犬はなぜコーヒーを飲んではダメなの?
人間に愛される飲み物の1つであるコーヒーですが、犬に与えるのは絶対にやめましょう。たとえ「犬がコーヒー好き」のように見えているとしてもNGです。
ここからは、コーヒーを与えてはいけない理由、コーヒーを含む製品によるリスクなどをご紹介します。リスクを避け、愛犬の健康を守るためにもぜひ内容を確認していきましょう。
コーヒーは犬にカフェイン中毒を引き起こす
コーヒーは犬にカフェイン中毒を引き起こすため与えてはいけません。
人間にとって適度なカフェインは、眠気覚ましやリラックスに役立ってくれます。しかし、人間でも飲みすぎてしまえばカフェイン中毒のリスクがあるといわれています。
犬の多くは、人間より小さくて体重も軽いため、少量でもカフェイン中毒を引き起こすリスクがあるのです。少しだからと与えてしまわないよう、くれぐれも気をつけましょう。
コーヒー豆やコーヒー牛乳も犬には危険
注意したいのはコーヒーそのものだけではありません。コーヒーの成分を含んでいる飲み物や食べ物も危険です。
- コーヒー豆
- インスタントコーヒーの粉
- コーヒー牛乳
- カフェオレ
- コーヒーゼリー
- コーヒーアイス
- コーヒークリーム
コーヒー豆のかすや、インスタントコーヒーの粉も、犬が食べてしまうとカフェイン中毒のリスクがあります。
コーヒーは必ず犬が嫌いな匂いというわけではありませんが、どちらかといえば好まない犬が多いといわれています。しかし、信頼する飼い主に与えられると、つい食べたり飲んだりしてしまいます。
犬にはカフェインの解毒作用がないため絶対に与えない、誤飲などがないよう十分に気をつけましょう。
カフェインレスコーヒーも犬にはNG
最近よく聞く「カフェインレスコーヒー」も犬には与えてはいけません。
名前からカフェインが入っていないと誤解している人もいるでしょう。しかし、「コーヒー飲料等の表示に関する公正競争規約及び施行規則」によると、カフェインを90%以上除去したコーヒーのことをカフェインレスコーヒーといいます。
カフェインが少ない、または含まれないなどは以下に分けられています。
- デカフェ:カフェインの成分を取り除いたもの
- カフェインレス:カフェインが含まれている量が少ない
- ノンカフェイン:まったくカフェインが含まれていない
カフェインが含まれていないノンカフェインなら、犬に与えても中毒のリスクはなくなりますが、与えてしまうことでコーヒーに興味を持つようになる可能性があります。コーヒーの種類を問わず、犬に与えない習慣をつけることはとても大切です。
犬がコーヒーを飲んだ時の危険な症状
犬がコーヒーを飲んだ時に出る危険な中毒症状も覚えておくと便利です。「犬がコーヒーを舐めた!」「犬がコーヒー成分入りのものを食べてしまった!」という時に役立ちます。
軽度の症状・重篤した時の症状などご紹介します。どのような症状が出るのかを確認し、カフェイン中毒が起きた時の参考にしましょう。
犬のカフェイン中毒による症状
軽度のカフェイン中毒にみられる主な症状はこちら。
- 落ち着きがなくなる
- 尿失禁を起こす
- 嘔吐する
- 頻脈になる
ソワソワと落ち着きがなくなり、次第に嘔吐などの症状が現れます。さらに、症状が重篤化すると以下のような症状がでてきます。
- けいれん
- 高血圧
- 不整脈
中毒症状が重篤化すると死に至ることもあるため、至急動物病院を受診しましょう。
犬に中毒症状が現れるまでにかかる時間の目安
一般的に、中毒症状が現れるまでにかかる時間は2~4時間以内といわれています。これはあくまでも目安でです。
犬の体重・体格・摂取量により、症状が出るまでの時間もさまざま。すぐに症状が出ないからと油断せず、様子を観察して早めに動物病院を受診しましょう。
犬に中毒を引き起こすコーヒーの摂取量
量にかかわらず、犬にコーヒーを与えるのは絶対に避ける必要があります。「このくらいであれば大丈夫」と判断するのはおすすめできません。
どのくらいの量が危険かを知っておくと誤飲してしまった時に役立ちます。中毒を引き起こすリスクがある量についても事前にチェックしておきましょう。
コーヒー製品に含まれるカフェインの量
まずはコーヒー製品に含まれるカフェインの量をチェックしてみましょう。製品による違いもありますが、100mlあたりに含まれているカフェインの量は以下の通りです。
- ドリップコーヒー :約135mg
- インスタントコーヒー :約60mg
- エスプレッソ :約140mg
- コーヒーゼリー :約4mg
コーヒーゼリーなどのスイーツもカフェイン量はとても多め。犬が舐めるだけでも危険です。誤飲などには注意が必要です。
犬に中毒症状が現れる摂取量
犬にカフェイン中毒の症状が現れる体重1kgあたりの摂取量は以下の通りです。
- 軽度の中毒症状:約20mg~
- 重度の中毒症状:約40~50mg~
体重3kg程度の犬なら、コーヒーゼリー100mlで重度の中毒症状のリスクがあります。また、体重1kgあたり60mgを超えると、深刻な発作を引き起こす可能性もあるのです。
体重1kgあたり100~200mgが致死量といわれています。ただし、あくまでも目安なのでこれよりも少ない量だとしても、死に至る場合があるので注意が必要です。
少し舐めた程度でも子犬や小型犬はリスクが高い
少し舐めてしまった程度でも、体が小さいほど許容量も少なくなります。
子犬や超小型犬は、ほんの少しの量でも症状が出る可能性が高いため要注意です。舐めた程度でも異変がないか様子を見る必要があります。
犬がコーヒーを飲んでしまった時の対処法
人間にとってコーヒーは、とても身近な飲み物。「1日に何杯もコーヒーを飲んでいる」という人も少なくないでしょう。飼い主さんがコーヒー好きなら、注意していたとしても犬が誤飲してしまうリスクも。
そこで、家庭でできる対処法と、動物病院での応急処置について解説します。万が一に備えてチェックしてみましょう。
犬がコーヒーを飲んだ時の家庭での対処法
愛犬がコーヒーを誤飲してしまった時、慌てて無理に吐かせるのはNG。自己判断で吐かせるのはとても危険です。まずは動物病院に連絡し、指示を仰ぎましょう。
一刻も早く動物病院を受診することが大切なので、以下のことをメモして持参するようにしましょう。
- コーヒーを飲んだ時間
- コーヒーの種類
- 飲んだ量
摂取から時間が経っていてすでに中毒症状が出てしまっている場合は、すぐに処置が必要となります。動物病院を受診する前にあらかじめ電話で状況を説明し、動物病院に到着後すぐに処置を受けられるようにするのがとても重要になります。
犬がコーヒーを飲んだ時の動物病院での応急処置
動物病院による応急処置では、舐めた程度なのか大量に飲んだのかで違いがあります。
一般的な方法は、薬を使って吐かせる処置です。ただし、吐くのが難しい時には胃洗浄が必要となる可能性もあるでしょう。
また、活性炭を利用して中毒物質を吸着するといった処置が行われる場合や、入院して薬剤投与治療を行うこともあります。
摂取から処置までの時間が長くなれば、それだけ危険になることを十分理解しておきましょう。
犬のカフェイン中毒を防ぐための対策
意外な原因で犬がコーヒーを誤飲してしまう可能性もあるでしょう。うっかり誤飲してしまわないよう、毎日の生活でしっかりと対策しなくてはなりません。
ここからは、誤飲を防ぐための対策をご紹介します。
犬の口が届く場所にコーヒーを置かない
犬が届く場所には、絶対にコーヒーを置かないようにしましょう。室内での犬の行動範囲には注意が必要です。
- 飲みかけのコーヒーを放置しない
- 犬がいる部屋でコーヒーをこぼなさない
- 犬が届くゴミ箱にコーヒーかすやドリップバッグを捨てない
こぼしたコーヒーを犬が舐めてしまう可能性があります。うっかりミスが中毒症状につながらないよう十分に注意しましょう。
コーヒー以外のカフェインを含む食品も犬から遠ざける
コーヒー以外にも、カフェインが含まれている飲み物や食べ物があります。それらも犬から遠ざけましょう。
- ほうじ茶
- 紅茶
- 緑茶
- チョコレート
- エナジードリンク
- 炭酸飲料
匂いにつられて犬が近づいてくる可能性もあります。興味本位で犬にカフェイン飲料を与えないようにしてください。
ドッグカフェでは犬から目を離さない
カフェイン中毒を防ぐためにも、ドッグカフェでは犬から目を離さないようにしましょう。
最近は、犬同伴のカフェやテラス席なら利用可能なレストランも増えてきましたよね。「うちの子は大人しく座っていられるから大丈夫」と思われている飼い犬さんもいるでしょう。しかし、どんなにしつけされていても注意するのは大切です。目を離した隙に誤飲・誤食しないよう、くれぐれも気をつけましょう。
まとめ
毎日のコーヒーやお茶などを楽しみにしている飼い主さんもいるでしょう。しかし、愛犬に誤飲させないよう日頃から注意する必要があるのです。ちゃんとしているから大丈夫と思っているかもしれませんが、思わぬことが誤飲などに繋がる場合もあるのです。
舐めただけでも犬によっては危険な場合もあります。犬が届くところにカフェインを含む飲み物や食べ物を絶対に置かない、こぼさないようにしましょう。
万が一、愛犬がコーヒーを舐めたり飲んでしまったら、無理やり吐かせようとせず、動物病院に連絡して指示を仰ぎましょう。中毒症状が出るまでの時間はあくまでも目安です。症状が出ていなくても、早めに処置をしてもらうことがとても重要になります。
身近なコーヒーやお茶だからこそ油断は禁物。大切な愛犬の健康を守るためにも、犬が誤飲しないようにくれぐれも注意してくださいね。