ダルメシアンの性格
性格
- アクティブで遊び好き
- 聡明で記憶力が良い
- 愛情深い
- 警戒心が強い
- 神経質
アクティブで遊び好き
元々ダルメシアンは、狩猟犬や番犬、軍用犬など多種多様な活躍してきたため、かなりの運動量が必要な犬種です。そのため、散歩よりも走る方が大好きのようです。
また、ダルメシアンの祖先は「ジプシー」と呼ばれる放浪民とともに旅をしてきたといわれており、明るくて活発な一面があって遊ぶことが大好きです。
ダルメシアンは毎日欠かさず散歩しなければいけません。およそ、「朝・夜」それぞれ1時間以上散歩させてあげると良いといわれています。十分な運動量があれば、神経質になることもありません。体力もあるのでジョギングをしたり、ドッグランで自由に走らせたりするのもいい運動になります。
ダルメシアンは遊び好きなこともあるので、アジリティやフリスビードッグなどのドッグスポーツにも向いている犬種でもあります。
聡明で記憶力がよい
ダルメシアンは、非常に聡明で記憶力がよい犬種といわれています。頭が良く賢いので、比較的しつけがしやすい傾向があります。ですが、記憶力が優れている分、悪いことや嫌なことも全部鮮明に覚えてしまいます。
一度でも叩いたり、体罰を与えたり、強く怒鳴って叱りつけてしまうとしっかり記憶してしまうため、飼い主に対して怖がってしまい不信感を抱いてしまいます。築きあげてきた信頼関係も一気に崩れてしまいかねません。ダルメシアンにしつけする際は、一つ一つ丁寧に注意深く行うことが大切です。
ダルメシアンの約30%は遺伝的な聴覚障害をもっているといわれおり、中には生まれつき耳が聞こえない子もいます。しつけが上手くできないのは耳が聞こえていないことも考えられますので、それも考慮した上でアイコンタクトを重視するなどして、しつけすることが大事です。
愛情深い
ダルメシアンは愛情深く、温厚な性格をもっているといわれており、信頼する飼い主やその家族に対しては愛情深い行動をとります。特にメスの方が母性愛の強い傾向があり、面倒見が良くて愛情深い一方で、気が強く人見知りな一面もあります。
また、ダルメシアンも含め犬のメスは、比較的に穏やかで大人しい性格の傾向があり、オスのように縄張り意識が高く攻撃的ではないため、子供がいる家庭の場合は「メス」のダルメシアンの方が良いかもしれません。
警戒心が強い
ダルメシアンは、元々狩猟をするために生み出された犬種といわれていますが、その他に番犬や軍用犬としても活躍してきました。そのため、ダルメシアンは飼い主やその家族に対しては高い忠誠心がありますが、他の人や動物に対しては警戒心が強い一面をもっています。
また、警戒心が強いダルメシアンは、飼い主の反応や表情をみて相手がどのよう人かをじっくり観察して、対応を変えるといった観察力をもっています。
神経質
ダルメシアンは、主人として認めた人に対しては強い忠誠心をもっています。しかし、中には神経質な性格をもつダルメシアンもおり、これには遺伝子が関係しているといわれています。
ダルメシアンは元々攻撃的な性格ではありませんが、遺伝子が何らかの異常を生じていた場合、神経質で咬んでくるなど攻撃的になる傾向があるようです。
また、感性が鋭いためやや神経質な傾向があり、ほんの些細な事でもダルメシアンにとっては大きなストレスとなり、攻撃的になったり、物を破壊したりする行動をとることがあります。特にメスよりもオスの方が神経質で、攻撃的になりやすい傾向があるといわれています。
鈴木桂子
ダルメシアンは非常に忠実な仲間であり、あなたが与える以上の愛情で応えてくれます。彼らは人間社会が大好きであり、家族の一員としての生活を楽しんでいるのです。ダルメシアンはあらゆるライフスタイルに適合できる能力を持っています。
訓練が至極簡単という犬種ではありませんが、非常に知的な犬種なので、忍耐強く訓練することで多くの仕事をこなすことができます。
しかし反面、ダルメシアンは気まぐれで頑固な一面を持っています。気が向かないとなったら梃子でも動かないことがあるので、特に若いオス(1~2歳)の訓練はしっかりしないといけません。さもないと家族の中で自分が人より上だと理解してしまうことになりかねません。
ダルメシアンは感受性が豊かであるがゆえに、自分の感受性を上回るような出来事にあった場合、かなり思い切った行動をとることがあります。ダルメシアンは自分の周辺の人や事物に非常に影響を受けやすい犬種です。ですから、飼い主の感情の起伏にもすぐに反応してしまいます。
ダルメシアンは感受性豊かで物静かな、攻撃的でない人向きです。彼らに必要なのは何よりも「日々の細やかな愛情」なのです。
ダルメシアンの特徴
大きさ(体高/体重)
サイズ
- 体高
- オス:53〜66cm
メス:46〜64cm - 体重
- オス:15〜32kg
メス:16〜24kg
平均的なダルメシアンのオスの体高は約53〜66cm、メスの体高は約46〜64cmです。また体重はオスの場合は約15〜32kg、メスは16〜24kgです。オスのダルメシアンの方がメスよりもひと回り体格が大きいです。また体高と体長のバランスの比率はおよそ9:10といわれています。
被毛の色や模様
毛色の種類
- ブラック&ホワイト
- レバー&ホワイト
ダルメシアンの大きな特徴は斑点模様がある毛色をしています。ダルメシアンの地色は「ピュアホワイト」と呼ばれる白い毛に「ブラック」か「レバー(茶色系統)」の斑点模様があります。
この斑点模様ができるのは、パイボールド遺伝子(※1)とティッキング遺伝子(※2)の2つの遺伝子が関わっているといわれています。スタンダードなダルメシアンの毛色は「ブラック&ホワイト」か「レバー(茶色)&ホワイト」の2色です。
※1:「パイボールド」とは、白地に1~2色の班が体に入る柄のこと。
※2:「ティッキング」とは、1本の毛に濃い色と薄い色が交互に混じっていること。
遺伝子によりダルメシアンの毛色は決まりますが、ブラックは優性遺伝子BB、レバーは劣性遺伝子bbなため、基本的には両親がブラックの遺伝子BBをあわせて3つ以上持っていると、生まれてくるダルメシアンの子犬の毛色はブラック&ホワイトになりますが、BBxbbの場合は、生まれてくる子犬は全てブラック&ホワイトになります。
レバー&ホワイトの子犬が生まれてくるのは、両親が同じ劣性遺伝子であるレバーの遺伝子bを少なくともそれぞれ1つずつもっている場合になります。遺伝子の組み合わせは6通りあり、非常に複合的です。
劣性遺伝子の関係により毛色障害をおこすことがあり、ブラック&ホワイトとレバー&ホワイト以外に、レモンカラー、オレンジ、ブルー、クリーム、トリコロールの毛色障害が出ることがあります。
また、スタンダードなダルメシアンの斑点模様であるスポットは直径2〜3cmですが、遺伝子による毛色障害の場合は大きさが異なりバラバラです。
被毛の長さや構造
ダルメシアンの被毛は、上毛であるオーバーコートのみをもつ「シングルコート」の犬種で短毛です。ダブルコートのように、体温や保湿を維持する下毛のアンダーコートをもっていないため、寒さに弱い傾向があります。
カット犬種でもなく、毛も短いので被毛のお手入れは不要と思われがちですが、実は抜け毛が多い犬種として知られています。
ダルメシアンは皮膚病にかかりやすいため、被毛のお手入れをしっかり行うことが大切です。短毛であるので、ラバーブラシでこまめにブラッシングをしましょう。
ブラッシングの目安は、およそ週に1〜2回のペースで良いですが、ダルメシアンはシングルコートなのでダブルコートのように明確な換毛期がありません。年間を通して抜け毛の量が多いので、定期的にブラッシングする必要があります。
歯をみせて笑う犬
ダルメシアンは、飼い主に構ってもらいたい時や大好きな人に対して、上顎の歯を見せるようにする表情をします。「笑う犬」としてダルメシアンは有名ます。
通常、犬が歯を見せるときは、相手に対しての威嚇行為でありますが、ダルメシアンはそれだけではありません。愛情深いダルメシアンだからこそ、大好きな人に対して満面の笑顔を向けてくれるのです。
ダルメシアンの子犬の値段
画像提供:鈴木桂子ブリーダー
価格の相場
15〜25万円
子犬のダルメシアンの値段は、ペットショップやブリーダーによって異なりますが、およそ15〜25万円といわれています。
どの犬種も同じですが、ダルメシアンの子犬も理想的なスタンダードに近いほど価格が高くなります。基準となる要素としては、血統、体の大きさやバランス、毛色、年齢などです。
また、ダルメシアンの大きな特徴である斑点模様のスポットが体全身に綺麗にバランスがとれているほど値段が高くなり、顔にスポットが多いほど逆に値段が下がる傾向があります。また、オスよりもメスのほうに値段が高くつきやすいそうです。
他にもコンテストで優勝したり、高成績をもったりしているダルメシアンの親犬から生まれてくる子犬も高くなります。また、パッチ、ブルーアイといった子犬は、スタンダードの規定から外れてはいても、ペットとして飼うには問題はありません。
ダルメシアンをブリーダーから迎えるには
ダルメシアンの飼育施設に見学ができる
通常であれば、ブリーダーからダルメシアンを引き取る際は事前に飼育施設に見学をし、家族として迎え入れるダルメシアンと直接合わせています。
現在、動物愛護管理法の第一動物取扱業者の規制で、「購入者に対する現物確認・対面説明」が定められています。しかし、ブリーダーの中には多額の利益を得るために売れやすい人気ある犬種を大量に飼育し、子犬をたくさん生ませるケースもあります。
自分の目でしっかり飼育施設を確認してからお迎えするかどうか決定しましょう。
ダルメシアンの親犬とも会わせてくれる
優良ブリーダーは、飼育施設の見学や引き取る予定のダルメシアンとの面会だけではなく、その親犬とも会わせてくれます。
しっかりしたブリーダーは、販売する子犬だけではなく、その親犬に対しても適切な飼育管理をしています。子犬だけでなく親犬の健康状態や、環境も確認するようにしましょう。
血統や犬種を残すために血が濃くなると遺伝病などが出ることがあります。ダルメシアンの遺伝子疾患である、聴覚障害は代表的な障害です。
通常のブリーダーであれば、子犬やその親犬、祖父母犬に対して血統書が必ずあるので確認する必要があります。また聴覚障害を持った犬や、スタンダード規定から外れた犬を繁殖に使っていないかも、しっかりと確認しましょう。
年齢制限を守っている
子犬の販売には年齢制限があり、動物愛護管理法で49日齢以内の犬・猫の販売制限が決められています。
生まれたばかりの子犬は、母犬や兄弟犬と一緒に過ごすことで社会性を身につける大切な時期です。その時期に母犬や兄弟犬と離してしまうと、社会性を身につける機会がなくなってしまうため、成犬になった時に問題行動をおこしやすくなります。
8週齢までは親や兄弟たちと過ごし、社会性を学ぶのが理想的です。特に体格が大きいダルメシアンは、問題行動を起こすと怪我や事故をおこす恐れがあるからです。
そのため引き取る前には、必ずそのダルメシアンの子犬が生後49日以上経過しているか確認する必要があります。また、獣医師による健康チェックやワクチン接種をしているかどうかも確認しましょう。
鈴木桂子
子犬に聴覚障害がないかを確認することも重要です。週齢があまりに早いうちは、子犬は音をしっかりとらえる機能が未発達なことが多いので、やはり6週齢を過ぎてからの方が、判断しやすくなります。一番確かなのはBAER(脳幹聴覚誘発反応)と呼ばれる検査を行うことですが、まだ日本では一般的ではありません。
推奨される方法としては静かな部屋で、子犬を一人が抱き、その後ろから別な人が手を叩くという方法があります。聴覚に問題のない子犬は音源の方へとしっかりと振り向きますが、全く聞こえない子犬は反応しません。
分かりにくいのは片耳に障害がある場合です。音がするのは分かるのですが、音源の方向が分からずきょろきょろと探す場合、片耳に障害があると考えてよいでしょう。
後からトラブルとならないためにも、聴覚障害はしっかり確認する必要があります。
ダルメシアンの里親になるには
ほとんどの方は、ペットショップやブリーダーからダルメシアンを購入すると思いますが、里親募集からダルメシアンを譲り受ける方法もあります。里親募集しているダルメシアンのほとんどは成犬の場合が多いです。
元々、狩猟犬や番犬などで活躍してきたため警戒心が強いので、里親募集からダルメシアンを引き取る前に何度か足を運び認識してもらいましょう。また、元飼い主から性格や好きなこと・苦手や嫌いなことなど、いろいろな情報を聞いておくことも重要です。
ほとんどは飼い主の都合でやむなく飼育することができなくなったケースが多いので、最期まで責任もって愛情を注ぎ、飼育する覚悟を持たなければいけません。
ダルメシアンの寿命
平均寿命
10〜13歳
ダルメシアンの平均寿命は、およそ10〜13歳といわれています。同じ大型犬であるラブラドールレトリーバーは12〜13才、シェパードは10〜12才なので、大型犬の中でもダルメシアンの寿命は中間ぐらいです。
ですが、犬にとっての1年は人間に当てはめると4年間に匹敵するといわれ、さらに大型犬は小型犬よりも短命なのでダルメシアンも年をとるのが早いです。
毎日健康チェックすることも大事ですが、定期的に血液検査や尿検査など、一般的な検査を受けることでいち早く病気の早期発見につながることができ、その分長生きすることができます。
また、ダルメシアンは聴覚障害以外に尿路結石症やアレルギー性の皮膚疾患、てんかん、股関節形成不全症など、犬種としてかかりやすい病気があるため注意が必要です。
ダルメシアンの歴史
クロアチアのダルマティア地方から、ダルメシアン(Dalmatian)の名前がつけられたといわれています。古代エジプトやギリシャの芸術品に、ダルメシアンによく似た斑点模様が見つかったことから、原産国がエジプトという説があります。
ダルメシアンの祖先は、放浪民であるジプシーとともに旅をしてきたため、ダルメシアンの起源がはっきり分かっていません。旅の伴走犬として番犬や狩猟犬、ネズミの駆除など様々な役割が与えられて、人と共存していたといわれています。
17世紀にはイギリスの貴族達によって、馬車で旅行する際の番犬、伴走犬として高い人気を得ました。後に、やはりイギリスで消防馬車の伴走をする救助犬として有名になり、現在もイギリスやアメリカでは消防署のマスコットに指定されています。
その後60年代にディズニー映画の「101匹わんちゃん」で世界中で大ヒットとなりました。
まとめ
狩猟犬や番犬、伴走犬、救助犬など多様に活躍してきたため、ダルメシアンは賢く頭の良い犬種です。また、信頼している飼い主やその家族に対して、深い愛情を注ぐ優しい一面ももっています。適切にしつけをすることで、良き最高のパートナーとなることができます。
大型犬ともあって、ダルメシアンは運動量が必要であり、走り回るのがとても大好きです。現在の日本は、犬の小型化が主流となっているため、大型犬であるダルメシアンにとっては生活しにくい環境ではあります。
ですが、広い公園で遊ばせたり、自慢の体力を生かしてドッグスポーツなどに参加したりするなど工夫をすれば、少しでも過ごしやすい生活を送れると思います。
1日に25キロもの距離、馬車の伴走をして旅をしたというダルメシアンは、ジョギングや自転車での伴走にも喜んで付き合ってくれるでしょう。