犬にひじきは与えても大丈夫?安全な量と正しい与え方、注意点を解説

犬にひじきは与えても大丈夫?安全な量と正しい与え方、注意点を解説

犬にひじきを与えても大丈夫?この記事では、ひじきのメリットや注意点(ヒ素・ヨウ素)、病気との関係、体重別の安全な量を徹底解説。初めてでも簡単な手作りレシピも紹介。正しい与え方を知りたい飼い主さんは必見です。

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記事の監修

大阪府立大学生命環境科学部獣医学科卒業。その後、約10年に渡り臨床獣医師として動物病院に勤務。予防医療、行動学、老犬の介護問題に興味を持っています。正しい知識と情報を多くの方に伝えたいという思いからWEBライターとして動物関係の記事を執筆しています。

犬はひじきを食べても大丈夫?

食器の前で首を傾げながら座る犬

結論からお伝えすると、犬にひじきを与えても大丈夫です。

ただし、与え方にはいくつかの重要な注意点があります。ひじきは食物繊維やミネラルが豊富で、基本的には犬の体にとっても良い効果が期待できる食材です。

愛犬の健康を考えて、食事のバリエーションを増やしたいと考える飼い主さんにとって、魅力的な選択肢の一つとなるでしょう。

しかしその一方で、ひじきには過剰に摂取すると犬の健康に影響を及ぼす可能性のある成分も含まれています。

そのため、安全に与えるためには正しい知識が不可欠です。この記事では、ひじきの栄養素から、犬に与えるメリット、注意すべき危険な成分、安全な量、そして具体的なレシピまでを詳しく解説していきます。

ひじきの主な成分・栄養素

お皿にのったひじき

ひじきが「海の野菜」とも呼ばれるのは、多くの優れた栄養素を含んでいるためです。犬の健康維持に役立つ代表的な成分を見ていきましょう。以下は、乾燥ひじきに含まれる主な栄養素とその働きをまとめた表です。

栄養素 主な働き
食物繊維
腸内環境を整え、便通をサポートします。
カルシウム
骨や歯を形成する主要なミネラルです。神経伝達の調整にも関わります。
マグネシウム
カルシウムと共に骨の健康を維持し、多くの体内酵素の働きを助けます。
鉄分
血液中のヘモグロビンの成分となり、全身に酸素を運ぶ役割を担います。
ヨウ素(ヨード)
甲状腺ホルモンの主成分となり、体の代謝を活発にします。
β-カロテン
体内でビタミンAに変換され、皮膚や粘膜、目の健康を維持します。

これらの栄養素を効果的に取り入れることで、愛犬の健康を多角的にサポートすることが期待できます。

犬にひじきを与えるメリットと期待できる効果

原っぱを元気に走る犬

適切にひじきを与えることで、犬の健康に様々な良い影響が期待できます。ここでは、特に注目したいメリットを3つのポイントに分けて解説します。

豊富な食物繊維による腸内環境の改善

ひじきに豊富に含まれる食物繊維は、犬の腸内環境を整えるのに非常に役立ちます。食物繊維は、腸のぜん動運動を活発にし、スムーズな排便を促すため、便秘気味の犬には特に効果が期待できるでしょう。

また、腸内にいる善玉菌のエサとなり、その数を増やすことで腸内フローラのバランスを整えます。腸は体全体の免疫機能とも深く関わっているため、腸内環境を良好に保つことは、愛犬の健康維持の基本となります。

カルシウムやマグネシウムによる骨や歯の健康維持

ひじきは、骨や歯の主成分であるカルシウムを豊富に含んでいます。成長期のトイプードルやチワワのような小型犬から、骨格のしっかりした柴犬まで、すべての犬にとって骨の健康は非常に重要です。

また、ひじきにはマグネシウムも含まれています。マグネシウムは、カルシウムが骨にうまく取り込まれるのを助ける働きがあり、この2つのミネラルをバランス良く摂取することが、丈夫な骨格の維持につながります。

β-カロテンによる皮膚や粘膜のサポート

ひじきに含まれるβ-カロテンは、犬の体内でビタミンAに変換されます。ビタミンAは「目のビタミン」として知られていますが、それだけではありません。皮膚や被毛を健康に保ち、ウイルスなどから体を守る鼻や口の中の粘膜を強化する働きがあります。

皮膚の乾燥やフケが気になる犬、あるいは外部からの刺激に強い体を作りたい場合に、サポート効果が期待できる栄養素です。

ひじきに含まれる犬に危険な成分と病気について

しょんぼりとした顔で横臥しながら診察を受ける犬

ひじきには多くのメリットがある一方で、与える際には細心の注意が必要な成分も含まれています。愛犬の安全のために、リスクについてもしっかりと理解しておきましょう。

無機ヒ素

自然界の食材であるひじきには、ごく微量の「無機ヒ素」が含まれていることが知られています。ヒ素と聞くと不安に感じるかもしれませんが、獣医師と相談の上、適切に処理すれば問題は避けられます。

ひじきに含まれる無機ヒ素は水に溶けやすい性質を持っています。そのため、乾燥ひじきをたっぷりの水で戻し、その戻し汁を捨て、さらに茹でこぼす(茹でたお湯を捨てる)という下処理を徹底することで、その大部分を除去することができます。犬に与える際は、この下処理を必ず行ってください。

ヨウ素(ヨード)

ひじきに豊富なヨウ素は、甲状腺ホルモンを作るために不可欠なミネラルですが、与えすぎは禁物です。ヨウ素を長期的に過剰摂取すると、甲状腺ホルモンのバランスが崩れ、「甲状腺機能亢進症」や「甲状腺機能低下症」といった病気のリスクを高める可能性があります。

特に、もともと甲状腺疾患を発症しやすいとされる柴犬やゴールデン・レトリバーなどの犬種や、すでに甲状腺の病気で治療中の犬に与える場合は、必ず事前にかかりつけの獣医師に相談してください。

ナトリウム・カリウム

人間用に味付けされた「ひじきの煮物」には、醤油や砂糖で多くの塩分(ナトリウム)が使われています。犬にとってナトリウムの過剰摂取は、心臓や腎臓に大きな負担をかけ、病気を悪化させる原因となります。

人間用の加工品を犬に与えるのは絶対にやめましょう。また、ひじきに含まれるカリウムも、腎臓病を患っている犬の場合は摂取制限が必要になることがあります。心臓病や腎臓病の持病がある犬にひじきを与える際は、自己判断せず、必ず獣医師の指導を仰いでください。

犬に与えても安全なひじきの量は?

人の手から食べ物をもらう犬

ひじきを与える際は、必ず適切な下処理(水戻し・茹でこぼし)を行ったものを、ごく少量に留めることが大切です。与えすぎはヨウ素の過剰摂取につながる可能性があります。

1日に与えても良い量の目安は、犬の体重によって異なります。以下は、茹でて細かく刻んだ状態での目安量です。

  • 超小型犬(チワワなど 体重~4kg):小さじ4分の1杯程度
  • 小型犬(トイプードル、豆柴など 体重~10kg):小さじ2分の1杯程度
  • 中型犬(柴犬、コーギーなど 体重~25kg):小さじ1杯程度
  • 大型犬(ゴールデンレトリバーなど 体重25kg~):小さじ2杯程度

これはあくまで健康な犬の場合の目安です。

初めて与える際は、まずこの量のさらに半分以下から試してみて、便の様子や体調に変化がないかを確認しましょう。

毎日与えるのではなく、週に1~2回程度のトッピングとして楽しむのがおすすめです。

ひじきを使った「犬ごはん」のレシピ3選

調理器具をくわえてエプロンをつけた犬

ここでは、手作り食が初めての方でも簡単に作れる、ひじきを使った犬用レシピを3つご紹介します。いずれのレシピも、必ず下処理済みのひじきを使い、人間用の調味料は一切加えないでください。

レシピ1:いつものフードに混ぜるだけ!ひじきと鶏ささみのトッピング

最も手軽に始められるのが、いつものドッグフードに加えるトッピングです。鶏ささみは高タンパク・低脂肪で、多くの犬が好む食材です。

【材料】

  • 茹でて刻んだひじき:犬に合った規定量
  • 鶏ささみ:少量

【作り方】

  • 鶏ささみを茹でて、手で細かく裂きます。
  • 茹でたひじきと混ぜ合わせます。
  • 普段与えているドッグフードの上に少量乗せれば完成です。

レシピ2:栄養満点!ひじきと野菜の彩りスープ

食欲が落ちている時や、水分補給をさせたい時におすすめのスープです。野菜の甘みとひじきの風味で、食が進むかもしれません。

【材料】

  • 茹でて刻んだひじき:犬に合った規定量
  • にんじん、キャベツなど犬が食べられる野菜:少量

【作り方】

  • にんじんやキャベツを細かくみじん切りにし、ひたひたの水で柔らかくなるまで煮ます。
  • 火を止める直前にひじきを加えて混ぜ合わせます。
  • 犬がやけどしないように人肌まで冷ましてから与えてください。

レシピ3:お祝いにも!ひじき入り豆腐ハンバーグ

誕生日などの特別な日にぴったりの、見た目も豪華なハンバーグです。豆腐を使うことで、ヘルシーで柔らかく仕上がります。

【材料】

  • 茹でて刻んだひじき:犬に合った規定量
  • 鶏ひき肉:30g程度
  • 水切りした木綿豆腐:鶏ひき肉と同量程度

【作り方】

  • 全ての材料をボウルに入れて、粘り気が出るまでよく混ぜます。
  • 小さな小判型に成形する。
  • 油をひかずにフライパンで両面をじっくりと焼きます。
  • 中まで火が通ったら完成です。

まとめ

食器からご飯を食べている犬

犬にひじきを与えることは、正しい知識を持ってルールを守れば可能です。豊富な食物繊維やミネラルは愛犬の健康維持に役立つ一方で、無機ヒ素やヨウ素、塩分など、注意すべき点も存在します。

安全に与えるためのポイントは、「必ず水戻しと茹でこぼしの下処理を行うこと」「ごく少量を守ること」「人間用の味付けは絶対にしないこと」の3つです。そして、甲状腺疾患や心臓病、腎臓病などの持病がある場合は、必ずかかりつけの獣医師に相談してから判断するようにしてください。

ひじきを正しく取り入れて、愛犬の食生活をより豊かで健康的なものにしていきましょう。

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