【獣医師監修】犬はハーブを食べても大丈夫?安全な種類や効果、正しい与え方と注意点について

【獣医師監修】犬はハーブを食べても大丈夫?安全な種類や効果、正しい与え方と注意点について

犬はハーブを食べても大丈夫?カモミールなど安全な種類と、ユーカリなど危険なNGハーブを徹底解説。消化やリラックスなどの効果、正しい与え方、薬との飲み合わせといった注意点も網羅し、愛犬へのリスクとメリットをまとめました。

SupervisorImage

記事の監修

大阪府立大学生命環境科学部獣医学科卒業。その後、約10年に渡り臨床獣医師として動物病院に勤務。予防医療、行動学、老犬の介護問題に興味を持っています。正しい知識と情報を多くの方に伝えたいという思いからWEBライターとして動物関係の記事を執筆しています。

犬はハーブを食べても大丈夫?

ハーブが盛られた器のそばに立っている犬

結論からお伝えすると、犬は一部のハーブを少量であれば食べても問題ありません。自然療法や健康管理として取り入れられることもありますが、「天然だから安全」という考えは間違いです。

犬と人間では体の代謝や感受性が大きく異なり、人にとって無害な植物が犬には有害になるケースがあるため、種類と量には細心の注意が必要です。

また、安全性が認められるハーブであっても、多く与えることで体調を崩すリスクがあります。

ハーブを犬の生活に取り入れるなら、正しい知識を身につけ、あくまでも普段の食事を補う目的で、適切な範囲で利用する姿勢が大切です。不安な場合は自己判断せず、必ず事前に動物病院や専門家に相談しましょう。

犬にハーブを与えることで期待できる効果

明るい表情で屋外の原っぱに伏せる犬

ハーブには、植物が自らを守るために作り出す成分が含まれており、適切に使えば犬の健康を穏やかに支える働きが期待できます。

ここでは、与えられる可能性のある作用を、よりわかりやすく整理して紹介します。なお、個々のハーブそのものの安全性や具体的な与え方は別の見出しで詳しく説明します。

お腹の調子を整えやすくする

一部のハーブは、胃腸の動きを穏やかに整え、食べ物がスムーズに消化されるようサポートする場合があります。

食欲が落ち気味の犬や、季節の変わり目でお腹が不安定になりやすいときに、食事の負担を和らげる補助として役立つことがあります。

皮膚や毛並みのコンディションを保つ

抗酸化成分や体のバリア機能を支える成分を含むハーブは、皮膚や被毛の健康を内側からサポートする働きが期待できます。

乾燥が気になる犬や、被毛のツヤを保ちたいときに、日頃のケアを補う手段として取り入れられることがあります。

緊張を和らげてリラックスを促す

香りや成分の働きによって、神経の高ぶりを落ち着かせる効果が期待されるハーブもあります。雷・花火が苦手な犬や、留守番が不安な犬など、緊張しやすい場面を少しでも過ごしやすくする補助として活用されることがあります。

年齢に応じた健康維持を助ける

加齢やストレスにより体内では酸化が進みますが、多くのハーブにはその酸化を抑える働きがあるとされています。シニア期の犬にとって、こうした作用は日々の健康維持を支える一つの手段となり得ます。

口臭や口内の清潔をサポートする

抗菌作用を持つハーブの中には、口内を清潔に保つことで気になる口臭の軽減に役立つものもあります。歯磨きが苦手な犬でも、食事と併用することで口内ケアの補助として取り入れられる場合があります。

ただし、歯磨きの代わりにはならないため、あくまで補助的な働きとして活用することが重要です。

犬が食べてもいい安全なハーブの種類

犬に使用できるカモミールのハーブ

ここでは、犬に対して比較的安全性が高いとされ、健康維持のサポートとして用いられることがある代表的なハーブを紹介します。

いずれも「少量を補助的に使う」ことが前提であり、持病や体質によって合わない場合もあります。そのため、ここに挙げられているからといって全ての犬に必ず安全というわけではない点を理解しておきましょう。

また、同じ名前でも種類が違うと毒性が大きく異なるハーブもあります。特に似た名前の別種や、濃度の高いオイル製品などは扱いが難しいため、疑問がある場合は必ず獣医師に相談してください。

カモミール

カモミールは、リラックスを促したり胃腸の調子を整えたりする働きが期待されるハーブです。特に「ジャーマンカモミール」は、犬に対しても比較的よく用いられる種類として知られています。

一方で、「ローマンカモミール」は犬にとって有害とされており、同じカモミールでも全く性質が異なります。犬に利用する場合は、ジャーマンカモミールのみを選び、キク科アレルギーが疑われる犬や妊娠中の犬には避けるようにしましょう。

ローズマリー

ローズマリーは、強い抗酸化作用を持つことで知られ、若々しさや日々のコンディション維持をサポートする目的で使われることがあります。

ドッグフードの保存料として少量が添加されていることもあり、食品レベルの範囲では一般的に大きな問題はないとされています。

ただし、香りや刺激が強いハーブでもあるため、敏感な犬には合わないことがあります。また、てんかんなど発作の持病がある犬では慎重に扱うべきとされていますので、不安がある場合は獣医師と相談しながら利用の可否を判断してください。

バジル

バジルは、抗酸化成分やビタミン類を含み、免疫や目の健康を支えたいときの補助として用いられることがあります。香りがよく、好んで口にする犬も多いハーブです。

とはいえ、量が多くなると胃腸への刺激になることもあるため、ごく少量から始めて様子を見ることが大切です。香りに敏感な犬では、バジル自体を嫌がることもあるので、無理に与えないようにしましょう。

ミント

ペパーミントやスペアミントなどのミントは、口の中をさっぱりさせたいときや、すっきりした香りでリフレッシュさせたいときに用いられることがあります。消化を助けたり、ガスの排出をサポートしたりする働きが期待されることもあります。

一方で、ミントの中には「ペニーロイヤルミント」のように肝臓への毒性が強く、犬には使ってはいけない種類も存在します。

ここで扱っているのはあくまでペパーミントとスペアミントであり、それ以外のミントを犬に与えることは避け、濃度の高い精油やオイル製品も使用しないようにしてください。

タイム

タイムは、強い抗菌・殺菌作用があることで知られるハーブです。人ではのどの不快感を和らげる目的などに使われることがあり、犬に対しても、健康維持の一環としてごく少量が用いられることがあります。

ただし、作用がしっかりしている分、長期間続けたり、大量に使ったりするのは好ましくありません。特に妊娠中の犬には刺激が強すぎる可能性があるため、利用を控えるか、事前に獣医師に確認しましょう。

ローズヒップ

ローズヒップは、ビタミンCやポリフェノールなどを豊富に含むことで知られ、「ビタミンの宝庫」と呼ばれることもあるハーブです。ストレスがかかりやすい状況や、関節・皮膚の健康を保ちたいときのサポートとして用いられる場合があります。

酸味があるため、味を嫌がる犬もいますが、体質に合えば日々のコンディション維持に役立つことがあります。初めて利用する際は、ごく少量から試し、軟便や嘔吐などがないか慎重に様子を見てください。

しそ(大葉)

しそ(大葉)は、日本の食卓でもおなじみのハーブで、抗酸化作用や食欲増進の働きが期待されます。香りが食欲を刺激するため、フードへの興味が落ちているときの香り付けとして利用されることもあります。

ただし、しそに含まれる成分の一つ「ペリラケトン」は、大量摂取した場合に肺に負担をかける可能性が指摘されています。犬にはあくまで少量を目安にし、腎臓などに持病がある場合は獣医師に相談したうえで取り入れるようにしましょう。

犬が食べてはいけない危険なハーブ

犬には禁忌のユーカリ

ハーブの中には、人には身近であっても、犬が口にすると中毒を起こすものや、強い刺激で体調を大きく崩してしまうものがあります。

ここでは、特に注意したい代表的なハーブを挙げますので、家の中や庭に置いていないか一度確認してみてください。

「少しなら大丈夫だろう」「香りだけなら平気そう」と自己判断すると危険です。観葉植物やアロマとして使われるものも含まれるため、犬が触れたりかじったりできないよう、環境づくりにも気を配りましょう。

ユーカリ

ユーカリは、アロマオイルやポプリ、観葉植物として人気ですが、犬にとっては非常に危険なハーブです。

葉や枝、そこから作られるオイルには強い精油成分が含まれており、少量でも嘔吐や下痢、過剰なよだれ、ふらつきなどの中毒症状を引き起こすおそれがあります。

症状が重い場合は、意識がぼんやりする、呼吸が苦しそうになるなど、命に関わる状態に進行することもあります。ユーカリは犬がいる環境では基本的に使用を避け、どうしても使う場合でも、犬が絶対に触れない・舐められない場所でのみ利用するようにしてください。

ジャスミン

ジャスミンという名前がつく植物はいくつかあり、種類によって毒性が異なります。

一般的なジャスミン(ジャスミナム属)は強い毒性はないとされるものの、たくさんかじれば嘔吐や下痢などの胃腸トラブルを起こすことがあります。

また、ジャスミンの香りをつけた茶葉にはカフェインが含まれており、犬が飲むと興奮や震え、不整脈などのカフェイン中毒につながります。

さらに、「カロライナジャスミン」など、名前にジャスミンと付いていても全く別の植物で、強い毒性を持つ種類も存在します。

このような植物をかじると、めまい、けいれん、呼吸困難などの重い症状に発展する危険があります。散歩中や庭先で「ジャスミンらしき花」を見つけても、犬が近づいて口にしないように十分注意してください。

ヨモギ

ヨモギは、人ではお灸や草餅などに使われる身近な植物ですが、犬には注意が必要です。

種類によっては「ツジョン(thujone)」という神経毒性のある成分を多く含み、大量に摂取すると痙攣や震え、落ち着きがなくなるなどの神経症状を引き起こすおそれがあります。

また、ヨモギはキク科の植物の一種であり、アレルギー体質の犬では、皮膚の赤みやかゆみ、湿疹といった症状が出ることもあります。

野草として道端や河川敷などに生えていることも多いため、「自然のものだから大丈夫」と考えて摘んで与えるのは避けましょう。専門家の指導がない限り、犬にはヨモギを食べさせない方が安全です。

マリーゴールド

マリーゴールドにはいくつか種類があり、ハーブティーなどに利用される「カレンデュラ(ポットマリーゴールド)」は比較的安全性が高いとされていますが、園芸店でよく見かけるフレンチマリーゴールドやアフリカンマリーゴールドなどは、犬には有害となることがあります。

かじったり食べたりすると、口の中や唇がただれる、皮膚が赤くなる、嘔吐や下痢が起こるといったトラブルにつながります。

見た目がよく似ていて素人には判別が難しいため、庭や玄関先の花壇にマリーゴールドを植えている場合は、犬が届かない場所にするか、別の植物に代えることを検討しましょう。

ハーブとして利用したいときは、「犬用」などと明記されたカレンデュラの製品を選び、誤って観賞用のマリーゴールドを利用しないよう十分注意が必要です。

犬へのハーブの与え方

食器からフードを食べている犬

安全性の高いハーブを選んだとしても、量や与え方を誤れば体調を崩す原因になります。

ここでは、犬の体に負担をかけずにハーブを取り入れるための基本的な方法をまとめています。食事に少しだけ香りを添えるイメージで、ごく控えめに始めることが大切です。

フードに少量だけ混ぜて与える

もっとも取り入れやすい方法は、普段のドッグフードにハーブを少量トッピングする形です。

生のハーブを使う場合は、細かく刻んで消化の負担を軽くし、ドライフードにそのまま振りかけるのではなく、少量のぬるま湯やウェットフードで軽く馴染ませてから与えると食べやすくなります。

乾燥ハーブやパウダーを使う場合も、むせないように必ずフードに混ぜ込んでください。量はほんの少しから始め、体に変化がないか慎重に観察することがポイントです。

薄めたハーブティーを少量だけ与える

ハーブの風味をよりマイルドに取り入れたい場合は、ハーブティーとして抽出した液を使う方法があります。人が飲む濃さでは犬には強すぎるため、ごく薄く希釈し、色がほとんどつかない程度の薄さにするのが基本です。

与える際は、水替わりに置くのではなく、食事に少量かける、またはおやつ代わりに小さじ1程度を与えるなど、控えめな量にとどめましょう。茶葉そのものは消化に負担がかかるため、液体だけを利用してください。

初回はごく少量から始める

ハーブを初めて試すときは、「ごく少ない量で反応を見る」ことが欠かせません。耳かき1杯より少ない程度の量から始め、数時間〜半日は体調や行動に変化がないか観察してください。

複数のハーブを同時に試すのは避け、1種類ずつ様子を見ることが大切です。もし体調が崩れた場合、どのハーブが合わなかったのか判断しやすくなります。

犬にハーブを与える際の注意点

体調が悪そうな様子で伏せている犬

ハーブは使い方次第で犬の健康を支える一方、扱いを誤ると体調不良や中毒の原因になることもあります。

特に、人間用として作られた製品や、持病・体質との相性を考えずに取り入れてしまうと、思わぬトラブルにつながりかねません。

ここでは、ハーブを日常に取り入れる前に必ず押さえておきたい注意点をまとめます。

人間用ハーブ製品を使わない

人間向けのハーブティーやサプリメント、アロマ製品を、そのまま犬に流用するのは避けましょう。

人間用の商品には、犬には不要または有害となる成分(甘味料や香料、保存料など)が含まれている場合があります。ブレンドハーブの場合は、どの植物がどれほどの割合で入っているか分からないことも多く、安全性の見極めが難しくなります。

犬にハーブを使うときは、「犬用」と明記された製品か、安全性が確認された単一のハーブだけを選び、成分表示をよく確認することが大切です。少しでも成分が分からないものは、口に入れさせないようにしましょう。

持病・薬との相互作用に注意

心臓病、腎臓病、肝臓病、糖尿病などの持病がある犬や、日常的に薬を飲んでいる犬にハーブを与える場合は、必ず事前に獣医師に相談してください。

ハーブの中には、利尿作用や血糖値に影響を与えるものなどがあり、薬の効果を強めたり弱めたりしてしまう可能性があります。

自己判断でハーブと薬を併用すると、数値が不安定になったり、症状が悪化したりする危険もあります。治療中の犬に新しいものを取り入れるときは、「このハーブをどのくらいなら使ってよいか」を獣医師と一緒に確認しながら進めるようにしましょう。

子犬・シニア・妊娠中は慎重に

体力や臓器の機能がまだ十分でない子犬や、加齢によって代謝が落ちてきたシニア犬は、ハーブの影響を受けやすい状態にあります。

同じ量でも、成犬より負担が大きくなってしまうことがあるため、基本的には「必要性が高い場合を除き、無理に使わない」姿勢が安全です。

また、妊娠中や授乳中の犬は特に注意が必要です。子宮の収縮を促したり、ホルモンバランスに影響したりするハーブもあり、流産や早産、母体への負担につながるおそれがあります。

この時期は、ハーブの使用は控えるか、どうしても必要な場合のみ獣医師の管理のもとで検討するようにしましょう。

アレルギー症状が出たら中止

ハーブは植物である以上、どの種類でもアレルギーを引き起こす可能性があります。

与えたあとに、かゆみや発疹、目の周りや口元の腫れ、くしゃみや咳、軽い嘔吐や下痢など、いつもと違う様子が見られたら、そのハーブの使用はいったん中止してください。

特に、同じハーブを続けて与えたときに毎回似たような症状が出る場合は、その犬にそのハーブが合っていないサインかもしれません。

少量だからといって続けてしまわず、「このハーブは合わなかった」と考えて別の方法を検討することが大切です。

長期間・多量使用を避ける

ハーブは薬ではないからといって、長期間にわたって毎日多く与えるのは望ましくありません。

少量ならメリットがある成分でも、長く続けることで肝臓や腎臓に負担をかける可能性がゼロとは言えず、体質によっては慢性的な不調の原因になりかねません。

基本的には、「必要なときに、短期間だけ、控えめな量を使う」ことを心がけ、漫然と習慣化しないようにしましょう。定期的な健康診断の結果を見ながら、ハーブを続けてよいかどうかを獣医師と相談するのも安心です。

犬がハーブで体調不良を起こしたときの対処法

診察台の上に乗って獣医師に診察されている犬

ハーブを与えたあとに、いつもと様子が違うと感じたら、「大丈夫だろう」と自己判断せず、状態に応じた対応をとることが大切です。軽い不調で済む場合もあれば、中毒やアレルギー反応など時間との勝負になるケースもあります。

ここでは、症状の程度ごとに、どのように見極め、どう行動すべきかを整理します。

軽い不調は一時中止して様子を見る

ハーブを与えた直後に一度だけ吐いた、少し軟便になった程度で、その後は元気も食欲も普段どおりという場合は、ハーブが胃腸に一時的な刺激を与えた可能性があります。

このようなときは、そのハーブの使用をいったん中止し、消化にやさしいフードやぬるま湯で様子を見ましょう。

この段階で無理にもう一度ハーブを与えたり、新しい種類に切り替えたりするのは避けてください。数日ほど体調に変化がないか観察し、同じハーブを再び与えたときに同様の症状が出るようであれば、その犬には合わないと判断して永久に使用をやめるのが安心です。

危険な症状が出たらすぐ受診

嘔吐や下痢を何度も繰り返す、ぐったりして動かない、呼吸が荒い、よだれが止まらない、震えや痙攣が見られる、体や顔が急に腫れてきた、といった症状がある場合は、緊急性の高い状態が疑われます。

こうしたときは、自宅での様子見にこだわらず、すぐに動物病院へ連絡し指示を仰いでください。

夜間や休日であっても、時間が経つほど症状が悪化することがあります。特に、呼吸が苦しそう、意識がもうろうとしている、止まらない嘔吐や下痢が続いている場合は、一刻を争うケースも多いため、迷わず救急対応が可能な病院を探しましょう。

自己判断で吐かせない

慌ててハーブを吐かせようとして、指を口の中に入れる、塩やオイルを飲ませる、ネットで見た方法を試すといった自己流の対処は危険です。

誤嚥を起こしたり、別の中毒や粘膜の炎症を招いたりして、かえって状態を悪化させるおそれがあります。

また、人間用の胃薬や整腸剤、手元に余っている別の薬を飲ませるのも厳禁です。症状を一時的に隠してしまい、病院での診断が遅れる原因にもなります。

受診までのあいだは、指示がない限り自宅で余計なことはせず、静かな環境で安静にさせておきましょう。

診察時に必要な情報を準備する

動物病院を受診する際は、獣医師が状況を正確に把握できるよう、できるだけ多くの情報をそろえておくと診断がスムーズです。

いつ、どのハーブをどれくらい与えたのか、症状が出始めた時間、現在の様子などをメモにまとめて持参すると役立ちます。

与えたハーブの現物やパッケージ、説明書があれば、一緒に持っていきましょう。どの植物をどんな形で摂取したのかが分かれば、中毒の種類や重症度を判断する材料になります。

また、ふだん飲んでいる薬や、これまでに指摘された持病があれば、その情報も忘れずに伝えてください。

犬にハーブは本当に必要?フードやサプリとの付き合い方

ドッグフードが入った食器のそばで嬉しそうな犬

ハーブは上手に取り入れれば、犬の心身のコンディションをそっと支えてくれる存在になり得ます。一方で、「ハーブをあげないと健康になれない」「流行っているからとりあえず試してみる」といった考え方はおすすめできません。

ここでは、普段のフードやサプリメントとのバランスを踏まえながら、ハーブの位置づけを整理してみましょう。

基本の栄養はフードで十分

まず押さえておきたいのは、きちんとした総合栄養食のドッグフードを食べている犬であれば、基本的な栄養はすでに満たされているという点です。

年齢や体格、活動量に合ったフードを適量食べていれば、「栄養が足りないからハーブで補わないといけない」という状況は、通常はほとんどありません。

そのため、ハーブは栄養不足を埋めるものではなく、「食事に少し香りの変化をつけたい」「ちょっとした不調をやさしくケアしたい」といった補助的な役割と考えるのが安心です。

まずはフードの選び方や与え方を見直し、それでも必要性がある場合にハーブを検討する順番が望ましいでしょう。

ハーブはあくまで補助的役割

ハーブに期待できる効果はあくまで穏やかなものであり、薬のように強力で即効性のあるものではありません。ハーブだけで病気を治そうとしたり、処方された薬を勝手にやめてハーブに切り替えたりするのはとても危険です。

「ごはんタイムを少し楽しくする」「リラックスして過ごせる時間を増やす」といった、生活の質をほんの少し底上げするイメージで取り入れると、過度な期待やがっかり感も少なくてすみます。

ハーブを使うかどうかよりも、毎日の生活リズムや睡眠、運動量を整えることのほうが、犬の健康にはずっと大きく影響します。

サプリとの重複に注意する

関節ケアや皮膚ケアなどを目的としたサプリメントや機能性フードをすでに利用している場合、同じような成分を含むハーブを重ねて使うと、思った以上に摂取量が増えてしまうことがあります。

たとえば、抗酸化成分や利尿作用のある成分などは、複数の製品に共通して含まれていることが少なくありません。

サプリメントとハーブを併用したいときは、「今、何をどれくらい与えているか」を紙に書き出し、かかりつけの獣医師に確認するのがおすすめです。

「フード+サプリ+ハーブ」で全体のバランスを見てもらうことで、過不足なく安全な範囲に収まっているか判断しやすくなります。

ハーブよりも生活習慣の見直しが優先

なんとなく体調が安定しない、毛ヅヤが落ちてきた、落ち着きがない……といったとき、「まずハーブを足してみよう」と考える前に、見直しておきたいポイントがいくつかあります。

フードの量や質、運動量、ストレスになる環境要因、ブラッシングやスキンケアの方法など、日常のケアで改善できることはないかをチェックしてみましょう。

こうした土台が整っていない状態でハーブだけを増やしても、本質的な解決にはつながりにくく、かえって原因が分かりにくくなってしまう場合もあります。

ハーブはあくまで「整った土台の上に、そっとプラスするもの」と考えると、過不足なく付き合いやすくなります。

不安な場合は獣医師に相談する

持病がある犬やシニア犬のケアにハーブを取り入れたい場合は、自己判断で種類や量を決めるのではなく、獣医師と相談しながら進めるのが安心です。

特に、心臓・腎臓・肝臓・内分泌系(甲状腺や糖尿病など)の病気がある場合は、ハーブの影響が治療に絡んでくる可能性があります。

「このハーブを試してみたい」「今のフードにこういう成分が入っているが併用して大丈夫か」など、気になることは遠慮なく相談し、必要であればハーブを使わない選択肢も含めて一緒に考えてもらいましょう。

ハーブにこだわりすぎず、フード・サプリ・薬・生活習慣のバランスを総合的に整えていくことが、最終的には愛犬の一番の健康につながります。

まとめ

ハーブとして使える植物が生えた屋外で座る犬

犬にとってハーブは、正しく選んで少量を補助的に使えば、心身のコンディションをそっと支えてくれる存在です。しかし、すべてのハーブが安全なわけではなく、種類や量を誤れば中毒や体調不良につながる危険があります。

特に、人間用の製品を流用したり、持病や薬との相性を考えずに与えたりするのは避けるべきです。まずは総合栄養食をしっかり食べられているか、生活環境に改善点はないかを見直し、そのうえで必要性がある場合に慎重に取り入れる姿勢が大切です。

少しでも不安があれば獣医師に相談し、愛犬に無理のない範囲で安全にハーブを活用していきましょう。

はてな
Pocket
この記事を読んだあなたにおすすめ
合わせて読みたい