安心してウンチがしたい!
愛犬と散歩しているとよく見る、ウンチをする前にくるくる回る行動。これには、しっかりとした意味があるとされています。
敵がいないかの確認
実はこの行動をする理由は、ウンチをする前に「周囲に敵がいないか」という安全確認をするためなのです。
現代の犬は飼い主さんが側にいるので命が狙われるほどの危険はないですが、野生時代では常に危険と隣り合わせの環境でした。そのような環境下にあったため、当時の犬は常に安全確認をして生活することが重要でした。
この野生時代の名残から、今の犬にもこのくるくる回る行動が見られるのです。
排泄時が最も無防備になる
犬はウンチをする時に1番無防備な体勢になります。
犬の弱点は後ろ足とされていますが、この弱点の部分が動かせない状態になる排泄の体勢は、最も敵に狙われやすく、犬にとって1番命の危険性がある体勢なのです。
なので、排泄をする前やしている間は犬にとってとても緊張が走っている時間なのです。
くるくる回っていたり、排泄をしている間は、ちょっかいを出すことなくそっと見守ってあげることが大切です。
「南北」を探している!?
また危険から身を守るための他にも、その行動の理由があることが分かっています。
その理由は科学誌「Frontiers in Zoology」の研究により解明されました。この研究によると、犬がくるくる回る行動には地球の地磁気軸が関係しているらしいのです。
どんな調査だったの??
調査では、37品種・70匹の犬を対象としました。その犬達の1,893回の排便と5,582回の排尿の際の体軸の方向を測定し、同時に調査期間中の地磁気の変化を調査しました。
この調査の結果、犬達は排便・排尿の際に体を南北に向けることを好むことが判明しました。同時に、南北を好むだけでなく東西に体を向けるのを避けていることも分かりました。
しかし、磁場が不安定な時にはこの行動は見られませんでした。
これらの結果は、犬は地磁気強度の変化よりも東西南北の極性の変化に対応していることを表しています。
また研究者の考察として、犬が排泄の際にくるくる回るのは、体の軸を地磁気軸に沿わせるためと語っています。
寝床でくるくるしている時は?
犬がくるくる回るのは、排便時だけではありません。
就寝前に、寝床でくるくる回るのを多くの飼い主さんも見たことがあるのではないでしょうか。これは、快適な寝場所を作るための行動なのです。
この行動も、犬がまだ野生動物であった時の名残といわれています。この時代の犬達は、雑草が生い茂って凹凸のある場所で寝ていて、寝床を自分好みの快適な場所にするためにくるくる回って地面を踏んでいました。
この習性が、今の犬達にも残っているのです。
それ以外はストレスか病気の可能性かも
犬がくるくる回る理由は、危険回避や快適な居場所を作るといった目的だけではありません。
実は、病気やストレスといった怖い理由が隠されている場合もあるかもしれないのです。
病気の可能性
愛犬がお尻を気にしてくるくる回っているのは、お尻に違和感を感じているためかもしれません。
もし気になったのなら、愛犬のお尻に腫れや傷、赤み、でき物などといった異常がないかしっかりとチェックすることが大切です。
しかし、見た目に異常がなくても油断は禁物です!
見た目に異常がないのにお尻を異様に気にしている場合、寄生虫や腸の病気にかかっている場合があります。
これらの病気の特徴的な症状として、お尻を地面にこすりつける行動がみられます。
この行動が見られたなら、病院に連れて行ってあげましょう!
ストレスの可能性
犬が自分の尻尾を追いかけてくるくる回る理由として、ストレスが溜まっている可能性も考えられます。
これが激しくなると、自分の尻尾を噛むといった自分自身の体を傷つける行動に及んでしまいます。
愛犬がストレスを感じているな、と思ったら短時間でもよいので、遊びや散歩に連れて行ってあげましょう。
しかし、一時的にストレスを発散できたとしても、ストレスの原因を根本的に解消していなければ意味がありません。
もし遊びや散歩でストレスを発散しても問題の行動を繰り返すようであれば、今一度愛犬との生活を見直し、原因をしっかりと突き止めることが大切です!
行動の意味を知ること◎
犬の様々な行動の意味を知ると、飼い主が普段いつも見ている愛犬の何気ない行動一つ一つにも、犬にとってはきちんとした理由や目的があるということが分かります。
飼い主が愛犬の行動の理由を一つ知っているだけでも、飼い主は愛犬の気持ちを理解することができますし、犬と人間の共同生活をより良いものにしてくれるのではないでしょうか。