犬に甘酒は大丈夫?期待できる効果と正しい与え方、適量から注意点まで

犬に甘酒は大丈夫?期待できる効果と正しい与え方、適量から注意点まで

犬に甘酒を与えても大丈夫?実は『米麹』の甘酒ならOKです。愛犬の腸活や栄養補給に役立つメリットから、与える際の注意点、体重別の正しい適量まで詳しく解説。シニア犬や食欲不振の愛犬に与える前に、飼い主さんが知っておきたい情報を網羅します。

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記事の監修

大阪府立大学生命環境科学部獣医学科卒業。その後、約10年に渡り臨床獣医師として動物病院に勤務。予防医療、行動学、老犬の介護問題に興味を持っています。正しい知識と情報を多くの方に伝えたいという思いからWEBライターとして動物関係の記事を執筆しています。

犬に甘酒を与えても大丈夫?

食器から飲水している犬

市販の甘酒の種類には「米麹甘酒」と「酒粕甘酒」の2種類があり、「与えて大丈夫なもの」と「与えてはいえけないもの」に分かれます。

犬に与えてよい甘酒は「米麹甘酒」です。

米麹甘酒は「米」と「米麹」だけを原材料として作られた甘酒です。この甘酒はアルコールを含まず、自然な甘みを持ち、犬にとって消化吸収しやすい特徴があります。栄養補助として適量を守って与えれば、安全に摂取することができます。

一方、「酒粕甘酒」は犬には絶対に与えてはいけません。

アルコールを含む場合が多いためです。酒粕甘酒は日本酒の製造過程で生じる酒粕を原料としており、微量でもアルコールが犬の健康を損なう原因となります。

市販品を購入する際には必ず「アルコール0%」の表示を確認し、「酒粕」の表示があるものは選ばないように注意しましょう。犬に与える甘酒を選ぶ際は、必ず商品の原材料表示を確認し、「米・米麹」のみで作られていること、さらに砂糖や食塩、保存料など添加物が使われていないことを確認する必要があります。

犬に甘酒を与えるメリット

幸せそうな表情で正面を見つめる犬

米麹甘酒は適切に活用することで、愛犬の健康維持に良い影響をもたらす可能性があります。

特に、消化に負担をかけず効率よくエネルギーや水分を補えることから、食欲が落ちているシニア犬や、夏バテ気味で元気がない愛犬への補助食品として役立つ場合があります。

ここでは具体的にどのようなメリットが期待できるのかを解説します。

腸内環境を整えて便通改善

米麹甘酒にはオリゴ糖や米由来の食物繊維が含まれており、腸内に生息する善玉菌の栄養源として役立ちます。

善玉菌が増えることで腸内環境が改善され、便通が安定したり、栄養素の吸収効率が上がったりと、犬のお腹の健康維持につながる可能性があります。

特に腸が敏感な犬の場合、適量を与えることで体調が安定することも期待できます。

香りと甘みで食欲アップ

米麹甘酒の自然な甘みや穏やかな香りは、犬の嗜好性を刺激し、食欲が落ちている犬でも食事への関心を促すことがあります。

ドッグフードのトッピングや、水分補給を兼ねて薄めて与えると、普段より食欲が改善されるケースも見られます。ただし、与えすぎないように適量を守ることが重要です。

消化吸収が良くエネルギー補給に最適

米麹甘酒は消化吸収が早いブドウ糖を豊富に含んでおり、犬が疲れている時や運動後の迅速なエネルギー補給に役立ちます。

固形の食事をあまり食べたがらない場合にも、負担をかけずに栄養やエネルギーを補えるため、体力が落ちている愛犬の回復をサポートすることができます。

甘酒に含まれる栄養素と犬への影響

甘酒と原材料の米

米麹甘酒には犬にとって役立つ栄養素が複数含まれており、適量であれば健康維持に良い影響を与える可能性があります。

ここでは、甘酒の主な栄養素ごとに、それぞれの働きや犬の体への影響を具体的に説明します。

ブドウ糖

米麹甘酒に含まれるブドウ糖は消化・吸収が速やかで、犬にとって重要なエネルギー源となります。運動後の疲労回復や体力低下時に少量を与えることで、迅速にエネルギーを補うことができます。

ただし、与えすぎは血糖値の急上昇を招くため注意が必要です。

ビタミンB群

甘酒にはビタミンB1、B2、B6などのビタミンB群が少量ながら含まれており、犬のエネルギー代謝をサポートします。

これらは健康な皮膚や被毛の維持にも必要な栄養素ですが、含有量が少ないため、不足分は必ず主食の総合栄養食で補う必要があります。

必須アミノ酸

甘酒に含まれる必須アミノ酸は犬の筋肉や被毛、皮膚の健康維持に役立ちますが、その量はごく微量であるため、犬にとっての主要なタンパク源にはなりません。

犬が必要とするタンパク質の摂取は、あくまで総合栄養食を中心に行い、甘酒は補助的に活用してください。

オリゴ糖

甘酒に含まれるオリゴ糖は消化されずに大腸まで届き、腸内の善玉菌の栄養源となります。そのため、適量を与えることで腸内の善玉菌が増加し、腸内環境が整うことが期待されます。

結果として、便の状態が改善されることもありますが、体質による個体差もあるため少量から様子を見ながら与えることが重要です。

犬に甘酒を与える際の注意点

体重計に乗るメジャーを巻かれた犬

米麹甘酒は適切な方法で与えれば犬の健康をサポートできる可能性がありますが、与える際にはいくつか注意すべきポイントがあります。

特に健康状態や持病の有無によっては、甘酒が逆効果になる場合もあるため、以下の注意事項をよく確認しておきましょう。

与えすぎは肥満・糖尿病の原因に

甘酒はブドウ糖を豊富に含むためカロリーが高く、与えすぎると肥満や糖尿病の原因になる可能性があります。愛犬に甘酒を与える場合は1日の総カロリーの10%以内を目安にし、与えた分だけ主食の量を調整することが重要です。

持病(糖尿病・腎臓病など)がある犬は避ける

糖尿病や肥満傾向にある犬に甘酒を与えると、血糖値の急激な上昇や肥満の悪化を招く恐れがあります。

また、腎臓病や心臓病の犬はカリウムやリンの摂取制限が必要になることが多いため、甘酒を与える前に必ずかかりつけの獣医師に相談してください。

腫瘍治療中の犬には与えない

腫瘍(がん)細胞は糖質をエネルギー源に増殖する場合があるため、腫瘍治療中や経過観察中の犬に糖質を多く含む甘酒を与えることは適していません。食事に関しては必ず主治医の指導に従ってください。

初回は少量からアレルギー反応を確認

犬によっては甘酒に含まれる米や麹にアレルギー反応を起こす可能性があります。

初めて与える際には、ごく少量(ティースプーンの先程度)から始め、下痢や嘔吐、皮膚の赤み、かゆみ、目の充血などが見られないか48時間ほど注意深く観察してください。

異常が出た場合はすぐに中止し、必要に応じて獣医師に相談しましょう。

与えるときは常温~人肌に薄める

犬に甘酒を与える場合はそのままではなく、常温から人肌程度のぬるま湯で2倍程度に希釈するのが安全です。

冷たいままや熱すぎる状態では犬の消化器に負担をかける恐れがあります。また、電子レンジで温める場合は過加熱を避け、必ず与える前に温度を確認してください。

犬に甘酒を与える適量の目安

飼い主から飲み物を器に注いでもらっている犬

米麹甘酒を愛犬に与える際は、健康維持のためにも必ず適量を守ることが重要です。甘酒は栄養価が高くカロリーもあるため、以下の表を参考に、愛犬の体重に合った1日の摂取量を目安としてください。

初めて与える際は、この量の半分以下から試し、徐々に適量まで増やしましょう。

犬の体重 1日の摂取量の目安(g/mL)
超小型犬(~3kg) 小さじ1杯程度(約5g/5mL)
小型犬(~10kg) 小さじ2杯~大さじ1杯程度(10~15g/10~15mL)
中型犬(~25kg) 大さじ1~2杯程度(15~30g/15~30mL)
大型犬(25kg~) 大さじ2~3杯程度(30~45g/30~45mL)

子犬やシニア犬の場合は特に消化器官への負担を考慮し、目安量より少なめの量で始め、愛犬の体調を見ながら調整してください。

1日に与える量は1回でまとめず、2〜3回に分けると犬の体に負担がかかりにくく、より安全に与えることができます。

まとめ

飼い主にお腹をなでられながら寝転ぶ犬

犬に与えても良い甘酒は「米」と「米麹」だけを原料とした米麹甘酒で、アルコールや砂糖、添加物を含まないものを選ぶ必要があります。

米麹甘酒にはブドウ糖やオリゴ糖など犬の健康維持に役立つ栄養素が含まれ、腸内環境の改善や食欲低下時の栄養補助として適量を守れば有効活用できます。

ただし、糖尿病や肥満、腎臓病、腫瘍を抱える犬には与えてはいけません。初めて与える際は少量から始め、アレルギー症状がないか十分に確認しましょう。

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