犬にメロンをあげても大丈夫?あげた場合のメリットやデメリットを解説

犬にメロンをあげても大丈夫?あげた場合のメリットやデメリットを解説

甘くて口当たりがよく栄養価も高いメロンは、デザートには欠かせない常に人気の果物ですが、果たして愛犬にあげても大丈夫な食べ物なのでしょうか。ここでは、犬にメロンをあげた場合のメリットやデメリット、与える際の注意点について解説します。

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記事の監修

  • 獣医師
  • 平松育子
  • (AEAJ認定アロマテラピーインストラクター・ペットライター )

獣医師・AEAJ認定アロマテラピーインストラクター・ペットライター
山口大学農学部獣医学科(現:共同獣医学部)卒業。2006年3月~2023年3月 有限会社ふくふく動物病院 取締役・院長。ジェネラリストですが、得意分野は皮膚疾患です。
獣医師歴26年(2023年4月現在)の経験を活かし、ペットの病気やペットと楽しむアロマに関する情報をお届けします。

犬はメロンを食べても大丈夫!

犬はメロンを食べても大丈夫!

メロンは糖分がやや高いものの、犬にとって特に有害な成分は含まれておらず、基本的に犬が食べても大丈夫な食べ物です。メロンの可食部分やメロンの汁を少量与える分には問題ありません。

メロンは主に糖質、食物繊維、カリウム、βカロテン、リン、葉酸、ビタミンCなどを含んでおり、これらはいずれも健康な犬が食べる分には安全な成分です。

また、熟れすぎていたり病気にかかっていたりするメロンでない限り、犬が中毒を起こすような成分も含まれていないので、安心してあげることができます。

さらに、果肉の部分は柔らかく消化が良いため、少量であれば子犬や高齢犬でも与えて大丈夫でしょう。

犬が1日に食べてもいいメロンの量

犬が1日に食べてもいいメロンの量

犬にメロンを与える場合、食べてもいい1日当たりの適量は約20gとされています。

普通サイズのメロンを8等分して皮、種、わたの部分を取り除いた可食部の重さが約100gですので、これをさらに5等分した一切れのサイズが犬にとっての適量と考えましょう。

また、犬の大きさ別に考えると、犬に与えてもよいメロンの上限は1日の食事量の10%程度が目安です。

したがって、小型犬で1日に食べるフードの量が100g前後であればメロンは10g前後、大型犬で1日のフードの量が300g前後であれば30g前後が適量となります。

メロンは水分を多く含んでおり食べ過ぎは下痢の原因となりますので、上記の量を目安にあくまで少量を与えるよう心がけましょう。

犬にメロンを与えるメリット・デメリット

犬にメロンを与えるメリット・デメリット

メロンには体に良い様々な栄養素が含まれていますが、場合によっては良いとされる成分がデメリットとなることもあるため注意が必要です。

では、メロンに含まれる各成分が犬にどのような影響を与えるのか、さっそくみてみましょう。

血圧の維持、筋肉や心筋機能の調節に役立つカリウム

メロンに多く含まれるカリウムは不要な塩分を排出して、血圧の上昇を防いだり心臓や筋肉の機能を調節したりするなど、正常な体の機能を維持するのに欠かせない成分です。

ただし、腎臓や心臓の機能が低下している犬の場合、カリウムが上手く体外に排出されず体内に過剰に蓄積されて、心臓に負担をかけてしまう恐れがあるため、メロンの量を調整して与えなければなりません。

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老化防止や免疫の維持に役立つβカロテン

特に赤肉種のメロンに多く含まれるβカロテンには、強力な抗酸化作用により老化を抑制したり免疫機能を活性化したりします。また、体内でビタミンAに変換されて健康な皮膚粘膜の維持にも重要な働きをします。

一方、犬は他の動物と比べてβカロテンをビタミンAに変換する能力が高いことが分かっており、 あまり多く摂取するとビタミンA中毒を引き起こす可能性があるのが難点です。

ビタミンA中毒になると、肝臓に問題が生じたり腹痛や嘔吐、元気消失や食欲低下といった症状が見られるようになったりします。

したがって、たまにメロンのみ少量あげる分には問題ありませんが、普段からβカロテンを多く含む緑黄色野菜や、ビタミンAを多く含むレバーなどを頻繁に食べさせている場合は注意が必要です。

腸の働きを促す繊維質

メロンに含まれる繊維質は、腸の働きを促す作用があるため、便秘気味の場合は便秘の解消に効果があるでしょう。ただし、食べ過ぎると逆に下痢をしてしまう恐れもありますので、くれぐれもほどほどの量を心掛けましょう。

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消化を促進するククミシン

特に夕張メロン、マスクメロン、アンデスメロンなどの品種ではタンパク質を分解する酵素「ククミシン」が豊富に含まれています。

ククミシンはメロン特有の成分で、消化を促して胃もたれを防止する効果や、血栓を予防する効果、肥満の原因となる中性脂肪を減らす効果など多くのメリットがあります。

一方、ククミシンは食べると喉や口の中がイガイガしたり、唇がピリピリしたりすることもあるので、犬に与える際は少量に留めるようにしましょう。

リラックス効果のあるGABA

特に温室栽培されたメロンにはGABAという物質が多く含まれていることが知られています。

GABAはもともと動物の体内にも存在し、主に神経伝達物質として神経を抑制する働きをすることから、ストレスを緩和したり興奮を抑えたりする効果があります。このため、犬に食べさせるとリラックス効果が期待できるでしょう。

熟れ過ぎのメロンに含まれるククルビタシンは食べ過ぎに注意

熟れ過ぎたメロンのへたに近い部分には「ククルビタシン」という非常に苦みの強い成分が含まれます。

また、十分に熟していない未熟なメロンやバラ色カビ病という病気にかかっているメロンにも、ククルビタシンが多く含まれるそうです。

ククルビタシンは、たんぱく質分解酵素ですので消化を助ける働きもありますが、食べ過ぎると嘔吐や下痢、胃けいれんなどの食中毒症状が生じることもあるため、くれぐれも犬に食べさせてはいけません。

抗酸化作用のあるビタミンC

メロンには抗酸化作用のあるビタミンCも多く含まれますが、犬はもともと体内でビタミンCを作り出す能力があるため、健康な犬であれば食べ物から摂取するビタミンCのメリットはそれほど大きくありません。

ただし、病気や加齢などで体内で生成されるビタミンCの量が減っている場合は、メロンのようにビタミンCを豊富に含む食べ物が貴重な摂取源となります。

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犬にメロンを食べさせる時の正しい与え方

犬にメロンを食べさせる時の正しい与え方

味も甘くて柔らかく嗜好性が高いため、ほとんどの犬はメロンを喜んで食べてくれるでしょう。ただし、犬にメロンをあげる際は安全面も考慮して、以下のような与え方が最もおすすめです。

メロンの皮や種は取り除いて小さくカットする

人間が食べるのと同じ大きさにカットすると、特に小型犬などは喉や気管に詰まらせて窒息する恐れがあります。このため、犬に食べさせる場合は小さく刻んでできるだけ食べやすくしてあげることが大切です。

また、種の部分は消化が悪く下痢の原因となりますのでしっかり取り除くようにしましょう。

さらに、固い皮の部分を誤って食べてしまうと、食道や腸が詰まったり傷付いたりする恐れがあるため、愛犬が盗み食いなどしないよう、皮は必ず犬の手が届かないところに捨ててください。

食事のトッピングやおやつとして活用する

メロンを食べさせると犬の健康へのメリットが多く期待できますが、メロンだけで犬に必要な栄養をすべて補うことはできません。

ですので、犬の主食はあくまで総合栄養食であるドッグフードとして、メロンはたまのおやつ、あるいは栄養や水分補給のサポートとして食事のトッピングにするのが最適です。

ちなみに、メロンに含まれるククミシンには消化を促す効果やお肉を柔らかくする効果もあるため、ちょっと一工夫してお肉を使った手作りフードなどに混ぜてあげてもよいでしょう。

犬がメロンを食べる時の注意点

犬がメロンを食べる時の注意点

犬にメロンを与える際は、以下のようなことにも注意しなければなりません。また、こうした注意点はメロンに限らずあらゆる食べ物について言えることでしょう。

食べ過ぎは嘔吐や下痢につながるため少しずつ与える

メロンを与える際は、一口おやつ程度に与えるか、細かくして食事の風味付けとしてトッピングする程度に留めましょう。特にメロンは水分が多いため、食べ過ぎると下痢や嘔吐を引き起こす恐れがあります。

また、メロンをお腹いっぱいになるほど与えると、主食であるドッグフードの食いつきが悪くなってしまう可能性もありますので、くれぐれも少しずつ与えることが大切です。

アレルギー症状が出ないかよく観察する

愛犬がメロンに対しアレルギーを持っている可能性もあるため、初めてメロンを与える際は少量ずつ与えて様子をよく観察しましょう。

特に、シラカバ、イネ、ブタクサ、ヨモギにアレルギーを持っている場合は、メロンにもアレルギー反応を示す場合があります。

こうしたアレルギー反応を交差性アレルギーと言い、アレルギーを引き起こすアレルゲンのたんぱく質構造が似ているために起こります。

アレルギー症状としては、下痢や嘔吐、皮膚の痒み、発疹、目の充血などが挙げられますので、これらの症状に気づいたらできるだけ早く動物病院へ連れて行きましょう。

ちなみに、メロンに含まれるククミシンが原因で生じる喉や口の中のイガイガ感、唇のピリピリ感などはアレルギー反応ではなく、酵素が粘膜に刺激を与えるために起こる反応です。

ククミシンもアレルギーを引き起こすことはあるそうですが、メロンを食べた直後のイガイガ感やピリピリ感とは異なりますので混同しないようにしましょう。

メロンを人用に加工した食品は与えない

メロンジュースやメロンアイス、メロンムースなどメロンを使ったデザートも人気がありますが、人用に加工された市販の食品は犬に与えてはいけません。

こうした加工食品には人工甘味料や保存料、着色料など犬にとって良くない成分が多く含まれているためです。

犬に与える場合は、自宅で作った100%ジュースやメロンを凍らせてすりおろしただけのシャーベットなど、調味料を何も加えずに犬用に作ったものを与えるとよいでしょう。

まとめ

みずみずしくて甘いメロンは人間だけではなく犬にとってもごちそうです。愛犬がうれしそうにメロンにかぶりつくのを見るのは楽しいものですが、それでも与えすぎは良くありません。

あくまでもご褒美のおやつや風味付けのトッピングとして、ほどほどの量をあげるのみにしておきましょう。

また、食べさせる際は皮や種を除いた可食部のみを喉に詰まらせないよう小さくカットして与え、さらにアレルギー反応にも注意することが大切です。

メロンには犬の体によい様々な栄養素が含まれ、特にメロン特有のククミシンなどは消化を促す優れた成分と言えます。工夫次第で犬の健康をサポートできる頼もしい食材となるでしょう。

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