犬の適切な睡眠時間は?飼い主ができる睡眠の質向上対策まで

犬の適切な睡眠時間は?飼い主ができる睡眠の質向上対策まで

愛犬の睡眠時間が短いと感じるのも長いと感じるのも、飼い主さんにとっては毎日心配になってしまう問題です。脳と体をゆっくりと休め、リラックスして過ごすことはわんちゃんたちにとっても大切な時間となります。愛犬が質の良い睡眠をとるために飼い主さんにしてあげられることは何かを、わんちゃんの平均的な睡眠時間と照らし合わせながら考えてみましょう。

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犬の適切な睡眠時間とは

ベッドの中であくびしている犬

愛犬がお家の中でのんびり睡眠をとっている姿を見ると、飼い主さんもリラックスした気持ちになれますよね。とは言え、「うちの子は寝過ぎでは…」「全然眠っていないように見えるけど睡眠不足ではないのかな?」と、愛犬の睡眠時間に不安を感じている飼い主さんも多いはずです。

人と異なる体の仕組みを持つ犬の場合、平均的な睡眠時間は1日の半分以上が目安とされています。しかし、それに当てはまらない睡眠時間となってしまうのは、年齢によって変化する体が求める睡眠時間や1日の過ごし方が関係しているのです。

愛犬の今の睡眠時間と照らし合わせながら、年齢に合わせた平均的な睡眠時間がどのくらいの長さなのかをチェックしてみましょう。

子犬の睡眠時間

成長期の最中である子犬は、食べて遊んで疲れたら眠るというのが大事な仕事です。そんな子犬の平均的な睡眠時間は、18~19時間と1日の大半を眠っているのが普通だとされています。

ご飯をきちんと食べれば体は順調に大きくなり、物や音に興味を持ったりおもちゃで遊んだりすれば、筋力や体力をつけて感情を豊かにする源になりますね。

しかし、日々いろいろな目新しいものに直面する子犬にとってみれば、得る知識や情報は毎日膨大な量です。起きている間は脳まで届く五感で感じたものへの対処に頭をフル回転させているため、「学び」による疲れも多く溜まりやすい時期と言えます。

また、体力もさほどないため、少し動いただけでも子犬の体は気づかぬうちに疲れを感じて睡眠を必要とします。体を動かした後の回復時間のためにも多くの休息が重要になることが、子犬の睡眠時間が長くなる理由です。

飼い主さんが傍にいる間ははしゃいで全然眠っていないように見えても、お留守番中や夜間にはかなり長い時間を睡眠にあてているかもしれませんね。

成犬の睡眠時間

成犬に近づくにつれて体力や筋力も増し、だんだんと子犬の頃ほど睡眠時間を必要としなくなります。一般的な犬の睡眠時間の基準として表されるのもこの頃で、成犬の睡眠時間は人よりも長めの12~15時間程度とされています。

子犬期より短くなるとは言っても、人と異なる睡眠サイクルを持つわんちゃんは、成犬でも1日の半分以上を体力回復のための睡眠にあてることが当たり前です。

しかし、体や心が発達する分、散歩以外の旅行も兼ねたお出かけや、より激しい動きが必要となるドッグスポーツなども楽しんで行うことができる時期でもあります。

シニア犬の睡眠時間

体が少しずつ老いていき老犬期にさしかかると、若い頃のような体力や筋力がだんだんとなくなってきたり、病気を抱えていればなおさら体が疲れやすくなります。

そのため、シニア犬の睡眠時間は成犬期よりも長くなる傾向があり、子犬期と同じくらいの18~19時間程度の睡眠を必要とすることが多くなるでしょう。

時には飼い主さんが気づかぬうちに足腰の痛みを抱え、動くのが億劫になることからウトウトとした睡眠をとり続けているわんちゃんもいます。

また、老犬期特有の脳の老化が関わる認知症でも、周囲から感じる刺激への反応が低下し、睡眠時間の延長の原因になっていることもあるため注意が必要です。

犬種によって違いも

一列に並んで座っているいろいろな種類の犬たち

わんちゃんの睡眠時間の違いは、年齢に伴う体の成長や老化といった変化が関わることが多いものですが、それ以外にも成犬時の体格や犬種の違いが関わっている場合もあります。

中でも大型犬・超大型犬の睡眠時間は小型犬よりも長いことが多く、小型犬の活発な動き方と起きている時間とを比較してみると、大型犬はのんびりとした動きに見えることもあるでしょう。小型犬と大型犬が同居している家庭では、その睡眠時間の違いに驚く飼い主さんもいます。

他にも、犬種のグループごとに見てみると、

  • 獲物を見つけ狩る役割を持った「狩猟犬」
  • 家畜を守ったり誘導する役割を持った「牧羊犬」
  • 飼い主や家を敵から守る番犬警護の役割を持った「作業犬」

といった犬種の場合は、五感を研ぎ澄まして与えられた「仕事」に集中する必要があったことから、睡眠時間が短くなることも多いとされています。

年齢に比べて睡眠時間が長い・短いと感じた時には、愛犬の犬種としてのルーツを探ってみると、納得できることもあるかもしれません。

ただし、犬種としてのルーツよりも生活環境が大きく関わって睡眠時間の長い・短いに関わっていることも多いため、参考の1つとしておくと良いですね。

  • 成犬の平均的な睡眠時間は12~15時間程度で人よりも長い時間眠ることが多い
  • 子犬や老犬は疲労回復に成犬よりも時間がかかるため睡眠時間も伸びる傾向がある
  • 大型犬超大型犬や感覚を研ぎ澄ませて仕事をこなしてきた犬種グループに当てはまる犬では、年齢によらない睡眠時間になることもある

犬の睡眠は浅い?

ソファの上で仰向けになってリラックスしている犬

なぜわんちゃんがこれほど人と睡眠時間が異なるのかと言うと、睡眠サイクルの違いや、野生であった頃の習性の名残が関わっているのではと考えられているためです。

よく寝てはいるけれど人のように「長時間連続して熟睡している姿」はあまり見ないという理由には、次のようなポイントが関わっている可能性があります。

犬としての本能

わんちゃんたちは、犬だけの群れで行動し狩りをして過ごしていた頃、自分たちの姿を隠して獲物が狙いやすい薄暗い時間帯に活動するのを当たり前にしていました。

その分昼間に休息を取っていましたが、野生の頃は群れに外敵が近寄ってくるリスクもあり、いざという時にすぐに対応するために浅い眠りで危険に対応できるようにしていたというわけです。

人と一緒に暮らすようになってからは、食事や活動時間を人の生活リズムに合わせて昼行性へと変化させていきました。しかし、犬の本能として昼にウトウトと睡眠をとる名残は残り、併せて狩りを行う必要もなく飼い主さんが眠っていて静かな夜間にも体を休める習慣を持つことで、より長い睡眠時間を確保するようになったと考えられています。

人と大きく異なる犬の睡眠サイクル

わんちゃんたちの長い睡眠時間に大きく関わっているとされるもう1つの要因が、

  • レム睡眠(脳は覚醒している浅い眠り)
  • ノンレム睡眠(脳が休息している深い眠り)

のバランスです。

人の場合は約90分間隔でレム睡眠とノンレム睡眠を繰り返しており、夢を見るような浅い眠り(レム睡眠)が75%、夢も見ずに熟睡する深い眠り(ノンレム睡眠)が25%といったバランスで構成されています。

対してわんちゃんの場合はレム睡眠が80%、ノンレム睡眠が20%と人とほぼ真逆の割合で眠っていると考えられています。

オーストラリアのある研究では、24頭の犬の睡眠を観察したところ、16分の睡眠時間と5分の覚醒時間という21分周期の間隔が8時間の間に23回繰り返されたという報告もあります。

Applied Animal Behaviour Science
(Volume 36, Issues 2–3, April 1993, Pages 233-248)

わんちゃんの睡眠サイクルやメカニズムにはまだ不明な点は多いものの、浅く短く眠ってから起きてまたすぐに眠るという、野生の犬が体を休める時のようなウトウトとした睡眠の繰り返しが、家庭犬を対象にした調査でも見られたというわけです。

愛犬の睡眠の質を向上させるには

クッションに頭を乗せて眠る犬

睡眠時間がうまく確保されていない環境は、愛犬にとっては心と体に大きなストレスを与えてしまいます。

脳や体を十分休めることができないといつまでも疲労感が抜けず、体調を崩したり愛犬のイライラを助長してしまうといったトラブルが発生する可能性があり、持病を抱えているわんちゃんでは病状の悪化も懸念されます。

毎日元気に過ごすためにも、飼い主さんがしてあげられる愛犬の睡眠の質が向上するような一工夫をぜひ行ってみましょう。この一工夫が、愛犬の睡眠時間に関わる悩みごとを抱えている家庭では解決のためのきっかけとなるかもしれませんよ。

安心できる寝床の確保

わんちゃんも人も心からリラックスできる場所でないと、ちょっとした物音や気配で目が覚めてしまいます。愛犬にゆっくり眠ってもらうためには、普段過ごす寝床が安心できる場所だと感じられるに準備してあげましょう。

そのためには、

  • 家の周囲から聞こえてくる音や振動を感じる場所は避ける
  • 家族がリラックスして過ごすことが多い場所に寝床を設ける
  • 愛犬にとって居心地よく感じる素材でできたベッドを選ぶ

といった点を重視します。

家の周囲が静かな環境であっても、愛犬の寝床の場所が人の出入りが激しい出入り口付近である場合は、物音や振動が伝わりやすいため要注意です。

また、人の傍で過ごすことが好きなわんちゃんにとって、飼い主さんが家の中にいるのに近くで気配を感じられないのは不安やストレスを感じる元になってしまいます。「信頼できる人が近くにいるからのんびり眠っても大丈夫!」と安心できるような位置に寝床を作ってあげると良いですね。

愛犬が使う犬用ベッドも抜け毛や唾液で汚れることがあるため、定期的に洗濯できるウォッシャブルベッドや、ベッドの消耗具合に合わせて定期的に交換してあげましょう。

室温の調節

毛布にくるまって寝そべる犬

眠りたくても「暑すぎる」「寒すぎる」環境では、体温上昇による寝苦しさや体の冷えからくるストレスによって、穏やかに眠ることができなくなります。

そのため、愛犬の寝床が置いてある部屋の室温は、エアコンなどを活用して愛犬が快適だと感じる温度に設定してあげましょう。

一般的にわんちゃんが快適だと感じる温度は18~22℃とされています。
犬は暑さに弱い動物であるため、夏場のエアコンの設定温度は人よりもやや低めの26℃程度を快適とする子も多いはずです。

しかし、人によっても快適だと感じる室温が分かれるように、

  • 被毛の構造(保温性に優れた下毛があるかどうか)
  • 短頭種(暑さを逃がすのがさらに苦手)
  • 小型犬(下に溜まる冷気の影響を受けやすい)
  • 子犬やシニア犬(体温調節機能が通常よりも弱い)

といった条件により、寒がり・暑がりといったわんちゃんが現れることもあります。
そのため、設定温度だけにとらわれず、愛犬がハアハアと荒い呼吸をしたり寒そうに震えていないかといったサインを見て、わんちゃん1頭1頭の快適な室温を探してあげてください。

エアコンだけで温度の調節が難しい場合は、

  • 毛布の量
  • クールマットやペットヒーター、湯たんぽ
  • 蓄熱冷感素材の犬用ベッド

などで愛犬の身近な場所を温めたり冷やしたりしてあげることをおすすめします。

また、快適な室温にするためには湿度も重要です。愛犬が過ごす室内の湿度は40~60%以内に留め、乾燥による皮膚・粘膜のトラブルや、過度な湿気による息苦しさを避けられるようにしましょう。

眠る時間と遊ぶ時間のメリハリをつける

寝床がある部屋がいつまでも照明がついて明るく、飼い主さんが傍にいるとはしゃいでしまう性格のわんちゃんであれば、「なかなか眠ってくれない」という悩みを抱えがちです。

睡眠をとってほしいという時間帯には部屋を薄暗くし、愛犬が落ち着くような環境作りをしてあげるのがおすすめです。

部屋全体を暗くすることが難しい時には、愛犬が過ごすケージやサークルに専用カバーや毛布をかけて、その場所だけ暗くすると良いですね。

他にも、就寝の1時間ほど前までに遊びの時間をあえて設けて、飼い主さんとのコミュニケーション時間を作るのも睡眠時間の確保につながる可能性があります。

愛犬にとってみれば、運動によるほど良い疲労感と飼い主さんに構ってもらえたという心理的な満足感が合わさって、リラックスして睡眠に向かうことができますよ。

運動量を確保する

屋外でおもちゃをくわえて走る犬

長時間に渡るケージ内でのお留守番や散歩不足によって愛犬が満足できる運動量が確保できていないと、夜間にはしゃいで眠れなかったり、飼い主さんたちが就寝中にいたずら行為に走るといった問題が目につくことがあります。

日中にエネルギーの発散ができるよう、

  • 散歩時間を延ばす、散歩に行く回数を増やす
  • ドッグランなどノーリードで自由に駆け回れる場所を活用する
  • 引っ張りっこやおもちゃの持ってこい遊びなど室内でもできる遊びを取り入れる
  • 知育玩具を利用して長い時間の脳の集中力を必要とする遊びを行う

といった方法で愛犬の運動不足ストレスを解消してあげましょう。

愛犬の睡眠を邪魔しない

愛犬がかわいいあまりに眠そうな様子にも関わらず構ってしまうと、わんちゃんたちは睡眠よりも起きて飼い主さんに構ってもらうことを優先してしまいます。

特に子どもと一緒に暮らしている家庭では、愛犬がゆっくり眠りたいのに日中に騒がしくしてしまったり、つい抱き着いたりと、わざとではないながら眠りを邪魔してしまいがちです。

家族みんなで犬という動物には人よりも長い睡眠時間が必要になることを理解し、愛犬が眠りたい時には静かなスペースに避難できるよう場所を整えてあげることも大切です。

愛犬がリラックスできる手技やアイテムを取り入れる

仰向けになって顔をマッサージされている犬

睡眠に入る前に副交感神経に働きかけてリラックスさせてあげると、質の良い睡眠につなげることができます。

  • マッサージ
  • アロマテラピー
  • 犬用のリラックス音楽

信頼する飼い主さんの手でゆっくりと体に触れてもらったり、犬に効果的だとされる周波数を用いた音楽流すことで実際に落ち着いた様子で過ごせるようになったという体験談もあります。

もちろんそこにはのんびりと過ごす様子の飼い主さんの姿があることも、愛犬にとっては大きな要因となるでしょう。

愛犬の寝床に飼い主さんの匂いがついた衣服や毛布を入れてあげるのも、安心感に導く効果を発揮してくれることがありますよ。

病気の可能性を見過ごさない

睡眠不足が心と体のストレスになるのはもちろんのこと、そもそも愛犬が抱える体の不調によって睡眠不足・過剰睡眠になっていないかどうかも確認しておきましょう。

「痛い」「気持ち悪い」「痒い」「苦しい」といった症状に悩まされていれば、

  • 眠りたくても不快感で眠れない
  • 眠っていても息苦しくて途中で起きてしまう
  • 動けないから眠る以外にやることがない
  • 受ける体のダメージが大きすぎて眠っても回復が間に合わない

といった状況に陥っている可能性もあります。

年齢によるものだから当たり前のことだと思わずに、睡眠時間に変化があればかかりつけの動物病院で相談してみてください。睡眠中の激しいいびきや起床時に関節の痛みでなかなか立ち上がれない、認知症でよくある夜鳴きや昼夜逆転生活といった出来事があれば、特に早めの対応が必要です。

また、年に1~2回の定期的な健康診断を行ったり、日常の様子をメモするなど、愛犬の体の不調に気づきやすい健康管理を実践してあげるのもおすすめです。

  • 犬は心から安心できる場所があればゆっくり眠りに費やす時間を確保できる
  • 運動不足やコミュニケーション不足によるストレスは犬の睡眠時間を変化させてしまうことがある
  • 睡眠不足過剰睡眠が年齢による自然なものでなく病気の可能性がないかチェックしておくことも大切

まとめ:質の良い睡眠は愛犬の寿命を伸ばす!

2頭並んで気持ちよさそうに眠る犬

わんちゃんたちにとって適度に運動して質の良い睡眠へつなげていくことは、心と体のハリを生むきっかけになり、長生きにもつながると言われています。

眠る時間が短くなったり、1日中ずっと寝ているといった極端な睡眠時間の変化は、愛犬の健康を損なう可能性があることを意識してあげましょう。

愛犬が起きている時には楽しいと感じられる時間を作り、睡眠中はゆったりとした脳と体の休息を与えられるような生活リズムを毎日確保してあげてくださいね。

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