犬にゆで卵を与えても大丈夫?正しい量と与え方、注意点を解説

犬にゆで卵を与えても大丈夫?正しい量と与え方、注意点を解説

犬にゆで卵を与えても大丈夫?この記事では、犬にゆで卵を与える際の適量や頻度、豊富な栄養素、アレルギーなどの注意点を詳しく解説します。窒息や過剰摂取のリスクを避け、安全に与えるための正しい方法がわかります。

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記事の監修

大阪府立大学生命環境科学部獣医学科卒業。その後、約10年に渡り臨床獣医師として動物病院に勤務。予防医療、行動学、老犬の介護問題に興味を持っています。正しい知識と情報を多くの方に伝えたいという思いからWEBライターとして動物関係の記事を執筆しています。

犬はゆで卵を食べても大丈夫?

台に顎を乗せている犬と卵

基本的に、犬はゆで卵を食べても問題ありません。卵は「完全栄養食」と呼ばれるほど栄養価が高く、犬にとっても多くの健康上のメリットが期待できる食材です。実際に、多くの総合栄養食ドッグフードの原材料としても使用されており、その安全性と栄養価の高さが認められています。

ただし、どんな犬にも無条件で与えて良いわけではありません。卵アレルギーを持つ犬や、特定の病気を抱えている犬には与えるべきではないケースもあります。

例えば、腎臓病や肝臓病を患っている犬の場合、卵に含まれるタンパク質やリンが症状を悪化させる可能性があるため、与える前に必ずかかりつけの獣医師に相談する必要があります。

ゆで卵に含まれる栄養素と犬への影響

調理されたゆで卵

ゆで卵には、犬の健康維持に役立つさまざまな栄養素がバランス良く含まれています。ここでは、主な栄養成分と犬への影響について解説します。

良質なタンパク質

卵は、体内で合成できない必須アミノ酸をバランス良く含む、非常に良質なタンパク質源です。タンパク質は、犬の筋肉、皮膚、被毛、爪、内臓など、体を作るための最も基本的な構成要素です。健康で丈夫な体作りや、美しい毛艶の維持に欠かせない栄養素と言えるでしょう。

ビタミン類

ゆで卵には、犬の健康をサポートするビタミン類が豊富に含まれています。例えば、皮膚や粘膜の健康を保ち、視力維持にも関わる「ビタミンA」、カルシウムの吸収を助けて骨を丈夫にする「ビタミンD」、エネルギー代謝を円滑にする「ビタミンB群」などが挙げられます。

これらのビタミンは、犬が活動的に過ごすためのエネルギー作りや、体の調子を整える上で重要な役割を果たします。

ミネラル類

骨や歯の健康に不可欠な「リン」や、体内の活性酸素を除去する抗酸化作用を持つ「セレン」などのミネラルも含まれています。ミネラルは体の機能を正常に保つために微量ながらも必須の栄養素であり、健康維持に貢献します。

ただし、リンの過剰摂取は腎臓に負担をかける可能性があるため、与えすぎには注意が必要です。

脂質

卵黄には脂質も含まれていますが、これには脳の神経細胞や細胞膜の重要な構成成分である「レシチン」なども含まれています。

脂質は効率の良いエネルギー源となる一方で、カロリーが高いため過剰に摂取すると肥満の原因になります。与える量には配慮が必要です。

犬にゆで卵を与える適量と頻度

食器を差し出す女性とフードをもらおうとしている犬

栄養豊富なゆで卵ですが、与えすぎは禁物です。おやつやトッピングとして与える際の適量と頻度の目安を知っておきましょう。

体重5kg未満の犬の目安

チワワやトイ・プードル、ポメラニアンなどの超小型犬・小型犬の場合、1日に与える量は8分の1個程度が上限の目安です。非常に少量ですが、体の小さい犬にとってはこれでも十分な栄養となります。

体重10kg前後の犬の目安

柴犬やミニチュア・ダックスフンド、フレンチ・ブルドッグなどの中型犬であれば、1日に4分の1個から2分の1個程度を目安にしましょう。愛犬の運動量や体型に合わせて調整してください。

体重20kg以上の犬の目安

ゴールデン・レトリバーやラブラドール・レトリバーなどの大型犬では、1日に最大で1個程度まで与えることができます。ただし、他の食事とのバランスを考慮することが大切です。

与える頻度とタイミング

ゆで卵は毎日与えるのではなく、週に1〜2回程度の特別なおやつやご褒美として与えるのが良いでしょう。

おやつとしてゆで卵を与える日は、そのカロリー分、主食であるドッグフードの量を少し減らすなどして、1日の総摂取カロリーが過剰にならないように調整することが重要です。一般的に、おやつのカロリーは1日の総摂取カロリーの10%以内が理想とされています。

犬にゆで卵を与える際のリスクと注意点

人が差し出すゆで卵を舐める犬

安全にゆで卵を与えるためには、いくつかのリスクと注意点を理解しておく必要があります。愛犬の健康を守るために、必ず以下の点を守ってください。

卵アレルギーの可能性

犬によっては卵にアレルギー反応を示すことがあります。アレルギーの主な症状には、皮膚のかゆみや赤み、発疹、目の充血、嘔吐、下痢などがあります。

初めて与える際は、まず黄身や白身をほんの少量だけ与え、その後数時間はアレルギー症状が出ないか注意深く観察してください。もし異変が見られた場合は、すぐに与えるのをやめ、獣医師に相談しましょう。

過剰摂取による健康への影響

どんなに栄養価が高い食品でも、与えすぎは健康を害する原因になります。

ゆで卵の与えすぎはカロリーオーバーによる肥満につながるだけでなく、リンの過剰摂取が腎臓に負担をかけたり、脂質の過剰摂取で膵炎につながるなど、栄養バランスの偏りを引き起こす可能性があります。必ず前述した適量を守りましょう。

生卵・半熟卵は与えない

必ず、中まで完全に火が通った「固ゆで」の状態の卵を与えてください。生卵の白身に含まれる「アビジン」という酵素は、皮膚や被毛の健康維持に必要なビタミンの一種「ビオチン」の吸収を妨げ、皮膚炎などのビオチン欠乏症を引き起こすリスクがあります。

また、サルモネラ菌による食中毒の危険性もあるため、生卵はもちろん、火の通りが不完全な半熟卵も避けるべきです。

味付けは絶対にしない

人間用のゆで卵のように、塩やこしょう、マヨネーズなどで味付けをしてはいけません。犬にとって塩分や糖分、脂肪分の過剰摂取は、腎臓や心臓への負担、肥満、膵炎などの原因となり、健康を著しく害する可能性があります。

与える際は、何も加えないプレーンな状態のゆで卵にしてください。

窒息のリスクを避けるための与え方

ゆで卵を丸ごと与えると、特に早食いの癖がある犬や小型犬は、喉に詰まらせて窒息する危険があります。大変危険ですので、必ず飼い主が手で細かく崩したり、フォークで潰したり、小さく刻んだりしてから与えるようにしてください。

また、卵の殻は消化が悪く、喉や消化管を傷つける恐れがあるため、必ずきれいに取り除いてから与えましょう。

まとめ

舌を出して満足気に自分の口周りを舐めている犬

ゆで卵は、良質なタンパク質やビタミン、ミネラルを豊富に含む、犬にとって優れたおやつです。しかし、その恩恵を安全に受けるためには、正しい知識を持つことが不可欠です。

与える際は、必ず「固ゆで」で「味付けをせず」、愛犬の体重に合わせた「適量」を守りましょう。そして、喉に詰まらせないように「細かくして」与えることが重要です。また、アレルギーの可能性も考慮し、最初はごく少量から試すようにしてください。

これらの注意点を守り、飼い主が愛犬の体調をしっかりと観察しながら与えることで、ゆで卵は愛犬とのコミュニケーションを豊かにする、健康的で美味しいおやつとなるでしょう。

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