犬の尻尾徹底解剖!
ワンコと言えばモフモフ・かわいい「しっぽ」ですよね!
でも、犬の「尻尾」の作りや形の違いって結構有るのをご存じですか?あまり考える機会はありませんが、実は多種多様で、ちゃんとみると結構発見があったりします!
それでは、犬の尻尾はどんな作りになっているのか、一緒に見ていきましょう!
犬の「尻尾」は「尾骨」の延長
同じほ乳類、ヒトの「しっぽ」トリビア
まずはトリビアを一つ。実は人の赤ちゃんも、お母さんのお腹の中で過ごす2ヶ月間の間までは、背骨の延長に「尻尾」が生えています。お腹の中で成長するにつれて除所に尻尾は退化し、生まれ出てくる頃には私たちが知っている人間の形に成長するわけです。
尾てい骨は専門用語では「痕跡器官」といって、その名のとおり「尻尾」の名残。ヒトの先祖が木から下りて2足歩行へ進化するにつれ、必要なくなって退化したわけです。
そう考えると、ワンコも人も「尻尾の仲間」。まさに「地球の仲間」ですね。
犬の「尻尾」も「背骨」の延長
というわけで、退化しなかった犬の「尻尾」もまた、背骨から続く尾骨。6~12個ほどの小さな尾骨が連なり、先端にいくほど細く、先は尖っています。
鼻先、手先など犬の体の先端は敏感と言われますが、尻尾の先も同様。特に背骨の延長と思えば、むやみに引っ張られたらそれはそれはイヤ~な感じがすることでしょう。怒るのも当然と言えますね。
また、尾骨を中心とした尻尾の周りには複数の筋肉があり、それぞれの筋肉が、同時に、または部分的に収縮することで、上に下にと、自在に動かすことができる構造になっています。
筋肉の一部が損傷しても別の筋肉が機能を補う働きもあり、犬にとって「尻尾」もしくは「尻尾を動かす」ということが、それだけ重要な意味を持つことが伺い知れます。
尻尾の種類
短い
スクリューテイル
生まれつきの短尾でらせん状にクルクル巻いている尾
主な犬種は、パグ、ブルドッグ、ボストンテリア
ボブテイル
生まれつき尾がなかったり、断尾して短くした尾。
主な犬種は、オールド・イングリッシュ・シープドッグ、ウェルシュコーギー・ペンブローク
キンク・テイル
根本近くからよじれたように曲がった短い尾
主な犬種は、フレンチ・ブルドッグ
長い
垂れ尾
自然な状態で下にダランと垂れ下がっている尾。
特にキツネのようにふさふさした尾は「ブラッシュ、フォックス・ブラッシュ」と言い、ラフコリーやシェットランドシープドッグがこれに当たる。
主な犬種は、シベリアン・ハスキー、セントバーナード
飾り尾(プルーム・テイル フラッグ・テイル)
ふさふさの羽状の飾り毛が垂れ下がっている尾
主な犬種は、ゴールデンレトリバー、イングリッシュセッター、ミニチュア・ダックス(ロング)。
ホイップ・テイル
背中と同じくらいの高さにまっすぐ伸びて、ムチのような尾
主な犬種は、イングリッシュセッター
ラット・テール
根本が太く柔らかい巻き毛、先端は毛がなく細いネズミの尾のような形
主な犬種は、アイリッシュ・ウォーター・スパニエル
立ち尾(セーバー・テイル サーベル尾)
お尻から垂直に立ち上がった尾
主な犬種は、ビーグル、バセットハウンド、ジャーマン・シェパード
オッター・テール
オッターとはカワウソのこと。カワウソのような根本が太くて丸く先端にいくほど細い尾
主な犬種は、ラブラドール・レトリバー
鎌尾(シックル・テイル)
緩やかに曲線を描いた「鎌の刃」のような形の尾
特に低めに背側に湾曲を描いて伸びている尾は「差し尾」といい四国犬に見られる
主な犬種は、チワワ、柴犬
リス尾(スクワーラル・テイル)
リスの尻尾のようにフサフサした毛に覆われ背中に背負っているような状態の尾。
主な犬種は、パピヨン
巻き尾(カールド・テイル)
背中の上に向かってクルンと巻いた尾
主な犬種は、柴犬、秋田犬
輪尾(リング・テイル)
ちょうど円を描くように丸くカーブした尾
主な犬種は、アフガンハウンド
日本犬の「尻尾」には様々な種類
柴犬や秋田犬に代表される日本犬には、巻き方の程度、向きなどによって、下記のように様々な呼び方があります。あなたのお家の日本犬は、どれに相当しますか?
左巻き、右巻き、左二重巻き、右二重巻き、車尾、半巻き、左差し尾、差し尾(紀州犬、甲斐犬)、太刀尾/堅巻、浅巻、太鼓巻
「尻尾」の役割
舵取り
ボートの下には、進む方向を決める「舵」がついていますが、犬の「尻尾」も同じ役割を果たしています。走ったり、方向転換したり、飛び上がったり、様々な動きをする時に体のバランスを取るために、尻尾は右に左に自在に動きます。
ボール投げやディスク(フリスビー)で遊んでいる犬達の尻尾をよく見て下さい。しきりと動いているのが分ると思います。
保温
犬ぞりを引く犬達が、寒空の下、体を丸めて「尻尾」で鼻先を覆って眠る姿、テレビなどで見たことのある人は多いでしょう。ハスキーや柴犬の飼い主さんなら、愛犬のそんな姿はおなじみですね。
これは、フサフサの尻尾で寒さから身を守り、鼻から冷たい外気を吸い込まないよう保温するためだそうです。
コミュニケーション
嬉しい時はブンブン、元気のない時はダラン。尻尾を見ればワンコの気持ちは一目瞭然。これは犬だけでなく人に対しても犬が発しているコミュニケーション・サインなんです。
ここで挙げたのは判断しやすい代表的な「尻尾」の動き。
犬の気持ちは、実際には耳、目つき、体の緊張度、体勢など総合的に判断します。
「尻尾」が振られていても「ご機嫌♪」だけでなく「警戒」「不安」「緊張」が込められている場合もあります。その辺の微妙な判断は慣れていないと難しいもの。そんな時には知識に頼らず、犬の体全体を見て、自分の直感も大切にしてみてくださいね。
また、巻き尾やリス尾の犬の場合は、尻尾を背中に背負っているのが通常の姿なので、微妙な違いが分りづらい面もありますが、そういう時は、付け根の動きに注目してみてください。
また、
フリフリ
- 素早く大きくフリフリ
「嬉しい♪」「 大好き♡」「ワクワク⤴」 ポジティブな興奮状態
- お尻ごとフリフリ
「仲良くして♪」「甘えさせて♡」「大好き大好き大好き♡」
目上の犬、人に対して服従と友好を示す
- 水平にゆっくりフリフリ
「どっちかな~?」期待と不安が入り交じった感じ
- 小刻みに左右にフリフリッ♪
「こんちは!」初めての人、犬に挨拶 友好的
- やや下がった状態でゆったり左右にフリフリ
「ふんふん♪」のんびり 満足 リラックス
- 素早くはないが左右にブンブン
下げている
- 後ろ足の間に力なくタラン、力なく揺れている
調子が悪い 恐怖 不快感
- 後ろ足の間に垂らしお尻も下がっている
「すんません⤵」服従的姿勢 不安
- 後ろ足の間に巻き込む
「カンベンして!」「ゴメンなさい!」「降参!」「怖い!」恐怖 不安
立てている
- 上にピンッと立てている
「おらおらっ!!」自信がある 優位性を示す
- 高く立てて振っている
「近づくな!」「それ以上近づいたら攻撃するぞ!」
水平にキープ
「あれは何?」「面白いこと?」「いいこと悪いことどっち?」
興味 不安 状況を推し量っている
右脳、左脳としっぽフリフリの関係
犬が尻尾を左右に振る時、私たちは背骨を中心に左右均等に振られているように感じますが、
2007年、イタリアの神経科学者および獣医師によって行われた研究により、犬の感情によって尻尾の振り方に偏りのあることが発表されました。
- 飼い主に対して:振り幅が大きく右寄り
- 見知らぬ人に対して:飼い主同様右寄りだが若干振り幅が小さい
- 猫に対して:振り幅が極端に小さくほんの少し右寄り
- 見知らぬ犬に対して:中程度の振り幅で左寄り
[左脳]右半身を司り、言語や日常的行動、愛情などのポジティブな感情に関連。
[右脳]左半身を司り、感情や空間認識、怖れなどネガティブな感情に関連する。
これらを踏まえて結果を見ると、飼い主にフリフリの時は「愛情」「遊びへの期待」、知らない人に対しては「期待」もあるがどっちつかず、猫に対しては若干の好奇心、犬に対しては警戒心を抱いて・・・と、微妙な心の動きが伺い知れます。
お散歩の時に、知らない人、知っている人、知らない犬に出会った時の愛犬の尻尾を観察してみると、面白いことが分りそうですね。
断尾した犬の場合は?
そもそも断尾は何のため? 本来の目的は、狩猟犬が狩りの時にケガしたり、牧羊犬が家畜に踏まれたりするのを防ぐためと言われてきました。
プードル、コッカースパニエル、コーギー、ミニチュアピンシャーなどが断尾対象とされますが、現在ではそれらの犬も殆ど家庭犬として飼われており、本来の断尾の意味は失われていますが、これらの犬種ではまだまだ断尾姿のコを見かけます。
その理由は
- 単なる習慣
- 見た目の「愛らしさ」など美容目的
- 「犬種図鑑」に掲載されているスタイルにすることで売れ行きを良くするという売る側の都合
などと言われています。
ヨーロッパでは、もはや意味のないこと、またはある種の虐待でもあるとして、断耳と共に禁止する国もありますが、日本ではなかなか根付いてはいません。
こんにち段尾した犬のデメリットとしては、下記のようなことが言われています。
- 「尻尾」の舵取りとしての役割が果たせないため、尻尾のある犬に比べてバランス感覚が劣る
- 「尻尾」の動きによる意思疎通がはかりにくく、他の犬から警戒されるなど敬遠されやすい。
その他 しっぽトリビア
子犬が尻尾を振り始めるのは生後7週間前後から
生まれたばかりの頃の子犬は、まだ尻尾を振りません。生後7週間くらいして兄妹犬と遊び始める時期になると、尻尾を振り出します。
これは、犬としての社会性の芽生えであり、尻尾でコミュニケーションをはかり、犬同士の関係を学んでいく重要な意味を持ちます。
現在、動物愛護法で規制されている子犬の販売が、生後45日(H25年9月1日から3年間の施行。その後別に法律で定めるまでの間は「49日」)であることを考えると、ギリギリのボーダーライン。
成長の個体差や子犬の十分な学習を慮れば、まだまだ親・兄弟犬から引き離すのは早すぎると言えそうです。
無防備な肛門を守るため
肛門周りは、ウンチの残滓などで不衛生になりがち。すると、そこにハエや寄生虫が寄ってきます。「尻尾」を振ることで、ハエを追い払い卵を産みつけるのを防ぐ意味もあるそうな。単に不快だからとも言えそうですが、牧場の牛が絶えず尻尾をブンブン振っているのと同じ理由だそうですよ。
尻尾を追ってクルクルは?
子犬が自分の尻尾を追いかけてクルクル回る姿をよく目にします。これは遊びの一種。
ただ、あまりに頻繁だったり、成犬になっても続くようだと、付き合い方を見直す必要アリ!
継続的な「尻尾追い行動」は「常動行動」または「常動障害」と言われ、ストレスや運動不足が原因と言われています。深刻になると自分の尻尾を噛んで傷つけてしまう場合もあります。
まとめ
犬の「尻尾」は、対犬、対人の両面で、とっても大切なコミュニケーションの道具。
懸命にこちらに向かって尻尾を振る愛犬に対して、「私も自分の尻尾で気持ちを伝えてあげられたなら」と思うことがあります。
今や、専門家たちによる研究のおかげで、私たちは、犬の「尻尾」の様々な動きによって彼らの感情を知ることができるようになりました。
尻尾だけでなく、耳や体全体の様子などボディランゲージをたくさん知ることで、嬉しい時は一緒に喜び、元気のない時には尻尾が上がるように励ましてやり、愛犬の気持ちに寄り添うことができるのです。
逆に、私たちが嬉しい時には彼らの尻尾も上がり、沈んでいる時には尻尾も「どうしたの?」とでも言うように低めに振られたり。
こんなふうに同じ言語は使えなくても、尻尾で表される彼らの気持ちを、私たちヒトも共有し合えるからこそ、犬は私たち人間の心の友と言われてきたのでしょうね。
そんなふうに考えると、道行くどの「尻尾」も、みんなとっても愛しく見えてきちゃいませんか?
ユーザーのコメント
40代 女性 ちえ
30代 女性 patata
30代 女性 PON
20代 女性 のんのん
20代 女性 mimi
愛犬がしっぽをフリフリしている姿をみるのが大好きです。ちょっと、気分が下がるとしっぽが下がり愛犬とのコミュニケーションを取る大切な役割をしています。その後にも、保温などの役割もあり無くてはならない部分と知りました。