犬にピーナッツを与えても大丈夫?健康リスクと注意点、含まれる栄養素と安全な量の目安まで徹底解説

犬にピーナッツを与えても大丈夫?健康リスクと注意点、含まれる栄養素と安全な量の目安まで徹底解説

犬にピーナッツを与えても大丈夫?高カロリーによる肥満やアレルギー、膵炎などの危険性があるため与えない方が安全です。どうしても与えたい場合の正しい量、注意点、ピーナッツバターの危険性まで詳しく解説します。

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記事の監修

麻布大学獣医学部獣医学科卒業後、神奈川県内の動物病院にて勤務。獣医師の電話相談窓口やペットショップの巡回を経て、横浜市に自身の動物病院を開院。開院後、ASC永田の皮膚科塾を修了。皮膚科や小児科、産科分野に興味があり、日々の診療で力を入れさせていただいています。

犬にピーナッツを与えないほうが安全

皮をむいたピーナッツ

ピーナッツは犬にとって中毒を引き起こす成分は含まれておらず、少量であれば食べても大丈夫な食材です。しかし、犬にピーナッツは与えないほうが無難です。

というのも、ピーナッツには「脂質が多い」「カロリーが非常に高い」「消化しにくい」といったデメリットも多く、積極的におすすめできる食材とは言えません。愛犬の健康を第一に考えるのであれば、リスクを理解した上で慎重に判断する必要があります。

犬がピーナッツを食べすぎた場合に考えられる健康への影響

体重計に乗るパグ

ピーナッツの与えすぎは、犬の健康に様々な悪影響を及ぼす可能性があります。特に注意すべき5つのリスクについて解説します。

肥満につながる可能性

ピーナッツの約半分は脂質で構成されており、非常に高カロリーな食材です。

例えば、体重5kgのトイ・プードルのような小型犬がピーナッツを数粒食べただけでも、1日に必要なおやつのカロリー量を大幅に超えてしまうことがあります。日常的に与えていると、カロリーオーバーから肥満につながり、関節炎や心臓病など、他の病気を引き起こすリスクも高まります。

消化器系に負担をかける恐れ

高い脂質は、犬の消化器系に大きな負担をかけます。一度に多くのピーナッツを食べると、消化不良を起こして下痢や嘔吐といった症状が見られることがあります。

特に、膵臓から分泌される消化酵素が過剰に活性化することで起こる「膵炎(すいえん)」を発症するリスクには注意が必要です。膵炎は激しい腹痛を伴い、重症化すると命に関わることもある危険な病気です。

腎臓の機能に影響を及ぼす場合も

リンの過剰摂取は、腎臓にも負担をかけます。健康な犬であれば、余分なリンは尿として体外に排出されます。

しかし、腎臓の機能が低下している犬や、シニア犬の場合、リンをうまく排出できずに体内に蓄積させてしまいがちです。これが腎臓病の進行を早める一因となるため、腎臓に不安のある犬にはピーナッツを与えてはいけません。

アレルギー反応を引き起こす可能性

人間と同様に、犬でもピーナッツによるアレルギー反応が報告されています。アレルギー症状は様々で、皮膚のかゆみや赤み、目の充血、下痢、嘔吐などが現れます。重篤な場合は、呼吸困難などを引き起こすアナフィラキシーショックに陥る可能性もゼロではありません。

初めて与える際は、ごく少量から試し、食後に異変がないか注意深く観察することが重要です。

ピーナッツに含まれる主な栄養素と犬への効果

ごはんを食べる犬

ピーナッツにはリスクだけでなく、犬の健康維持に役立つ可能性のある栄養素も含まれています。ただし、これらの効果を期待してピーナッツを与えることは推奨されません。

タンパク質

タンパク質は、筋肉や皮膚、被毛、内臓など、犬の体を作る上で欠かせない最も重要な栄養素です。体の組織を修復し、健康な体を維持するためのエネルギー源としても利用されます。

脂質

ピーナッツの脂質の多くは「不飽和脂肪酸」です。特にオレイン酸やリノール酸は、健康な皮膚や美しい毛並みを保つ効果が期待できるほか、細胞の健康をサポートする働きがあります。

ビタミンE

ビタミンEは、強力な抗酸化作用を持つことで知られています。体内の細胞を傷つける活性酸素から体を守り、老化の進行を緩やかにしたり、免疫機能を維持したりする効果が期待されます。

ナイアシン

ナイアシンはビタミンB群の一種で、体内でエネルギーを作り出す際の補助的な役割を担っています。また、皮膚や粘膜の健康を維持し、神経系の正常な働きをサポートする重要な栄養素です。

食物繊維

食物繊維は、腸内環境を整える働きがあります。腸内の善玉菌のエサとなり、便通を改善する効果が期待できます。ただし、犬は食物繊維の消化が得意ではないため、与えすぎはかえって下痢や便秘の原因となります。

どうしても犬にピーナッツを与えたい場合の注意点

茹でたピーナッツ

リスクを理解した上で、どうしても愛犬にピーナッツを与えたい場合は、以下の点に細心の注意を払ってください。

必ず加熱されたものを選ぶ

犬に与える際は、生のピーナッツではなく、必ず炒るか茹でるかして加熱したものを与えてください。生のピーナッツは消化が悪く、犬のお腹を壊す原因になります。

薄皮は必ず取り除く

ピーナッツの周りについている茶色い薄皮は、食物繊維が多く消化に悪いため、必ず取り除いてから与えましょう。薄皮が消化管に残ると、便秘や下痢の原因となることがあります。

細かく砕くかペースト状にする

犬は食べ物を丸飲みする習性があります。ピーナッツを粒のまま与えると、喉や食道に詰まらせて窒息する危険性があります。特にチワワやポメラニアンのような超小型犬には非常に危険です。与える際は、必ず細かく砕くか、すり鉢ですり潰してペースト状に加工してください。

味付けされていないものを選ぶ

人間用に販売されているピーナッツには、塩や砂糖、油などで味付けされているものがほとんどです。犬にとって塩分の過剰摂取は心臓や腎臓に大きな負担をかけ、糖分は肥満や糖尿病のリスクを高めます。必ず「無塩」「無糖」「ノンオイル」の、何も味付けされていないものを選んでください。

ピーナッツバターなどの加工食品は避ける

ピーナッツバターは、犬にとって非常に魅力的な食べ物ですが、人間用の製品の多くには、犬に有害な成分が含まれている可能性があります。

特に、甘味料として使用される「キシリトール」は、犬が少量摂取しただけでも重篤な低血糖や肝障害を引き起こす、非常に危険な物質です。塩分や砂糖、保存料、パーム油なども犬の健康に良くないため、加工食品は与えないのが最も安全です。

犬が食べても問題の無いピーナッツの量

ピーナッツ

犬にピーナッツを与える場合、その量は1日の総摂取カロリーの10%以内という「おやつの基本ルール」に収めましょう。

しかし、ピーナッツは高脂質・高カロリーであるため、その目安よりもさらに少なくする必要があります。

具体的な目安として、体重5kgの柴犬やミニチュア・ダックスフンドのような小型犬であれば、1日に1粒程度が上限と考えましょう。それも毎日与えるのではなく、特別なご褒美としてたまに与える程度に留めるのが賢明です。

他の食事やおやつの内容も考慮し、カロリーオーバーにならないよう厳密に管理してください。

まとめ

ピーナッツバターを食べる犬

ピーナッツは犬にとって中毒性のある食材ではありませんが、高脂質・高カロリーであることから、肥満や膵炎、消化不良といった様々な健康リスクを伴います。栄養面でのメリットも一部ありますが、それらの栄養素は総合栄養食のドッグフードから十分に摂取できます。

愛犬の健康と安全を最優先に考えるならば、ピーナッツは与えないという選択が最も賢明です。もし与える場合は、アレルギーの有無を確認し、加熱・無塩・無糖のものを窒息しないよう加工し、ごく少量に留めるなど細心の注意を払うようにしてください。

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