犬はカシューナッツを食べても大丈夫?主な栄養素と健康効果、注意すべきリスクまで徹底解説

犬はカシューナッツを食べても大丈夫?主な栄養素と健康効果、注意すべきリスクまで徹底解説

犬がカシューナッツを食べた!毒性はないので少量なら大丈夫ですが、高カロリーで膵炎のリスクも。絶対に危険なマカダミアナッツとの違いや、誤食した時の正しい対処法を分かりやすく解説します。

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記事の監修

大阪府立大学生命環境科学部獣医学科卒業。その後、約10年に渡り臨床獣医師として動物病院に勤務。予防医療、行動学、老犬の介護問題に興味を持っています。正しい知識と情報を多くの方に伝えたいという思いからWEBライターとして動物関係の記事を執筆しています。

犬がカシューナッツを食べた!大丈夫?

テーブルに足をかけて口元を舐めている犬

まず結論からお伝えすると、カシューナッツは食べても大丈夫な食材です。

また、一部のナッツ(マカダミアナッツなど)のように中毒を引き起こすような成分は含まれていないため、もし愛犬が万が一カシューナッツを口にしてしまっても、過度に心配する必要はありません。

ただし、カシューナッツ脂肪分が非常に多く、高カロリーな食材なため、積極的に与えることはおすすめできない食材です。おやつとして習慣的に与えるのは避けるべきでしょう。与える際も注意して与える必要があります。

カシューナッツの栄養素と犬への健康効果

器に盛られたカシューナッツ

カシューナッツには犬の健康維持に役立つ可能性のある栄養素も含まれています。ただし、これらの効果を期待して与えることは、後述する健康リスクを上回るものではありません。

オレイン酸

カシューナッツに含まれる脂質の主成分はオレイン酸です。これは不飽和脂肪酸の一種で、体内の悪玉コレステロールを減らす働きがあると言われています。犬においても、健康な皮膚や美しい被毛を維持する効果が期待されます。

ビタミンB1

ビタミンB1は、食事から摂取した糖質をエネルギーに変える際に不可欠な栄養素です。活動的な犬のエネルギー産生を助けるだけでなく、脳や神経系の正常な機能を維持するためにも重要な役割を果たします。不足すると食欲不振や疲労感につながることがあります。

鉄分

鉄分は、血液中の赤血球に含まれるヘモグロビンを構成する重要なミネラルです。ヘモグロビンは体中に酸素を運ぶ役割を担っており、鉄分が不足すると貧血を引き起こす可能性があります。

総合栄養食と書かれたドッグフードを食べている犬で不足することはありませんが、適度な鉄分は愛犬の活力ある毎日を支えるために欠かせません。

亜鉛

亜鉛は、健康な皮膚や被毛の維持、免疫機能のサポート、そして細胞の生まれ変わりを助けるなど、体内で多くの働きを担うミネラルです。特に皮膚のバリア機能を正常に保つために重要で、不足すると皮膚トラブルが起こりやすくなることがあります。

カシューナッツが犬に与える健康リスク

悲しそうな上目遣いのまま床に伏せている犬

カシューナッツを犬に与えることには、栄養的なメリットよりも注意すべき健康リスクの方が大きいと言えます。

肥満や膵炎のリスク

カシューナッツはナッツ類の中でも特に脂質が多く、高カロリーです。日常的に与えていると、容易にカロリーオーバーとなり肥満の原因になります。肥満は関節や心臓への負担を増大させ、様々な病気のリスクを高めます。

また、高脂肪の食事は高脂血症や膵炎(すいえん)を引き起こす危険性があります。膵炎は、消化酵素を分泌する膵臓に炎症が起こる深刻な病気で、激しい腹痛や嘔吐を伴い、命に関わることもあります。

喉や消化器官に詰まるリスク

カシューナッツは硬く、犬がよく噛まずに飲み込んでしまうと、喉に詰まらせて窒息する危険があります。特にトイ・プードルやチワワのような体の小さな小型犬ではそのリスクが高まります。

また、万が一丸呑みしてしまった場合、消化管をうまく通過できずに腸閉塞(ちょうへいそく)という、腸が詰まってしまう危険な状態を引き起こす可能性も否定できません。

塩分や添加物の過剰摂取

私たちが普段目にするカシューナッツの多くは、食塩や油で味付けされています。犬にとって、人間用の味付けは塩分過多であり、心臓や腎臓に大きな負担をかけることになります。

また、玉ねぎやニンニクのパウダーで味付けされている製品もあり、これらは犬に中毒を引き起こすため非常に危険です。

犬に与えることを考えるならば、必ず無塩で無添加の生のものを選ぶ必要がありますが、そもそも与えない方が賢明です。

カシューナッツに似た「マカダミアナッツ」に要注意!

器とテーブルにあふれるマカダミアナッツ

カシューナッツと混同されやすいナッツにマカダミアナッツがありますが、これは犬にとって非常に危険な食べ物です。マカダミアナッツには、犬に中毒症状を引き起こす未知の成分が含まれています。

もし愛犬が口にしてしまった場合、ぐったりして元気がなくなる、嘔吐、震え、後ろ足のふらつきによる歩行困難、高熱などの症状が現れることがあります。チョコレートなどと一緒になった製品も多く、誤って食べさせないよう厳重な注意が必要です。

犬がマカダミアナッツを誤飲した…危険な量は?

飼い主になでられながら寝る体調が悪そうな犬

マカダミアナッツの犬に対する致死量の具体的な数値は分かっていません。しかし、中毒症状は比較的少ない量でも引き起こされることが報告されています。

研究によっては、犬の体重1kgあたり約2gのマカダミアナッツを摂取するだけで、中毒症状が現れる可能性があるとされています。例えば、体重5kgの柴犬やミニチュア・ダックスフンドであれば、ほんの数粒食べただけでも危険な状態に陥る可能性があります。

犬の個体差によって感受性も異なるため、「少しだけなら大丈夫」ということは決してありません。一粒でも食べてしまったら、すぐに動物病院に連絡するべきです。

犬が誤って危険なナッツを食べた時の対処法

携帯電話を操作する人と覗き込む犬

もし愛犬が危険なナッツ類を食べてしまった、あるいは食べた可能性がある場合は、落ち着いて迅速に行動することが重要です。

まず、犬の口の中に残っているものがあれば取り除き、残りのナッツを犬が届かない場所に片付けてください。次に、自己判断で無理に吐かせようとしないでください。吐かせ方によっては、吐瀉物(としゃぶつ)が気管に入り、誤嚥性肺炎(ごえんせいはいえん)という重篤な肺炎を引き起こす危険があります。

最も重要な対処法は、すぐに動物病院へ連絡することです。深夜や休診日であれば、救急対応している動物病院を探して電話してください。その際、「いつ、何を、どのくらいの量食べたか」そして「現在の犬の様子(症状、体重、犬種など)」をできる限り正確に獣医師に伝えましょう。

その後の処置は、食べたものや量、症状によって異なります。動物病院では、催吐処置(さいとしょち)や胃洗浄、中毒成分を吸着させる活性炭の投与などが行われることがあります。飼い主の自己判断はせず、必ず専門家である獣医師の指示を仰いでください。

まとめ

手を使った合図で人に制止されている犬

カシューナッツは犬にとって毒性はありませんが、高脂質・高カロリーであるため、肥満や膵炎のリスクを考えると、与えるべき食べ物ではありません。犬の健康を第一に考えるなら、おやつは犬用に作られた安全なものを選びましょう。

そして、カシューナッツ以上に注意が必要なのがマカダミアナッツです。これは少量でも犬に深刻な中毒症状を引き起こすため、絶対に与えてはいけません。

万が一、愛犬がナッツ類を誤って食べてしまい、少しでも様子がおかしいと感じたら、迷わず動物病院を受診してください。日頃から犬が口にしてはいけない食べ物を正しく理解し、安全な環境を整えることが、大切な家族である愛犬の命を守ることに繋がります。

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