犬にヤクルトを飲ませても大丈夫?
結論からお伝えすると、犬に人間用のヤクルトを与えることは賛否が分かれています。
愛犬の健康を願う飼い主さんにとって、乳酸菌を手軽に摂取できるヤクルトは魅力的に見えるかもしれません。しかし、犬に人間用のヤクルトを与えても良いかについては、獣医師の間でも見解が分かれるのが現状です。
「ヤクルトには腸内環境を整える効果があるため、犬にヤクルトを与えるのは大丈夫」という見解の一方で、「犬の健康を害することもあるため、犬にヤクルトを与えるのは反対」という見解もあるようです。
腸内環境を整える目的でヤクルトを与えるならば、ヤクルトと同じ効果が期待できる犬用の商品もあるので、愛犬の体調に合った選択肢を選ぶようにしましょう。
犬に人間用のヤクルトがおすすめできない理由
人間にとっては健康的な飲料でも、犬の体にとっては負担になることがあります。人間用のヤクルトが犬におすすめできない主な理由を解説します。
糖分が多すぎる
人間用のヤクルトには、風味を良くするためにかなりの量の糖分が含まれています。犬は人間ほど多くの糖分を必要としておらず、日常的に摂取すると肥満の原因になります。
特にチワワやトイプードルのような小型犬の場合、わずかな量でもカロリーオーバーにつながりやすいです。肥満は関節への負担や、糖尿病などの深刻な病気を引き起こすリスクを高めるため注意が必要です。
乳糖不耐症のリスク
牛乳や乳製品に含まれる「乳糖」を分解する酵素(ラクターゼ)が少ない、あるいは持っていない体質のことを乳糖不耐症といいます。成犬の多くが乳糖不耐症で、子犬は成長とともにラクターゼが減少すると考えられています。
乳糖不耐症の犬がヤクルトを飲むと、乳糖をうまく消化できずに下痢や腹痛、お腹にガスが溜まるなどの消化器症状を引き起こす可能性があります。
人工甘味料が含まれている可能性
ヤクルトのシリーズによっては、カロリーを抑えるために人工甘味料が使用されている製品があります。特に「キシリトール」は、犬にとって極めて毒性が高く、少量でも摂取すると低血糖や急性肝不全を引き起こし、命に関わる危険な成分です。
飼い主さんが普段飲んでいるヤクルトにキシリトールが含まれていないか、成分表示を必ず確認することが重要です。
犬にヤクルトを飲ませる場合の量の目安
もし飼い主さんの判断で、アレルギーや乳糖不耐症がない健康な愛犬にヤクルトを与える場合でも、その量はごくわずかに留めるべきです。
具体的な目安としては、柴犬などの中型犬でもスプーン1杯程度、小型犬であれば、その半分以下にしましょう。あくまで風味付けとしてフードに数滴たらす、あるいは舐めさせる程度が安全な範囲です。毎日与えるのではなく、特別なご褒美としてたまに与える程度にしてください。
犬にヤクルトを飲ませ過ぎた場合の症状
もし愛犬が誤ってヤクルトを大量に飲んでしまったり、少量でも体に合わなかったりした場合には、以下のような症状が現れることがあります。
下痢・嘔吐
最も多く見られるのが、下痢や嘔吐といった消化器系のトラブルです。これは前述した乳糖不耐症が主な原因ですが、普段食べ慣れないものを摂取したことで胃腸が驚いてしまい、不調をきたすこともあります。症状が続く場合は、動物病院を受診しましょう。
肥満・糖尿病
一度に大量に飲んだからといってすぐに肥満になるわけではありませんが、日常的にヤクルトを与え続けると糖分の過剰摂取につながります。継続的なカロリーオーバーは肥満を招き、将来的にはインスリンの働きが悪くなる糖尿病などの生活習慣病のリスクを高めてしまいます。
ヤクルトが開発した犬用サプリメントがおすすめ
愛犬のお腹の健康を考えて乳酸菌を与えたいのであれば、人間用のヤクルトではなく、犬のために開発された製品を選ぶのが安全です。
ヤクルトでは、犬のお腹の健康維持をサポートするサプリメント「MediSuppli(メディサプリ)おなかの健康維持」という商品を開発・販売しています。これは、犬の腸内にいることが確認された乳酸菌とビフィズス菌を配合しており、犬の体を考えて作られている商品です。
人間用のヤクルトを与えるよりも、こうした犬専用の製品を活用する方が、安心して愛犬の健康管理を行えるでしょう。
まとめ
人間用のヤクルトは、犬にとっては糖分が多すぎる、乳糖不耐症による下痢を引き起こす可能性があるなどの理由から、積極的な摂取はおすすめできません。愛犬の腸内環境を整えたいという目的であれば、リスクを避けるためにも犬専用に開発されたサプリメントやフードを選ぶことが賢明です。
飼い主さんが正しい知識を持ち、愛犬の体質や健康状態に合ったものを選ぶことが、愛犬の健やかな毎日を守ることにつながります。