犬にアメリカンチェリーを与えても大丈夫?
結論から言うと、種・軸(茎)・葉を完全に取り除き、農薬を洗い流した「実(果肉)」だけなら、犬にアメリカンチェリーを与えても大丈夫です。
アメリカンチェリーは適量なら犬のおやつとして楽しめますが、種などには有毒な成分が含まれており、誤って与えると中毒や腸閉塞などの深刻なトラブルにつながる恐れがあります。
また、輸入品のため防かび剤や農薬が残留している可能性があり、与える前には流水でしっかり洗い流す必要があります。
初めて与える場合は、ごく少量から始め、愛犬の様子に異変がないかをよく観察しましょう。特に子犬や老犬、持病がある犬に与える際は、事前に獣医師に相談すると安心です。
アメリカンチェリーに含まれる栄養素と犬への効果
アメリカンチェリーは鮮やかな赤色の果実で、犬にとってもメリットのある栄養素を複数含んでいます。ただし犬が健康効果を得るには、ごく少量でも十分なため、あくまでもおやつとして与えることを前提としましょう。
アントシアニン
アメリカンチェリーに含まれる赤色の天然色素成分アントシアニンは、ポリフェノールの一種です。
強い抗酸化作用があるとされ、細胞の老化やダメージを引き起こす活性酸素の働きを抑えるため、愛犬の健康維持に役立つと期待されています。
目の健康維持に関する報告もありますが、犬での効果については研究段階であり、明確な結論は出ていません。
ビタミン類
アメリカンチェリーには犬の免疫力維持やストレスへの抵抗力をサポートするビタミンCが含まれています。
犬は通常、ビタミンCを体内で合成できますが、加齢や体調不良、強いストレス時には消費量が増えるため、果物から補給することは有効と考えられます。
一方、ビタミンA(β-カロテン)も含まれていますが、含有量が微量のため、主な供給源にはなりません。
カリウム
アメリカンチェリーに豊富なカリウムは、体内の余分なナトリウム(塩分)を排出する働きがあります。これにより体液のバランスを整え、筋肉や神経が正常に働くのを助けます。
ただし、腎臓や心臓に疾患がある犬の場合、カリウムの摂取量を制限する必要があるため、与える前に必ず獣医師に相談してください。
犬にアメリカンチェリーを与える適量の目安
アメリカンチェリーは犬のおやつとして与えることができますが、食べ過ぎを防ぐため、愛犬の体重に合った適量を守る必要があります。
おやつのカロリーは1日に必要な総摂取カロリーの10%以内が目安です。アメリカンチェリー1粒の重さは約5〜8g(約3〜5kcal)程度が一般的です。以下の表を参考に、与える量を調整しましょう。
犬のサイズ(体重目安) | 1日の目安量 |
---|---|
超小型犬(3kg未満) | 1粒まで |
小型犬(5kg程度) | 1〜2粒まで |
中型犬(10kg程度) | 3〜4粒まで |
大型犬(30kg程度) | 5〜6粒まで |
この目安は、犬の体調や年齢、運動量などによって変わります。子犬や老犬は消化器官がデリケートなため、まずはさらに少ない量から様子を見てください。
また、初めて与える場合は4分の1粒程度に刻んで少量ずつ与え、問題がないことを確認してから適量へと調整しましょう。
犬にアメリカンチェリーを与える際の注意点
アメリカンチェリーは犬に安全に与えられる果物ですが、いくつか注意すべきポイントがあります。以下の項目を確認し、愛犬が安心して食べられるようにしましょう。
種・軸・葉は危険なので除去が必須
アメリカンチェリーの種・軸(茎)・葉には青酸配糖体(アミグダリン)が含まれており、体内で分解されると有毒なシアン化水素(青酸)を発生させる危険性があります。
また、種は小型犬の場合、腸閉塞を引き起こす恐れもあるため、必ず与える前にすべて完全に取り除いてください。
与える前に流水でしっかり洗う
アメリカンチェリーは輸入品のため、農薬や防かび剤などの薬剤が表面に残留している可能性があります。犬に与える前には必ず流水で丁寧に洗い流してから与えましょう。洗浄後、皮を剥いてあげるとさらに安心です。
与えすぎは肥満や消化不良の原因に
アメリカンチェリーには果糖が多く含まれており、与えすぎると肥満や糖尿病、また消化不良による下痢や嘔吐などを引き起こす可能性があります。頻繁に与えるのではなく、特別なおやつとして適量を守って与えてください。
加工品は糖分・甘味料が危険なので与えない
アメリカンチェリーを使った缶詰やコンポート、ジュース、ジャムなどの加工品は糖分が非常に多く、肥満や消化器系トラブルの原因になります。
また、砂糖不使用の加工品では人工甘味料(キシリトール)が使われている場合もあり、犬にとって深刻な中毒症状を引き起こす危険性があります。加工品は避け、新鮮な実を適量与えるようにしましょう。
アレルギー確認のため最初はごく少量
どんな食材でも、犬によってはアレルギー反応が起こる可能性があります。初めてアメリカンチェリーを与える場合は、4分の1粒程度に刻んだ少量から試し、数時間は下痢や嘔吐、かゆみなどの症状が出ていないか注意深く観察してください。
犬がアメリカンチェリーの種を飲み込んだときの対処法
万が一、愛犬がアメリカンチェリーの種を飲み込んでしまった場合は、落ち着いて以下の手順で対応しましょう。飲み込んだ状況や愛犬の様子をよく観察し、状態に応じて迅速な対応が必要です。
種を丸飲みした場合
1〜2粒程度の種を丸飲みしただけの場合、通常は24〜48時間以内に便と一緒に自然に排出されることが多いです。無理に吐かせようとはせず、排便の状況や犬の体調を数日間注意深く観察してください。
もし排便が困難だったり、食欲が落ちたりするなどの異常が見られた場合は、速やかに獣医師に相談しましょう。
種を噛み砕いた場合
種を噛み砕いた場合や大量に飲み込んだ場合は、種に含まれる青酸配糖体(アミグダリン)から有毒なシアン化水素(青酸)が体内に吸収され、中毒症状を引き起こす危険性があります。
特に以下の症状が見られたら、すぐにかかりつけの動物病院に連絡し、獣医師の指示に従ってください。
- 繰り返し嘔吐や下痢をする
- 呼吸が速く苦しそう
- ぐったりとして元気がない
- 歯茎や舌の色が青紫色または蒼白になる
- けいれんを起こしている
自己判断による処置は危険
インターネット上の情報を元に自己判断で吐かせようとする行為は、かえって愛犬の状態を悪化させるリスクがあります。必ず獣医師に相談し、指示を仰いで適切な治療や処置を受けるようにしてください。
まとめ
犬にアメリカンチェリーを与える場合は、種・軸・葉を完全に取り除いた実の部分のみを適量であれば安全です。ただし、これらの部分には有毒な成分があり、特に種は誤飲すると中毒や腸閉塞の危険があります。
また、糖分が多いため与えすぎると肥満や消化不良を引き起こす可能性があり、農薬など残留物質にも注意が必要です。初めて与える際には少量から始めて、アレルギーなどの異常がないか様子を確認しましょう。
万が一種を飲み込んだ場合は、状態に応じて獣医師に連絡し、冷静な対応を心掛けてください。