犬と猫を同居させる基本的な考え方
犬と猫を同居させるのは十分可能です。そのためには、下記のことを理解することが必要です。
- 犬と猫がお互い無視し合える関係が必要
- 無理な同居はさせない
- 飼い主の知識と心構えが同居成功のカギ
実際に、犬と猫を同時に飼っているという家庭を見たことがある方も多いはずです。しかし、犬と猫ではやはり動物の種類が違いますから、同居させるのは大変なことだってもちろんあります。
また、犬と猫が同居するというと「みんな仲良し」といった状況を想像しがちですよね? しかし、実際はそれとは全く異なります。ベストな犬と猫の同居環境というのは「お互いが無視し合える関係」だからです。それはなぜかと言うと、価値観の違いがあるからなんです。
犬と猫では習性や行動が全然違いますし、それを同居させるからといって無理に協調させようとしてお互いが警戒心を持ってしまう関係になってしまうと、ペットたちにストレスが溜まってしまいます。
犬と猫の同居を始める時には、できるだけスムーズに進むように飼い主がしっかりと知識を得て、心の準備をしておくことが必要となります。
犬と猫を同居させる方法や注意点
去勢手術を行っておく
去勢手術をしておらず、オスとして縄張りを守る本能が強い子の場合、新しい家族を侵入者として迎え撃とうとしてしまうことが多い傾向にあります。
去勢手術をしていれば100%同居がうまくいくというわけではありません。しかし、オスの本能で強気な態度に出ることが多い犬や猫が先にいるよりは、喧嘩の発生率を下げられるでしょう。
先住犬(猫)が同居に向いているかチェックする
先に住んでいる犬や猫がいた場合、まずはその子の性格を見て同居に向いているかどうかを判断してあげましょう。
シャイで怖がりだったり、飼い主とこれまで1対1でべったりと過ごしてきた甘えん坊の場合、急に家族が増えることは同居によるストレスがかかりやすいです。
「初めまして」の瞬間にびっくりして威嚇してしまったり、やきもちによって喧嘩が絶えなくなることがあります。まずは長時間いきなり対面させることは避け、新しく迎え入れた犬や猫の気配だけを感じさせてみたり、ケージ越しの対面を短い時間だけというのを繰り返して慣れる時間をあげましょう。
女性 40代
先住犬シーズーのところへ、拾った子猫(3か月くらい)を迎え入れました。最初は興味を示して近づく犬に、子猫の方が威嚇し毛を逆立てていました。私は次のやり方で、2週間程度で徐々に慣れさせていきました。
- 別々の部屋に離す
- たまに犬を猫の部屋へ出入りさせる
- 少し慣れてきたころで、ドアを開け放って自由に行き来できるようにする
それぞれの居場所をを確保する
猫は夕方や明け方に活発に動くため、同じ部屋に置いておくと犬が十分に睡眠を取れない可能性があります。犬の睡眠の妨げにならないように、ゆっくりと寝られる場所を作ってあげましょう。
また、パーソナルスペースを大切にする猫には、構われたくない時にひとりでくつろげる場所を作ってください。特に、犬の手や口が届かない高い場所に作ることをオススメします。
女性 40代
先住犬が元々猫大好きな子で、後輩猫を拒否しませんでした。でも大好きアピールが迷惑そうなので、猫の逃げ場(高い所)を作ってあげました。
同居に慣れるまで目を離さない
本当に安心できる関係性になるまでは、目を離さないようにしましょう。猫の爪は鋭く細いので、じゃれている時に犬の眼球を傷つけてしまうこともあります。ケガがないように、必ずそれぞれのケアを怠らないように注意してください。
お留守番中は犬と猫を離しておく
飼い主さんが出かける際には、必ず犬と猫を離しておくようにしましょう。たとえ仲良しに見えても、お留守番中にどちらかがケガを負わせてしまったケースも報告されています。ケージを使ったり、別々の部屋に分けたりと、注意するよう心がけてください。
飼う順番を考える
将来的に犬と猫が同居して仲良く暮らせることができる一番成功率の高い順番は、子犬、子猫の状態で同時に飼うことです。しかし、元々犬を飼っていて、猫も飼いたいなと思うことがありますよね。もちろんその逆もあるでしょう。その場合の注意点も後述で紹介します。
女性 30代
犬猫両方飼うとしたら、まず初めに犬から飼った方が良いかもしれません。我が家は、犬から迎えたから上手くいきました。
先住犬と後輩猫を上手に同居させる方法
犬を優先する
犬は嫉妬心が強いので、ごはんを与える時や遊ぶ時は犬を優先してあげましょう。猫ばかり可愛がるとストレスが溜まり、攻撃的になってしまう恐れがあります。
犬のご飯やおもちゃは触らせない
犬のごはんやおもちゃを猫が触ってしまうと、自分の物を取られたと思って猫を攻撃することがあります。犬が食事中や遊んでいる最中以外は、しまっておくのが良いかもしれません。
子猫(生後1ヶ月~2ヶ月)を迎える場合
この期間は社会化期と呼ばれ、子猫がいろいろなものに興味を持ちます。出会うものや相手を柔軟に受け入れることが多く、穏やかな関係性作りをしやすいタイミングです。一緒に暮らすことで先住の犬を家族だと思い信頼していくため、仲良くすることができるでしょう。
ただし、保護猫ではなくペットショップから迎え入れる子猫は、生後2ヶ月以降の子がほとんどのため、社会化期は終わっていることが多いはずです。とは言っても、成猫になってから犬と出会うよりは、早く犬に慣れることができるでしょう。
女性 50代
先住犬のもとに子猫が来る形でした。老犬の先住犬に子猫が飛びかかり、勝手に「シャーシャー」言っていた時期がありましたが、先住犬の方が知らん顔をしてくれていたので基本放置でした。たまに、先住犬が猫を追い詰めていることもありますが、先住犬に対して注意するのはこの時くらいです。
先住猫と後輩犬を上手に同居させる方法
猫に合わせて犬のしつけをする
これからしつけをしようという時期であれば、犬が猫にちょっかいを出さないようにしつけましょう。そうすることで猫のストレスも軽くなります。猫が嫌がっている時に犬を制止できるように「待て」や「ハウス」などの基本のトレーニングは行っておくと安心です。
トイレやご飯は先住猫のいない場所へ置く
猫が落ち着いて過ごせるように、犬が入れない空間に、先住猫のトイレやごはん置場を作ってあげことをオススメします。猫にとってトイレはこっそり隠れてしたいもの。犬に邪魔されて落ち着かない場所では排泄できません。
また、少量ずつ何回にも分けて1日のごはんを食べる習性を持つ猫では、ごはんの器を置きっぱなしにしてあげなければいけないこともあります。犬に食べられてしまわないように、注意してあげましょう。
子犬(生後2ヶ月~3ヶヶ月)を迎える場合
これは猫と一緒で、社会化期に猫と一緒に生活することで、仲間意識が芽生え仲良く暮らすことができます。犬の社会化期は生後1ヶ月~3ヶ月頃まで続くため、子猫よりは迎え入れるタイミングに余裕があります。
女性 40代
うちは先住猫がいて、その後にゴールデンレトリバーの子犬を迎えました。猫たちの様子を見ながら、少しづつ子犬をケージから出し、迷惑そうにしたら、またケージにという事を繰り返しやりました。
犬と猫を同居させる前に習性を理解する
まず、犬と猫を同居させるにあたって知っておかなければいけないことは、「お互いの習性」です。犬と猫の習性はそれぞれ全く違います。それを飼い主さんが理解して、十分に愛情を注ぐ事が重要になってきます。
犬の習性
- 警戒心が強く縄張りを守る
- 走るものを追いかける
- 家族を観察しその中でリーダーを決める
- 穴を掘ったり、物をかじったりする
- 嫉妬心が強い
- 一度にたくさんのご飯を食べる
- 運動や遊びに長時間かけることもある
犬は群れで暮らす動物のため、仲間だと認めたメンバーのことをとても大切にします。その一方で、他の人や新しい同居動物を「侵入者」だと判断した場合は、飼い主や自分の縄張りを守ろうと闘う動物だということを知っておきましょう。
また、獲物をとる猟犬や闘犬として活躍していたような犬種はその本能から、動くものを見ると、とっさにガブッと噛んでくわえてしまうことがあります。そして何よりも、犬は信頼する飼い主と近い距離でべったり甘えることを好むことが多いものです。自分に注目してもらえないと、やきもちによって体調を崩したり、イタズラや吠えによってアピールする子もいるでしょう。
猫の習性
- ひとりの時間が必要
- 縄張り意識が強い
- キレイ好き
- 自分の体や居場所を汚さない
- 高い所で過ごすことが好き
- 昼間は寝ていてることが多い
- 夕方や明け方に活発になることが多い
- 動くものを捕まえたがる
- 何回にも分けて少量ずつごはんを食べる
- 爪とぎをする
猫は野生の頃から単独行動をしていた動物のため、たとえ仲が良い相手や飼い主でも、ひとりの時間を確保しようとしたり、お互いの距離感を大切にする傾向があります。そのため、自分のペースを崩されたり、しつこく構われることは苦手です。
さらには、人に合わせて昼行性の生活をすることが多い犬に比べ、野生の頃の名残りとして、明け方や夕方以降の薄暗い時間帯に元気よくはしゃぐことが多いでしょう。人や犬とは生活時間帯が違うことも少なくありません。
女性 30代
犬が猫のキャットフードを食べてしまったり、猫の砂に興味があるのか毎回くんくん匂いを嗅いでいます。猫の砂を食べてしまう子もいるようです。
猫との同居に向いていない犬種
柴犬
もともと猟犬だった柴犬は捕食本能が強い犬種です。同居猫を追いかけて攻撃してしまう危険性があるので、一般的には同居に向いていない犬種といえるでしょう。
また飼い主さんには忠実ですが、他人には警戒心と攻撃性が強く気性が荒いという一面を持っています。やきもち焼きでもあるので、猫を仲間として受け入れるまでには苦労も多いかもしれませんね。
ヨークシャー・テリア
かつてネズミ捕りの役割を担っていたヨークシャー・テリアは、テリア犬特有の負けん気の強さを持っている犬種です。猫を獲物とみなして攻撃してしまう可能性がゼロではないので、目を離すのは危険でしょう。
吠え癖や噛み癖がついてしまわないようにしつけを徹底しないと、猫が安心して一緒に暮らせないので同居の際には注意が必要になります。
ジャック・ラッセル・テリア
ヨークシャー・テリアと同じく、狩猟犬として活躍していた犬種です。動くものに反応して攻撃してしまう場合があるので、猫の安全を守るために十分なしつけが必要になるでしょう。
ところが頑固で初心者にはしつけが難しいという問題点もあるので、猫を追いかけたり攻撃しそうになったりした時に、飼い主さんの「待て」という制止を聞くかどうかは微妙なところです。
ミニチュア・シュナウザー
愛嬌のあるおじいちゃんのような外見のミニチュア・シュナウザーですが、警戒心が強く頑固な性格をしています。 子犬のころから社会性を養う努力をしていないと、猫と打ち解けるまでには長い時間がかかるでしょう。
さらにもともと狩猟犬としても活躍していたので、猫に対して攻撃的にならないように注意したいところですね。
ビーグル
もともと狩猟犬だったビーグルは、活発でよく吠えるという特徴があります。フレンドリーな性格は同居に向いていますが、元気いっぱいでやんちゃなところが猫とは合わない可能性もあるでしょう。
大きな声で吠える犬との暮らしが、猫のストレスになるのも心配です。猫との相性は飼い主さんがしつけによって、ビーグルの無駄吠えや噛み癖をやめさせられるかどうかにかかっています。
シベリアン・ハスキー
狼のようなカッコイイ外見とは裏腹に、穏やかでフレンドリーな性格のシベリアン・ハスキーは、一見猫との同居に向いているように思えます。
しかし猟犬としても活躍していたので、本能的に猫を攻撃してしまう可能性があるのです。体が大きいので、軽く攻撃しただけでも猫が大怪我をするリスクがあります。
ピットブル
闘犬として有名なピットブルは闘争本能が強く、上手く扱えないと人間も大怪我を負わされてしまう危険性がある犬種です。 飼い主さんに対して忠実で愛情深いという一面があるものの、猫のような体の小さな動物との同居には向いていないでしょう。
ピットブルの飼い主さんにはかなりの飼育技術が求められるので、猫との同居以前によほどの覚悟と自信がなければ飼ってはいけない犬種だといえます。
秋田犬
忠犬ハチ公として有名な秋田犬は、闘犬と猟犬の性質を併せ持つ大型犬です。体格がよく力も強いため遊びのつもりでじゃれつかれただけでも、猫はひとたまりもないでしょう。
警戒心が強く番犬に向いているので、よく吠えるのも秋田犬の特徴です。静かさを好む猫にとっては、吠える声がストレスになるかもしれませんね。
チワワ
狩猟犬や闘犬のような危険性はないものの、チワワは気が強い一面があるので猫との同居には気を遣ったほうがよいでしょう。
またチワワはやきもち焼きが多い犬種なので、飼い主さんが同居猫を可愛がることに対して不満を感じる可能性も高いです。猫よりもチワワを優先して甘やかすように心がけないと、嫉妬心から猫との関係が悪くなってしまうかもしれません。
ミニチュアピンシャー
ミニチュアピンシャーは飼い主さんに対しては甘えん坊ですが、基本的に人見知りが激しい性格の子が多いです。猫との同居はストレスになったり、慣れるまでに時間がかかったりする可能性が高いと思ってください。
飼い主さんへの依存心や独占欲も強いので、同居猫と仲良くなるのは難しいかもしれませんね。
犬と猫を同居させるために必要なもの
習性が分かれば、犬と猫それぞれに合った環境を整えてあげやすくなります。
犬を飼うために必要なもの
- サークルやベッド
(寝床など安心できる場所) - トイレ
- 専用の食器類・フード類
- 首輪、ハーネス、リード
- ボールなどのおもちゃ
短時間で遊びを終えることが多い猫に比べ、運動や遊びを長時間にわたって飽きずに楽しむ子も多いです。室内運動だけでは楽しさにも限界があるため、お出かけに使える逃走防止用のリードやハーネス、首輪は必須です。
「獲物を追いかける」習性を生かして、ボール遊びなどで楽しませてあげるのも良いですね。
猫を飼うために必要なもの
- 高さのあるケージ、キャットタワー
- トイレ、猫砂
- 爪とぎ
- その子専用の食器類・フード類
- 首輪、迷子札
- ねこじゃらしなどのおもちゃ
猫は犬と違って、立体的な生活スペース(昇り降りができるスペース)を必要とします。そのため、運動をする、くつろぎながら上から見下ろすようにのんびり観察するための、高さのあるケージやキャットタワーを用意してあげましょう。
また、柔らかいところに排泄して、ウンチやおしっこの跡を隠したい猫には、猫砂をたっぷり敷いたトイレ環境がベストです。他にも、猫ならではの爪とぎ行動を思いっきりできるよう、専用の爪とぎアイテムを置いてあげましょう。
犬と猫が仲良くなるまでどのくらいかかる?
アンケート出典:https://wanchan.jp/enq/finish/105
わんちゃんホンポでは、犬と猫どちらとも一緒に暮らしている飼い主さんに向けて、お互いに慣れるまでの期間がどれくらい必要だったのかを調査してみました。
飼い主さんからの回答を見てみると、仲良くなるまでにかかった期間に違いはありますが、約7割の家庭で犬と猫の同居に成功したという結果でした。その一方、約3割の家庭で「現在も仲良くなっていない」という厳しい現実も見えてきました。
つまり、犬と猫の同居は必ずしも簡単にできるものではなく、新しい家族としてうまく関係作るためには、何らかのポイントを踏まえて飼い主さんがサポートしてあげる必要があるということがわかります。
また、犬と猫が同居がスムーズに行かなくなることを想定して、予め失敗したときの解決方法の知識を身に着けておけば、お互いベストな関係を築くことができるかもしれません。
女性 10代
野良猫だった子を飼っているのですが、警戒心が高いため犬とすぐに仲良くならないです。2~3年くらいで、やっとお互い気にしなくなったようです。
犬と猫の同居に失敗した時の解決方法
どの犬も猫も必ず仲良く同居してくれるという訳ではありません。性格もそれぞれ違いますし、ストレスで病気になったり、ケガをしてしまったり、色々とリスクが発生する事を予想しておかなければなりません。
万が一仲良しになれなかった場合にどうするのか、きちんと対策を考えた上で同居を検討してください。もし他にも家族がいる場合は、家族とも話し合いをして理解を得ましょう。
失敗した原因を探る
失敗の原因が「いきなり同居が始まって慣れなかったから」というだけならまだ解決策も見出しやすいです。しかし、飼い主の取り合いやちょっかいをかけられてうんざり…が根っこにあるケースでは、人間側が犬や猫との触れ合い方やしつけ、それぞれが過ごす環境を見直さなければ、再びトラブルが起きる可能性は高いでしょう。
まずはなぜ失敗したのか、犬や猫が相手を受け入れることができなかった原因をしっかりと探してください。
トラブルと解決方法
同居がうまくいかないと感じる原因になりがちなよくあるトラブルと、それを解決する方法もご紹介していきます。もしもお家で悩んでいることに当てはまっていれば、ぜひ試してみてくださいね。
仲が悪くて喧嘩をする
お互いに警戒心や自我が強いタイプの犬・猫であった場合や、同居を始める時にどちらも成犬・成猫以上で、自分以外の動物に接する機会が少なくて社会化ができていない場合は、いつまでも相手に対する嫌な気持ちがぬぐえないケースはどうしてもあります。
本来は事前に先住犬(猫)のそういった性格を考慮して、同居動物を作ることに向いていないときっぱり諦めておく方が良いのですが、すでに迎え入れてしまった場合は、まずはストレスや事故を減らすために隔離が必要です。
【解決方法】
1番良いのは、お互いの姿が見えないように完全に部屋を分けること。その上で、仲良くなるようにというよりは、まずは相手がそこにいることに慣れるために、お互いの匂いをおやつを結びつけて良いイメージに変えるといった交流の仕方を試してみましょう。
この時には、お互いに「嫌い!」と思う感情はかなり強い状況なので、1ヶ月以上かけてゆっくりとステップを踏むことが大切です。
一度でも噛む・引っ掻かれることによって大怪我をさせられてしまうと、相手に対して恐怖心や警戒心が強く印象付けられてしまい、関係修復が不可能になる危険が高まります。そのため、まずはお互いがケガをする前に、一旦離して仕切り直しをしてあげてください。
喧嘩をする時には、ケガをする前に一旦引き離して、お互いに慣れるまでの関係作りを仕切り直そう。
ちょっかいを出して威嚇・攻撃される
猫から犬へのちょっかいは、比較的犬側が許してくれるパターンが多いもの。しかし、犬から猫へのちょっかいは、自分の時間やタイミングを大事にする習性を持つ猫にとって許しがたいものになることが多いのです。
また、普段はお互いほど良い距離感でいるはずが、子犬がヒートアップして遊びに夢中になってしまうと、教育的指導とばかりに猫からパンチされたり噛まれて怒られることもあります。
【解決方法】
犬は平面的な動きしかできない動物なので、まずは猫が犬の相手をしなくても済む高所の避難スペースを作ってあげましょう。逃げ場所をなくして追いつめられてしまうと、猫は攻撃行動を犬に対して取らざるをえません。
また、犬が運動不足で猫を追いかけてしつこく遊びに誘ってしまうようなら、飼い主さんが愛犬を満足させる運動・遊びに付き合ってあげることも必要です。散歩の時間にトレーニングを行ったり、狩猟本能を満足させるような引っ張りっこや持ってこい遊びをたっぷりさせてあげましょう。
キャットウォークがある部屋にしておけば、猫にとって上下運動ができると同時に、犬とは安らぎのスペースを分けることもできるため一石二鳥です。
しかし、どんなふうに配置すれば猫にとって快適なのか、なかなかわからない部分もたくさんありますよね。そんな時には、下記の本のような、猫にとって快適な室内・楽しいと感じるキャットウォークの配置を紹介しているものを読んだ上で、インテリアを考えてみるのがおすすめです。
わんちゃんの体格が中型犬以上など、ある程度猫との体格差があるのであれば、いざという時の猫の避難スペースづくりとして、ペットゲートを設置して犬が行けないエリアを作るのも1つの方法です。
お互いのご飯を食べてしまう
いわゆる「他の子が食べているご飯の方がおいしそうに見える」という問題です。犬は一度にたくさんを食べようとする動物であり、猫のご飯は犬のご飯よりもタンパク質が多く含まれている分、ドッグフードよりも興味津々で食べようとしがちです。
猫では、犬と同じようにご飯を一度にすべて食べてしまうような「ご飯大好き!」という食べ方をする子の場合で、犬のご飯に興味を示す子が多い傾向にあります。
しかし、犬のご飯と猫のご飯では入っている栄養素に違いがあり、特に猫が犬用ご飯に手を出してしまうのであれば、タウリンという栄養素の不足やタンパク質の割合が少ない点から、健康上問題が起きる可能性が高いため避けなければいけません。
【解決方法】
お互いの食事を気にしてしまう時には、次の方法で食事スペースとゆっくりと食べる時間の確保に努めましょう。
- 食事の開始から終了までケージ内で過ごす
- 食事を食べる部屋自体を分ける
- 猫の食器を高い場所に持っていく
お互いの行動を真似してケガをする
猫は横だけでなく、上下も含めた3次元の動きをするため、一緒に追いかけっこをしている最中に犬が猫の動きについていけず、ケガをしてしまうことがあります。こういった事例では、子犬の頃に猫と一緒に暮らし、遊びたい盛りでつい真似をしてしまったタイミングで発生しがちです。
追いかけっこ中にすべって転んでしまったり、キャットタワーに昇り損ねて落ちてしまうと、足を傷めるだけでなく、体を強く打ち付けて大怪我をしてしまう危険もあるため注意しなければいけません。
【解決方法】
室内で追いかけっこが激しい時には、あえて長く走れる直線距離ができないように、家具をジグザグに配置してみましょう。障害物ができることによって、猫と違って上下運動ができない犬はスピードを落とさざるをえません。
また、キャットタワーに昇ろうとしてしまう犬がいる場合は、キャットタワーが倒れて下敷きになってしまう可能性も考慮しましょう。この場合、キャットタワーを愛犬が利用しない部屋に移動したり、キャットタワーの代替品としてキャットウォークを設置する方向に変更するほうが良いですね。
別々のいたずらで被害が大きくなる
行動の仕方が違う分、猫は高所にも口や手が届いてしまうため、床やテーブルの高い位置にある場所の片づけにも慎重にならなくてはいけません。特に食べ物に関しては、猫が食材を落としてしまうことによって犬が誤食をするなど、食べたものによっては中毒症状を示してしまう危険な事故を引き起こしかねないのです。
また、食べ物以外でも、布類・プラスチック類などが落下した結果、犬がそれをおもちゃにして噛むことで破壊してしまい、そのまま飲みこんでしまう事例もあります。
【解決方法】
犬と猫が同居する家庭では、2頭が暮らすスペースに余計なものを出しっぱなしにしないことが大前提となります。そのため、食材は猫が開けられない戸棚や冷蔵庫にしまう、大切な置物は別室に移動するといったことが必要です。
また、食卓に人のご飯が並び始める時間帯には、猫も犬もそれぞれが普段過ごしているケージ・サークルに入れて待機してもらうといった、人と動物の時間の区切りも必要になるかもしれません。
愛犬や愛猫がどんなものに興味を示すタイプなのかをしっかりと把握して、近くに「気になるもの」を置かず、愛犬や愛猫が好きなおもちゃや遊びでたっぷりと気分転換をするといったいたずら防止策をとってあげましょう。
室内の破壊・誤食対策は、床だけでなく高所にも目を配って事故を予防しよう。
まとめ
いかかでしたか?犬と猫が仲良く暮らせる方法をいくつかご紹介しましたが、中には相性が悪い子たちもいます。そういう場合は無理やり仲良くさせようとせず、同居を諦めることも必要だと思います。
また、どちらか一方だけを可愛がるという事は絶対にやめてください。同居を選んだのは自分自身であることを忘れずに、同じように愛情を注いであげてくださいね。