犬の肉球がイソギンチャクのようになる原因
子犬のころはプニプニだった肉球にイソギンチャクのようなザラザラしたものができている。犬の肉球にイソギンチャクができるのは、加齢だけでなく摩擦や誤ったお手入れが原因です。
犬の肉球は、歳を重ねるにつれて固くザラザラと変化していきます。それでもイソギンチャクのようにザラザラしていると不安ですよね。ここからは、犬の肉球にイソギンチャクができる原因を紹介します。
加齢による皮膚の角化亢進
体全体を覆う皮膚は、常にターンオーバーを繰り返して新しい皮膚に生まれ変わっています。犬の肉球も立派な皮膚の一部です。
老化が進むと新陳代謝が落ちることにより、皮膚のターンオーバーのサイクルも遅くなります。
角化亢進とは、肉球の表面から剥がれ落ちなかった皮膚が分厚く、固くなっている状態です。肉球の角質が固くなり、ひび割れしたものがイソギンチャクに例えられています。角化亢進は老犬に多く見られますが、病気ではないので過度な心配はいりません。
皮膚が分厚くなるのは肉球だけでなく、鼻の皮膚も固くなることがあります。肉球のイソギンチャクほどではありませんが、犬の鼻が固くなっていないかチェックしてみましょう。
誤ったお手入れや季節の変化による乾燥
季節の変わり目は、寒暖差で空気が乾燥し肌が荒れる時期でもあります。特に、冬になると空気の乾燥により人の肌も乾燥します。
犬も冬場は肉球が乾燥し、ひび割れを起こしてしまいます。ひび割れによりさらに水分が蒸発して乾燥するという悪循環に陥るかもしれません。
また、犬の肉球には汗を排出する汗腺が備わっており、発汗により普段から体内の水分を蒸発しています。
肉球の乾燥を防ぐために人間用の保湿クリームを塗ったり、ゴシゴシ拭いたりしているとさらに乾燥する原因になります。
歩く時に肉球が接する地面との摩擦
毎日の散歩で肉球に負担がかかっている場合があります。夏場の暑い時間帯に、コンクリートや石の上を散歩すると地面との摩擦と熱で肉球に負担がかかります。この摩擦も肉球が乾燥する原因の一つです。
運動不足やストレス解消のために毎日の散歩は重要ですが、肉球に負担をかけないよう涼しい時間帯に散歩する、土の上を歩くなどの工夫が必要です。
犬の肉球にできたイソギンチャクによる影響
犬の肉球にできたイソギンチャクは、ほとんどの場合、体に悪影響を及ぼしません。
まれにひび割れで出血することがありますが、命に危険を及ぼすことはありません。ここでは、肉球にできたイソギンチャクが犬にどのような影響を与えるのか紹介します。
犬に痛みは与えず無害なことが多い
犬の肉球にできたイソギンチャクは、痛みを感じることも少なく健康に影響を及ぼしません。肉球がガサガサでかわいそうと思うかもしれませんが、犬が気にしていなければあまり心配する必要はありません。
犬が肉球を気にして舐め続けているなら、トゲなどが刺さっていたり、ガムが引っ付いていたりなどの原因も考えられます。よく肉球を観察するようにしましょう。
傷などがある場合は、動物病院を受診しましょう。スムーズに診察が行えるよう、普段から肉球に触っても嫌がらないようにトレーニングをしておくのも大切です。
肉球のひび割れがあると違和感を覚える犬もいる
角質亢進は多くの場合は無症状ですが、犬によっては違和感を覚える子もいます。イソギンチャクが大きくなると、足裏のイソギンチャクを気にし歩行に悪影響を与えます。
また、肉球のイソギンチャクが気になり舐め続けると乾燥が進行し、ひび割れが悪化、出血することもあります。歩き方に異常を感じたり、肉球を頻繁に舐め続けるようであれば、動物病院を受診しましょう。
犬の肉球にできたイソギンチャクのケア方法
犬の肉球にできたイソギンチャクは、家で簡単にケアできます。間違ったお手入れは乾燥の原因となるため、正しい方法でケアすることが大切です。最近では、トリミングサロンで肉球ケアのコースもあり、愛犬への健康意識も高まっています。
大切なのは、毎日コツコツと肉球をケアすることです。毎日肉球をマッサージすることで、愛犬とスキンシップがとれて信頼関係も深まりケアもできて良いことづくしです。ここからは、家で簡単にできる肉球のケア方法を紹介します。
肉球に保湿クリームを塗る
肉球に保湿クリームやジェルを塗ることで肉球を保護し、柔らかい肉球へ導きます。クリームは保湿力が高く、ジェルは浸透力が高いため肉球の状態に合わせて使い分けましょう。
ワセリンを使用する場合は、不純物の含有量が少ない白色ワセリンを使用しましょう。ただし、ワセリンは粘度が高くベトベトするため、犬によっては余計に気にして舐めることがあります。犬の性格や肉球の状態に合わせて使い分けることが大切です。
肉球をケアするときの注意点は、犬用のクリームやジェルを使うことです。人間用の保湿クリームは香りがついていて犬が舐める原因になるため、無臭で犬が舐めても無害な成分でできている犬用クリームを使用しましょう。
肉球全体をマッサージするように薄くクリームを塗りましょう。クリームを塗ってから成分が浸透するまで約10分待つと効果が高まります。頻度は1日1回を基本とし、肉球の具合によっては朝晩1回ずつ塗布します。
すぐにクリームを舐めてしまう犬は、食事の直前にクリームを塗り、食事で気をそらせるのが有効です。
保湿した後は犬用靴下をはかせておく
保湿クリームを塗った後は、犬用靴下を履かせることで保湿効果が高まります。さらにクリームを舐めてしまうのを防いだり、床にクリームがつくのも防止できたりします。床にクリームがつくと滑りやすく人も犬も転倒の危険や掃除も大変なので、靴下はおすすめです。
ただし、靴下に慣れていない犬は靴下を履くことでストレスになり、余計に足を舐めてしまいます。その場合は無理せずに犬の性格や好みにあったケアをしましょう。
イソギンチャク部分は無理に削らない
イソギンチャク部分は切っても良いものなの?と気になりますが、飼い主が無理に切ってはいけません。無理にイソギンチャクの根本を削ったり切ろうとすると、肉球から出血したり犬に痛みを与えてしまうリスクがあります。
どうしてもイソギンチャクが気になる場合は、獣医師に相談し適切な処置をしてもらいましょう。歩行に異常をきたすなど日常生活に困難な場合はイソギンチャクを削る処置をすることもあります。
まとめ
犬の肉球がイソギンチャクのようになってしまう原因やケア方法を紹介しました。犬の肉球がイソギンチャクのようになるのは、加齢による皮膚の角化亢進や歩くときの摩擦、誤ったお手入れをしているなどが原因です。
肉球にできたイソギンチャクは、痛みがなく無症状なことが多いので過度な心配はいりませんが、肉球の乾燥か酷くなりひび割れすると痛みが生じるため、愛犬が頻繁に肉球を気にするようなら動物病院を受診しましょう。
痛みを伴わない肉球のイソギンチャクは、家で簡単にケアできます。犬用肉球クリームやジェルを使って毎日マッサージすることで、犬との信頼関係も深まり良いことづくしです。
肉球にジェルやクリームを塗った後、靴下を履かせることで保湿効果を高めることができますが、犬が靴下を嫌がるようであれば無理強いせず、愛犬の性格に合わせてケアすることが大切です。
肉球にイソギンチャクができても痛みを伴うことはほとんどありませんが、肉球には血管が通っています。自宅でイソギンチャク部分を無理に切ったり削ってしまうと出血したり、痛みがでてしまうこともあるので、自己判断で削ることは危険なのでやめましょう。
子犬のころはプニプニな肉球ですが、成犬ではザラザラしているのが普通です。肉球が異常にザラザラしている、犬が肉球を気にしている様子があれば獣医師に相談するようにしましょう。
日頃から愛犬の様子を観察することで犬の病気の早期発見・治療につながります。普段あまり気にしていない肉球ですが、愛犬の健康維持のためにもぜひ肉球に注目して観察してくださいね。