犬は梅を食べてはいけない!
梅には、抗酸化作用、抗ウイルス作用、疲労回復作用など、さまざまな健康効果があります。
また、栄養価も高く、クエン酸やリンゴ酸などの有機酸のほか、たんぱく質やビタミン、ミネラルも豊富で、漢方薬としても重宝されていますが、生の梅の実は食べてはいけないと言われています。
もちろん、犬にも生の梅を食べさせてはいけません。以下、その理由を詳しく説明します
梅には中毒成分が含まれている
未熟な青梅の種や果肉には、青酸配糖体の一つであるアミグダリンと言われる成分が含まれています。
アミグダリン自体に毒性はないのですが、体内に入る事で腸内細菌がもつ酵素によって分解され、毒性があるシアン化水素(青酸)を発生させます。
そのため熟成されていない生の青梅は、食べてはいけないと言われています。お散歩の時に、犬が落ちている梅の実を食べてしまわないように注意しましょう。
梅の種を飲み込むと危険
アミグダリンは果肉よりも種に多く含まれているため注意が必要です。
また、梅の種は大きいので消化することが出来ません。そのため、気管や腸に詰まり、呼吸困難や腸閉塞を引き起こすことがあります。
さらに、梅干しの種はとがっているものが多く、食べると胃腸を傷める可能性があります。好奇心旺盛な子犬や体の小さな小型犬には、特に注意が必要です。
アレルギーにも注意する
梅はバラ科の果物の一種です。まれにですが、バラ科の果物にアレルギーを持つ犬もいます。
また、梅のほかにも、バラ科の果物の種子や葉にもアミグダリンが含まれています。バラ科の果物には、リンゴ、イチゴ、梨、ビワ、桃などがあります。
犬が梅の加工品を食べても大丈夫?
生の青梅には中毒を起こす成分が含まれていますが、熟成や加工の過程で分解・無毒化されるので、加工品は少量であれば食べても大丈夫です。
梅干しは与えすぎに注意すれば大丈夫
梅干しには犬に有害な成分は含まれていませんので、少量であれば与えても大丈夫です。その際は、必ず種を取り除き、細かく刻んで与えてください。
ただし、梅干しには塩分が多く含まれているため注意が必要です。梅の大きさやメーカーによって違いますが、市販されている梅干し(塩漬け)には、1粒に約2gの塩分が含まれています。
犬が1日に必要な塩分量は、成犬で体重1kgあたり0. 242gと言われています。例えば10kgの成犬だと2.45gの塩分が1日に必要になります。
一方、体重1kgあたり2~3gの塩分を摂取すると中毒を起こすことがあります。さらに4gの塩分を摂取すると、死に至ることもあります。
総合栄養食のドッグフードには、1日に必要な塩分量が既に含まれているため、梅干しを与える場合には、10kgの成犬で1/2程を目安として、毎日は与えないようにして下さい。
梅酒は絶対に与えてはいけない
犬にはアルコールを分解する酵素がなく、少量のアルコールでも急速に体内に吸収されます。そして、血液脳関門というバリア機能のある部分を通過し、脳に悪影響を与え、最悪の場合死に至ります。
また、アルコールは分解されずに長時間犬の体内に残り、呼吸器系、心臓、血管、肝臓などの内臓に悪影響を及ぼすと言われています。
梅酒はもちろんですが、梅酒の中に入っている梅の実も、犬には絶対に与えてはいけません。
他にも、発酵中のパン生地やピザ生地、アルコール消毒液や除菌シート、ウエットティッシュにもアルコールが含まれている為注意が必要です。
梅肉エキスは少量なら与えても大丈夫
梅肉エキスには、ムメフラールと言う成分が含まれています。この成分には、血液の流れを良くする効果があります。
梅肉エキスは、青梅をすりおろした果汁を長時間煮込んでペースト状にした健康食品です。加工する過程で、塩分を使用していないため、梅の栄養を犬に与えたい場合にオススメです。
ただし、酸味がとても強いので与える場合には、極少量を薄めたりご飯に混ぜたりして与えるようにして下さい。また、疾患がある犬には、獣医師に確認してから与えるようにしましょう。
梅ジュースは糖分に注意が必要
梅の加工品の中でも、手軽に作れる梅ジュースを家庭で作っている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
梅ジュースは梅酒と違ってアルコールが含まれていないので、犬に与えても大丈夫ですが、糖分が多く含まれているので、肥満にならないように注意が必要です。
梅には、食欲増進効果があるので、夏バテなどで、食欲が落ちている時に少量を無糖のヨーグルトに混ぜて与えても良いと思います。
ただし、市販の梅ジュースには人工甘味料が含まれていることがあるので、与えないようにしましょう。人工甘味料の中には、キシリトールが使用されていることがあります。キシリトールは少量でも犬にとっては毒なので、与えないようにしましょう。
犬が梅を食べて起こる中毒症状
犬が梅を食べた後、必ず中毒症状が出るわけではありません。しかし、梅を食べた後に以下のような症状が見られたら、動物病院を受診するようにしましょう。
- 繰り返し嘔吐や下痢をする。
- 呼吸が早くなり、苦しそうになる
- 意識が朦朧としている
- 元気がなく、ふるえが続いている
- 痙攣する
- 立てない、または歩けない
また、梅の種を喉に詰まらせると、舌が紫色になる、何度も吐こうとするが何も出ない、落ち着きがなく部屋の中をウロウロする、よだれがたくさん出る、呼吸困難になるなどの症状が出ることがあります。
犬が梅を食べたときの対処法
青梅の果肉を少量食べただけで、犬の体調に変化がないようであれば、自宅で様子を見ても問題ありません。
ただし、後から体調が悪くなることもあるので、注意が必要です。大量に食べてしまった場合や、異常がある場合は、病院を受診してください。
梅の種を食べた場合には、見た目に異常がなく食べたのが1粒でも、獣医師に診察してもらって下さい。種を喉に詰まらせた場合には、応急処置が必要な時があります。早急に獣医師に連絡して指示を仰いで下さい。
動物病院を受診する際には、犬が食べたものの大きさや量、食べた時間をメモし、誤って飲み込んでしまった食べ残しや、食べたものと同じものを持参しましょう。
また、犬が嘔吐したり下痢をしたりした場合は、実際に吐いたものを持参するか写真に撮って、診察の際に獣医師に伝えるようにしましょう。
犬は好奇心旺盛な子が多いです。飼い主さんがいくら気をつけていても、誤飲してしまう事があります。犬が食べてはいけない食材や、喉に詰まらせる可能性があるおもちゃなどは、犬の届かない場所へ保管すると安心です。特に犬だけでお留守番する時には、気をつけましょう。
まとめ
犬が梅を食べてはいけない理由は、未熟な実や種に中毒症状をおこす可能性があるアミグダリンが含まれているためです。特に種は消化される事がないので、危険度が高く注意が必要です。
犬が梅の種を大量に食べてしまった場合には、無症状でも獣医師に診察してもらいましょう。夜間に見てもらえる病院があるか、日頃から確認しておくと、いざという時に慌てずに行動できるかと思います。
梅の加工品は、少量であれば与えても大丈夫ですが、塩分や糖分に注意して与えるようにしましょう。下痢や嘔吐等の症状がおきる可能性もあるため、初めて与える時には、病院が開いている時間帯に与えてください。
梅は、健康効果の高い食品ですが、犬にとっては、注意が必要な事も多く、無理をして与える必要はありません。