ごす子もいます。夜間もケージの中で眠っている場合、1日の7~8割をケージで過ごしている計算になります。
このように、ケージやサークルの中で過ごす時間が長い子は、日中に睡眠時間を長く確保して、退屈感を紛らわせていることも多いでしょう。そのため、飼い主さんが帰宅後は大いにはしゃいで「なかなか寝ない」と飼い主さんが悩んでいる家庭もあります。
けれども、ここで考えてあげたいのは、愛犬が長い時間をひとりで頑張って過ごしていたことです。昼に睡眠時間を長く取ることが多いこのスケジュールでは、夕方から夜にかけてが1番楽しみで、体を動かすことができる時間になります。
「おもちゃを使った遊び、お散歩、マッサージなどのスキンシップ、しつけ、トレーニング」などで、愛犬が一日を「良い日だった!」と思わせてあげるために、飼い主さんが協力して楽しませてあげましょう!
家族の誰かが常に家にいる場合
お留守番時間が短い犬たちは、ケージ内で過ごす時間が短い傾向にあります。夜間はケージの中で眠っていても、日中は室内で自由に過ごす子が多いからです。
日中にケージに入ることがあるとすれば、飼い主さんの買い物や、料理をするタイミングなど、家庭で必要なことをこなす間程度になるでしょう。そのため、こういった室内犬の一日では、ケージで過ごす時間は5割に満たないことも多いです。
ただし、家族の誰かがお家にいる時間が長いと、飼い主さんの接し方によっては、犬の一日の過ごし方が毎日様変わりすることもあります。
食事の時間や散歩・遊びの時間がコロコロ変わると「お腹空いた!」「遊ぼうよ!」と愛犬が求める時間帯が変化してしまい、飼い主さんへの過剰な要求吠えなどのいわゆる「問題行動」につながる危険があります。
そのため、愛犬の一日をメリハリのあるものにしてあげられるよう、時間を決めてごはんをあげたり、お散歩や遊びなどを通してコミュニケーションの時間を確保してあげることをおすすめします。
犬の一日に必要な食事回数は?
- 子犬の食事回数…一日に 3~4回
- 成犬の食事回数…一日に 2回
子犬の時期は、まだ消化器官が未発達で消化する力が弱いため、1回のご飯の量を減らして1日に3~4回の小分けにして与えます。成犬になり、消化する力がついてきたら1日に2回で大丈夫でしょう。
シニア期(老犬)になると、また消化する力が弱まってくるようになるため、犬の様子を見ながら、食事の回数を調整するようにしてください。
犬の一日に必要なカロリーは?
愛犬の健康を保つためには、一日の栄養バランスをきちんと整えてあげることが必要です。特に体型を維持して「太っている」「痩せている」のどちらにも傾かないようにしておくことが大切です。
そのためには、ごはんの「食べ過ぎ」「少なすぎ」にならないよう、一日の食べる量を計算してあげましょう。
食事量のバランスが崩れたら犬はどうなる?
「食べ過ぎ(肥満)」による健康への悪影響
犬にとって、ごはんの「摂取カロリー > 消費カロリー」の割合が長く続くと、「肥満」に陥る危険が高まります。肥満は心臓や呼吸器系に負担をかけ、若い頃には症状が出ていなくても、老犬期に入ってから病気として現れることがあります。
また、太って体が重くなると、それを理由にもっと体を動かさなくなり、また太っていくという悪循環に陥ります。体重が増すと膝や股関節を始めとする骨や関節にも大きな負担がかかるため、気づかないうちに痛みに苦しんでいたというケースもあります。
「少なすぎ(痩せすぎ)」による健康への悪影響
肥満とは反対に、ごはんの摂取カロリー<消費カロリーとなると、体は体内にある筋肉や脂肪から無理矢理エネルギーを作り出そうとします。その結果、痩せ細ってしまい、体温を維持しにくい体となって、体力や免疫力も落ちてしまいます。
太っていても痩せていても、愛犬の体にとっては辛い状況となりかねません。愛犬が一日を元気いっぱいに過ごすことができるよう、愛犬の体が求める量のごはんを準備してあげましょう。
必要な食事量の計算方法
犬1頭1頭によって、毎日の過ごし方は大きく違います。運動量が多い子もいれば少ない子もいるでしょう。また、子犬期・成犬期・老犬期など、ライフステージによっても体が求める栄養バランスは変化する傾向にあります。
ごはんの量を決める時には、今の愛犬の体格が適正かどうか判断し、次のような流れで実際に計算してみましょう。
計算に必要な前準備
- BCS(ボディ・コンディション・スコア)で体格をチェック
- 愛犬が今食べているドッグフードのカロリーをチェック
- ごはんの量を計算
BCSとは、飼い主さんにもできる簡単な体型チェック方法です。愛犬の肋骨の触り心地を確かめて、軽く肋骨の存在を確認することができるかどうか、腰のくびれがあるかどうかなどで判定します。
元々痩せ型であったり、樽型の体型の犬種で判断に困る…という時には、動物病院の獣医師に相談してみましょう。その上で、愛犬が今食べているドッグフードのパッケージを見て、カロリーがどれくらいなのかをチェックします。
ほとんどのドッグフードには、100g中のカロリー表示がされていることが多いです。
計算方法
ごはんの量を計算する最も簡単な方法は次の2点です。
- 計算システム・アプリの活用する
- 動物病院で計算をお願いする
上記サイトの計算システムなら、数字やチェックを入れるだけで1つの目安を簡単に確認できます。また、栄養相談を行っている動物病院なら、体格の判定と同時に、愛犬に合った詳しいごはんの量を計算してもらうことも可能です。
ドッグフードのパッケージに記載されている給与量は、あくまで目安としてメーカー独自の計算になっていることも多いものです。犬1頭1頭に合わせた計算を行って、ちょうどいいごはんの量を探してみましょう。
ごはんの量を今までの量から変える時には、1週間ごとに1か月間は体重を測って、急激な体重の増減がないか、愛犬に負担がかかっていないかを確認しながら行ってあげてくださいね。
最後に
犬の一日の過ごし方は、必要とする睡眠時間の長さから言っても、人とは違う部分が多いものです。しかし、飼い主さんのライフスタイルに合わせて、起床・就寝・食事・運動のスケジュールを変化させていることがほとんどです。
そのため、同じ犬種・同じ年齢の子でも、「うちの子はよく寝るけど大丈夫?」「うちの子は全然寝ない」など、過ごし方に違いが出て、飼い主さんの心配の種になることもあります。
そんな時には、愛犬が毎日元気に過ごし、食べる意欲をしっかりと持っているかを確認してみてください。体調を崩したり、疲れた様子が見られないのであれば、それが皆さんの愛犬にぴったりのスケジュールだということです。
まずは愛犬の一日が今どんな風になっているのかを確認して、快適な過ごし方ができているかを見直してあげましょう!